「割高な電気料金を欧米並みに」という旗印の下、電気事業制度は変革の道を歩み始めた。数度の電事法改正、そして原発事故という転換点を経た電気料金の動向を振り返る。
1990年代、「高コスト構造で日本の電気代は世界的に割高な水準」だとして、自由化に伴う制度変更が次々と実施された。大手電力10社の全平均で90年代からの電気料金の変遷(図参照)を見ると、2010年まではおおむね低下傾向をたどっている。
この間、発電や小売り部門が段階的に自由化され、05年度までに販売電力量の6割が自由化対象となった。みずほ証券の又吉由香上級研究員は、「部分自由化により各社がコスト効率化などに取り組んだことで、90年代から2010年にかけては電気料金が順調に下がり、電力会社の財務体質の改善も進んでいった」と説明する。

出典:発受電月報、各社決算資料を基に経産省作成
一方、別の見方も。常葉大学の山本隆三教授は「電気料金の内訳をみると燃料費の影響が大きい。自由化で料金が下がったというのは誤解で、各社の電源構成比が主要因ではないか」と分析する。
高度経済成長に伴い、70年代までは電源開発とネットワーク形成が急ピッチで進んだ。二度のオイルショックを経て、電力各社は安定供給と発電コスト削減のために原子力発電所の建設に着手し、設備容量は2000年代にかけて急拡大した。石炭火力も地方電力が率先して導入を拡大し、90年代に入ると中三社も大規模設備を保有するようになった。
それが11年の福島第一原発事故で状況は一変する。原発の稼働停止に伴い火力を焚き増したことで燃料費が増大。同時にFITが導入され、再エネ賦課金という新たな要素が加わった。
原発停止と再エネ増で一転 想定外の値上がりへ
これにより、料金単価は上昇に転じる。ピークの14年度には家庭用が10年比約25%、産業向けは約38%も上昇。それ以降は原子力の稼働が進み、16年度には低圧部門までの小売り全面自由化が実施されたものの、原油価格に左右され増減を繰り返している。19年度は家庭用が同約22%増、産業用が約25%増の水準だ。全平均単価はkW時当たり19.5円と、25年前の水準に戻ってしまった。
ただ、FIT賦課金を除いた金額で比べると、15年度の料金の全平均同18.6円に対し、19年度は16.9円と約9%下がっている。長期的に見ても、賦課金と燃料費を除く要素で比較すれば、19年度の電気料金は94年比で3割下落している。














