和歌山製油所閉鎖の影に 二階氏の影響力低下も
「こつこつと必死で努力して企業誘致を成功させ、何十人単位で新しい雇用をいくつも積み重ねてきたのが、いっぺんに吹き飛ぶような大打撃」
和歌山県の仁坂吉伸知事が1月29日に危機感あらわのコメントを発表した、ENEOSホールディングスによる和歌山製油所(有田市)の閉鎖問題。1941年、当時の東亜燃料工業和歌山工場として操業を開始し、和歌山経済の一翼を担ってきた古い歴史を持つ製油所だけに、仁坂知事は「次の展望も示さず閉めるというのは、地元に死ねというのと同じ」「地元に相談もなく、一方的に製油所機能の停止を決定するやり方は大変遺憾だ」などと怒り心頭の様子だ。
とはいえ、同製油所を巡っては、2010年代に入り石油元売り再編が加速する中で、事あるごとに閉鎖がささやかれてきた。経緯を知る業界関係者の間では「既定路線」(元売り関係者)と見る向きも。それが、ここにきて来年10月の閉鎖発表に踏み切ったのは、なぜなのか。エネルギー関係の有力学識者K氏は「地元で圧倒的な政治力を保持してきた二階俊博・元自民党幹事長の影響力低下が関係しているのではないか」と指摘する。
製油所は地元経済の一翼を担ってきた
昨年10月の岸田政権発足を受け、自民党の中枢から姿を消す形となった二階氏。最近は表舞台に顔を出す機会も少なくなった。一部報道などでは、二階氏の公設秘書を務める三男、伸康氏への世代交代が取りざたされている。
二階氏といえば2000年代半ばの経済産業相時代、和歌山県の関西電力・御坊発電所近隣に「日高港新エネルギーパーク」が鳴り物入りで開設されたのは、知る人ぞ知る話。「今や閑古鳥が鳴いている」(地元関係者)そうだが、こちらも世代交代の影響を受けるのか、どうか。
洋上風力の落札失敗組 再エネ系議員に接近
三菱商事グループの洋上風力3地点総取りという入札結果の波紋は収まる気配がない。第2ラウンドとなる秋田県八峰町・能代市沖については、昨年末から公募がスタート。三菱陣営はこの案件にも応募する意向で、今度はどの程度のFIT価格をつけるのか、注目が集まっている。
そうした中、今回落札できなかった事業者の一部が、自民党の再生可能エネルギー系議員にすり寄る動きを見せている。三菱陣営の他社を寄せ付けない価格の実現可能性や、価格重視の採点配分への疑問、さらには入札のやり直しまで訴えているようだ。
議員側も、こうした意見に同調する様子を見せる。重鎮議員S氏は、資源エネルギー庁に対し、「今回の結果には納得がいかない」と不満をぶつけたという。また、党の再エネ普及拡大議員連盟は、非公開の会合で入札結果についてヒアリングを実施し、採点配分の見直しを求める意見も挙がった。いずれも現岸田政権で概ね冷や飯を食わされている人々だ。
本来は再エネコストが下がることは国民にとって望ましいこと。先述の議員らもかつては「再エネは安く買えるようになってきた」などとメリットを強調していたのだから、むしろ洋上風力の「価格破壊」を歓迎してもおかしくはないのだが……。
発電と消費は等価? M教授発言が物議
「あれは単に論理をすり替えて、現状の問題の根本をごまかそうとしているだけだ。第一、デマンド・レスポンス(DR)事業者がどれだか苦労して需要側を束ね、調整力を供出しているか、現実が見えてるのか」
こう、学識者N氏が憤るのは、1月25日に開催された経済産業省の有識者会合「電力・ガス基本政策小委員会」におけるM教授の発言に対してだ。M教授は、直近の電力需給と卸電力の動向について意見を求められ、「電力システム改革のひとつの大きなポイントとして、電力の発電と消費は等価だということを貫徹させていくことがあった。つまり、供給量を1単位増やすことと需要を1単位減らすことは、安定供給の観点から見ても等価なはずだ」と述べた。
これについて大手電力関係者のS氏も、「電気自動車(EV)や給湯器などを自動制御することにより、需要をコントロールできるという考えは一見まともなようだが、需要家は機器を使った結果としてエネルギーを消費するのであって、例えばテレビを見たいのに、エネルギー消費を抑えるために見ないという選択をするわけがない。M教授の主張は現実的ではないよ」と切り捨てる。
電力システム改革の進展により、発電所建設の投資回収の予見性が低下し将来の安定供給確保への不安は高まるばかり。経産省も、大手電力会社が余剰電力を市場に供出する際の「限界費用」に、一定の条件下でLNGスポット価格を反映することを容認するなど、これまで「システムの歪み」のしわ寄せを受けていた発電側にお金が回るような政策へとかじを切りつつある。
電力業界関係者の中には、予見性低下の責任の一端はM教授にあると考える人も一定数いて、それにもかかわらずさらに発電の「価値」を下げるような言動を繰り広げることに、「ありもしないものを使って大手電力会社を悪者にし、電力システム改革の失敗をなすりつけようとしているのではないか」と危惧する声も聞こえてくる。
将来の安定供給確保にどのような手を打つべきなのか。現実に即した議論を求めたい。
早くも「敗戦」ムード 自民・青森県連の憂うつ
7月に行われる参議院選挙。青森県の自民党関係者は、「今回は不戦敗」とささやいている。自民党は公募による候補者選びを行い、伊吹文明元衆議院議長の秘書、其田寿一氏と県議の斉藤直飛人氏が立候補。一方、立憲民主党は現職の田名部匡代氏が出馬を表明している。
田名部氏は、農林水産相を務めた田名部匡省氏の次女。衆院当選3回を経て参院に転じ、再選を目指す。2世議員として県内では知名度が高く、「当選は間違いない」(事情通)と見られている。
自民党関係者の一部は、早くから田名部氏に勝てる候補を探していた。白羽の矢が当たったのは、青森県S町のY町長。曾祖父から3代にわたり国会議員を務めた家系で、17年から県内初の女性首長としてS町長に就任している。父親の元参院議員が昨年病没したためとむらい合戦にもなる。「Y氏なら勝てる」。こういう声が高まっていた。
しかし、S町のY氏支持者が「町長に就任してまだ4年。国会議員への転出などとんでもない」と猛反発。「出馬を促す声は強く、Y氏はぎりぎりまで考えたが断念した」(同)。この時点で、自民党にとって今夏の参院選は事実上、「不戦敗」になった。
県連関係者の間では、敗戦を見越して責任者探しが始まっている。候補者の調整に当たったのは、O元衆院議長とT参院議員。O氏は政界から引退しているため、「T氏の責任が追及されるのでは」(同)といわれている。
核燃サイクルに黄信号!? 規制委員長にY氏浮上
「核燃サイクルは大丈夫か」。今年行われる原子力規制委員会の人事を巡り、原子力業界関係者がこう漏らしている。更田豊志委員長の後任として名前が浮上しているのが、規制行政の事務方トップを務めたY氏。経産省に在籍時から規制行政に携わり、原子力発電についての知識は折り紙付き。福島第一原発事故の際、当時の原子力安全・保安院幹部の説明下手に政権首脳は業を煮やしたが、Y氏が官邸に駆け付け詳しく解説すると、すぐさま納得したという逸話がある。
ただ、業界関係者にとっての懸念は、Y氏の核燃料サイクルについての「前歴」だ。03年ころ原子力業界を騒然とさせた「19兆円の請求書」。膨大な額の費用負担から、核燃サイクルからの撤退を求めたものだ。執筆者は3人の経産官僚とされるが、「当時、エネ庁担当課長だったY氏の了解の下で作成した」(業界関係者)といわれている。六ヶ所再処理工場はいま、規制委の審査に苦労しており、「Y委員長となったら、稼働後も厳しい指摘を受けるかもしれない」(同)。
もっとも次期委員長には、更田氏の再任説や委員の昇任説も流れている。核燃サイクルは今後、どうなることか。関係者の心配は尽きない。
規制委の核燃サイクルへの対応はどうなる