冷凍惣菜宅配「Bon Quish」 上質な魚料理を日々の食卓で

【エネルギー企業と食】東京電力×魚食振興

「金華サバのプレテリーヌ」「讃岐サーモンのピリ辛マヨ」「真鯛の四川家庭風炒め」―。各地で取れる四季折々の魚を生かし有名シェフの手でメニューを開発、冷凍宅配で高級感ある料理を手軽に楽しめるサービスが「Bon Quish(ボン・キッシュ)」だ。

このサービスは、東京電力ホールディングス(HD)と冷凍惣菜開発会社のファミリーネットワークシステムズ(FNS)が共同で立ち上げた。毎月6400円(税込み)で、月替わりの魚介メニューが8品届く。「気軽に全国各地の上質な魚料理が食べられるよう、魚食文化の復興に貢献したい」。東電HDで魚食ビジネスを担当する春山絵里部長はこう話す。

「Bon Quish」の由来は、フランス語で美味しいを意味する「Bon」と、英語の「Quick=早い」「Dish=料理」「Fish=魚」を組み合わせた造語だ。メニューは「クール(斬新)」「クラシカル(伝統)」「ノスタルジック(昔懐かしい)」の三つをコンセプトに、和・洋・中を取りそろえる。コロナ禍によるライフスタイルの変化もあり、「家にいながら各地の水産をレストランのクオリティで楽しめる」として人気を集めている。生み出された商品は、材料となった魚のブランド力向上にもつながり、水産業関係者からの期待は大きい。

「日本の魚文化復興に尽力したい」と話す春山絵里部長

今年6月には、今秋提供するメニューを決める試作会を大阪市で行った。シェフ自らが調理した料理は報道陣にもふるまわれ、非常に高い評価を得たという。試作会では、料理を冷凍にした場合の味の変化や、商品化した際のコストなどが議論の中心となった。事業規模的に大量生産がまだ難しく、生産数に限りがあるのは今後の課題だが、春山部長は「魚の可能性、魚食の世界を広げる料理が生まれた」と新メニューの出来に手応えを感じている。

日本人ひとり当たりの魚介消費量は、2001年をピークに減少の一途をたどっており、11年には肉食が魚食を逆転。かつて世界一の魚食国だった日本の魚離れが深刻だ。そんな中、東電が水産ビジネスに力を入れる根底には「漁業の皆さんのご理解があって、発電事業が成り立っている」(春山部長)という思いがある。発電所の多くが沿岸部に位置することから、国内漁業・水産業の振興活動は同社の社会貢献にもつながる。日々の食卓で手軽においしく、旅行気分が味わえる「Bon Quish」のサービスは、日本の魚食文化をこれからも支え続ける。

再エネ出力抑制で新方針提示へ システムをどう見直すべきか

【多事争論】話題:再エネ出力制御の低減

再エネ出力制御エリアが拡大し、6月上旬には関西エリアで初の実施に至った。

出力制御低減への対応方針を政府は年内にまとめるが、専門家の考えはどうか。


〈 火力抑制強化なら退出止まらず 定量分析ないままの議論に懸念 〉

視点A:阪本周一/公益事業学会会員

「経済性に優れた再生可能エネルギーを『捨てる』のはもったいない」との掛け声で、出力制御回避策として「オンライン化」「需要シフトの活用」「再エネ自体の上下調整能力具備」「火力抑制の強化」を具体論とするパッケージの検討に資源エネルギー庁が入った。出力抑制故に再エネ設備容量が拡大できるのに……とゴールが移動している感覚があるし、検討の性急さや着想自体にも違和感を覚える。

一点目。守備力への考察が欠けている。将来、変動再エネと蓄電池、需要シフトの組み合わせで、燃料価格高騰に影響されずに需要量との同時同量を完璧にこなし切れる時代が到来するかもしれないが、近い将来のことではない。当面は火力に調整力を依存する必要があるが、エネ庁の検討には燃料切れで需給危機に見舞われた2021年初頭への省察がみられない。海外との電力・パイプライン連系がなく国内エネルギー転送インフラも限定されるわが国では、国内にkW時の種になる燃料の一定量貯留が当面は必要。しかし、石油火力が休廃止、石炭火力も抑制され、エネルギー密度の高い炭素系燃料の国内輸送・貯留インフラも縮小する中で、火力発電所の維持・新設意欲を促したいところで、新設火力にも30%まで抑制を「要請」すれば、新設意欲は失せ、周辺インフラの退出に歯止めはかからない。火力維持のための予備電源制度も、燃料物流が追随せず、画餅と化すだろう。

バッファー、ストックの定量目標を設定しないままの各論進捗に懸念がある。東日本大震災後の原子力一斉停止を下支えした石油電源のバッファー力は、前後の発電電力量差から年間約800億kW時(エネ庁の原子力・エネルギー図面集より)と試算できる。この程度の弾力性があれば安心感もあるが、蓄電池、需要シフトはいつ頃この水準になるだろうか。蓄電池の長期脱炭素オークションでの募集枠は揚水と合わせて25%、対象電源は10‌MW(1‌MW=1000kW)以上と大型に限定しており、蓄電池全般をどこまで守備力として頼みにするのか判然としない。

需要側の短期的な増加についても楽観できない。足元の節電プログラムは総需要の95%を担う小売事業者が参加したと宣伝されたが、私の知る小売事業者複数社の顧客参加率は低圧件数で10~15%と低調だった。「参加だけで2000円を受け取れるにもかかわらず」である。

残された守備力を先に剥がし、次世代の守備力熟成を待たないのは、ノーガードで日々の需給運用を行うに等しい。将来、水素、アンモニアが調整力の一部を担うかもしれないが、低稼働率が予想される現行制度であれば、変動費用の回収リスクが残り、事業者の意欲を喚起しにくいことも指摘したい。火力稼働により追加的に発電費用がかかる点について、国民経済の観点から損失との指摘をよく耳にするが、合理的な安全保証費用ではいか。


再エネのみ急進的に優遇 政策転換の負担は事業者へ転嫁

二点目。私自身が再エネ開発案件探索・組成を業とするが、最近のシステム価格の上昇には驚く。太陽光は込み込み1kW当たり14万円程度から、部材単価、人件費の上昇もあり同19万円とも。立地制約、施工力制約も顕著だ。再エネ大量導入小委で委員たちが「需要地近くの立地誘導に資する制度設計うんぬん」と語っていたが、実情をご存知ないのではないか。事情は風力も同様で、各方面が言うほど「再エネ原価低減」を実感していない。先述単価を前提にすると、統合費用抜きでも発電原価は太陽光が1kW時当たり16円、風力が同25円以上と、最終消費者に喜ばれる単価にならない。頑張って運開にこぎつけても、再エネのみが密集するエリアでは共食いが発生し、収益を上げきれない。

三点目。「特定の方法により生み出された商材、サービスが、需要を越えた供給量を調整もせず需要側の対応を強い、不足時の代替は他者に依存する」事例を、私は再エネ以外に知らないし、自由競争には合わないと感じる。電化製品でも農水産物でも労働市場でも、需要側や競合者に受忍を求める発想はなく、なぜ再エネだけここまで急いで優遇するのか、と思う。適法に運転する火力に抑制を求める場合、法人税などの減税措置があればまだしも、日本ではこの種の誘導措置はほとんどない。行政指導の建付け自体どうかと思う。政策転換の都度、事業者に費用負担を強いているだけではないか。

安定供給維持、火力・再エネ双方の事業者の予見可能性、個別のエネルギー政策を越えた自由経済の本来の在りよう、いずれの観点に照らしても、過激な政策が性急に進捗していて、安定供給や自由経済の基盤を崩しかねない、と思う私は悲観が過ぎるのだろうか。

さかもと・しゅういち 東京大学法学部卒。東京電力を経て、複数新電力で火力・再エネ発電所建設、制度対応、分散電源アグリ、電力調達・卸などの実務を広く経験。



【需要家】CNへの需要家不安 e―メタンはリスクゼロか

【業界スクランブル/需要家】

4月に改正省エネ法が施行されて以降、ひと段落の感がある中で、経産省は4月24日と5月24日に省エネ小委を開催した。今後の省エネ施策に向けた業界ヒアリングが中心だが、そういう時こそ地に足の着いた議論ができると踏んでいるのだろう。4月の事務局資料で目に留まったのは「電化」や「化石燃料による熱システムのフェーズアウト」といった言葉だ。当日の論点にも記されてはいるが、参考で添付されていたG7気候エネルギー環境相会合閣僚声明に明確に記載されている。

日本の最終エネルギー消費に占める化石燃料直接消費の比率は7割を超える。声明文はこの7割を超える化石燃料からフェーズアウトするというのだから、菅義偉元首相のカーボンニュートラル宣言で何となく理解しつつも、穏やかな話ではない。

石油依存を低下させるための政策として天然ガスへの熱転に巨額の資金が投じられ、今や化石燃料熱利用は都市ガスなくして語れない。知り合いの工場のエネルギー管理者は、カーボンニュートラルに向けてこのまま都市ガスを使い続けていいのだろうか、と不安を口にした。

その助け舟となるのが6月13日のガス事業制度検討WGで示された「都市ガスのカーボンニュートラル化について中間整理(案)」だ。供給側でe-メタンを手立てするので需要側では特段の対策は不要だという。需要家にとってはうれしい限りだが、委員からは「e-メタンがネットゼロエミッションのピースだという誤認を振りまくとすると、この報告書の罪はとても重い」との指摘もあった。欧州などで炭素国境調整が始まると製造業にとってスコープ3は価格競争力に大きな影響を及ぼす。耳当たりの良さには取り返しのつかないリスクも含まれているということか。(O)

仮想通貨マイニングに着目 再エネ抑制低減や混雑解消へ

【エネルギービジネスのリーダー達】立岩健二/アジャイルエナジーX社長

新たなDERとして仮想通貨マイニングを活用するビジネスモデルが動き始めた。

再エネ大量導入時代の系統安定化を支える新たな切り札となる可能性を秘める。

たていわ・けんじ 1996年京都大学大学院エネルギー応用工学専攻修了。スタンフォード大学MBA取得。96年東京電力入社後、新型原子炉の安全設計などに従事。2011年以降、福島原発事故関連業務や日本原子力発電出向、東電パワーグリッド経営企画室などを経て22年から現職。

東京電力パワーグリッド(PG)傘下に2022年、ユニークなエネルギーベンチャーが誕生した。

GX(グリーントランスフォーメーション)、DX(デジタルトランスフォーメーション)、そして金融手法も掛け合わせて「アンチ・フラジャイル(反脆弱)なエネルギー基盤構築」を目指すアジャイルエナジーXだ。社名には「エネルギーの変革を俊敏・柔軟・果敢に推進する」との想いを込めている。ビジネスモデルは、分散型エネルギーリソース(DER)としてはなじみが薄い分散コンピューティングを用い、再生可能エネルギー大量導入と系統最適化を目指すもの。社長の立岩健二氏が、東電社員として4年間温め続けた構想だ。


柔軟な需要装置 他のDERと異なる特性

着目したのは仮想通貨(ビットコイン=BTC)マイニング装置。マイニングとは、暗号計算でBTC取引の検証・承認を行うこと。取引に関わらない第三者のマイニング事業者が、世界中の数千万台もの装置で同時計算して改ざんを防ぎ、取引の正当性を担保する。装置のスイッチを入れると自動で計算作業に入り、データを送信。最速で正解を回答した装置に対してBTCで報酬が支払われる。電気代の高い日本では現在マイニング事業者は皆無に近いが、電気代が安い国では事業者が常時装置を稼働させるような状況だという。

マイニング装置は「既存技術で最も柔軟性に富む電力需要装置」(立岩氏)でもあり、再エネ余剰発生時には上げDR(デマンドレスポンス)として活用できる。つまり電気を消費するだけで報酬が得られ、かつ再エネ大量導入を支えるという社会的意義も持つ、「前例のないビジネスになり得る」(同)。DERとしては、運用柔軟性や設置の容易さ、相対契約が不要など、制約の少なさが強みだ。蓄電池や水素製造、データセンタ―などほかのDERと特徴が異なり、補完関係にある。

日本ではBTCマイニングは怪しげに捉えられがちだが、マイニングが盛んな米国などではエネルギーと掛け合わせた事業が既に登場している。例えば再エネが豊富なテキサス州では、マイニング事業者が再エネ電気を購入し、GW(100万kW)級の装置を稼働させて報酬を得ながら、系統運用者にも歓迎されている。

ただ、当然日本とは事情が異なる。日本では安い再エネ電気を潤沢に使えるわけではなく、マイニング報酬獲得を主眼においた常時稼働は非現実的。他方、急速な再エネ拡大が今後も続く中、系統混雑の解消や再エネ出力制御への対応は急務だ。親会社の東電PGからすれば、マイニングがプラスにならなくとも、系統安定化に貢献してくれれば御の字なのだ。

現在、PG木更津支社エリアで装置約1300台での実証が進行中だ。また、埼玉県美里町とは、地域の多様な資源と組み合わせた事業化の検討に向け協定を締結。ほかの地点での計画も続く予定だ。

「50年再エネ5~6割を見据えれば、今もうからなくても時代に乗り遅れないよう、まず始めることが重要。関係各所との調整やマネタイズなどの課題は走りながら『アジャイルに』考える」と立岩氏。とはいえアジャイルエナジーX単体でなるべく早く利益を出せるよう、幅広いDERの価値を取引する新たな市場の整備に期待している。さらにエネ庁や環境省はもとより金融庁まで、同社に興味を示す官僚は少なくないという。


稼ぎ頭創出は福島への責任 さらなる可能性模索へ

立岩氏は「日本のエネルギー問題解決に貢献したい」との思いで原子核工学を専攻し、東電に入社した。さらに技術者もMBA(経営学修士)を取得すべきだと認識し、取得後は社内から変革を起こそうと積極的に新規事業を提案。ことに福島原発事故後は、福島への責任完遂のためにも東電が稼ぐ重要性を強く意識してきた。

そんな中で18年、二つのニュースが目にとまる。BTCバブルがはじけ「マイニングは電気の無駄使い」といった批判の高まり、そして九州で初めて実施された再エネ出力制御だ。「この二つを組み合わせれば環境に良い電気の使い方になる」とひらめいた。幹部にプレゼンしたところ事業化は即決されなかったが、「面白いからプランをもっと練ってみて」との反応があった。自腹で海外に赴くなどし、プランを深化させ、4年後にようやくゴーサインが出た。

マイニング事業を軌道に乗せることが当面のミッションだが、将来的にはDAC(大気中CO2直接回収)や、ダイヤモンド合成の可能性も秘める溶融塩電解など、さまざまな既存技術と組み合わせる私案がある。さらには「洋上・離島発電基地の再エネや小型炉で水素・アンモニアを製造し、マイニングで地産地消する構想、あるいは『バンカブルな原子力』の追求など、各所がウィン・ウィンで夢のあるシステムを模索したい」と志は大きい。

【再エネ】カーボンネガで注目 バイオマスの貢献

【業界スクランブル/再エネ】

オーステッド(デンマーク)と言えば業界人は洋上風力が頭に浮かぶと思う。しかし今回の話題はバイオマスだ。

世界で1000万kW超の洋上風力を手掛ける同社だが、実は火力発電も300万kW超を保有し、うち200万kW超がバイオマス燃料を使用する発電所。今年5月、その同社がバイオマス発電所で発生したCO2を除去した価値を米マイクロソフトに販売する契約を締結した。「BECCS」と呼ばれる取り組みで、11年間にわたり276万t分の炭素除去価値を取引する。BECCSはカーボンネガティブ技術の一つで、IEAも2050年ネットゼロ実現には、1・5億kW超のBECCSを導入し、年間13億t超(日本の年間排出量相当)のCO2除去が必要と試算している。

オーステッドの取り組みで扱うCO2は年間約43万tで、5万kW級のバイオマス専焼発電所の排出量に相当する。日本では計300万kW超の大型バイオマス専焼発電所(5万kW超級)が導入される見込みで、BECCSによる削減ポテンシャルは年間2000万tを超える。

バイオマス発電では、木質ガス化発電の残さである「炭」も炭素除去手段となる。「バイオ炭」と呼ばれ、農地などへの施用で炭素の除去・貯留価値を生む。Jクレジットの認証事例や大手商社による関連分野の展開も急進しつつある注目領域だ。

脱炭素化の資源制約がある日本において、バイオマスの炭素除去ポテンシャルは貴重であり、脱炭素手段の多様化にも貢献する。他方、こうした価値に関心を寄せるのは海外企業が中心で、プロジェクトが実現しても生み出された価値は海外に流れてしまう可能性が高い。ビジネスが成立し始めている海外に後れを取らぬよう、制度面を含む積極的な環境整備が望まれる。(C)

内燃機関の活用を 世界がEVシフトに待った!

【どうするEV】加藤康子/産業遺産情報センター長

時代の潮流の先に電気自動車(EV)社会があると決めるのはまだ早い。モビリティの選択を決めるのはユーザーであり、政治ではない。現に米国や欧州連合(EU)で政府はEVを支援しているが、売上は頭打ちで、自動車メーカーの多くが市場のニーズに応えるため内燃機関への投資を増やしている。

先進国では独自にEVの普及目標を設定しているが、これは事実上G7広島サミットの共同声明で覆されたといっていい。共同声明は、「35年までにCO2排出量を00年比で50%削減する」とうたい、目標を達成するために各国がとる「多様な道筋を認識する」とした。つまり、EVやハイブリッド車(HV)、eフュエル(水素と二酸化炭素の合成燃料)やバイオ燃料など、各国がさまざまなやり方で目標を達成しようというわけだ。G7に先立ち、3月にはEUで35年以降に新車販売をEVに一本化する法案が、ドイツやイタリアなどの反対で廃案となった。

G7気候・エネ・環境相会合で「EV1本化」への流れが変わった

似たような動きは、日本メーカーが「お得意様」とする米国でも顕著にみられる。国土の広い米国では、急速充電器の普及という高い壁を乗り越える必要がある。バイデン政権はEV化を強力に推進するが、日本とほぼ同じ面積のワイオミング州には、充電ステーションが81カ所しかない。アラスカ州は50カ所、ノースダコタ州は71カ所、サウスダコタ州は73カ所だ。電池の性能や適合する充電器を巡る技術の進化もこれからである。リチウムの供給量を考えても、資源制約という物理的問題がある中で、EVの値段は下がらず普及の道のりは長い。こうした「現実」から、ゼネラルモータース(GM)は6月、次世代の内燃エンジン生産を支援するために総額32億ドル強(約4500億円)もの投資を発表した。GMは35年に新車販売の全車EV化を表明していたが、本年度の投資先の大半が内燃機関となっている。米国市場でも、EV支持者は少数派だ。今年に入り、EVベンチャーはローズウオーターが破綻、リビアンも厳しい経営を強いられるなど失速した。

こうしたニュースは日本では目にしない。日本のメディアは時代の潮流をEVと決め付けて記事を書いているため、不都合な真実は取り上げない傾向にあるのだ。現在、公用車やバスなどEVには巨額の補助金が投下されている。25年の大阪・関西万博には、100台のEVバスが中国から輸入されるそうだ。安全性や耐久性など性能以前にEVであれば先進的とみなすこの風潮は、グローバルエリートを自認する少数の役人が進めている。

だが、EV推進政策は世紀の愚策にならないだろうか? 自動車産業は550万人の雇用を支える日本の基幹産業だ。全世界の新車販売約8000万台のうち、日本メーカーの車は4分の1以上を占める。部品も含む強い日本の自動車産業こそ、わが国の国力である。待たれるのは、安価な水素とカーボンニュートラル燃料の早期開発ではないか。

かとう・こうこ 慶大卒。ハーバードケネディスクール大学院修士課程修了。産業遺産国民会議専務理事、都市経済評論家、元内閣官房参与。鉱工業などの産業遺産を研究。父は自民党の故加藤六月氏。

【火力】これで大丈夫? 「対策パッケージ」への不安

【業界スクランブル/火力】

再エネの普及拡大に伴い、発電量が余剰になった時に行われる再エネの出力制御を実施するエリアが全国に広がっいることが話題だ。

報道では何かとんでもないことが起きているかのような論調だが、需要の変動に連動せず発電する自然変動電源が増えてくれば、このような状況になるのはむしろ当たり前のことだと理解する必要がある。しかし、せっかくの再エネなのだから、なるべく無駄なく使い切れないかと考えるのもまた当然のことだ。

電力系統においては、常時、同時同量を維持する必要があることから、供給力が過剰になるのであれば、需要を増やすか再エネ以外の供給力を減らせばよいということになるが、それは供給力過剰となっている断面のみを切り取った対応でしかない。

電力の安定供給を維持しながら再エネを増やすためには、時間の経過に伴い再エネの発電量が減少した時も供給力を確保し続けられる仕組みが不可欠だ。

国の委員会において、秋までにまとめる対策パッケージの案が示された内容を見ると出力制御を行う断面の対応のみに偏っていて、このままでは安定供給が毀損されてしまう。特に火力は最低出力の引き下げのみで、夕方の点灯ピークへの対応に効く起動停止の迅速化や、不意の天候変動に対応するための負荷変化率向上やLFC(負荷周波数制御)幅の拡大といった現実的に必要となる対策については全く言及されていない。

委員会の中では、再エネ側からも「現在調整力の多くは火力に依存しており、規制の強化により調整力が不足するようなことがあると本末転倒ではないか」とのコメントが出ている。

再エネは支援、火力は抑制、系統は増強という固定観念が、電気事業の未来を狭めているように思えてならない。(N)

環境を意識した材料調達へ モノづくりの現場も変化

【リレーコラム】山田泰也/パナソニックオペレーショナルエクセレンスグローバル調達本部非鉄部部長

材料調達において、これまで重要視してきた視点は「QCD(=品質・コスト・納期)」の3点であったが、最近、急速に「環境」を重視する声が強まりつつある。恥ずかしながら、当初、個人的には、環境対応というものは、欧州の政治家中心に考えられた競争軸の転換だと、斜に構える見方をしていたが、昨年8月に米国でインフレ抑制法が成立し、グリーンプロジェクトに対する巨額の補助金が相次ぐとともに、EU加盟国が本年4月に国境炭素税の導入を承認し、環境を無視したモノづくりや調達は難しい状況に、世の中が大きく変わりつつあることを痛感している。

かかる状況下、非鉄材料の調達において、極力コスト負担の少ないCO2削減取り組みから着手し始めている。一例として、水力発電由来のアルミ地金の調達と加工メーカーへの支給である。パナソニックではグローバルでアルミ材料を年5万t調達している。アルミは「電気の缶詰」といわれる通り、製造工程で電力を大量に消費するため、1tのアルミを作るのに、世界平均で約11tものCO2を排出する。一方、水力発電を使って製造したアルミ地金であれば、CO2排出量が約4tに減るため、仮に全てのアルミ材料を水力発電由来の調達に切り替えることができれば、年35万tのCO2削減が可能となるため、積極的に取り組んでいる。また、私共が、低CO2のアルミ地金を調達し、非鉄加工メーカーに支給することで、トレーサビリティー面でも見える化が実現できる。これとは別に、当社の工場、ならびに家電リサイクル工場で発生した非鉄屑を循環する取り組み(=サーキュラーエコノミー)も、複数の素材メーカーのご協力のもと、推進している。

当社は、自社の事業に伴うCO2排出量の削減と、社会におけるCO2排出量の削減をPANASONIC GREEN INPACTと名付け、より良い暮らしと持続可能な地球環境の両立に向けて、独自の目標を掲げて取り組んでいる。それは、2050年に向けて、現在の世界のCO2排出量の約1%(≒3億t)の削減インパクトを目指すというものである。


より多くのCO2削減を目指す

自社のバリューチェーンにおけるCO2排出量はスコープ1~3合計で1・1億tのため、その3倍のCO2削減を目指すという壮大な計画であり、私は調達責任者のひとりとして、調達面で発生するCO2排出量(スコープ3カテゴリー1)が年間約2000万tあるうち、非鉄材料で100万tの削減を目標に掲げ、コツコツと実現に向け推進していきたいと思う。

やまだ・やすなり 1992年、東京理科大学基礎工学部卒業。松下電器産業、ゴールドマン・サックス証券を経て、2011年4月にパナソニック株式会社に復職し、非鉄材料の調達に従事。

※次回はアサヒセイレンの谷山佳史社長です。

【原子力】再処理工場の事業費増加 24年度上期稼働は

【業界スクランブル/原子力】

青森県六ケ所村の日本原燃の使用済み核燃料再処理工場の総事業費が、2022年時点から2600億円増えて14兆7000億円になった。

かつて再処理事業の中止を求める「19兆円の請求書」という怪文書が経産省の匿名のキャリア官僚によってばらまかれ、物議をかもしたことがあった。今回の総事業費の増加は今後の状況次第で再び議論を巻き起こす危険性をはらんでいる。

総事業費の上昇は、再処理工場の完成時期を22年度から24年度へと2年延期したことに伴うものだ。延期により既存施設の維持管理費や人件費に1400億円かかることなどを反映した結果だ。ウクライナ侵攻に伴う資材費の高騰なども響いたという。

日本原燃の増田尚宏社長は6月23日、記者会見で原子力規制委員会による六ケ所再処理工場の認可審査を巡り、地盤モデルに関する内部検討に2カ月を要するとの見通しを示し、5月の会見で「(認可の前提となる)補正の時期は秋」と述べたことについて、「設定を変えないといけないかもしれない」と軌道修正している。一方で「24年度上期のできるだけ早期」と掲げる完成目標については「しっかり守る」と強調した。

審査での議論のポイントとなる設工認について原燃は、6月20日の審査会合で、再処理の建屋と設備の耐震評価の前提となる地盤モデルの検討方針などについて説明した。

原子力規制庁から、地盤モデルの検討の進め方について理解が得られたことから、データの丁寧な分析・考察を行い、1日も早い稼働に向けて、オールジャパン体制で審査に取り組んでいくとしている。

再処理工場の稼働を巡る議論は大詰めを迎えている。行方を注目したい。(S)

【マーケット情報/8月18日】原油下落、中国経済の先行き懸念が重荷

【アーガスメディア=週刊原油概況】

先週の原油価格は、主要指標が軒並み下落した。不動産業を中心に景気低迷が続く中国で、需要減の見通しが強まった。

中国では、7月の製油所稼働率が前月から微増にとどまるなど、燃料需要は市場の想定より弱かった。また、不動産大手の恒大グループが、米連邦破産法の適用を申請するなど、中国経済の先行き懸念が強まった。中国人民銀行(中央銀行)は、消費刺激策の一環として利下げを発表したが、油価への影響は限定的だった。

米国では、小売業などで、引き続き旺盛な消費活動が確認されるなど、インフレ圧力を示す経済統計が相次いで発表された。景気過熱を抑制するため、連邦準備制度理事会(FRB)による利上げ政策が継続するとの見通しから、需要減の見方が強まった。

OPECは、ロシア産原油の今年の供給量見通しを上方修正した。ただ、世界の需要全体については、前回の予測を据え置いた。IEA(国際エネルギー機関)も同様に、需要見通しを据え置いた。

一方で、米石油在庫は、輸出増から1月以来の最低水準となったが、油価の上方圧力には至らなかった。


【8月18日現在の原油相場(原油価格($/bl))】

WTI先物(NYMEX)=81.25ドル(前週比1.94ドル安)、ブレント先物(ICE)=84.80ドル(前週比2.01ドル安)、オマーン先物(DME)=85.45ドル(前週比2.47ドル安)、ドバイ現物(Argus)=85.36ドル(前週比2.49ドル安)

【石油】補助金増額のナゾ 削減率は増えたが

【業界スクランブル/石油】

6月第5週(6月29日~7月5日)の燃料油補助金は、1ℓ当たり9・7円の支給となった。第4週の補助金は9円だったから、0・7円の増額である。筆者には、記者や大口需要家から6月以降、2週に10%ずつ補助金は削減されるのにナゼ増額されたのかと、この「逆転現象」について数件の問合せがあった。

確かに9月末の補助金終了に向け、段階的縮減を始めたのに、しかも、第5週目だから削減率は20%から30%に拡大されるのになぜ補助金は増額されるのか、疑問に思うのは当然だ。

この逆転現象、政府が補助金終了に向けて行うのは、補助額縮減ではなく補助率縮減だからだと説明するしかない。政府は毎週円建て原油価格の変動を基本に、補助額を見直しているが、第4週は従来であれば11・2円の補助のところ、20%削減で補助額は9円になったのに対し、第5週は、価格上昇・円安進行があり、従来3・9円のところ、30%削減で9・7円の補助となった。従って、今後もこうした逆転現象は起こるかもしれない。また6月末時点の価格・為替水準が続くならば、9月末に向け、さらに9・7円程度の石油製品価格値上がりは避けられないということだろう。

このところ、原油価格は、景気見通しを巡る不透明感を反映して、70ドル前後の水準で方向感覚を欠く動きをしている。しかし、IEAもOPECも本年下期の石油需要は堅調な見通しを崩していない。

しかも、サウジアラビアの追加自主減産日量100万バレルも始まっているもようである。需給ひっ迫による価格上昇もあり得る状況である。補助金縮減で、国内価格の原油価格との連動性も徐々に戻るであろう。燃料油補助金のソフトランディングを祈りたい。(H)

【ガス】パラダイムシフトへ 将来の戦略転換を

【業界スクランブル/ガス】

激変する現代において、変化の潮流を見据えて正しい意思決定を続けることは至難の技だ。過去、それに失敗し沈んでいった企業は数知れない。

かつて、米国通信業界に君臨していたAT&Tは、1980年代に世界初の携帯電話技術を開発した。しかし、当時の経営者は将来の携帯電話普及は限定的と過小想定したため、携帯電話用無線網よりも既存の固定電話用ケーブル網への巨大投資を選択。半面、携帯電話の普及は予測に反して破竹の伸びを示し、同社は没落していった。

世界最大のフィルムメーカーだったコダック社は、75年に世界で初めてデジカメを開発した。しかし、当時の経営者は「フィルム事業がもうかっているのに、なぜ利益を減らすデジタル化を進める必要があるのか」として、デジカメ技術を封印してしまった。それ以降もコダックは既存フィルム事業に固執し、結局2012年に破綻してしまった。

どんな会社も既存ビジネスが好調な時に、リスクのある未知のビジネスや技術開発へ積極的に投資することは躊躇してしまうものだ。しかし、時代の変化は確実に進み、一企業や業界がコントロールすることはできない。しかも、現在そのスピードは加速度的に早くなっている。そうした環境下で勝ち残っていくためには、常に危機感を持って変化の兆しを察知し、たとえ自分達が不利になることであっても受け入れ、まだ余裕がある段階で大胆な戦略転換を行うことが必須となる。

メタネーションの可能性を否定するつもりはないが、脱炭素化の潮流が進む中、都市ガス事業の存在が厳しくなることは確実だ。時代の潮流をしっかり見据えて、将来における自分達の「生業」を再定義し、「種」となる新規事業を考えていくタイミングは今しかないだろう。(G)

【新電力】競争環境の実現は 国民経済的に望ましいか

【業界スクランブル/新電力】

制度設計専門会合で旧一電の卸売りに関する評価結果が示された。結果から見ると、北海道と沖縄(条件付き)が内外無差別と評価され、他の会社は評価に差があるものの何らかの改善が求められている。当面常時バックアップ(BU)廃止には至らないことになろう。

資本主義社会においては、共産主義、社会主義が結果平等を理想とするのに対し、機会平等が実現して競争原理が働くことを理想と考えることが多い。経済においては、参加者の条件を公平にすることでそれを実現し、市場原理を働かせることである。

ただ、市場が独占的である場合には、市場原理は適切に働かない。独占者はプライスメーカーとして行動して超過利潤を獲得し、結果国民全体の経済厚生は損なわれる。

現在のエリアごとの電力小売市場では旧一電のシェアが高く、卸売市場は買い手独占に近い。そうした状況下では「公平に競争できる市場環境」を作ること自体に意味はなく、結果平等を実現するような方策が適当、ということになる。そうなると常時BUのような実質的にメニューでの相対取引(のみ)を実施するのが最適解となる。

市場原理を適切に機能する市場環境の実現には、「独占者のシェア低下・分散」しか手段はないが、今回はその点で「エリア需要に応じた購入制限」の撤廃に言及されている。

競争評価当初からの論点であるが、市場画定の問題である。広域エリアが一つの市場となれば旧一電各社のシェアは下がる。一方で、連系線や周波数変換所(FC)の制約で卸電力市場が分断することもある。とはいえ、膨大なコストをかけてFC、連系線を増強し、結果市場の広域化、競争環境が実現したとして、それは国民経済的に望ましい結果になるのか。(K)

燃料が買えなくて停電する国

【ワールドワイド/コラム】水上裕康 ヒロ・ミズカミ代表

パキスタンLNG(政府系企業)は、6月に約1年ぶりのLNGの購入を試みたが、計6隻の入札に応じた供給者はなかったと報じられた。海外の銀行が信用状(銀行による買い手の支払保証)発行を拒んだことで、売り手が敬遠したという。

昨年春以降、LNG価格は急騰し、市場価格が100万Btu(英国熱量単位)当たり30ドルを超えた夏ごろから、同国のほか、インド、バングラデシュなどの買いが消えていった。パキスタンでは、計画停電などを行いながら、慢性的な燃料不足の状況をしのいできたのだ。幸い、一時は80ドルを超えた価格が、6月初めには10ドル近辺まで下がったため、満を持して実施したのが今回の入札だった。

本件が突きつけるのは、お金がなければ電気がつかないという当たり前の現実だ。昨年の最高値である100万Btu当たり80ドルのLNGは、発電するとkW時当たり約80円、船1隻分で約350億円にもなる。外貨準備高が落ち込むパキスタンならずとも、相当の資金力と信用力がないと買えない代物だ。

化石燃料資源の供給に大きな増加が期待できないなか、市場は今後も景気や天候の状況により価格の乱高下が懸念される。日本では原子力の再稼働が遅れ、火力燃料の輸入量は高止まりが続く。次に燃料価格が高騰すれば、貿易収支はさらに悪化し、円安にも拍車が掛かる可能性がある。資源輸入型企業の信用力には間違いなくマイナスに働くものだ。燃料を購入する発電事業者の多くは、今回の燃料高騰で価格転嫁に苦しみ、財務状況を大幅に悪化させた。容量市場は始まるものの、限界費用玉だしのガイドライン化や、再エネの導入拡大の進展により、今後も電力市場で利益を上げるのは容易ではない。「燃料が買えなくて停電する日本」が妄想ならよいが。

【コラム/8月18日】電力分野における販売事業の成功要因

矢島正之/電力中央研究所名誉研究アドバイザー

電力市場における競争の激化、分散型電源の大量導入およびデジタル技術の急速な普及などで、内外の電気事業のビジネスモデルは大きく変化している。そのような変化は、電気事業の価値連鎖のすべての段階でみられるが、とくに、顧客に近い販売分野は、顧客と電気事業の接点であり、同分野のビジネスモデルの変化は、顧客に対しての電気事業の顔の変貌を意味している。販売事業の成功には、プロダクトのデジタル化が欠かせない。ドイツでは、電気事業の販売部門でデジタル技術に支えられた様々なプロダクトが開発されているが、業界団体BDEWの調査によれば、デジタルプロダクトの販売を成功させるために販売事業に求められるものは、つぎのようなものである。

(1)プロセス、インターフェイスおよびプロダクトのデジタル化

(2) 顧客(とくに、フレキシビリティの利用可能性)に関する詳細な知識

(3) 顧客のニーズを最適化し、操作が簡単で理解しやすいプロダクト開発のための能力

(4) プロダクトのコスト最適化(最大の利益を実現するためのコストの適正化)

(5) 市場の発展とその企業収益や顧客行動への影響に関する早期認識

(6) 収益、コストおよびチャンスやリスクの展開に関する理解

(7) 良好なデータ品質を確保するための優れたデータ処理

(8) IT企業や保険会社のような新しいパートナーとの戦略的な協調

以上の成功要因から明らかなことは、販売事業に従事する企業は、新たなコンピタンスの獲得に迫られているということである。顧客のニーズに最適化し、操作が簡単で理解しやすいプロダクトを開発・販売する能力を有する企業は、大きな成功を収めることができる。そのようなプロダクトは、多くの場合、顧客のニーズに応じて多様なサービスをバンドルしたものであり、例えば、コモディティとしてのエネルギー供給と併せて、フレキシビリティや分散型電源を制御するサービス、さらには、セキュリティサービスや快適な暮らしをもたらすサービスなどを提供するプロダクトである。

また、販売事業は、供給コストの変化が複雑化してくることを理解しなくてはならない。例えば、系統の容量制約と間欠性の再生可能エネルギー発電の相互関係から供給コストの複雑な変化が生じる。将来的には、販売事業は、包括的なソリューションの価格付けにおいて、比較的単純なコスト見積もりによる価格設定を行うことは不可能である。事前に確実に見積もることができない価格に影響する要素が多く出現するからである。また、価格計算式に影響を与える要素をすべて適切に表現することは不可能と思われる。このため、販売事業者は、コストの変化を通じて販売のリスクとチャンスが増大することを認識しておく必要がある。

販売事業は、顧客と電気事業の接点であり、将来、破壊的なイノベーションが創出されるのは、主として顧客に最も近い販売部門と考えられている。このため、販売事業は、早期に事業全体のデジタル化を進め、プロダクト開発や顧客グループ等に関する中長期のポジションニングを行い、コモディティ販売(純粋なエネルギー販売)を超えた新たな価値創造戦略を開発することが求められている。


【プロフィール】国際基督教大修士卒。電力中央研究所を経て、学習院大学経済学部特別客員教授、慶應義塾大学大学院特別招聘教授、東北電力経営アドバイザーなどを歴任。専門は公益事業論、電気事業経営論。著書に、「電力改革」「エネルギーセキュリティ」「電力政策再考」など。