【LPガス大変革時代に挑む】エネルギー事業好調で売上高が過去最高 笑顔で業績を伸ばす

2026年9月15日

西日本へエリアを拡大 M&Aに積極的に取り組む

―現在、LPガス・都市ガス合わせて1都19県で89万件に迫るまで顧客数が伸長しています。今後のエリア拡大はどう計画していますか。

小栗 これまでの実績を踏まえ、市場環境や料金水準などを勘案しながら、西日本エリア・中京エリアを主なターゲットとして、進出エリアの検討を行っています。特に、既存の物流網や事業基盤を活用できるなど、グループ全体としてシナジーが見込める地域や、その隣接地域については、より重点的かつ積極的に拡大を検討しているところです。

大井川基地を中心に万全の供給体制を構築

―M&Aへの投資枠はエネルギー事業を中心に約150億円と配分しています。どのような案件を想定していますか。

小栗 直近では、24年4月に顧客件数が約2万件規模のフジプロ(神奈川県)、25年7月には約5000件規模の事業者(愛媛県)、今年4月には1200件規模の長田ガス(静岡県)を譲り受けました。

私が入社した40年ほど前、LPガス販売事業者は全国に約5万社ありました。現在は1万4700社程度。しかも顧客件数が1000件以下の小規模事業者が8割を占めます。後継者問題や法改正への対応に加え、仕入れ価格の高騰によるコストアップなどを価格転嫁する難しさに悩む経営者は多くいます。従業員の給料も上げていかなければなりません。こうした要因から事業を手放す事業者が今後増えることが予想され、積極的にM&Aを行っていく考えです。

―液化石油ガス法の省令改正から1年以上が経過しました。効果や影響は出てきていますか。

小栗 以前は設備の無償貸与がエスカレートしていましたが、法改正により、集合住宅での過剰な営業がなくなり業界の健全化が図られたと思います。当社はターゲットを戸建てに切り替えて営業に取り組んでいます。

―国が25年2月に発表した第7次エネルギー基本計画で、LPガスは「最後の砦」と明記されました。分散型エネルギーとしての特長が評価されたと思います。どう見ていますか。

小栗 評価を受けるのは大きなことだと思います。LPガスは可搬性があり、劣化しません。停電時に利用できるレジリエンスの高いエネルギーです。毎年9月に各事業所で地震防災訓練を行っています。また、各事業部門でBCP(事業継続計画)を整備し、従業員全員が避難先と連絡方法を記した「個人行動表」を携帯しています。分散型エネルギーの強みを生かした危機管理によって、地域社会に貢献できることをさらに増やしていきたいと考えています。

次世代燃料の普及に期待 DX活用で顧客接点強化

―CNに向けてはどのようなことに取り組んでいますか。

小栗 省エネ機器や太陽光発電、カーボンオフセットガスなどの提案・導入を積極的に進めています。また、自治体や地域企業と連携しながら、地域の脱炭素化やまちづくりへの参画を進めています。次世代燃料のグリーンLPガスやe―メタンについては、今後の技術開発の進展に大きな期待を寄せています。既存のLPガス・都市ガスの設備・インフラをそのまま活用できるため、多額の投資を行うことなくCNを実現できるメリットがあると考えています。

―暮らし周りの商材ではリフォームにも力を入れています。

小栗 訪問して提案するだけでなく、お客さまのいろいろな悩みごとを聞いて解決する。そういうスタンスで取り組んでいます。3カ月ほどかけてお客さまと対話を重ね、当社の設計担当がその場でフリーハンドの図を描いてイメージを共有します。リフォームは当社グループの事業の中でお客さまとの接点が最も濃いビジネスです。「TOKAIに頼めば安心」という知名度と信頼が生きてきます。リフォーム需要は今後さらに高まっていくでしょう。

自社所有の富士山静岡空港太陽光発電所

―スマートメーターによるデータ収集と総合プラットフォーム「TOKAIマップ」で顧客の使用状況を一元管理し、提案力の強化につなげるDX戦略を打ち出しました。業務効率化など変化は生まれていますか。

小栗 LPガスのスマートメーターは8割以上の設置が完了し、24時間の監視によって保安と配送効率が大きく向上しています。また、グループの会員サービス「TLC」には133万件の顧客がいて、このうち専用アプリの利用者は50万件まで伸長しました。これを100万件まで引き上げたいです。検針データから世帯人数の変化を推測し、宅配水から浄水型サーバーへの切り替えを提案するなど、顧客接点の強化に活用していきます。また今年、AI戦略室を新設し、業務効率化にとどまらないデータ活用や業務改革を一段と加速させていく方針です。

1 2 3