【電源開発 加藤社長】大間の工事本格再開へ 現実的トランジションで 次代エネルギーを支える

2026年9月1日

現実的な転換を模索 石炭火力の退役再考も

井関 BLUE MISSION 2050の進ちょくはいかがですか。

加藤 足元では25年のCO2排出量の目標を達成しました。50年CNを目指す方向性も不変です。問題は30年目標をいかに達成するかです。電力需要が急増するという想定がある中で、同じ時間軸でそれに見合う、よりCO2排出量が少ない供給力を確保していくことは可能なのか。設備形成には時間がかかりますし、コスト増は避けられません。そうなると、既存のインフラをどこまで活用するのかという観点が重要になります。

現実的な対応としては、既存のアセットを少し長く使わざるを得ないのではないかと考えています。中東危機に際して容量市場の稼働制約が緩和されたことは有事対応として理にかなっていますが、国はその先をどうするのか。それに応じて、30年までにCO2排出量を減らすため発電所の退役を進めていくという当社の経営判断も、いったん立ち止まって考える必要があります。来春に向け、当社としての現実的なトランジションの在り方を整理していく方針です。

井関 高砂火力は28年度末の廃止を計画しています。

加藤 1968年の1号機運開以降、長年にわたり地域とともに事業を行ってきた存在ですが、廃止は避けられません。廃止時期が明確になりましたので、改めて関係者の皆さまに丁寧にご説明しながら廃止計画を進めていく必要があると考えています。実は、これだけの規模の発電所の廃止は当社の創業以来、初めてのことで、われわれにとって非常に難しいと同時に大事な仕事になります。

井関 燃料価格高騰や供給力不足への懸念から、石炭火力を再評価する声が高まっています。

加藤 このような状況下では、既存電源が供給力としての能力を果たせるかが極めて重要です。新たに石炭火力を建設する選択はもはやなく、いかに石炭火力を活用しながらCO2排出量を減らせるか。「GENESIS松島計画」は、足元のコストの上昇や経営資源の最適配分の観点から延期・再検討している状況ですが、酸素吹きIGCC(石炭ガス化複合発電)は有望な技術であり、CCS(CO2の回収・貯留)との組み合わせは、火力トランジションの合理的な選択肢となり得ます。

CCSについては、九州電力と共に取り組む長崎県松浦市の石炭火力発電所におけるプロジェクトが、国の「先進的CCS事業」として採択されました。国は、パイプラインで貯留する案件の事業環境整備を優先しますが、陸上の排出地点から貯留地までをパイプラインでつなげる適地は多くありません。そうなると、船舶で運んで貯留する案件の開発が期待されますので、そこを目指して取り組んでいきます。CCSは、CO2分離回収技術の確立が進んでいることから、水素・アンモニアなどと比較して技術的な実現可能性は相対的に高いと考えています。ですが、経済的な支援がなければ成り立たないという点では他と変わりありません。実現を後押しする政府支援を期待します。

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