ホルムズ封鎖を受け、電力、石油、ガスの各業界はどんな対応策を講じているか。三者三様の様相を呈す中、「安定供給のための連携強化」が共通のキーワードだ。
<電力>足元は大きな混乱なし 長期戦なら政策修正を

電力業界が目下注視するのは、ホルムズ比率約6%のLNGの調達・価格動向だ。資源エネルギー庁によると、全国の発電用LNGの在庫は4月12日時点で229万tと3週間分をキープ。日量消費量を10万tとすると、何も手を打たなければ毎日6000tずつ在庫が減っていき、ゼロになるまでには1年以上猶予がある計算になる。さらに春先は需要が落ち着いていく中、足元で事業者が調達に四苦八苦している様子はない。
数年前の価格高騰時の経験を踏まえ、政府は緊急時の融通に備えた地域連携や全国連携スキームを構築。また電力広域的運営推進機関が高需要期の燃料状況を監視し2カ月先の見通しを公開する中、今回臨時で4月上旬から発表する。17日時点で6月中旬までひっ迫の恐れはない。
LNG調達量の約5%がホルムズ海峡を通過するJERAはその欠落について、「元々火力の稼働率は再エネや原子力の発電状況によって振れ、その範ちゅうに収まるインパクト。4、5月分の発電に必要な在庫は確保している。燃料サプライチェーンはさまざまな観点から分散化を図っており、ホルムズ閉鎖が即ボトルネックとなるわけではない」(中村玲子・燃料需給統括部長)と説明する。2月に発表したカタール・エナジー社との長期契約(2028年から27年間、仕向け地渡しで年約300万t購入)の内容には今のところ変更はなく、「世界最大級のLNG生産国との関係性は維持する方針だ」と強調する。
さらに政府は安定供給に万全を期すため、容量市場での非効率石炭火力の稼働抑制措置を今年度は適用せず、これによるLNG節約効果を約50万tと見込む。Jパワーの場合、「現時点の貯炭量を踏まえると対応自体は可能。ただ戦争終結時期や適切な貯炭量が見通せないことなどが課題になる」としている。
JERAは、端境期の停止計画の抑制など調整を進める。追加の燃料調達はトレーディングの商流を活用し対応できる見通しだが、苦労するのは人員確保。「関係会社含め運転・保守に関わる人員をそろえなければならない。昨今の人手不足の中、有事でも安定して人員を確保できるよう平時からのパートナーシップが重要になる」(川島創・国内マーケット戦略・企画部長)と指摘する。
長期化した場合に懸念されるのが価格面だ。早ければ6月から電気料金に反映され、夏の需要期とのダブルパンチとなる。そうした中、23年に料金改定しなかった3社のうち関西は既に燃料費調整額の上限を突破し、九州や中部も近づきつつある。「燃調上限の在り方を審議会で検討するとの話が出ており、政府にはその貫徹を望みたい」(電気事業連合会)
JKM(極東スポット指標)は22年の際ほど上昇していないが、長期契約への油価高騰の影響は今後表面化し、カタール基地の1千万t強の生産能力は数年単位で戻ってこない。足元の混乱はなくとも、ワーストシナリオも念頭に入れた政策の軌道修正が喫緊の課題だ。















