液石WGが7年ぶり再開 LPガス商慣行にメス

LPガスの料金透明化と取引適正化について検討する総合資源エネルギー調査会(経済産業相の諮問機関)の液化石油ガス流通ワーキンググループ(WG、座長=内山隆・青山学院大学教授)の会合が3月2日に開催され、7年ぶりに議論を再開した。

テーマは、事業者が賃貸集合住宅へのガス供給契約獲得のためにさまざまな製品を物件オーナーに無償提供し、その費用を入居者からガス料金として回収する商慣行の是正だ。今後3回程度会合を開き、現行の商慣行を見直すとともに制度改正を含む議論を行い、7月ごろまでに方向性を示す。

昨今、オーナーへのリベートは給湯器やコンロといったガス機器のみならず、エアコンやインターホンといったガスと直接関係のない商材にまで及ぶ。そもそも、設備はオーナーの所有という整理に基づけば、その費用をガス料金に転嫁すること自体、つじつまが合わない。永井岳彦・石油流通課長は、「顧客獲得コストの上昇が、消費者の不利益になっている可能性がある」と指摘。事業者に無用な混乱が生じないよう配慮しつつ、早期の是正を目指す構えだ。

【覆面ホンネ座談会】原子力規制に改善見えず 「山中委員会」に物申す!

テーマ:原子力規制委員会の評価

国の原子力規制委員会が原子炉等規制法の改正に踏み切り、原発運転期間の延長が実現する。電力会社には朗報だったが、業界が切望する安全審査の改善は進展がない。業界関係者が「山中委員会」を見る目は依然厳しい。

〈出席者〉 A学識者  B電力業界関係者  Cジャーナリスト

―山中伸介氏が委員長に就いて半年が経つ。まず評価から聞きたい。

A 原発の運転期間延長を巡り、石渡明委員が最後まで原子炉等規制法の改正に反対した。それで、最後は山中さんが多数決で決めた。批判の声もあったが、規制委がNRC(米国原子力規制委員会)のような組織に近づいたと評価している。ようやく合理的な規制を行う機関に代わるのではないか。その兆しを感じている。

B NRCのように多数決を採用し、意見の分かれる課題に白黒決着を付けた。これは規制行政での普通の取り組みとして、よいことだと思っている。ただ、山中委員長の手腕については、評価をするのは時期尚早だろう。どう規制行政をリードしていくのか、まだ見えていない。

 大阪大学時代の山中さんからは、優秀な学者だが、遠慮がちで発言が少なく、リーダーシップを取るタイプとの印象は受けなかった。それは規制委の委員長になっても変わらない。委員会も原子力規制庁の用意したシナリオに沿って進めているように見える。委員会での発言を聞いていると、規制庁事務局と打ち合わせて、その枠の中からはみ出さないように慎重に話しているようだ。

リーダーシップに期待はするが…… 法律専門家が規制委のグリップを

―すると、期待はしていない?

B いや、そんなことはない。更田豊志前委員長、田中俊一元委員長は、記者会見での厳しい質問に対して、その場の思いつきで想定を越える発言をして、規制庁も後処理に困ったことが度々あった。もうそんなことは起きないだろう。

 一方、今の安全審査はとても科学的、合理的なものとはいえない。それで電力会社はひどい目に会っている。業界としては当然、それらを正すために山中さんのリーダーシップに期待している。実際は、かなり難しいかもしれないが。

C 運転期間の延長、それに柏崎刈羽原発の追加検査など、実務的にテキパキと仕事をこなしている印象は受ける。ただ、Bさんと同じく、田中さん、更田さんのような強烈なカラーは感じない。規制庁にとっては担ぎやすい委員長だろう。

 ただ、山中さんはあえて自分のカラーを打ち出す必要はない。規制委も国の行政機関の一つだ。ところが今、規制委の中に法律を正しく解釈する委員がいない。法律に詳しい規制庁幹部が、委員や職員をある程度、グリップしないと田中さん、更田さんの時のような「暴走」が始まってしまう。

―規制庁長官の片山啓さんは経済産業省出身の事務官だ。

C 法律に詳しい片山さんたちは、規制委も国の行政機関の一つであることをわきまえている。彼らが規制行政を法律に則って進めるべきだ。同時に金子修一次長のような海外の規制に詳しい技官幹部が、規制庁の職員をきちんと監督しなければいけない。

 かつての規制庁の原子力規制部は、「更田チーム」「石渡チーム」と委員が親分になって、やりたい放題の審査をしていた。あたかも、参謀本部のコントロールが効かなくなった「関東軍」のようだった。それが再稼働の審査が延々と続いた最大の理由だ。

A 行政手続き法では、原発の再稼動はおおむね2年間で審査することになっている。2年間で審査を終える体制にしなければ、行政組織として失格ということだ。ところが、延々と10年近く審査を続けているサイトがたくさんある。

原発の役割が重要性を増す中、原子力規制委員会への期待は高まるが……
提供:朝日新聞社/時事通信フォト

「活断層論争」に終止符 志賀原発再稼働に一歩前進

2014年の審査申請から約9年―。北陸電力志賀原発2号機を巡る「活断層論争」にようやく終止符が打たれた。3月3日、原子力規制委員会が敷地内の断層の活動性を否定する北陸電力の説明について「おおむね妥当」、つまり「活断層ではない」との判断を示したのだ。

志賀原発の「活断層論争」に終止符が打たれた

東日本大震災後、旧原子力安全・保安院は原発敷地内の断層の再評価を行った。論争はその評価会合に参加した専門家が、スケッチ図を見て「活断層に見える」と発言したことに端を発する。規制委が14年に設置した有識者会合も、科学的根拠なしに活断層だと疑い続けた。ないことを明らかにする〝悪魔の証明〟を求められた北陸電は、断層の評価方法に鉱物脈法を採用するなど努力を重ね、審査通過への望みをつなげたのだ。

だが、再稼働への道のりは長い。北陸電は昨年11月、規制料金の値上げを申請。この際、原価算定上で志賀2号機の稼働時期を26年1月として織り込んだが、今後の審査を考えると同時期に再稼働するかは不透明。再稼働による抑制効果は年平均で約120億円、規制料金の値上げ率を約2%抑えられるが、停止のままなら負担増になりかねない。北陸電の判断の是否はいかに。

【イニシャルニュース 】再エネ規制シンポ中止 裏に自民有力議員の影

再エネ規制シンポ中止 裏に自民有力議員の影

再エネの乱開発防止を訴える全国規模の住民団体、「全国再エネ問題連絡会」が3月15日に東京都内で予定していたシンポジウムが、土壇場で中止に追い込まれた。

このシンポジウムは「今、再エネ問題解決に必要な法改正は何か」をテーマに、経済産業省、農林水産省、国土交通省、環境省のほか、国会議員や地方議員、有識者らが参加。悪質事業者などによる乱開発に歯止めをかけるため、①再エネ固定価格買い取り制度(FIT)の改正、②都道府県知事の林地開発許可に関わる森林法の改正、③環境アセス法や地球温暖化対策法における罰則の強化―などを巡り幅広い議論を行う予定だった。しかし7日になり突如中止が決まったのだ。

同連絡会の共同代表を務める山口雅之氏は、「開催場所である衆議院第二議員会館の会議室が急きょ使えなくなったため」「政治の世界がいかに魑魅魍魎であるか体感させていただいた。心からお詫び申し上げます」「ようやく自分の限界を知るにいたりました」などとコメント。政治家による何らかの圧力が中止の背景にあることを言外ににおわせた。

再エネ事情に詳しい永田町筋によれば、自民党有力議員のF氏やK氏が水面下で動いた可能性があるという。「エネルギーの地産地消を推進する両氏は、再エネ普及拡大議連を主導する河野太郎グループや野党の再エネ勢力とせめぎ合っている。そんな中で、再エネ開発に待ったを掲げる再エネ連絡会の動きが目障りになったのかもしれない」

再エネ問題に揺れる自民党

いずれにしても、再エネ適正化政策がこれから本番を迎えようという矢先のシンポ中止劇。果たして、舞台裏で一体何があったのか、大いに気になるところだ。

保守分裂の青森知事選 混迷でも電力動けず

6月に投開票が行われる青森県知事選挙の行方が、原子力の先行きに影を落としそうだ。関西電力による使用済み核燃料の中間貯蔵施設の利用の問題があるためだ。青森市長の小野寺晃彦氏と、むつ市長を辞職した宮下宗一郎氏が出馬の意向だ。二人は共に自民党に推薦を求めていた。が、いったん小野寺氏でまとまりかけたものの、一本化できずに3月に自主投票を決めた。

小野寺氏は現職の三村申吾氏が強く支持する一方、宮下氏はネット配信などのパフォーマンスで知られる。混迷の様相を呈す中、下馬評では宮下氏がやや有利と伝わる。

東電と日本原電は中間貯蔵施設をむつ市で運営しているが、関電はそこに参加したい意向だ。関電は福井県と、県内の使用済み核燃料の処理方法を今年末までに決めると約束しており、その期限が迫る。

むつ市長時代の宮下氏は「なぜ関電が核のゴミを持ってくるのか」と批判を続けた。関電は三村知事、自民党E代議士らと共に受け入れの調整を続けていた。ところが宮下氏はこの二人と折り合いが悪い。宮下氏の行動には、関電の政治判断のミスと、その遺恨が背景にあると憶測された。

青森には原子力施設が集中する。電力会社は事業への政治的な介入を恐れ、どの選挙にも中立の立場だが、こと保守分裂の青森知事選では「一層、配慮せざるを得ない」(関係筋)。日本原燃にはS副社長、地元対応のO執行役員など関電出向組がいるが、何もできない状況だ。

ただし「宮下氏の批判は、三村さんに肩入れするなとの政治家としてのパフォーマンス。聡明な人なので利益が見えれば態度を変える」(同)との期待もある。しかし宮下氏の考えも選挙の先行きも不透明。電力・原子力関係者は、知事選の行方を、固唾を飲んで見守っている。

LPガス業界に衝撃 貸付配管で制度改正へ

資源エネルギー庁がついにLPガス業界長年の課題である「貸付配管問題」解決に向け、制度改正に着手した。エネ庁石油流通課は昨年末、業界の会合で改正について説明。そして3月2日に同庁が開いたワーキンググループで正式に論点を示した。屋内配管やガス機器などの費用は基本料金や従量料金と分離する、といった方向に見直す考え。

ただ、業界からは根強い反発の声が挙がる。エネ庁は昨年末から議論をスタートさせたかったところ、業界団体がWGのメンバーを選ぶのに時間がかかり、結局数カ月を要した。見直しを前向きに受け止めたのはT社などごくわずか。別のT社や、N社などの幹部は後ろ向きの発言をしており、こちらが多数派だ。

「エネ庁は取引の最適化と透明化を徹底させたいのだろうが、数十年前から議論が起きながら今日まで実施できなかった。不動産業者がこの商習慣を利用する面があるし、消費者団体も見直しを強く求めてこなかった」(業界関係者)

エネ庁は5月末までに3回ほどWGを開き決着させたい意向だが、どう落としどころを探るのか。

長年の商慣行に行政のメス

二つの再エネ議連 自民内でせめぎ合い?

いま自民党には、再生可能エネルギー事業を巡り二つの議連が存在している。

一つは、柴山昌彦元文部科学相が会長を務める「再生可能エネルギー普及拡大議連」(S議連)。小泉進次郎前環境相が会長代理、河野太郎内閣府特命担当相が顧問という顔ぶれで、「自民党内の脱原発派が揃う筋金入りの反大手電力議連」(エネルギー業界幹部)だ。

もう一つは、森山裕選挙対策委員長が会長を務める「国産再エネに関する次世代型技術の社会実装加速化議員連盟」(M議連)。こちらは岸田文雄首相、麻生太郎副総裁といった大物が発起人に名を連ね、2月に発足したばかりだ。再エネに加えて、原発も脱炭素電源として容認する方針を掲げており、柴山議連とはスタンスが大きく異なる。

「われわれはあんな恥ずかしい真似はしない」。そう言い切るのはM議連のH議員だ。S議連が昨年6月に洋上風力入札制度の見直しを求める要望書を経産省に出したことなどを受け、価格優先のルールがひっくり返されたことを批判する。議連事務局長の秋本真利議員を巡っては、同入札で落選した風力事業者から多額の政治献金を受けていた疑惑が取りざたされている。

M議連は、ペロブスカイト太陽電池や浮体式洋上風力発電など次世代再エネを巡る技術育成や導入支援策を検討。5月ごろにも提言をまとめた上で、政府が6月に策定する経済財政運営と改革の基本方針に盛り込む構えだ。

一方の柴山会長は、3月の海外事業者ヒアリングの場で「入札ルールの変更で『後出しじゃんけんだ』と事実と異なる声も聞かれたが、今回のヒアリングでも日本の洋上風力市場は依然魅力的だと言われている」と述べ、党内の動きや報道にくぎを刺した。またS議連は、大手電力による顧客情報の不正閲覧問題の追及にも力を入れている。

「自民党には、一部事業者への利益誘導的な再エネ政策ではなく、国益をベースにバランスの取れた再エネ政策の検討を望みたい。原子力を含めた『S+3E』の原則さえ間違えなければ、両議連とも応援したいところだ」   

大手ガス会社幹部の期待に、議連関係者はどう応えるか。

東電EP社長に長崎氏 小早川氏の次は誰?

東京電力エナジーパートナー(EP)の次期社長に、長崎桃子・東電ホールディングス(HD)常務執行役が決まった。4月1日付で就任する。長崎氏は慶大法学部卒業後、1992年に東電入社。2017~19年に東電EP子会社、テプコカスタマーサービス(TCS)の社長としてエリア外の法人営業展開に力を入れた。これが引き金となって西日本地域での安売り競争が激化し、中部、関西、中国、九州の大手電力4社による価格カルテルを誘発したのは、知る人ぞ知る話だ。

「TCSは昨今の収益悪化からEPの取次会社に格下げと一部で報じられた。そのEPはHDから計5000億円もの増資を受け、経営危機からの脱却を狙う。長崎氏の経営手腕に注目だ」 いずれにしても、業界の次なる関心事は、東電HDの社長人事だ。現社長の小早川智明氏は17年就任から丸6年を迎えるが、まだ59歳と若いこともあって今のところ交代の話は出ていない。「A氏か、Y氏か、T氏か。次の候補選びは難航しそうだ」(大手電力関係者)

JERAが共同CEO体制 「相互補完」で難局乗り切る

JERAの佐野敏弘会長、小野田聡社長が退任し、4月1日付で、可児行夫取締役副社長執行役員が代表取締役会長・グローバルCEO(最高経営責任者)に、奥田久栄副社長執行役員が代表取締役社長・CEO兼COO(最高執行責任者)に就任する。

会見に臨む可児新会長(左)、奥田新社長

異例の共同CEO体制を敷く背景には、同社の主導権を巡る親会社である東京電力ホールディングスと中部電力との微妙な駆け引きが透けて見える。だが、両CEOの関係は至って良好であり、統合交渉から10年間タッグを組み、同社の中枢を担ってきたことで築いてきた信頼関係は、事業環境を取り巻く環境が激変する中で着実に成長を遂げるための原動力となりそうだ。

東電出身の可児氏は、資源確保やエネルギー事業開発といった豊富な海外経験を有することが強み。一方の中電出身の奥田氏は、経営企画の経験をベースに他社とのアライアンスなど従来の電力会社の企画部門の枠を超えた多彩な経験を持つ。世界的な脱炭素への対応と、国内の燃料調達と電力価格の安定化という課題に直面する中、異なる強みを「相互補完」し難局をどう乗り越えるのか。新経営陣の手腕がいよいよ問われることになる。

EVでエネルギーシェアリングを実現 コミュニティーで再エネを有効活用

【中部電力】

中部電力ミライズは、カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)と連携し、長野県の軽井沢町で「でんきで絆をはぐくむ」街づくりに取り組む。

具体的には、3月1日にオープンしたコミュニティー施設「Karuizawa Commong—rounds(軽井沢コモングラウンズ)」内の書店やカフェなどの店舗、近隣の居住エリアに太陽光発電を導入する。書店南側の駐車スペースには、充放電機能を備えたEVを設置。再生可能エネルギーやEVを近隣の居住エリアを含むコミュニティー内で共同利用する。再エネの有効活用や防災拠点としてのコミュニティーの実現に取り組む。

軽井沢町は、持続可能な社会の構築に向けた協働や、環境の保全・創造を推進する「軽井沢町環境基本条例」を制定している。中部電力ミライズとCCCは、エネルギーの地産地消と最適化を目指した社会連携型サービスを通じた街づくりにより、地域のSDGsの目標達成とカーボンニュートラル社会の実現に貢献する。また、軽井沢コモングラウンズを中心とした、地域住民との連携による再エネの地産地消の取り組みを「でんきで絆をはぐくむ」街づくりの先進的な事例として、他の地域へ展開していく。

再エネの地産地消・有効活用を目指す

3社共同でエネマネ 再エネの地産地消を促進

このEVは、コミュニティーの利用者を対象としたカーシェアの車両としてはもちろん、蓄電池としても活用される。カーシェアの利便性を損なわず、蓄電池としての効果を最大化するため、エネルギーマネジメントシステム(EMS)を試験的に導入している。

EMSの試験導入は、中部電力と中部電力ミライズ、デンソーの3社共同で実施される。

中部電力が提供するEMSは、電力需要や太陽光発電の予測、デマンド制御を行う。デンソーが提供するEVのEMSは、EVの充電率や充電状態を表す指標であるSOC(State Of Charge)の予測を行う。中部電力ミライズは、カーシェアの予約管理システムを提供する。これらの三つのシステムを連携させ、EVの最適な充放電や、書店やカフェなど店舗の空調管理を行い、環境性の向上を実現していく。

3社は、普及拡大が見込まれるEVを用いて再エネのさらなる拡大を目指すとともに、軽井沢コモングラウンズでの運用結果から、新たな価値を提案しカーボンニュートラル社会の実現に貢献する。

省エネ2法で矛盾する「原単位」 25年まで棚上げで脱炭素の障害に

【識者の視点】西村 陽/大阪大学招聘教授

省エネ法と建築物省エネ法がそろって改正され、脱炭素への行動を一層後押しすることが期待される。

ただ、建築物省エネ法はエネルギー原単位の変更を先送りした。その問題点を西村陽・大阪大学招聘教授が指摘する。

2023年冬の日本各地での厳しい寒さと電気代の予想外の高騰は、日本の建物の暖房に関する弱点、つまり「暖めるためには相当のコストがかかってしまう」ことを明らかにした。要は、断熱の不足と自家用太陽光発電導入の頭打ちへの対策不足である。また、産業・業務用についても多くのユーザーがエネマネ用の太陽光導入の遅れを後悔している。

その点、22年に行われた省エネ法改正は、国民一般と産業界に再エネ活用の意義を浸透させるために大きな力となるものだ。もともと省エネ法(経済産業省資源エネルギー庁所管)と建築物省エネ法(国土交通省住宅局所管)という二つの法律が対になり、国民の建物をエネルギー危機に対して強くする意義を持つが、これが石油危機以降の燃料消費中心の規制ルール(いわゆるキロリットル主義)から脱炭素に寄り添う形でリフォームされたのは意義深い。何しろ法律の名前自体に「非化石エネルギーの活用」という概念が加わって変わったのである。

画期的な「全電源」採用  省エネ法は大胆な改正

これによって「再エネが系統電力のエネルギー原単位として反映されていないことから、再エネ電源により低炭素化が進んだ電気の使用が進まず脱炭素を妨害しているのではないか」との批判に耐えられるようになり、むしろ大胆な改正によって再エネ導入を後ろ押しし、かつ系統電力から再エネを引き込む「上げDR(デマンドレスポンス)」も呼び込める法律へと画期的に変わったと評価できる。

既に、資源エネルギー庁分散型電力システム検討会で需給に貢献する「下げDR・上げDR」の省エネ法上の評価を具体設計し始めており、下げDRをベースラインも設定した報告義務、再エネ取り込みを含む上げDRはまずは自主的な報告対象となった。

それとともに、省エネ法運用上の長年の焦点だったいわゆる神学論争(建物新設時の選択によってエネルギー効率はどう変わるか、についての結論の出ない論争)も、電気利用の中の再エネウエートが常態的に上がり、火力発電の閉鎖が中長期にわたって続くことを反映して火力平均の原単位から全電源原単位に改定された。

火力平均の数値自体も低効率の石炭・石油の閉鎖や高効率機シフトが反映されていない状態が解消され、需要サイドの脱炭素化に貢献する電気利用の高い効率機器の評価がようやく正常化された改定であった。

このことは、機器選択の脱炭素貢献に直結する。需要サイドの電気利用機器は、再エネ大量導入時代に不可欠な需要サイドフレキシビリティーの拡充に貢献できる唯一のエネルギー利用機器という面があり、その導入遅れはロックイン効果(一度建物に入った機器は炭素税などの環境変化の影響を受けず、長い期間変更されないこと)を生む。省エネ法改正は、それに歯止めをかけたといえる。

このように前向きな改正がプレーヤーの動きに反映されつつある省エネ法に対して、対となる法律である建築物省エネ法も合わせて改正された。一番大きな変更点は断熱基準をはじめとする省エネ対策の強化であり、21年の内閣府タスクフォースでの激しいやり取りから改正に至ったのは記憶に新しいところだ。

全ての建築物について省エネ基準への適合義務を課す、というこの内容は、建物の3割を占める木造建築物の省エネ性能向上に大きく貢献することが期待される。冒頭で述べた「断熱は最大の暖房機器であり、エネルギーと戦う武器だ」と言われるゆえんである。

ところがその一方で、建築物省エネ法上での一次エネルギー換算係数については、省エネ法との整合を基本とするはずのこの法律で、全電源平均への改定が25年まで棚上げされた、というより永遠に放置の恐れさえある。

内部事情を察するに、①関連業界の協力が不可欠な省エネ基準適合義務化の円滑な導入を最優先するため、②また、エネルギー機器まで巻き込んで業界構造が変わりかねない原単位問題まで関わってはいられないという当局の事情、③さらには脱炭素への協調で大胆すぎる経産省だけに付き合っていられないという気持ち―も分からなくもない。

しかし、この改定の遅れ、しかも25年までの棚上げはそれまで建築物省エネ法が脱炭素貢献のある機器・システム転換を妨害し、ロックイン効果を助けていくと言っているのに等しい。これでは省エネ法と対にはなっていない。25年という固定化によって、技術や情勢変化に対して硬直的であることもさらなるイノベーションを阻害するかもしれない。

換算係数で省エネ法と整合が取れていない

脱炭素実現の基礎付けに  改正効果を確実に浸透

目下のエネルギー危機は、日本中の一つひとつの家屋、企業の建物に「エネルギーコストにどう向き合い、どう投資してどう戦うか」

を考えさせる機会となっている。節約もDRも方法の一つだが、断熱や太陽光・蓄電池によるプロシューマ化の方がはるかに大きな投資効果を持つ。どのエネルギーを扱う企業もこの現実からは逃れられない。もはやエネルギービジネスは量を売るビジネスではなく、エネルギー支出削減ノウハウを売るビジネスに変貌しつつあるのは欧州の変化から見て明らかだ。全てのエネルギー販売企業は省エネ化、脱炭素に向けた国民の前向きなアクションを助ける産業でなければならず、対立している暇はない。もちろん建築業界も同様だ。

省エネ法と建築物省エネ法は国民のアクションを引き出すために不可欠なルールインフラを提供するものであり、その改正は確実に浸透させて、いわば日本の脱炭素化の基礎付け(ミクロ・ファウンデーション)を形作らなければならない。その「国民のために」という基礎に立って、業界調整をはじめ多くのハードルを乗り越えてこそ、脱炭素に貢献するエネルギー機器・建築産業、政策当局であり続けることができるのではないだろうか。

にしむら・きよし 1984年関西電力入社。99年学習院大学経済学部特別客員教授などを経て2013年から現職。資源エネルギー庁分散型電力システム検討会委員、ERAB検討会委員、早稲田大学先進グリッド研究所招聘研究員。

ペトロナスが初の説明会 日本側の不信感払拭なるか

昨年9月のサバ・サラワク・ガスパイプライン損傷事故を受け、供給義務を免れる「不可抗力条項」(フォースマジュール)を宣言したマレーシア国営石油会社のペトロナスが3月17日、初のメディア説明会を都内で開催した。

この中で、日本駐在事務所代表のエズハー・ヤジド・ジャーファー氏は、「わが社の昨年の対日LNG輸出量は約1200万tで、日本市場での利益の90%以上がLNGによるものだ」「日本との密接な関係は続いており、1~3月のLNG納品は間違いなくさせていただいた」などと説明。副社長のシャムサイリ・モハマド・イブラヒム氏もオンラインで参加し、「日本の脱炭素に向けた道のりを後押しできると信じている」と、日本企業との関係強化に向けた期待を表明した。

日本のメディア向けに説明するエズハー氏

それにしても、いまこの時期になぜ日本向けの説明会を開催したのか。同社の狙いについて、LNG事情に詳しいエネルギー関係者は「わが国の買い主企業の間で広まっているペトロナス社への不信感を払拭することが、最大の目的ではないか」と話す。

というのも関係筋によれば、前出の不可抗力宣言がマレーシア2(デュア)事業を対象にしたことで、そこから調達する日本のエネルギー事業者、とりわけ調達比率の高い中堅ガスは、割高なスポット購入などの代替策を検討せざるを得ない状況に追い込まれた。結果として供給量に影響はなかったわけだが、某中堅ガス幹部は日本市場を軽視するような売り主側の対応に怒り心頭だったという。

同国のLNG事業を育てた日本企業への感謝に終始した今回の説明会。ただ、失った信頼を取り戻すには時間がかかりそうだ。

柏崎刈羽再稼働の仰天シナリオ 出直し知事選で「現・前」激突!?

今夏以降の再稼働を目指す柏崎刈羽原発。花角英世新潟県知事は県民の意思をどのように確認するのか。

関係者の間で囁かれる「出直し知事選」の可能性―受けて立つのは買春疑惑で辞職した〝あの男〟だ。

東京電力柏崎刈羽原発は再稼働できるのか―。

政府は今夏以降に柏崎刈羽6、7号機を含む7基の原発再稼働を目指し、「国が前面に立ってあらゆる対応をとる」との方針を示している。東京電力も2022~23年度に再稼働する前提で経営再建計画を立て、1月の家庭向け規制料金の値上げ申請時も10月の7号機再稼働を織り込んだ。

だが、現実は甘くない。再稼働には、①原子力規制委員会による核燃料の移動禁止措置解除、②広域避難計画の策定、③新潟県独自の「三つの検証委員会」の検証結果が出た後、県での議論、④花角英世知事が判断を下し、県民の意思確認―という四つのハードルを乗り越える必要がある。

「東電以外の関与を」 花角知事のマジメさ

柏崎刈羽原発では21年1月、他人のIDカードを使って中央制御室に不正入室していたことが発覚。同年3月から、規制委による事実上の運転停止命令(核燃料の移動禁止措置)を受け、東電は改善措置計画を実施中だ。5月に規制委の検査報告書がまとまるが、山中伸介委員長は3月8日の記者会見で「1、2カ月で課題解決は難しいと思う」と発言。早期の命令解除の可能性は極めて低い。

こうした不祥事を受け、新潟県では東電への不信感が根強く渦巻いている。それを物語るのが、自民党県連・桜井甚一幹事長の発言だ。桜井氏は2月25日に開かれた自民党全国幹事長会議の席上、「再稼働には東北電力など東電以外の事業主体の関与が必要」との見方を示した。4月9日投開票の新潟県議選を控え、再稼働への慎重姿勢を示すことで争点化を避け、積極姿勢を前面に出す政府と同一視されることを防ぐ狙いが透ける。

しかし、立地する地元の声は異なる。桜井雅浩柏崎市長は3月8日の市議会一般質問で、「県全体の自民党の考えだとは承知していない」との認識を示し、「柏崎市内においても、全国においても原発再稼働を求める声の方が大きい」「(7号機の再稼働について)今年の雪が降る前に何らかの動きがあることを願っている」と期待を語った。

広域避難計画は自治体が策定し、首相が議長を務める原子力防災会議で了承を得る必要がある。ところが、1月の豪雪での立ち往生が記憶に新しい柏崎刈羽地域は、大雪時の対応が課題で避難計画ができていない。三つの検証委員会の一つである避難委員会からは、456点に及ぶ課題や論点が指摘されている。

三つの検証委員会は膠着状態が続いている。花角氏と池内了委員長との間で検証結果をまとめる「検証総括委員会」開催の合意ができず、21年1月以来開かれていないのだ。池内委員長は3月31日に任期を迎えるが、本稿執筆時点(3月17日)では続投するか不明となっている。

そもそも三つの検証委員会は2017年、米山隆一前知事が創設した。再稼働について何か権限を与えられているわけではなく〝無視〟することも可能だが、花角氏は「三つの検証委員会の結果が出た後で議論を始める」という姿勢を崩していない。できる限り池内委員長との折衝を続ける構えだ。

では、検証結果が取りまとめられ、県で議論した後、花角氏が再稼働「容認」の方針を打ち出したとしよう。ここで注目されるのが、県民の意思確認を巡るプロセスだ。次の三つの選択肢が考えられる。

①出直し知事選、②県民投票、③県議会での意見集約―。

このうち、可能性が低いのが②、最も現実的な選択肢が③とされる。③については、柏崎市・刈羽村が再稼働を求める請願を県議会に提出するなど、さまざまな形式が考えられる。議会に諮る際、花角氏が「採択されなければ職を辞す」と表明すれば、それなりの格好は付く。しかし、花角氏が政治的に容易な選択肢を選ぶとも限らないのだ。

というのも、花角氏は「マジメな人」「県知事職に執着していない」との評を多方面から聞くからだ。初当選時の県知事選で、再稼働について「県民の信を問う」と約束した以上、周囲が③を提案しても①を押し通すのではないか、との声が少なくない。

米山氏は新潟県知事の座にこだわっている
提供:時事

米山前知事の執念 ワンイシューの知事選

そんな中、花角氏と対照的に県知事職に対して執念を燃やす男がいる―。再稼働に慎重だった米山前知事だ。18年4月に買春疑惑で辞任した後、20年にタレントの室井佑月さんと結婚。同年の衆院選で新潟5区から無所属で当選し、現在は立憲民主党所属で活動している。

知事職について、米山氏は「新潟を立て直すために、やりかけたがほっぽり出してしまった仕事。戻る機会があったら戻るのが筋」と熱っぽく語る。この思いは出直し知事選に限らず、任期満了の県知事選でも変わらないという。

〝花角vs米山〟の「現・前」一騎打ち―。「福島を忘れたのか」「東電は信じられない」などと扇動的な言葉が飛び交うだけでなく、室井さんが「夫にもう一度チャンスを」と涙節を披露すれば、一気に「米山優勢」になるかもしれない。

いずれにせよ、新潟県は遠くないうちに再稼働を巡る嵐に巻き込まれる。ここで求められるのが国の役割だ。政府は「国が前面に立って」という方針を示した以上、「県民の理解を得られる努力を徹底してやらなければならない」(小林一大参議院議員)。

また新潟県は東北電力の管内でありながら、柏崎刈羽原発でつくられた電気は首都圏を中心とした東電管内に送られる。原発の話題になると新潟県でよく聞かれるのが、「原発を動かしても、自分たちの電気代が下がるわけじゃない」というフレーズだ。

小林議員が指摘するように、国は再稼働が国民全体にもたらすメリットを訴えなければならない。そうでなければ、再稼働「ワンイシュー」の知事選が行われた場合、「米山勝利」で柏崎刈羽が動き出すのは、遠い先のことになりかねないのだ。

池辺会長が4年目続投 電事連は「まさに重要局面」

「引き続き、私が会長職を引き受けるということで各社社長間で合意に至った。重要な役割を担うことになると承知しているが、(電気事業連合会会長として)この3年間の経験も生かし、業界のため、ひいては安定供給を通して電気を利用する皆さまの役に立てるよう尽力していく」

電事連の池辺和弘会長(九州電力社長)は3月17日の定例会見で、在任4年目に向けた続投を表明した。2000年以降では、東日本大震災・福島原発事故後の11年から5年超にわたり会長を務めた八木誠・関西電力社長(当時)に次ぐ在任期間となる。

今回の会長人事を巡っては、森望・関西電力社長、林欣吾・中部電力社長の有力候補2人が、価格カルテルや顧客情報不正閲覧などで脱落。当初、池辺氏は社内事情などを理由に難色を示していたが、第三候補である樋口康二郎・東北電力社長が固辞したことから、最終的には自らの続投しかないと腹をくくり会見当日に「覚悟を決めた」(池辺氏)ようだ。

「GX基本方針という日本のエネルギー供給の大方針が示され、電力業界がエネルギーの安定供給、原子力再稼働に具体的な行動を伴って取り組む必要がある一方、不正閲覧問題など自らの行動を律し、改革していくことも並行して取り組んでいかなければならないという、業界としてまさに重要局面を迎えている」

原子力の安全対策強化を改めて強調した池辺会長(3月17日)

池辺氏の会見あいさつからは、歴史的な岐路に立たされている電力業界再生への決意がにじむ。不祥事対策はもとより、GX対応、電力安定供給、原発再稼働・安全対策、使用済み燃料対応など重要課題が山積する電事連。存続を賭けた新年度が幕を開ける。

沖縄ならではのエネルギーサービス グループ総力戦でCN実現に挑む

【沖縄電力】

沖縄電力はカーボンニュートラル実現に向け、環境に配慮したエネルギーサービスに取り組む。

リライアンスエナジー沖縄とエネルギーのベストミックスを提案して地域の脱炭素を支援する。

政府が掲げる2030年GHG(温室効果ガス)46%削減の目標値は、原子力発電を持たずゼロエミッション電源が限られる沖縄で換算すると、28%の削減率に相当する。沖縄電力ではその数値からさらに踏み込み、30%の削減を目標に据える。

沖電のカーボンニュートラル(CN)への取り組みは、①再エネ主力化、②火力電源のCO2排出削減―が柱だ。

①では、台風や塩害といった厳しい自然環境下で、メガソーラーの実証研究を実施してきたほか、再エネを主力とした来間島での地域マイクログリッド実証事業などに取り組んでいる。21年に開始した太陽光パネルと蓄電池を無償設置するPV―TPO事業「かりーるーふ」も好評で、順調に契約数を伸ばしている。

②では、クリーン燃料の利用拡大や非効率火力のフェードアウトに取り組む。バイオマス活用も進めており、県内の建築廃材を加工して具志川・金武火力で混焼。水素やアンモニアなどのクリーン燃料の活用に向けた検討にも力を入れ、50年のCNを目指している。

そのほか、吉の浦火力発電所を基点としたLNGの普及拡大を推進している。都市ガス導管網が整備されている那覇市近郊には、吉の浦発電所から県内の都市ガス事業者への卸供給などを通して供給する。導管が整備されていない地域にはタンクローリーでLNGを輸送し、サテライト設備を介して供給するほか、工業団地など複数の需要家には天然ガス供給センターを介した供給を行う。

15年の天然ガス供給開始時には年間で約1.3万tだった販売量も22年には約3万tを超え、利用の拡大が進んでいる。23年度内には、吉の浦発電所から本島中央部を通り本店近傍につながる、全長約14‌km‌のガス導管が完成する予定で、天然ガスのさらなる普及拡大を図っていく考えだ。

ESP事業の推進 需要家ファーストの提案

電気とガスの両方を供給できる強みを生かし、グループが一体となってエネルギーサービスを展開している。

エネルギーコストの低減や省エネ機器の導入といったニーズをヒアリングし、エネルギー診断を行う。新たなエネルギーシステムを検討して、電気とガスの最適な組み合わせを提案。初期投資額などを試算し、補助金申請もサポートする。システムの設計から施工、導入後の効果検証や改善提案までを沖電がワンストップ窓口となり、グループ各社が特性を生かしてフォローする体制だ。

沖電グループの総合エネルギーサービス

さらにサービスの一環として、エネルギーサービスプロバイダー(ESP)事業も開始した。

このESP事業を担うのは沖電グループのリライアンスエナジー沖縄(REO)だ。REOは17年に、沖縄電力と東京都市サービスの合弁で設立。翌18年には大阪ガスも加わって、電気と熱供給にガスのノウハウも活用できるようになった。商業施設や病院など8施設で採用されている。

REOの仲地毅技術営業部長は、「電力・ガス・熱供給事業者による事業体は全国でも珍しい。一つのエネルギーに偏らず、需要家ファーストで最適なエネルギーを提案できる。これが沖縄らしさ“沖縄Way”で、諸外国の文化を取り入れ独自文化を作り上げた沖縄の姿と重なる。エネルギー事業者の連携が、提案の大きな強みになっている」と胸を張る。

牧港エネセンター建設 省エネ大賞も受賞

22年4月、REOがESP事業者となり、沖電の本店敷地内に「牧港エリアエネルギーセンター」が完成。県内初となるエネルギーの面的供給が始まった。沖電新本館と、隣接するオフィスとホテルの複合型タワービル「ゆがふBizタワー浦添港川」などに電力と空調冷熱を供給している。

沖縄では年間を通して冷房を使用するため、インバーターターボ冷凍機、空冷ヒートポンプ、ジェネリンクを最適に組み合わせて冷熱をつくる。ジェネリンクはBCP(事業継続計画)としてガスだきにも対応している。ガスコージェネレーションシステムや、非常用発電機なども備える。

県内初となる「牧港エリアエネルギーセンター」

REOは今年、浦添市にある沖縄最大級の大型商業施設「サンエー浦添西海岸パルコシティ」でのESP事業において、22年度省エネ大賞の最高賞「経済産業大臣賞」を受賞。県内初の快挙となった。ヒアリングを担当した営業グループの町田智彦マネージャーは、「来店するお客さまの快適性を損なうことなく省エネを実践していかなければならないため、非常にハードルが高かった」と振り返る。

快適性を優先させながら、沖縄の気候や豊かな自然エネルギーを活用し、エネルギーのベストミックスで設備を導入して、一般的な商業施設よりも40%の省エネ、43%の省CO2を達成した。

今後沖縄では、基地の返還跡地を利用した大規模都市開発や、観光客の増加に伴うホテル建設、大型小売店舗の建設などが見込まれる。エネルギー需要の増加で、エネルギーサービスへのニーズも高まる。

沖電はこれからもグループ各社の強みを生かし、総合エネルギー事業者として「地域とともに、地域のために」のスローガンの下、地域一帯のCN実現に向け果敢に挑戦していく。

「サンエー浦添西海岸パルコシティ」で省エネ大賞を受賞

電力市場の健全な競争を阻害 値上げに不当介入する政治の罪

4月から順次、実施されるはずだった大手電力会社の規制料金値上げが先送りされた。

足下の燃料費や為替水準を反映するとの名目だが、政権の都合と見る向きは多い。

世界的な物価高騰に伴い、食品やサービスなどあらゆる分野で値上げが相次いでいる。生活への痛手は大きいが、多くの消費者は「仕方がない」と受け入れざるを得ないのが実情だ。ところが、電気料金に限ってはすんなりと通りそうにない。

昨年末、大手電力7社(北海道、東北、東京、北陸、中国、四国、沖縄)が、4~6月の低圧・規制料金の値上げ改定を目指し経済産業省に申請。査定を経て、先行5社が4月1日にも値上げを実施する予定だった。ところが、2月24日の第7回物価・賃金・生活総合対策本部の会合において、岸田文雄首相が西村康稔経産相に対し、日程ありきではなく、直近の為替や燃料価格の水準も勘案するなど、厳格かつ丁寧な申請を行うよう指示したことを受け、先送りを余儀なくされたのだ。

裏側に政治の思惑? 統一地方選と関連か

「カルテルや情報漏洩など大手電力の不祥事に対する後始末をしないまま値上げだけを認めるわけにはいかない」

値上げ先送りの要因について、日ごろから大手電力会社に厳しい対応を取る大物政治家の周辺からは、〝大手電力の自業自得〟とも取れる声が漏れ聞こえてくる。確かに、カルテルやライバルである新電力の顧客情報を不正に閲覧した問題など、電力事業の公平性・中立性が問われるような不祥事が立て続きに発覚したことについては、大いに責められるべきだろう。

とはいえ、3月14日の記者会見で西村経産相が「電気事業法では、能率的な経営のもとにおける適正な原価に適正な利潤を加えたものであることなどの条件を満たした場合、経産大臣は認可しなければならないとされている」と言及した通り、一連の不適切事案と料金値上げは切り離して考えなければならない。

それにもかかわらず、岸田首相が値上げ実施に待ったをかけたのはなぜか―。その裏は、「値上げを統一地方選がある4月で申請してくるなど、大手電力は本当にセンスがない」という政権関係者の言葉から透けて見えてくる。内閣支持率が低迷する中、電気料金が大幅に値上げされることになれば、国民の不満が募り、自陣営の議席を大きく減らすことにつながりかねない。値上げ先送りは、むしろ政治マターなのだ。

では、現行の為替や燃料費を反映した場合、どれほどの原価圧縮効果を見込めるのだろうか。LNG価格のピークは昨年9月ごろ、為替も10月20日前後に150円台と歴史的な円安水準となっていた。申請時、東北、北陸、中国、四国、沖縄は22年7~9月、東京電力エナジーパートナーは8~10月、北海道は9~11月の貿易統計価格などの価格指標を参照して燃料費を算定し足下は申請時点よりも低い水準にある。

3月15日の電力・ガス取引監視等委員会料金制度専門会合において、全社で直近(22年11月~23年1月)の価格指標を反映する方針が示され、これにより、北海道で225億円、東北で139億円、東京(購入電力料)で2536億円、中国で25億円、四国で32億円、沖縄で27億円と、北陸を除く6社で申請時よりも原価を圧縮される。

燃料価格の再計算で北陸を除く6社で原価が圧縮されるというが

だが、電取委も指摘する通り、燃料価格が高騰している時期の価格を基準として原価に織り込んだ場合にも、その後下落すればマイナスの燃料費調整が自動的に行われるため、燃料価格の採録期間をどのように設定するかは基本的には料金に影響を与えることはない。

半面、値上げ延期が大手電力の経営に与える影響は大きい。自由料金部門の値上げや燃調上限の廃止などで収支改善に努めてきたとはいえ、燃調上限が維持されている規制料金部門の赤字供給状態が経営を圧迫し続けていることに変わりはなく、仮に値上げが1カ月先送りされるだけでも、「収支へのマイナスの影響は相当なものになる」(大手電力関係者)。

さらには、基準燃料価格が下がることで、自ずとその上限価格(基準価格の1・5倍)も引き下がる。今は、世界的な暖冬や不景気などの影響で燃料価格が低水準で推移しているものの、次の冬に向けて再上昇する可能性は十分にあり、新たな上限に到達すれば再び赤字供給に迫られる可能性がないとも言い切れない。

「不当廉売」の懸念も  適正なコスト反映を

値上げ先送りに落胆を隠せないのは、大手電力のみならず、卸市場価格の高騰で苦しい経営環境に置かれてきた新電力も同様だ。「政府は一体、電力事業をどうしたいのか。よもやの値上げ先送りにはうんざりしている」と憤るのは、ある新電力関係者。

そもそも、新電力からしてみれば、大手電力が申請した値上げ幅でさえ十分と言えるものではなかった。市場連動に完全移行したり、申請に近い料金水準になることを見越し見切り発車で営業を再開したりといった一部の事業者を除き、「多くが新規顧客獲得に向け着々と準備を進めているところだったが、今回の先送りで一斉にその動きにストップがかかった」(別の新電力関係者)という。

値上げにより、現状のコストを適正に反映した規制料金が設定されることで、新電力も赤字供給を解消しつつ大手電力に対して競争力のある新たな料金メニューを設定し営業を再開させることができるはずだったが、その出鼻がくじかれてしまった形だ。

自由競争の足かせとなっている上に、燃料費を料金に反映できなければ、公正取引委員会が厳しく見ると明言している「不当廉売」状態にもつながる。これにより安定供給体制の維持が困難化するのであれば、供給危機をもたらしかねない。それでも、値上げ認可を渋ることは、需要家のためと言えるのだろうか。

来年7月に容量拠出金の支払いが始まれば、新電力はますます難しい経営のかじ取りを迫られ、より一層選別が進む可能性がある。自由化を維持するのであれば、不適切な行為のみを監視しつつ過度な干渉は慎むべきだ。

第7次エネ基への布石に GX関連法案が国会審議入り

GX(グリーントランスフォーメーション)経済移行債発行やカーボンプライシング(CP)導入などを掲げた「GX推進法案」が、3月9日に衆議院本会議で審議入りした。改正原子炉等規制法、電気事業法、再生可能エネルギー特別措置法などを束ね、高経年原子炉の新たな規制などを示した「GX脱炭素電源法案」も予定より遅れつつも、政府が2月28日に国会に提出した。

両法案はいずれも、2月10日閣議決定の「GX実現に向けた基本方針」を踏まえたもの。GXの加速で脱炭素と安定供給、経済成長の同時達成を目指すが、その趣旨通りに機能するかは今後の詳細設計次第だ。例えばCPでは炭素賦課金や排出量取引(ETS)の導入を掲げるが、いつからどの程度の炭素価格が課されるかは不透明だ。さらに同賦課金の徴収や、ETSの有償排出枠割り当てなどは新設の「GX推進機構」が担うが、CPの根幹を受け持つ同組織の体制はまだ明らかではない。

衆院本会議でGX推進法案の趣旨を説明する西村康稔経済産業相(3月9日、提供:朝日新聞社)

原子力に関しても、炉規法改正で「運転期間最長60年」の規定は外れるが、GX基本方針では他にも、東海第二や柏崎刈羽など新規制基準をクリアした原子炉の早期再稼働や、廃炉を決定した原発敷地内での次世代革新炉への建て替えを掲げる。しかしその具体化は、今改正案の範疇ではない。

足元の化石燃料価格は一時の水準と比べれば落ち着いているものの、依然ボラティリティは拡大傾向にある。「安全が大前提ではあるが、原子力を早く再稼働できるような体制を取ることが安定供給に対して一番効果が大きい」(電気事業連合会の池辺和弘会長)など、基本方針の着実な実施を求める声が挙がる。

今後、日本が開催するG7(先進7カ国)サミットや、第7次エネルギー基本計画の議論開始が予定される中、今国会の審議は、これらにつながる第一歩として重要な意味を持つ。放送法の政治的公平性を巡り高市早苗・経済安全保障担当相への追求が激しさを増しているが、これ以上の国会の怠慢を許してはならない。

G7サミットの焦点 欧米が石炭火力全廃迫る?

4月中旬のG7気候・エネルギー・環境大臣会合を巡っては、日本が提案した共同声明原案で石炭火力全廃時期に触れなかったことが、他6カ国の批判を招いたとの一部報道があった。ある政府幹部は「日本は従来の方針を堅持し、欧州のように安易に過大な目標を掲げる考えはない」と強調する。

実際、西村明宏環境相は3月17日の閣議後会見で、共同声明案の内容は調整中としながらも、①2030年に向けた非効率石炭火力フェードアウト、②50年に向けた水素、アンモニア、CCUS(CO2回収・利用・貯留)などを活用した火力の脱炭素化―という従来方針を改めて説明。「G7のみならずG20、そして世界各国と同じ方向を向いていかなければならない」と、現実に即したトランジションの必要性を訴えた。岸田文雄首相が欧米の圧力に屈せず、日本の方針への理解を求める外交に徹することを期待したい。

【マーケット情報/3月31日】原油上昇、減産見通し強まる

【アーガスメディア=週刊原油概況】

先週の原油価格は、イラクからの出荷減少の見通しを背景に、主要指標が軒並み上昇。特に米国原油を代表するWTI先物と北海原油の指標となるブレント先物は、それぞれ前週比6.41ドルと4.78ドルの急落となった。

国際商業会議所の国際仲裁裁判所は、イラク政府の承認を得ないまま、イラク北部・クルド人自治区からトルコ・ジェイハン港へ原油を輸出することは違反であると判決。1973年に定められたトルコとイラクの二国間協定に反するものであるとした。これを受け、トルコは、クルド人自治区からの日量40万バレルのパイプライン出荷を停止。同自治区のシャイカン油田における一部生産も停止することとなった。

また、サウジアラビアやイラクなど、OPECプラスの主要生産国8カ国は2日、5月から2023年末にかけて、日量116万バレルを追加で減産すると発表した。 一方、フランスでは労働争議が続いており、複数の製油所で依然稼働が停止している。ただ、価格の下方圧力には至らなかった。

【3月31日現在の原油相場(原油価格($/bl))】

WTI先物(NYMEX)=75.67ドル(前週比ドル6.41高)、ブレント先物(ICE)=79.77ドル(前週比ドル4.78高)、オマーン先物(DME)=77.79ドル(前週ドル2.61高)、ドバイ現物(Argus)=77.87ドル(前週比ドル2.81高)

世界の頂点を知る男が復帰 勝利目指し経験を還元する

【ENEOS/野球部】田澤純一

2008年の都市対抗野球では、新日本石油(現ENEOS)のエースとして全5試合に登板。1完封を含む4勝を挙げチームを優勝に導き、MVPにあたる橋戸賞を獲得した。その後は米国のMLBに渡り、13年のワールドシリーズ制覇にも貢献した。昨年9月に14年ぶりとなるENEOS復帰が決まり「野球の技術だけでなく、社会人としての立ち振る舞いなど、多くのことを学ばせていただいた」と、ENEOSでの活躍を改めて誓う。

世界を知る自身の経験をチームに還元する(提供:ENEOS)


05年の入社当時は根岸製油所で勤務。MLB挑戦にあたってもENEOSのサポートが大きかったと感謝を述べる。同社の米国拠点が支援を行い、会社関係者の多くがワールドシリーズの応援に駆け付けた。20年の日本球界復帰後、台湾、メキシコと各国のリーグを渡り歩いた際にも、同社とのつながりは続き「台湾やメキシコでも、それぞれの拠点の方にお世話になった。いつもサポートしていただき、私の野球人生になくてはならない存在」と話す。


現役を続ける中で、ENEOSに復帰することになったきっかけは、恩師・大久保秀昭監督の誘いだった。同氏は在籍当時の監督であり、慶応大学野球部監督を経て20年シーズンから再び指揮を取る。「MLBに送り出してくれたENEOSで、もう一度野球ができることは非常にありがたい」と古巣に戻ることを決意。36歳という年齢を感じさせない球威は健在で、若い投手陣の多い野球部でもひときわ大きな存在感を放つ。世界の頂点を知る男は「選手としてしっかり準備を行い、チームメイトから相談された場合はきちんと答えていきたい」と自身の豊富な経験を野球部に還元する。今年の野球部は都市対抗の連覇、日本選手権優勝に向けて貪欲に勝利を狙う。自身も選手として「一球一球を大事に投げて、1アウトをしっかり積み上げて、少しでもチームに貢献したい」と役割を全うする意気込みだ。


現在、同社広報部企業スポーツ室に所属。自身を成長させてくれた社会人野球へ恩返ししたい気持ちも強い。「ユニフォームの胸にある企業名のために頑張り、勝つことで会社の人が喜んでくれる」と企業スポーツの良さを語り、「当事者だけでなく、ベンチ入りがかなわなかったメンバーを含め、チームの皆が集中している雰囲気が魅力」と話す。負けたら次はない一発勝負の世界で、一投一打にかける選手の思いをファンに伝えるため“世界のタズ”が社会人野球全体を盛り上げる。

たざわ・じゅんいち 1986年生まれ。神奈川県出身。2005年新日本石油(現・ENEOS)入社。08年都市対抗野球大会で橋戸賞(MVP)を獲得。09年MLBボストン・レッドソックス入団。13年のワールドシリーズ制覇に貢献し、22年9月、14年ぶりにENEOS野球部に復帰を果たす。