経済制裁で苦しむイラン 石油生産能力の拡大なるか


【ワールドワイド/資源】

2018年5月に米国が、イランの核開発に関する「包括的共同作業計画(JCPOA)」から単独離脱して以降、米国は「最大の圧力」政策を掲げ、イランへの経済制裁を強化した。

経済制裁は現在も続いており、弱まる兆候はなく厳しさを増している。とりわけ標的とされてきたのが原油輸出で、国際エネルギー機関(IEA)によると18年4月の時点で日量240万バレルだった原油輸出量は、20年7月には過去30年来の最低水準となる日量20万バレルまで下落。原油生産量も同様に急落しており、18年4月に日量平均385万バレルから、20年7月にはわずか日量190万バレルにとどまっている。

なお、現在イランは原油生産・輸出量に関するデータを公表しておらず、いずれも各機関が船舶情報などから推計値を独自に算出している。よってその値は各機関によって異なるが、実際の輸出量は推計値の2倍程度との指摘もある。

JCPOAの発効と米・EU・国連制裁の一部解除を機に、イランは16年以降、外国資本による石油開発事業の推進を見込んでいた。これによりイランは原油生産能力を、当時の日量約400万バレルから日量470万バレルまで5年間で引き上げるもくろみだった。しかし、米国の厳しい経済制裁により外資参入が叶わなくなり、国内企業が開発を請け負っている。

イランが特に注力しているのが、隣国との国境地帯に位置する油ガス田の開発だ。21年に任期を終えるロウハニ政権のうちに、それらの油ガス田全てで増産に向けた開発契約を締結する構えで、今年の7月から8月にかけて、イラクとの国境沿いにあるアザデガン油田やヤラン油田などで相次いで契約が締結された。開発が進めば日量40万バレル弱の生産能力が加わる。技術的、資金的制約がある中、国内企業のみで実際にどれだけ実現できるか不明だが、ある程度の生産能力拡大は期待できよう。

しかし、現在の石油市場は、弱含みな需要の中で産油国間のシェア獲得競争が繰り広げられている。経済制裁が解除されイランが市場へ復帰すれば、さらなる競争激化が予想される。「経済制裁は一時的なもの。産油国の国力とは埋蔵量ではなく生産能力である」とザンギャネ石油相は述べる。

米国の経済制裁により失った市場シェアの奪還はイランにとって非常に重要な問題であり、原油生産を引き上げる余地がどれだけあるかはイランのみならず競争相手となるほかの産油国にとっても興味深い課題だ。

芦原雪絵/石油天然ガス・金属鉱物資源機構調査部

産業用HPの情報を一元管理 情報集約型専用サイトを開設


【日本エレクトロヒートセンター】

日本エレクトロヒートセンターは、産業用ヒートポンプ(HP)の情報を集約した、廃熱・未利用熱利用総合サイト「産業用ヒートポンプ.COM」(http://sangyo-hp.jeh-center.org/)を新たに開設した。

産業用ヒートポンプの情報を集約した

これまで、ホームページ上で別々に掲載されていた情報を一元的に集約。見やすくまとめることで、産業用HPに対する認知度の向上や、製造現場を持つ企業がHPを導入するきっかけにつなげる狙いがある。

エネルギー消費量の多い産業分野の省エネ対策において重要となるのが、工場の生産工程で発生する廃熱を活用し、その量を減らしていくことだ。こうした未利用熱の有効活用において、HPの導入はその解決策になり得る。とはいえ、企業に

とっては「何から手をつければいいのか分からない」というのが本音だろう。

工場の課題点を明確化 手順を踏んで導入サポート

そこで、同サイトではHPの導入までの手順を三つのステップに分けて示している。ステップ1では、まず工場が抱える課題を明らかにすることが目的だ。低温廃熱やボイラー・配管からの蒸気ロス、加熱・冷却の重複供給といった主な課題点を紹介。課題ごとにHPを活用した解決策を示している。

続くステップ2では、導入に向けた計画を立てる際のポイントを提示。産業用HPの代表的な使い方をはじめ、保温や加熱、洗浄、乾燥といった生産プロセスごとの設計ポイントなどを細分化して紹介している。そして、最後のステップ3では、依頼先となるエンジニアリング会社、メーカー、電力会社などへの相談・問い合わせサイトへのリンクが集約されている。

3月下旬のサイト開設以降、アクセス数は順調に伸び、9月末時点で1万2000件にのぼっている。今では「産業用ヒートポンプ」で検索すれば、同サイトがトップに表示され、認知度が徐々に向上していることがうかがえる。中でも閲覧数の多いコーナーが「導入事例」だ。業種・工程ごとの一覧表や条件を入力して検索する仕組みにより、見たい事例が探しやすい。また、一部事例は動画で紹介。HPの活用方法が具体的にイメージしやすいのが特徴だ。

省エネや脱炭素化を進める上で、エネルギー消費量の削減は、環境対策だけではなく工場の運用コスト削減や作業の効率化、生産品質の向上といった副次的効果にもつながる。産業分野へのさらなるHP普及に向け、同サイトの活用が期待される。

中国の温暖化対策で対照的 エコノミスト誌と朝日、毎日


【おやおやマスコミ】井川陽次郎/工房YOIKA代表

一言で表せば、羊頭狗肉。毎日9月24日一面トップの国連総会に関する記事だ。

中国の習近平国家主席による22日のビデオ演説を大扱いした。「2060年までに国内の二酸化炭素の排出量を『実質ゼロ』とする」と表明したという。

記事の通り、中国は「温室効果ガス排出量の3割弱を占める最大の排出国」だ。その国が初めて大胆な目標を「明言」し「30年までに排出量を減少」に転じさせる方針も示した、とある。

中国との対立を深める米国は「トランプ政権が地球温暖化防止の国際枠組み『パリ協定』からの離脱手続きを進める」。中国離れは欧州連合(EU)諸国でも顕在化しており、「存在感を演出する狙い」と好意的に書く。

問題は、「ただ、中国は二酸化炭素排出量の多い石炭火力発電の新設計画を加速させており、目標達成に向けた具対的な政策は不透明」の部分。無策らしい。

記事は続けて、トランプ米大統領がビデオ演説で「中国の排出量は米国の2倍近くに及び、急速に上昇している」と指摘したことも紹介する。実際、2000年以降の中国の排出量増加は世界で突出している。それでも、二面で習氏演説を「ビッグニュース」と称えるセンスには首をひねる。

むしろ、怒るところだろう。例えば、汚水で水質が悪化した川があったとする。町内の住民が協力して、汚水を減らす活動をしてきた。が、一軒だけ大量に汚水を出す家がある。習さんだ。しかも年々、汚水量を増やしている。町内会が開かれ、習さんの演説。

「あと10年くらい汚水の量は増える。仕方ない。でも、その後は減らすつもり。30年くらいかけてゼロを目指す。具体策はこれから。責任を果たします」

たぶん、「まだ汚水を増やすのか」と非難轟々になると思う。

同日付け英経済誌エコノミストは毎日と対照的だ。「(中国の)目標達成は容易でない」と、演説を冷ややかに紹介する。

まず、「30年までに排出量を減少させる目標は、以前から25年に減少に転じると国内外で予測されていて問題はない」という。実際、経済の急成長期が過ぎると、どの国も排出量は安定する。米国、日本のほか欧州も、多くは既に排出量は横ばいか、減少傾向だ。

あえて、その時期を5年先送りにした意図は何か。

エコノミスト誌は、習氏が、減らす対象を二酸化炭素に限定したことにも「慎重に言葉を選んだ」と疑問を呈した。世界はメタンガスなどの削減にも取り組む。

そして「60年までにゼロ」だ。同誌は、「中国はどんな草の根活動も抑圧可能で、原子力発電所も反対運動を気にせず増やせるなど、変革を実行できる国だ」と皮肉りつつ、「二酸化炭素を大規模に吸収して地中に埋める革新技術を開発するとか、途方もない規模の造林をして炭素を固定するとか、そんな方法がなければ、実現はほぼ不可能」と断じた。

その3日後、朝日9月27日一面トップは「温室ガス『ゼロ』、中国の野心」である。習氏演説にあらためて着目し、「最大の排出国の野心的な宣言が各国の背中を押し、米国の『パリ協定』離脱表明で停滞していた温暖化対策が動き出す気配もある」と書く。

見出しの「温室ガス」は二酸化炭素だけに言及した習氏演説の拡大解釈だ。本文も「ほかの途上国の参考になる」など中国への期待に満ちる。大丈夫か、朝日。

いかわ・ようじろう  デジタルハリウッド大学大学院修了。元読売新聞論説委員。

エネ基への反映狙う? CO2ゼロへビジョン策定


JERAは、国内外の事業から排出されるCO2について、2050年に実質ゼロを目指す方針を打ち出した。国内では30年までに、保有する全ての非効率石炭火力発電所を停廃止。高効率火力へのアンモニアや水素の混焼を進める。

碧南火力(愛知県碧南市)でアンモニア混焼の実証に着手し、30年までに本格運用を開始。徐々に混焼率を引き上げ、40年代には発電所リプレースに合わせアンモニア専焼へ移行していく。海外でも、各国・地域の実情に合わせたゼロエミッション達成へのロードマップを策定する。

会見した奥田久栄取締役・常務執行役員は、「燃料の上流開発から輸送、貯蔵、発電、販売まで一連のバリューチェーンに参画している強みを生かし、グリーン燃料のサプライチェーン構築に参画したい」と意気込みを語った。

国内最大の発電会社が脱炭素化へ先陣を切った形だが、別の発電事業関係者は、「特に目新しさはない」と驚きはない様子。エネルギー基本計画見直しに着手したタイミングなだけに、政策への反映を意識したとの見方が多い。

原子力固有の利用形態 発電+核変換による医用RI生成


【オピニオン】高木直行/東京都市大学大学院共同原子力専攻主任教授

原子力でこそできること、原子力にしかできないこととは何か。原子力黎明期には多くの人々が、原子核が秘める無限の可能性に想いを巡らせたことだろう。

核分裂エネルギーで電気をつくる原子力発電は、基本原理の簡便さも手伝い、既に高い技術成熟度にある、最も有効な核エネルギーの利用方法である。しかし原発の再稼働が遅れる中、ちまたでは「原発はなくても電気は足りる」「太陽光や風力による発電を増やせば持続可能な低炭素社会が描ける」と、電源としての原子力を必然としないムードがある。

そこで本稿では、あえてこの点は深掘りせず、原子力固有の特性や機能を「発電以外の分野で」社会に役立てる方策・利用形態について論じてみたい。誤解を臆さずすべて挙げると、①強力爆弾、②推進動力、③熱源、④放射線応用、⑤核変換―などが思い浮かぶ。

言わずもがな①は平和目的に限るとした原子力基本法に則るわが国には無関係だ。②も歴史の中で軍事応用が先行したが、商船からのCO2削減や、(皮肉にも)温暖化の進行により開かれつつある北極圏航路の運用に原子力の可能性がある。海運国家日本の強みを生かせるはずだ。

③の熱源については、近年日本の活躍が目覚ましい宇宙探査への活用が考えられる。探査範囲が小惑星帯以遠へと広がるにつれ、太陽パネルでは電源確保が難しい。米、露では古くから利用されている、崩壊熱で起電する原子力電池を持たねば、日本の宇宙開発は限定的となろう。

④と⑤に関係するものとして原子炉を用いた医用・工業用RIの製造が挙げられる。これを可能とする核変換技術は日本でも「オメガ計画」などで相当な研究が行われてきた。長寿命廃棄物を短寿命化する核変換ではmol単位の物質量を相手にするが、医療診断/治療、材料/建造物検査、照射改質などに用いるRIの生成は桁違いに少ない変換量で済む。

医学応用に焦点を絞ると、核医学検査の8割程度を占めるMo-99/Tc-99mを日本はすべて輸入に依存している。さらに、昨今世界でその優位性が叫ばれるα内用療法(がん腫瘍内側からの局所照射でがん細胞を死滅させる療法)の線源(Ra-223、Ac-225など)に至っては研究に必要な量すら国内に生産能力がない。

これらRIの生成技術として、加速器法の検討は盛んだが、原理的にはビーム束高、照射体積大、除熱能力大、そしてエネルギー収支に優れる原子炉が得意とする分野だ。そもそもα療法にはU、Puに近い重核種が用いられるが、その原料調達、照射の前後処理にはわが国が長年培ってきたサイクル技術も応用できる。

例えば、原子力界が持つ技術と制度を少し発展させ、発電の傍らRIを製造する仕組みを構築できれば、原子力発電所は医用RI製造所にもなり得る。医療にも役立つ炭素フリー電源となれば、国民の見方も変わってはこないだろうか。

1F事故から10年。原子力でしかなし得ない多様な価値を分かりやすく具現化し、日本の原子力の活力を取り戻したい。

たかき・なおゆき 1992年東工大大学院原子核工学専攻博士課程修了。博士(工学)。2012年から現職。専門は炉物理、新型炉、核変換など。日本原子力学会「トリウム原子力システム」研究専門委員会主査。

電柱位置情報検索サービスを提供 地図上で視覚的かつ容易に検索


【中部電力パワーグリッド】

中部電力パワーグリッドは、中部エリアの電柱などの位置情報を地図上で視覚的かつ容易に検索できるサービス「らくモニでんちゅう」の提供を8月から開始した。

電柱などの位置情報は、以前から多くのニーズがあった。電柱等に設備工事を行う配電工事会社や通信工事会社等の事業者がケーブル敷設ルートの選定、設計、工事の施工管理等に利用することや、目立った目標物がない場所において、例えば現場駆け付けに連絡した者の位置を特定するために利用する場合などだ。

らくモニでんちゅうの検索サービスの具体的な主要機能は、①電柱番号や住所から電柱位置の特定(対象データは300万本、年2回データを定期的に更新)、②ストリートビューなどの画面で現地状況の確認、③電柱位置までの経路案内、④電柱位置のメール情報共有、⑤引込線亘長の確認など、指定したポイント間の直線距離測定、⑥地図上へのメモ情報の記録―が挙げられる。

「らくモニでんちゅう」六つの主要機能

アップル・グーグルに対応 優れたセキュリティー対策

また、アップル社のiOS、グーグル社のアンドロイドを搭載したパソコン、タブレット、スマートフォンや、インターネットエクスプローラー(IE)、クロームなど汎用性の高いブラウザで利用可能だ。さらに、このサービスはデータを端末に持たないので、端末紛失時のデータ漏洩がなくセキュリティー面で優れている。

サービスは、東京電力パワーグリッドとKDDIの出資会社TEPCO光ネットワークエンジニアリングが関東エリアでサービス提供する地図サイトの持つ機能を有効活用した現地確認・出向支援システム「アットサーチ」を利用する。電柱位置情報を地図サイト上に表示することで、事業者は、電柱位置などを特定するだけでなく、現地画像を利用した電柱周囲の状況の確認や電柱位置までの経路案内など、便利な機能をまとめて利用することができる。

サービス料金は月額1800円/ID(初期費用1800円が別途必要)と格安。また、事業所や変電所でもサービスへの対応が可能だという。IoTが進展する中、同社は、デジタル社会の多様なニーズに応えるため、今後もエネルギーインフラを活用するサービスの提供に注力していく意向だ。

ゼロエミ宣言の前哨戦 初のゼロウィーク開始


欧州各国のゼロエミッション宣言に続き、中国も2060年カーボンニュートラルを表明するなど、コロナ禍でも「気候危機」のトレンドはむしろ加速している。圧力を感じたのか、わが国も菅首相の所信表明演説で、50年ゼロエミを宣言した。

その前哨戦となったのが、経済産業省が10月7日から14日にかけ開催した「東京ビヨンド・ゼロ・ウィーク」だ。政府は年初、世界全体のカーボンニュートラルや、過去のストックベースでのCO2削減(ビヨンド・ゼロ)も視野に入れた「革新的環境イノベーション戦略」を策定した。

その実現に向けた議論の場として、例年個別に開催してきたLNG産消会議や水素閣僚会議、カーボンリサイクル産学官国際会議など、エネルギー・環境関連の国際会議を集中的に開催し、ゼロウィークと総称。各会議には菅首相や梶山経産相が出席し、「環境と成長の好循環」を強調。脱炭素に向けた投資や協力を呼び掛けた。

ただ、肝心なのはポーズではなく大幅削減の現実解だ。欧州の主張をうのみにせず、経済を犠牲にしない打開策として、次期エネルギー基本計画でどんな政策を打ち出すのかが問われている。

コロナ禍の石油需要で明暗 元売りのかじ取り難しく


【業界紙の目】津金宏嘉/燃料油脂新聞社編集局石油部長

新型コロナウイルス感染拡大下の石油製品需要の動向は、油種間でギャップが出始めた。経営環境は、メーカーの元売りと、SSなどを運営する販売業者の間で、明暗が分かれている。

新型コロナ禍における国内燃料油需要(経済産業省・石油統計)は、国の緊急事態宣言などで4月に前年同月比89・5%、5月に86・6%に縮小した。ただ6月には90・0%、7月は91・6%と9割台に回復。現時点でも多くの産業が需要減退に苦しんでいる点を踏まえると、石油需要の戻りは全体としては早かったと言える。なかでもガソリンは4月の77・3%から、6月には95・5%に回復。軽油は観光バス向けの大幅減退を、「巣ごもり」での宅配需要の増加などが補い、最も落ち込んだ5月でも89・4%と振れ幅が小さく、翌6月には91・7%と早くも9割台に戻った。

そもそも燃料油需要は、低燃費車の普及や燃料転換、少子高齢化の進展などにより、年率2%程度の減退が予想されていた。98%を基礎需要とすれば、ガソリンや軽油に対するコロナの影響は、6月以降は数%にとどまり、両油種が夏場の主力商品となる石油販売業者(SS)にとっては、経営上の打撃は限定的に収まった。

一方、元売りにとってはコロナ禍が難しい経営環境をもたらした。まず私たちの目に飛び込んできたのは、8月に発表された2020年度第1四半期(4~6月)決算で、ENEOSホールディングスが49億円、出光興産813億円、コスモエネルギーホールディングス260億円と大きな純損失を計上した。もっとも減益の大半は油価急落による在庫影響損、および原油調達と製品販売のタイムラグが原因で、これらは時間軸の長短こそあれ、油価が回復すれば解消する。むしろ元売りの頭を悩ませているのは、油種による需要回復度合いの違いだろう。

旅客機需要大幅減が打撃 タブーの超低生産体制を断行

ガソリンや軽油の需要は比較的短期間で9割台に回復したが、コロナ禍のもっとも大きな影響は、航空機向けのジェット燃料油に現れた。石油統計によると、4月の国内販売量は前年同月比23・8%、5月も24・6%と、2カ月連続で4分の1に縮小。緊急事態宣言が明けると6月51・4%、7月64・7%、8月85・7%と持ち直したが、国際線は依然、深刻な状況が続いている。成田国際空港の8月発着数は前年同月比33%の6098回、中でも旅客便は15%の2443回と、8月としては過去最低に沈んだ。大手元売り販売部門担当者は「ジェット燃料油需要はどのように回復していくのか、イメージが描けない。政府は海外との往来を順次再開する方針を打ち出したが、観光客が行き来する状態に戻るのはまだ先だろう」と厳しい見通しを示す。

連産品の特性上、石油製品の供給では常に油種間の需要差異への対応が課題になる。コロナ禍がなくても予想外の厳冬で灯油需要が急伸したり、猛暑でガソリン需要が増大した際などは油種間ギャップが発生するが、今回ほど大きな差異は極めて異例といえる。需要回復が早かったガソリンや軽油に対応して製油所稼働率を上げれば、ジェット燃料油を含む〝灯油留分〟が余る。新型コロナの影響で旅客機が飛ばないのは世界共通で、国内で余剰になったジェット燃料油(灯油留分)を輸出しようとしても、買い手はなかなか見つからない。元売りは対応策として、需要が低迷する灯油留分に合わせて製油所稼働率を落とし、不足するガソリンは輸入で補う形で今夏を乗り切った。

結果として7月26日~8月1日の週の装置稼働率は57・7%(石連週報)と、異例の低水準を記録。前年同期は87・6%で、本来なら盛夏の製油所稼働はガソリン需要に合わせて高水準を保つはずだが、今年はメーカーではタブーともいえる超低生産体制を余儀なくされている。

冬場はジェット燃料油とほぼ成分が同じ、灯油の需要が本番を迎えるため、製油所稼働率も灯油の売れ行きに合わせて改善が見込まれる。ただ石油連盟の杉森務会長(ENEOSホールディングス会長・グループCEO)は「春までにジェット燃料油需要が回復すれば良いが、厳しい状況だ」と、当面は油種間の需要差に合わせて、難しい製油所オペレーションが続く様子を示唆する。

福島原発の処理水放出 際立つ「菅・梶山」の辣腕


政府が福島第一原発サイト内の処理水の海洋放出を決定―。10月16日、各紙は一斉にこう報じた。その前日、海洋放出に反対する全漁連(全国漁業協同組合連合会)の岸宏会長が梶山経産相と面会し、直接、反対の意思を伝えたばかりのことだった。

「梶山氏は昨年、大臣に就任してから、原発の廃炉を進めるために、海洋放出に踏み切る意向を早々に固めていたはずだ。政権が代わり、官邸で慎重論者がいなくなって、菅義偉首相の了解を得て判断したのではないか」(政府関係者)。

海洋放出の決定に、福島県をはじめ各地の漁業関係者の反発は免れない。だが、処理水の貯蔵タンクが増え続ければ、廃炉作業に支障をきたすことは明らか。「決定に菅首相、梶山経産相の課題案件を積極的に解決していく意志を感じた」。ある電力業界関係者はこう話す。

電力業界は、柏崎刈羽など原子力規制委員会の審査に「合格」しながら、地元合意が障壁となっている原発の再稼働に頭を悩ましている。これに政権がどう対応するか―。その辣腕に期待が高まっている。

エネ政策の見直しで試される 菅首相の本格政権への覚悟


【論説室の窓】竹川正記/毎日新聞論説委員

歴代最長の安倍前政権が積み残した課題のエネルギー政策見直しにどう決着をつけるか。主要国が脱炭素化を進める中、本格政権を目指す菅義偉首相の覚悟が問われそうだ。

「世論の支持率を従来のように気にせずに済む政権末期のタイミングで、ようやくエネルギー政策の見直しに動き出したか」。梶山弘志経済産業相が7月、旧式の石炭火力発電所の廃止や、洋上風力発電の導入など再生可能エネルギー拡大方針を打ち出した際、そう取材意欲をかき立てられた。

7年8カ月にわたって「政治一強体制」を謳歌した安倍晋三前政権。だが、それまでエネルギー政策の見直しには全く踏み込んでこなかった。温室効果ガスを多く排出する石炭火力に依存し続ける日本は、温暖化問題の深刻化に危機感を高める国連や欧州各国から「石炭中毒」などと激烈な批判を浴びていた。

梶山経産相はそんな国際社会の厳しい目も意識して「脱炭素化シフトを進める」とアピールした。だが、将来に向けて原発をどう位置付けるかという肝心の点は不明なままだった。2011年の東日本大震災以降、先送りされてきたこの問題に安倍前首相が決着をつけるなら、「政治的なレガシー」になり得ると見られた。

世界第5位の温室効果ガス排出国の日本はパリ協定で約束した30年度の排出削減目標(13年度比で26%減)の引き上げを迫られている。これに対応するには、電源の脱炭素化を一段と加速させる必要がある。

電源構成目標が示されないと政策は立てられない

原発継続の経産省シナリオ 安倍前首相の退任で頓挫

一方で、経済活動の根幹を成す電力供給の安定化を維持するには、再エネ拡大だけでは限界があり、同じく脱炭素電源である原発を一定程度、使い続けることが現実的と指摘されてきた。ただし、東京電力福島第一原発事故以降、反原発世論が根強い中、新増設は言うに及ばず、既存の原子炉のリプレースを認めるだけでも政権支持率の急落を招くリスクがある政治的に厳しい決断だ。

安倍前政権は当時、任期があと1年余りと迫り、支持率の低下を以前ほどは気にしなくて済む立場にあった。この機に乗じて、脱炭素化を理由に原発活用方針を明確に打ち出してもらうというのが、経産省が期待したエネルギー政策見直しのシナリオだったはずだ。しかし、持病の悪化で安倍氏が首相を突然退任した結果、このシナリオははかなくも頓挫した。

新型コロナウイルス禍の克服と経済再生を掲げる菅首相は、就任早々から行政のデジタル化や地銀再編など看板政策の早期実現にフル稼働の様子だ。留任させた梶山経産相には再編も含む中小・零細企業の再生策を検討するように早速指示している。他方、菅首相はエネルギー・環境政策をどうするかにはほとんど言及してない。

菅首相の自民党総裁の任期は安倍前首相の残余期間である来年9月までだ。「ショートリリーフ」に甘んじたくないのであれば、来秋の総裁選を再びクリアする必要がある。そのためには、来年10月の衆院議員の任期満了までに解散・総選挙に打って出て勝利することが必須だ。

来秋までの解散にらみ エネルギー政策は沈黙?

前に触れた安倍前首相の政権末期時代と全く逆で、菅首相は政権支持率に敏感にならざるを得ない立場にあると言える。このため、霞が関や永田町では「世論の大きな不興を買いかねないエネルギー政策の見直し、とりわけ原発の位置付けの議論は先送りしたいのが本音ではないか」との見方もくすぶっている。

しかし、原発の位置付けが固まらない限り、日本は新たな温室効果ガス削減目標の設定も含めたエネルギー・環境戦略の策定・実行がままならない。

現行の第5次エネルギー基本計画では30年度に再エネ比率を22~24%、原発比率を20~22%などとする電源構成目標(エネルギーミックス)を掲げているが、これをどのように変えるのかが示されないと国の政策も企業の経営計画も立てられないからだ。

日本が足踏みを続ける間に各国は相次いで脱炭素時代をにらんだ野心的なエネルギー・環境戦略を打ち上げている。

欧州委員会は50年までに温室効果ガス排出量を域内全域で見て実質ゼロに減らし、気候変動に与える悪影響を取り除く「気候中立」目標をぶち上げた。巨額の基金も創設し、コロナ禍からの経済復興に絡めて再エネ拡大や水素技術開発など、脱炭素化を加速させるチャレンジングな内容だ。

世界の温室効果ガス排出量の約3割を占める中国も果敢だ。習近平国家主席は先の国連総会演説で60年までに二酸化炭素排出量を実質ゼロにする「炭素中立」目標を表明した。電源の約6割を石炭火力に依存するだけに実効性を疑う声もある。

ただ、共産党一党独裁体制の下、世論の反発を恐れずに原発拡大も可能なだけに侮れない。米中摩擦が激化する中、中国は温暖化問題で「責任ある大国」をアピールし、欧州への接近をはじめ外交面での影響力拡大を狙っている。それだけに言いっ放しでは終わらせないだろう。

さらに、トランプ政権がパリ協定を離脱した米国も11月の大統領選で民主党のバイデン氏が勝利すれば、脱炭素化へ急転換しそうだ。ポストコロナの経済再生策として「ビルド・バック・ベター(より良く立て直す)」を掲げるバイデン氏は、2兆ドルの環境投資などグリーン政策による雇用創出と経済活性化を目指している。パリ協定復帰も明言している。

米欧中は温暖化対策の国際交渉を舞台に脱炭素時代のグローバル外交・経済覇権を競うグレートゲームを演じようとしている。そんな中、日本がエネルギー・環境戦略を定められないままでは、このゲームに入れず、外交や経済面での大きな打撃を被りかねない。

来年11月にはパリ協定の目標達成の方策を議論する国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)が予定される。その時までに菅首相は原発の位置付けも含めたエネルギー・環境戦略の見直しに踏み切れるか。国際社会に影響力を発揮できる本格政権を目指す覚悟が問われる局面だ。

【マーケット情報/11月6日】原油反発、需給逼迫観が台頭


【アーガスメディア=週刊原油概況】

先週の原油価格は、主要指標が軒並み反発。需給の引き締まりを意識した買いが優勢となった。

OPECプラスが、来年1月からの増産予定を6か月延期する可能性を示唆。また、米国では、週間在庫統計が減少。ハリケーンZetaの接近で、生産が一時停止していたことが背景にある。

一方、中国政府は、民間企業による来年の原油輸入枠を拡大する計画。需要増加への期待感が、価格を支えた。

ただ、新型コロナウイルスが再び猛威を振るっており、フランス、ドイツに続いて、英国がロックダウンを再開。イランもロックダウンの延長を決定し、経済活動の停滞にともなう石油需要の低迷に懸念が再燃。価格上昇を幾分か抑制した。

【11月6日現在の原油相場(原油価格($/bl))】

WTI先物(NYMEX)=37.14ドル(前週比1.35ドル高)、ブレント先物(ICE)=39.45ドル(前週比1.99ドル高)、オマーン先物(DME)=40.94ドル(前週比3.29ドル高)、ドバイ現物(Argus)=40.33ドル(前週比3.16ドル高)

【コラム/11月9日】電気事業のデジタル化と価値創造ネットワーク


矢島正之/電力中央研究所名誉研究アドバイザー

電気事業のデジタル化への対応は、プロダクトやプロセスのみならず、組織、イノベーションマネジメント、価値創造ネットワーク、マネジメント改革、協調の文化の醸成、およびカスタマーセントリック思考などの様々な観点から論じられなくてはならない。組織、イノベーションマネジメントについては、それぞれ以前のコラム(2018/07/09、2020/10/05)で触れたので、今回は、価値創造ネットワークについて述べてみたい。

 企業が、新たなデジタルプロダクトを自力で作り上げるための十分な資源やノウハウを有していない場合、価値創造ネットワークは一つの解決策を提供する。通常、価値創造ネットワークは、新しいプロダクトを生み出すための異分野の企業とのコアコピタンスの融合である。また、同じ分野の企業が価値創造ネットワークで協調することもありうる。そのような場合は、競争と協調が同時に行われる”coopetition“と呼ばれる。

 デジタル化は、価値創造ネットワークのための技術的なベースを提供する。それは具体的には、拡張可能で、マルチクライアント対応で、汎用インターフェイスを介して他の多くのソフトウェアとネットワーク化できるクラウドベースのソフトウェアソリューションである。ドイツにおける電力会社と異分野企業との価値創造ネットワークの例としては、エネルギー自立を支援する包括的なソリューションを提供するために、Mannheim Energieが、2014年にBaywa r.e.およびGlen Dimplexなどとの協調で立ち上げたBeegy のほか、自動車メーカーBMWとsmartlab Innovationsgesellschaft(シュタットヴェルケが充電ステーション整備のために共同で設立した組織)との協調(公共充電サービスChargeNow)が挙げられる。

 ネットワーク化は、価値創造を目的とするものだけにとどまらない。日々の業務における企業とビジネスパートナー、顧客、従業員とのネットワーク化が進展しているが、そのドライバーとなっているのは、標準化されたインターフェイスを通じて、多くのシステムとのネットワーク化を可能にするソフトウェアプラットフォームのようなデジタル技術である。

ビジネスパートナーは、企業とのシステム間の相互接続を行うことで、自動購入(電子調達)やプロダクトデータの自動的な交換などを可能にする。顧客は、セルフサービスポータルを利用して疑問に対する回答を自ら見出したり、チャットサービスを利用して企業とリアルタイムでコミュニケーションしたり、プロダクトに関する評価をレビュープラットフォームやソーシャルメディアで行う。企業側では、トラッキングソフトウェア(Google Analytics, Webtrekk, intelliAd等)のような分析システムを用いて、すべてのコンタクトポイントを通じてリアルタイムで顧客の行動を分析し、コミュニケーションやプロダクトの最適化を行う。また、顧客が私生活で用いる簡単なデジタル技術(OneDrive, Office 365, Evernoteなど)は、使い勝手の良さ、低価格化などから企業内のソフトウェアにも浸透している(いわゆる”consumerization“)。

 さらに、従業員と企業とのネットワーク化については、在宅で、また外出先で仕事をする従業員が、企業のネットワークにVPN(virtual private network)を通じてアクセスできるようになってきている。リモートアクセスの活用により、場所、時間などでフレキシブルな仕事が可能となり、新しい働き方の模索が始まっている。このような動きは、今回のコロナ禍で一層加速していくだろう。

【プロフィール】国際基督教大修士卒。電力中央研究所を経て、学習院大学経済学部特別客員教授、慶應義塾大学大学院特別招聘教授などを歴任。東北電力経営アドバイザー。専門は公益事業論、電気事業経営論。著書に、「電力改革」「エネルギーセキュリティ」「電力政策再考」など。

「2脚1/2面包み込み工法」を初採用 制約の多い土地での工事が可能に


【中国電力ネットワーク】

中国電力ネットワークは送電鉄塔の建て替え工事で「2脚1/2面包み込み工法」を初採用した。建設時とは異なる条件下にある経年インフラを、本工法を活用して更新する。

全国各地の送電鉄塔の大半は高度経済成長期に建設されたもので、それらは、ここ数年で築60年を迎えようとしている。

中国電力ネットワークは、中国地域の約2万1000基もの送電鉄塔を管理しており、2030年代までに約4200基の経年鉄塔を計画的に更新するよう、取り組んでいる。同社送電工事グループは、広島市と松江市をつなぐ山陰幹線(電圧220kV)で、広島県側の鉄塔建替工事を進めている。その中で同社は、既設の鉄塔の外側に新設鉄塔を組み立てていく「包み込み工法」を採用した。

作業工程の概要。2ラインのうち、1ラインは常に送電しながら工事を進めた

一般的な鉄塔建替工事では、まず既設鉄塔付近に新しい鉄塔を建設し、その後、既設鉄塔を解体する。しかし、用地の関係で新しい鉄塔を建てる土地がない現場も多い。また既存鉄塔の周辺に土地があったとしても、周辺住民の反対や、住宅などの建造物の上に電圧170kV以上の架空線を敷設することが法律で禁止されていることなどから、建設できない場所も多いという。

こうした事例に対応できるのが、「包み込み工法」。既設鉄塔の外側に新たな鉄塔を建設するため、前述の課題がクリアできる。

さらに今回の工事では、同じ場所に既設鉄塔より高い鉄塔を建てることで、接近樹木の伐採頻度を減らすというもう一つの目的も達成することができた。実際に今回の建て替えでは、鉄塔の高さが29mから63mへと倍以上高くなった。

初採用工法で試行錯誤 既設鉄塔も有効利用

この工法が採用されたのは、送電鉄塔建設後にベッドタウンとして開発が進んだ広島市安佐北区の現場。送電網は従来、市街地から離れた山林や農作地などの郊外に設けられていることが多いが、鉄塔建設後に宅地造成が進んだ地域では、代替ルートを設けるケースや、新たに鉄塔を建てる場所のないケースもあり、この現場もまさにそういう場所だった。

さらに今回は、電力供給上、送電線路を2回線同時に停電できないという制約があったため、既設鉄塔で送電を続けながら新しい鉄塔の工事を行う「2脚1/2面包み込み工法」を初めて採用した。

本工法の最大の特徴は、既存鉄塔の構造を利用しながら、新しい鉄塔を片側ずつ建設する点だ。これにより、2回線のうち1回線は、建設作業中も送電を続けられる。

新設鉄塔の中に包まれた既存鉄塔は工事後、撤去している

電気料金が10年間で大幅上昇 再エネが競争効果を相殺か


日本国内の電気料金単価がこの10年間で大幅に上昇していることが、経産省が10月13日に公表した資料で分かった。それによると、2019年度の電力平均単価は産業用がkW時当たり17・03円、家庭用が同24・76円となり、震災前の10年度の水準と比べて、それぞれ3・68円(約25%)、4・39円(約22%)の値上がりだ。

主な要因は、FIT制度に基づく再エネの賦課金である。これが19年度現在kW時2・95円となっており、上昇幅の約7~8割を占めている。加えて、原発停止で火力発電のシェアが拡大したことに伴う燃料費の増加などが影響したとみられる。

従来指摘されていた通り、再エネの影響は甚大だ。20年度のFIT買い取り費用総額は約3・8兆円、賦課金総額は2・4兆円に達する。経産省は「賦課金総額を抑制・減少させていくためには、早期の価格引き下げ、自立化が重要」と提起しているが、事態の改善は容易ではない。

16年4月の電力小売り全面自由化を受け、電力会社間の競争は劇的に進展したが、再エネ大量導入と原発停止によって事業全体のコストが上昇。電気料金の値下げ効果が相殺されている実態が浮かび上がった格好だ。

需要家の負担感は軽減されていない

脱炭素と安定供給両立へ エネ基見直し議論が開始


経産省は10月13日、総合資源エネルギー調査会(経産相の諮問機関)基本政策分科会(分科会長=白石隆・熊本県立大学理事長)を開き、第6次エネルギー基本計画策定に向けた議論に着手した。冒頭あいさつした梶山弘志経産相は、「再エネ大量導入、電力完全自由化という大変革の中で、将来にわたり安定供給確保と脱炭素化を実現するにはどうすればよいか、考える必要がある」と述べ、委員らによる活発な議論に期待を寄せた。

同分科会では、昨今の情勢変化や将来的なエネルギー政策の在り方を見通し、改めて3E+S(供給安定性、経済効率性、環境適合性、安全性)の在り方を再整理。その上で課題を抽出し、「脱炭素社会」を実現するため2050年に向けたエネルギー需給構造について議論する方針。さらに、現行計画が掲げる30年目標について、その達成状況や取り組み状況などの評価も行う。

委員からは、低廉で安定した電力供給のために原子力発電所の活用が欠かせないとの意見が相次いだ。杉本達治・福井県知事は「政府が前面に出て原発の重要性、必要性について国民への説明責任を果たすべきだ」と述べ、再稼働への政府の関与を求めた。

原発を活用すべきとの意見が相次いだ