NEWS 01:重電各社の決算好調 エネルギー部門がけん引
重電メーカーの2025年4~6月期決算は、エネルギー部門の収益拡大が大きく貢献し軒並み好スタートを切った。中でも三菱重工業は最終利益が前年同期比9・5%増の682億円となり、過去最高を記録。エネルギー部門では、大型ガスタービンを北⽶で6台、アジアで2台の受注を獲得し、受注高は同12・7%増の6025億円に上った。
日立製作所も、エネルギー部門の売上高が同10%増の6675億円となり、連結最終利益(同9・6%増の1922億円)を押し上げた。送電網設備の更新・再エネ電源接続などの需要が堅調。高圧直流送電(HVDC)向けシステムなどの販売が増加した。川崎重工業は事業利益が同21%増の205億円。ガスタービンやガスエンジンなどの販売数が伸び、好業績を支えた。
ガスタービン市場は衰え知らずだ
この好況で各社の株価は急伸している。米国と中国の相互関税合戦で暴落した4月上旬を底に上昇に転じ、8月中旬までの最高値は、三菱重工が約2倍、日立と川重が約1・6倍の水準まで高まっている。
三菱重工と川重が手掛けるガスタービンは「今後も旺盛な需要が続くだろう」(メーカー関係者)。HVDCも洋上風力など長距離送電ニーズが活況で、今後10年は成長していく見通しだ。世界的なエネルギー設備への投資の勢いはしばらく止まりそうになく、各社の業績の追い風となりそうだ。
NEWS 02:正念場迎える洋上風力 R4の2海域を指定
経済産業省と国土交通省が7月末、一般海域での洋上風力公募の対象となる促進区域に、新たに北海道の松前沖と檜山沖を指定した。前者は3710ha、後者は4町にまたがる3万2160haと国内最大規模で、秋にも公募開始が見込まれるラウンド4(R4)の舞台となる。これで促進区域は、事業者が既に決定しているR1~3の10海域と併せ、計12海域(うち浮体式1)となった。この他、有望区域が7、準備区域が16(うち浮体式10)となっている。
政府は、投資完遂への事業環境の整備として、①PPA(電力販売契約)市場の活性化や脱炭素電源への需要喚起、②海域占用期間の予見性確保や事業完遂に資する金融支援―などさらなる措置の検討を続けている。 ただ、事業環境の不透明感はぬぐえないままだ。それを象徴するように、三菱商事はR1の3案件について判断を保留したまま。また、別の案件では新たにコンソーシアムから外資が撤退するとの観測もある。
関係者からは「こうした動きで洋上風力全体がダメとレッテルを貼られることは避けなければ」といった危機感が示されている。また、電力会社トップも「事業性がバラ色でないとしても、洋上風力という選択肢を今消すことはあり得ない」(JERAの奥田久栄社長)、「洋上風力の予見性は相対的にベター。ネガティブな世間の評価には同意していない」(電源開発の菅野等社長)といった前向きな発信を強めている。
さらにマリコン再編の動きも。大成建設が洋上風力事業などを強化するため、東洋建設を買収すると発表した。
洋上風力市場が正念場を迎える中、その行方を占う試金石となるR4は、どのような展開を見せるのか。
NEWS 03:除染土処分の工程表策定 消費地の理解得られるか
福島との約束を果たせるか─。福島第一原発事故で発生した除去土壌(除染土)の処分を巡り、政府が8月末に県外処分に向けたロードマップを取りまとめた。現在、除染土の大部分は福島県双葉町と大熊町に設置した中間貯蔵施設で保管しており、2045年までの県外での最終処分が法律で決まっている。
国は国際的な安全基準を満たした除染土を公共工事の盛り土などで再生利用する方針を示している。7月には首相官邸で全国初の再生利用が始まった。もともとは東京都新宿区と埼玉県所沢市で実証事業を予定していたが、説明会で住民からの反対を受けて延期となっていた。
再生利用や最終処分の実現には消費地の理解が重要となる。双葉町の伊澤史朗町長は4月、本誌の取材に「福島でつくられた電力の消費地は首都圏だった。この事実が十分に周知されていないことが最大の問題ではないか」と語った。再生利用の受け入れは立地地域に対する理解度のバロメーターと言っても過言ではない。
報道機関の役割も重要になる。原子力問題になると、メディアは政府や電力会社の方針を否定的に報じがちだ。例えば環境省は8月18日、除染土に関する対話集会を福島市で開催したが、共同通信は「処分場所を早く探すべきだ」「全国にばらまくのはおかしい」といった声を取り上げた。ところが、参加者によれば「数値で見せれば学生でも分かってくれる」という前向きな意見も出たという。
福島県在住のジャーナリストである林智裕氏は「毅然とした〝風評加害〟対策、特にメディアによる偏向報道やミスリーディングの初期消火が不可欠だ」と指摘する。科学的知見と国民的理解をいかに結びつけるかが肝要だ。
NEWS 04:気候変動の「正しい」情報 否定・肯定派ともに発信強化
環境省が、気候変動に関する科学的知見を巡る情報発信を強化している。浅尾慶一郎環境相は7月29日の会見で、〝人間活動が温暖化の主要因〟とする気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の見解を挙げ「30年間かけて確信度が高まったことについて、粘り強く広く発信していくことが重要だ」と強調した。かねてから国連も気候変動の「偽情報」への対応に力を入れている。
第一弾で小林史明環境副大臣の動画を公開
気候危機否定派も負けてはいない。米エネルギー省の気候作業部会が、「気候危機論」をばっさり否定する報告書を7月に公表したのだ。「温室効果ガス排出が米国気候に与える影響に関する批判的レビュー」と題し、クリス・ライト長官が集めた5人の科学者がまとめた。CO2は汚染物質でなく便益もあることや、IPCCの気候モデルの検証、人命や経済の災害リスクは時間とともにむしろ減少している、といった内容を13章にわたり解説する。これを基に米政府は環境保護庁(EPA)の「CO2危険性認定」撤回を提案。実現すれば、自動車などのCO2排出規制の根拠を失う。
杉山大志・キヤノングローバル戦略研究所研究主幹は「米国連邦政府の公式な報告書が出れば、国連や環境省も無視できない。データを一つひとつ検証することこそが大事。この報告書は米国への影響に重心を置いているので、日本版を作ってもよい」と提案している。