Gas Oneグループのガスワンラオス社は9月、ラオスの首都ビエンチャンでLPガス充填所開所式を行った。同社はサイサンが2019年4月にラオスで設立したLPガス事業会社。今回完成した充填所は、ラオスでのさらなる事業拡大を目指して建設された。サイセタ特別経済開発工業団地に位置し、50tのLPガス貯槽1基、バルクローリー用充填施設、シリンダー充填棟で構成されている。サイサンは9カ国10拠点で海外事業を展開。国内外で、より豊かで便利な生活様式の一助となる事業を展開していく構えだ。
A 唐突という印象は受けていない。GX実行会議では経済産業省の官僚がきちんと根回しをして、首相に何を言わせるかを考えている。経産省は少しずつ原子力回帰の動きを進めている。国民の理解を得るために慎重に行っているが、発言はシナリオ通りだろう。
―電力業界の根回しもあったのでは。
A それはない。原子力が必要なことは官民共通の理解だ。第六次エネルギー基本計画を策定する時から、経産省は少なくとも「可能な限り低減」の文言を取り除きたかった。しかし閣内の政治家がブレーキを掛けて、「必要な量を持続的に活用する」と入れることしかできなかった。ところがウクライナ侵攻が起き、エネルギーの安定供給が危うくなり、電気料金も上がった。「この機を逃すな」と考えたはずだ。
B 首相発言の意味は大きいと思っている。原子力については誰かが何かを言っても、やはり首相が発言しなければ物事は進まない。中でも次世代革新炉の発言を受けて、マスコミが「新増設・リプレースに踏み出した」と報道し始めたことのインパクトは大きい。
A 原子力復活の第一ステップとして、次のエネルギー基本計画で「可能な限り低減」を取り除くために次世代革新炉について言及した。新増設・リプレースは次の第二ステップとして考えていたと思う。しかし、マスコミが反応したので一挙に進んだ感がある。
C 国会の答弁を見て分かるが、首相は役人の書いた文章を読んでいるだけだ。GX実行会議の発言は経産省出身の首相秘書官、嶋田隆さんが指図したものだと思う。電力供給の安定化、電力料金の引き下げは大切だが、嶋田さんは経営が厳しい東京電力を何とかしなければいけないと考えている。それにはまず柏崎刈羽の再稼働が必要になる。
C 2007年の中越沖地震で柏崎刈羽が全基停止した時、再稼働のために経産省と電力業界は半導体工場を地元に誘致した。おそらく、その時と同じような大掛かりな後押をするのだろう。東海2号機の周辺6自治体の事前了解は、やっかいな問題だと思う。実現させた東海村の村上達也村長の知恵袋になって、関係者と調整したのは文部科学省から出向した官僚の副村長だった。
―そんな役人がいたのか。
C 東海村から離れて霞が関に戻った後、それを自慢げに話していたそうだ。さすがに出世コースには乗らなかったようだが。
B 原発の高経年化については、原子力安全・保安院がIAEA(国際原子力機関)などとも連携して対策を進めて、1998年に基本的な考え方をとりまとめた。運転開始から30年を目途に機器などの技術評価をして、それ以降の保全計画を策定するものだ。03年からはそれが保安規定での要求になり、10年ごとに技術評価をすることになった。
A Bさんが言うように、技術評価を行って運転延長ができるか号機ごとに判断していくのが最も合理的だ。ただ、技術評価には準備、審査などに大変な手間と時間が掛かる。いま電力会社は再稼働に人や資金を取られている。電力会社によっては、とても技術評価をする余裕はない。すると40年の期限が来るまでに作業が間に合わないことを見越して、「廃炉にしよう」という判断が起きかねない。
―法改正で「40年」「60年」の規制を取り除いても、カウントストップは意味があるのだろうか。
A そう考える。カウントストップがあれば、40年までに技術評価をすると定まっても、その期限を先に延ばせる。そうすると電力会社が廃炉の選択を考える必要もなくなる。
C 要するに、いつまでに廃炉にすると期限を決めないで一定の期間ごとに技術評価を行って、運転継続が可能か決めればいい。Aさんが指摘したのは手続き上の問題だと思う。急な制度変更だったのだから、初めに技術評価をする時期を40年としても、混乱でそれが難しい電力会社があるのなら、規制側が柔軟に対応して40年を先に延ばせいい。