持続可能なエネルギーシステムの在り方を一貫して模索してきた。
ロシア発の危機が続く中、多様なアプローチで研究を深化させていく。
小学生で湾岸戦争のニュースを目の当たりにし、石油を巡り戦争が起きている現実に衝撃を受けた。いつの時代もエネルギーが戦争の発端になり得る中、資源のない日本は持続可能なエネルギーをどう確保すべきか―。磐田朋子・芝浦工業大学教授の研究の根底にはこうした問題意識が流れている。
学生時代、所属研究室の主流は化石燃料分野だったが、再生可能エネルギーの中でも暮らしに身近な廃棄物発電のライフサイクルアセスメントを研究テーマに選択。生ごみの処理から発電利用、メタン発酵の廃液から作る液肥の農業利用など、システム全体の導入可能性を検討した。結果、新システムを実装する上では「特に需要サイドの視点から最終的な利用形態まで考え、全体の最適化を図ることが必要だ」と痛感した。
その後所属した研究機関では、分散型システムを組み合わせて自給率最大化を目指す研究など、民生部門にフォーカス。東日本大震災後の電力需給ひっ迫局面では、独自予測を基に予備率が3%を切った際、約60自治体を対象とした節電要請にも取り組んだ。
現在はデマンドレスポンス(DR)や、行動変容を促すナッジなどにも研究範囲を広げる。「工業大学=技術開発のイメージだが、普及するためには合意形成や心理学の研究も重要。民生分野の課題を広い視点から解決するアプローチが求められている」と指摘する。
屋根上太陽光拡大は急務 「脱炭素先行地域」にも関与
一貫して化石燃料偏重への危機感を持つが、日本でのメガソーラーは景観問題や地域共生、生態系への影響といった面から、将来にわたって持続可能とは言い難い。建物や農地など、管理できる範囲内で再エネを拡大すべきとの立場だ。補助金施策の効果は限定的と捉え、改正建築物省エネ法での新築への省エネ基準適合義務化や、東京都の新築住宅への太陽光設置義務化条例のような規制強化が必要だと説く。「パネル設置では耐震性能の問題が大きく、規制強化で一定の改善が見込める。他方、化石燃料高騰傾向も考えれば、規制強化しにくい既存ストックへのアプローチが喫緊の課題だ」と強調。引き続き心理・行動学的手法とハード対策を駆使し、DRの効果最大化や、開口部の断熱性能向上、家庭にパネル設置を促すための研究などを進めていく。
環境省の「脱炭素先行地域評価委員会」委員も務める。現在第三回を募集中で、回を重ねるごとに、持続的なビジネスを成立させる意識の高まりを感じるという。実は芝浦工大も、さいたま市や埼玉大、東京電力パワーグリッドとの共同計画が先行地域に選ばれた。芝浦工大は実験設備が多く、校舎の新設も予定するが、磐田教授のこれまでの研究成果を生かし、実験などの質を落とさずに電力需要の実質CO2フリー化を目指す。
2月1日には同大初の女性副学長に就任。社会的重要性が増す研究の深化に加え、学内のダイバーシティーけん引への期待もかかる。







