【電源開発 加藤社長】大間の工事本格再開へ 現実的トランジションで 次代エネルギーを支える

2026年9月1日

需給構造改革に期待 現行制度との整合に課題

井関 再生可能エネルギーの拡大は、洋上風力と水力が鍵を握っています。

加藤 新規かつまとまった規模の開発の余地がある再エネは、ほぼ洋上風力だけです。第4回入札に向けた長期脱炭素電源オークションの上限価格が示されましたが、その水準自体は事業者の実情をよく聞いた上で設定していただいたと思います。とはいえ余裕があるわけではなく、これでぎりぎり進められるかというラインです。日本近海の海底の地質構造は英国の北海と違って千差万別で、海洋土木工事にはまだ相当なリスクがあります。数をこなすことで実現可能性を高め国民負担の低減につなげていくことが重要です。設備形成側の支援をいただき、一つでも多くのトラックレコードを積み上げていきます。

一方で、海域の占用期間の延長に加え、コーポレートPPAで洋上風力の電気を買い求めるお客さま側にも何らかの支援があれば、設備形成側と需要側の双方にとって後押しになります。カーボンの出ない電気を価値に見合った値段で長期間買っていただくという行動変容も、ある程度セットで進めるべきです。また、水力は極めて貴重な再エネアセットです。新しくkWを拡大できる地点はほぼありませんから、できるだけ長く使う必要があります。7月に着工したNEXUS佐久間は、56年の運開から70年を経ての大規模な更新工事です。こうしたアップサイクルの可能性を追求していきます。

NEXUS佐久間。運開から70年を経て更新工事へ


井関 中東情勢を背景に、政府はエネルギー需給構造改革を検討しています。どのような期待がありますか。

加藤 ホルムズ海峡の封鎖を受け、各国共通の課題が顕在化しました。エネルギーソースの分散、自給率を高めるための再エネ開発、そしてそれらをワークさせるためのグリッドの増強―です。IEA(国際エネルギー機関)や米国も、政策当局者が異口同音に「ではそれをどうワークさせるか」「どういう仕組みをつくれば投資を促進できるか」が問題だと発言しています。日本も同じです。時間も工事費もかかるということは、国民負担が増加することを意味します。だからこそ、どういう仕組みで進めるのかという方向感を、政府として示していただけるとありがたいと思います。とはいえ、その仕組みが現行制度に追加されるだけでは、既存制度との整合性が取れなくなってしまいかねません。足し算ではなく、パッケージとして整理していただくことを期待します。

井関 ありがとうございました。

対談を終えて
加藤社長は主に企画畑を歩んできたJパワーのエース。前社長の菅野氏が健康上の理由から任期中に辞任表明したことで、急遽の登板となった形だ。穏やかな雰囲気が持ち味で、話し相手を和ませる一方、企画系だけあって政策・制度に精通し、こちらの知識力が逆に問われる。その強みを経営にどう発揮させていくのか。ホルムズ問題に伴うエネルギー情勢の変化に柔軟に対応しつつ、27年度以降の次期中計の行方に要注目だ。(聞き手・井関晶

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