【再エネ】「金融・資産運用特区」 北海道に求められる役割


【業界スクランブル/再エネ】

政府は6月4日に東京・大阪・福岡・北海道の4地区を「金融・資産運用特区」に指定した。特区の指定は、国内外の金融・資産運用業者の集積・規制緩和を通じた地域経済の活性化が狙いとされ、中でも北海道は「GXに関する資金・人材・情報を集積し、GX金融・資産運用特区を実現」することがテーマだ。規制緩和の項目は主に3点。1点目がGXで、洋上風力や水素に関する規制が緩和される。2点目が金融で、道内で銀行のGX産業への出資が容易になるとされている。3点目がビジネス・生活環境で、在留資格などの英語での行政手続きが可能になる。

特区指定を受け、大規模な洋上風力発電や水素利活用などのプロジェクトの開発が期待される。一方、北海道特有の課題として、現状の道内再エネ需要量が限定的であること、再エネポテンシャル地域と需要地とが離れており送電網が脆弱であることが挙げられる。これらは、特区の規制緩和により国内外から産業を呼び込むことでの解決が望まれる。データセンターなど電力消費量が大きい企業の誘致を通じた需要創出や、グリーン水素生成時の再エネ活用など、GX産業の集積による需要の創出が期待される。

加えて、行政が企業と連携し、これまで産業が集積してきた道央ではなく、再エネポテンシャルの大きい道北・道東にも企業を誘致することで、発電所の近隣エリアに電力需要を生み出すことができる。長距離の送電網を必要としない地産地消モデルを確立できれば、送電網の問題解決の一助となる。北海道には企業誘致を通じ、道央以外を含めた各地区に電力需要を生み出すことが求められる。(N)

斬新料金プランで地域貢献 再エネニーズ掘り起こしに腐心


【事業者探訪】銚子電力

電力事業を通じ、再エネなど恵まれた資源を地域で活用する必要性を市民に訴えかける。

地元出身アスリートや電鉄などを電気料金で応援するユニークなプランを展開中だ。

夏涼しく冬暖かい千葉県銚子市。関東最東端にあり山頂・離島以外で日本一早い初日の出が見られる犬吠埼、全国屈指の水揚げ量を誇る海産物、醤油や農産物などの特産品、イルカウォッチング―など、多種多様な地域資源を有する。

そして日射量や風況にも恵まれている。コスモエコパワーの陸上風力「銚子ウィンドファーム」が稼働するほか、再生可能エネルギー海域利用法に基づく促進地域での洋上風力開発(三菱商事やシーテックなどが事業者)も進行中だ。

市は、再エネ資源を生かしたゼロカーボンシティを目指しており、その一環で2018年に銚子電力が誕生した。その際に白羽の矢が立ったのが再エネ普及に力を入れる新電力のLooopで、銚子電力の立ち上げから関わっている。

現役アスリートでもある新谷社長


陸上風力をメインに 一部トラッキングし供給

銚子電力は「銚子をチョウシよく」をキャッチフレーズに、エネルギーの地産地消や地域貢献を図るとともに、再エネ価値の必要性の訴求を目的に掲げる。昨年11月、社長に就任した新谷一将氏は「地域には省エネ法の対象となる企業はわずかで、再エネ電気のニーズは少ない。だが、近年エネルギーの輸入頼りのリスクが表面化。国内で再エネ発電所を増やし、再エネ電力のニーズを高めるべきだ」とし、多様な場で発信を強めている。

銚子電力は電力小売りライセンスを持つが、現在はLooopの取次店となり、需給管理や供給は同社が担う。低圧の供給先は約1600件。市内の低圧シェアの6%程度で、3年以内に20%を目指し、まずは銚子電力の認知度向上に努めている。高圧は公共と民間でそれぞれ40数件ほどだ。

電源比率では銚子ウィンドファームがメインで5~6割を占める。FIT(固定価格買い取り)制度に基づく電気で、トラッキングを望む需要家には非化石証書付きで販売する。市内の小中学校はすべてトラッキングして供給するが、需要家全体でみると14%程度に留まる。

メイン電源の銚子ウィンドファーム

ほかにLooopの相対電源なども活用する。さらに銚子沖の洋上風力が28年度に系統連系される見通しで、その電気の活用面では銚子電力も一枚かみたい考えだ。

そんな同社の料金プランに共通するコンセプトは、需要家が電気料金を通じて銚子を応援すること。応援手段はさまざまで、他社では見当たらないような斬新なアイデアもある。

最もベーシックな「チョウシeデンキ」は、利益の一部を市の再エネ基金に寄付するプランで、これまでの累計額は200万円。加えて停電の備えとして、主要避難所に投光器などの光源を、市内の学校には太陽光パネルや蓄電池を寄付した。

地域の特産品を年数回届ける「銚子ふるさとプラン」は、市外の需要家がふるさと納税的に利用することを想定する。市内の豆菓子屋の商品を受け取った需要家が味を気に入り、後日銚子を訪れ来店したというエピソードもあり、地域の魅力発信の一助になっていると手応えを掴んでいる。

【火力】具体性欠くエネ基議論 実態に即した検討不可欠


【業界スクランブル/火力】

第7次エネルギー基本計画の検討が佳境を迎えている。GX(グリーントランスフォーメーション)を進めるためには、「S+3E」という原則を堅持しつつ着実な投資を促す予見性が必要になるという点まではまとまっているが、その先の具体的な道筋が一向に見えてこない。

ここ数年、火力発電の視点からみると、政策リスクなどの増大により投資の予見性は悪化しているようにすら感じる。長期脱炭素電源オークションなどの整備が進められているが、いったい何が足りないのだろうか。人は往々にしてはるかな理想を仰ぎ見ることを優れていると感じてしまう傾向があり、カーボンニュートラルに向けた高い目標を掲げることばかりに躍起だ。

しかし、エネルギーは現代の社会生活にとって不可欠なもので、目標を遂行しようにも足下で安定供給が阻害されては、にっちもさっちもいかなくなってしまう。

具体的には、安定供給を支える火力発電の活用について、現場の実態に即した検討が不十分ではないか。火力設備の運用やメンテナンスへの配慮が不十分な制度となっているため、機能維持のための投資がおろそかになり、徐々に火力発電全体のパフォーマンスが低下し、供給力や調整力が不足する状況が慢性化している。今後火力の役割が変化するのであれば、なおさら具体的な道筋を描き、まずは足下を固めないと安定供給を維持し続けることはできない。 GXのチャレンジは負けたら即終了のトーナメント戦なのだ。世間もだが、発電事業者やメーカーも、水素・アンモニアといった将来技術だけでなく、足下の対策にも気を配る必要がある。(N)

分散型制御でデジタル取引実現へ アグリゲーションの未来見据える


【リレーコラム】新貝英己/東芝ネクストクラフトベルケ 代表取締役社長

独ネクストクラフトベルケを訪問したのは2018年。当時、国内でVPP事業を担い需要家リソースを束ねて需給調整市場への参入を目指していた最中、全く異なるモデルで成功している彼らを目の当たりにして、大きな衝撃を受けたことを覚えている。大量の再エネを束ねて卸市場で取引し、インバランスを抑えながら値差で収益を上げるトレーディング事業。需給調整市場にも参画し、リソースは現在1300万KW以上に及ぶ。

欧州を参考にアグリゲーション事業を立ち上げたのはFIPが開始された22年度。実績も増え始め、今後の課題はいかにしてスケールするか。そして市場環境に合わせた日本版アグリゲーションとしてのさらなる進化だ。最近の欧州では、時間前市場が活発であり、当日に数万回に及ぶ取引を行う事業者も現れている。一部は現物を伴わないフィナンシャルトレーディングと呼ばれるもので否定的な見方もあるが、市場を活性化し、市場原理に基づく最適な価格形成に一役買っているとも言える。

日本ではどうか。時間前市場が実需給の5分前まで開いている独に比べ、1時間前に閉場し、取引量も少ない。取引価格を最適化し、インバランスを減らすためにも、市場の活性化が必要だ。他方、日本の特徴は市場取引に頼らないコーポレートPPA(相対)が多いこと。これは再エネと需要のマッチングといえるが、価格、契約期間などの合意には多くの時間を要する。当社ではサイト上で発電所情報を掲載し、小売や需要家とマッチングするサービスを検討しているが、当面はデジタルとリアルの両面でのアプローチが必要そうだ。

ちなみに、かつて私が働いていたインターネット広告の世界では利用者の趣味嗜好や利用傾向をデータ化し、利用者がHPやSNSにアクセスした瞬間に、複数のクライアントの広告が自動的にオークションされ、落札者の広告が表示されるリアルタイムビッディングという仕組みがある。サイトを閲覧している裏側で瞬時にこうした取引が行われていることを知る人はほとんどいないだろう。


需給予測で精緻な自動取引が理想

将来、電力の世界でも発電量と需要量の予測を用いてコマごとの自動取引が行われるような世界になればという思いもある。最近では、需要と供給を時間単位で合わせるアワリーマッチングという概念も生まれている。デマンドレスポンスや蓄電池を活用し、多様なニーズに合わせた取引をデジタルで実現する仕組みを考えていきたい。系統状況を考慮し、需要と再エネの両輪でバランスさせる姿が日本版アグリゲーションと言えるだろうか。

しんがい・ひでき 1994年東芝入社。インターネット乗換案内「駅探」の事業開発に従事。その後エネルギー領域のデジタル化を担い、2020年に独VPP会社と東芝ネクストクラフトベルケを設立。

※次回はEX4Energyの伊藤剛代表取締役社長です。

【原子力】再処理工場の竣工延期 日本原燃の責任なのか


【業界スクランブル/原子力】

日本原燃が8月末、六ケ所再処理工場の完工時期延期を発表した。これで27回目だ。

核燃料施設に関する新規制基準が定められたのが2013年12月で、原燃は年明けに適合性審査(事業変更許可)を申請し、1年もかからず14年10月に完工できると予想していたようだ。実際には20年7月の許可までに6年半、その年の暮れに設工認の申請が出されたが、その後3年半以上が経過。今回は審査にもう1年半、その後1年間で現場を最終確認し、26年度中に竣工とのこと。適合性審査の申請から12年以上かかっている。

原子力規制庁のホームページを見ると、毎日のようにヒアリングが行われ、そのたびに数十MBに及ぶ資料が提出されているが、規制庁の役人は読めているのだろうか。ただ毎回コメントを付けて突っ返しているだけのように感じる。議事要旨には、規制庁が記述の不足などを指摘し、原燃から説明資料を整理し直す旨の回答があったとの記載が繰り返され、役人の裁量でもてあそばれているのではないかと邪推せざるを得ない。

審査会合の映像も公開されているが、いつも原燃の責任者が「当社が規制庁のご指示の趣旨を理解できなかった」とわびることから始まり、審査を担当した元東大教授の規制委員は、誰かが用意した原稿に沿って叱りつけ、それ以外は担当官と事業者との間のやり取りの司会をするだけ、指導する様子もなく無能に等しい印象であった。

本当に原燃の申請書類が悪いのか。審査が進まない責任を事業者が被っているようにしか想像できないのだが、読者諸氏はどのように見ているだろうか。(H)

【シン・メディア放談】エネルギー業界も戦々恐々 報道加熱する自民党総裁選


<エネルギー業界人編> 電力A氏・ガスB氏・石油C氏

過去最多の9人が争った自民総裁選。

エネ基議論も左右しかねず、業界は戦々恐々と見守った。

―柏崎刈羽原子力発電所の対応を議題に9月2日、政府が原子力閣僚会議を開催。岸田文雄首相が、地元の声を踏まえ、再稼働への理解促進に向けさらに具体的対応を行うよう指示した。

A氏 柏崎の再稼働をなんとかしたいという思いの表れだろう。第7次エネルギー基本計画で原子力をどの程度動かすか明示するには、柏崎が動いていないときつい。今後、避難道整備に向け経済産業省・内閣府・国土交通省で協議の枠組みを立ち上げ、事業者の自主性を損なわない形でサポートする形だ。噂ベースだが、佐渡金山の世界遺産登録も新潟県の同意を引き出す手段だとの話も。原発を巡る地元同意では立地市町村がOKでも県のハードルは高い。裏から手を回すことも必要だろう。

B氏 この件でネガティブな報道は少なかったように思う。岸田首相は自分の在任中に柏崎を動かしたかっただろうが、残念ながら間に合わず。それでも風穴を開けるべく、斎藤健経産相やエネ庁幹部らがたびたび関係者に働きかけてきた。


デブリ取り出し中断 粛々とした対応に尽きる

C氏 ただ、朝日は9月7日付で、花角英世新潟県知事が再稼働の判断時期について「あと2年弱くらの間には固まるのでは」とのコメントを載せている。この場でいつも触れるが、産経のように書けとはいわないが、なぜ経済的損得を考えない記事ばかりなのか。正論やVoice、Hanadaあたりは厳しく追求している。特に朝日は部数が急減し影響力が薄れてきている中、そろそろ論調を見直す潮目では?

―福島のデブリ取り出しは1回目の作業を中断し、約3週間後の9月10日に再開。しかし17日、再度中断を発表した。

A氏 本当に難しい作業。とはいえデブリが存在する以上やめることはできない。結局原子力はイデオロギーの話だが、デブリの問題はそうした世界とは別次元にあり、エネルギー政策とは独立した事象として率直に見るべき。それ以上でもそれ以下でもなく、東電は外野の声は気にせず粛々と取り組んでほしい。

B氏 メディアは絶対言わないだろうけど、1回目で直前に手順の間違いに気づいて止められたのはある意味ファインプレー。常に東電のネガティブ情報を流すのではなく、きちんと対応できていることも報じてほしい。そうすれば、柏崎再稼働に向けた県民の意識に影響する可能性もある。ただ、今回取り出す予定のデブリは3g。3基で合計880tほどあるとされ、このギャップの甚大さで長きにわたる作業だと改めて認識した。

C氏 ところで、処理水放出で日本産水産物を禁輸する中国が、日本近海で大量に漁獲していることを、朝日も報じ始めた。いずれの媒体にも、国民に事実を周知すべく頑張ってほしい。一方、地方紙の方が言いたい放題の傾向にある。電力業界は正しい事実が伝わるよう、もっと説明を尽くさなければ。


総裁選の結果やいかに 各候補発言の注目点

―本誌発行時には既に自民党新総裁が決定しているが、この座談会開催は9月中旬。結果を受けた議論ができないことに歯がゆさはあるが、これまでの各候補の発言で注目した点は?

B氏 候補者9人は今回、一定の原子力の必要性を認めており、従来と雰囲気がかなり変わった。ただ、石破茂氏は「ゼロに近づける努力を最大限に」、河野太郎氏や小泉進次郎氏は利用できる原子力を使えばよいといったスタンス。それに対し、推進派の高市早苗氏や小林鷹之氏はもとより、茂木敏充氏も「新増設を含め取り組むべき」との主張だ。前者のような人が総裁になれば、柏崎をはじめ再稼働にアクセルはかからないだろう。原子力は電気代を下げる要素だが、新総裁が真の原子力賛成派かどうかで政策が大きく変わる。

A氏 裏金問題にあれほど関心があるというアンケート結果にはがっかりだ。極論、無能で清廉潔白な首相より、金に汚くても有能なリーダーの方が望ましい。また、海外から御しやすい首相の誕生を誘導するような報道はやめてほしい。気概があり、エネ政策も持論を持って進められる人が必要だ。エネルギー安全保障を考え抜いた上での政策を持たない首相で本当に良いのか。ただ、今回もエネルギーは主要議題ではないけどね。

C氏 アゴラで澤田哲生氏が「小石河連合のその後:変節漢の脱原発空想」と題して3者を批判している。一般紙も鋭い記事を書かなければ。議員票は集めても政策は空っぽな人が選ばれればエネ基がどうなってしまうのか。中でもテレビが人気投票化に拍車をかけており罪深い。

B氏 7日に小泉氏が銀座で、翌日に石破氏が柴又で演説、なんて報道を見たが、一体何を紹介しているのかと思った。

C氏 特に日経にはクオリティペーパーを自負するなら、もっと硬派でいてほしい。グリーンの副作用が顕在化し、最近の英国やドイツのメディアはがらっと方針を変えているのに。

A氏 高市氏や茂木氏についてはイメージの問題があり、役人の反応も今一つ。両者とも強固なブレーンを作る必要がある。ただ、やはり一番怖いのは、小泉首相が誕生したら外交で何を言い出すかということだ。

B氏 その前に立憲民主党代表が野田佳彦氏になれば、党首討論でKOされる様が目に浮かぶ。

―良きにつけ悪しきにつけ小泉氏の発信力は絶大。「セクシー首相誕生か」などとも報じられたが、結末はいかに。

【石油】不透明な原油価格 読みづらい米大統領選の影響


【業界スクランブル/石油】

NY原油先物は、9月初めに1バレル70ドルを割り軟化している。米中経済と石油需要の見通し、OPECプラスの減産緩和動向、パレスチナ紛争とウクライナ戦争の行方が主な変動要因だが、先行きは不透明だ。そうした中、米大統領選の原油価格への影響についてよく質問される。

トランプ前大統領が選挙公約に掲げる共和党の政策綱領では「掘って掘って掘りまくれ」と、石油・ガス増産を前面に出した。供給増で原油安になりそうだが、成長志向で国内産業振興という需要増の原油高要素もある。他方、民主党のハリス副大統領は左派・環境派で増産反対や環境規制継続を唱えていたが、その姿勢を転換。最近、シェールオイル・ガス生産に用いる水圧破砕法を禁止するつもりはないと明言した。

電気自動車(EV)化に反対していたトランプ氏は、起業家イーロン・マスク氏の支援で推進派に転じた。ハリス氏はインフレ抑制法(IRA)を継続するだろうが、失速するEVの普及速度には大きな差は出ない気がする。

外交面でも、パレスチナ紛争とウクライナ戦争へのコミットで両者の差は大きいが、原油価格への影響は小さいのではないか。イランとベネズエラへの経済制裁にしても両者は、国内ガソリン価格への影響から違反の原油輸出が黙認されても、建前上、正面切って解除できないだろう。

どちらが勝っても、原油価格には上昇要因と低下要因の双方があり、選挙戦が進むにつれて両者の主張も近づいている。外交政策も差の出しようがない。やはり現時点で原油価格への影響を占うと、不透明としか言えない。(H)

【ガス】隠れたる自民総裁候補 メタハイ開発を一貫主張


【業界スクランブル/ガス】

本稿を書いている8月末時点で、自民党総裁選の立候補者が乱立する状態が頻繁に報道されている。その中で、いち早く立候補を表明したにもかかわらず、マスコミから無視されている人物がいる。青山繁晴参院議員だ。

青山氏は元共同通信社の記者であり、2016年に参議院議員選挙(全国比例区)に初当選し、現在2期目である。無派閥、支援団体なしを貫くなど独自の姿勢を持ち、メディアや講演、ブログなどを通じて、国民に分かりやすいメッセージを発信し続けている。自身のユーチューブには60万人を超える登録者がおり、3年連続で自民党員獲得数1位となっている。「既存の権益や利益構造を壊す」ことを公言しており、一定の支持者から強い支持を得る一方、批判や論争も巻き起こしており、自民党内では微妙な立場なのかもしれない。

エネルギー関係で青山氏が他の候補者と違うのは、日本近海に存在する表層型メタンハイドレートの実用化に向けた活動を積極的に行っている点だ。青山氏は国会での質疑応答や政策提言を通じて、表層型メタハイの開発が国家的な戦略として優先されるべきと主張している。

表層型は取り出せる量も限定的で運搬方法にも課題があるなど、商用化の可能性については未知数だ。が、国がこうした天然ガス資源を自己開発する姿勢を積極的に国内外へ示していくことは非常に有意義。特に産ガス国からは「買う以外に選択肢がない」と見なされている日本のLNGの買い手にとって、交渉力を強化する上で、メタハイの開発検討は重要であり、今後もこうした青山氏の活動に注目していきたい。(G)

G7とグローバルサウス〈下〉 アフリカ囲い込みを巡る角逐


【ワールドワイド/コラム】国際政治とエネルギー問題

G7広島サミットは2023年5月、新興国・途上国との橋渡しを目指し、国際的なパートナーを招き、さまざまな課題を討議した。日本は議長を務めたが、基本姿勢は法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を守り、国際的なパートナーとの関与を強化する観点からG7 を主導した。

一方、同年9月、G20議長国インドはG20ニューデリー・サミットを主宰した。同サミットでは「一つの地球、一つの家族、一つの未来」をテーマに食料安全保障、気候・エネルギー、開発、保健、デジタルといった重要課題が議論された。 岸田首相(当時)は、直後の国連総会でロシアによる侵略により、食料・エネルギーを含め世界経済の運営は深刻化しており、G7/G20として対処する必要性を指摘した。

24年に入ると11月のG20サミットに向け、2月にブラジル・リオデジャネイロでG20外相会合が開催された。同会議で上川陽子外相は、緊迫する中東情勢が世界経済に直接的な悪影響を与えていること、日本はハマスなどによるテロ攻撃を改めて非難、ガザ地区の人道状況に深刻な懸念を表明した。G20あるいはグローバルサウスの一員として、インド、インドネシア、サウジアラビアなどは近年存在感を増している。しかしながら、グローバルサウスは一枚岩ではなく、それぞれが自国の利益に基づいて動いている。BRICS5カ国は23年8月、南アフリカ・ヨハネスブルクで首脳会議を開き、イランやサウジアラビアなど6カ国を新メンバーに迎えることに合意した。

日本は、G7の一員としてのみならず、グローバルサウスの国々に対し、G20のパートナーに共通の利益を提示することが重要である。

さて、日本とアフリカ外交の柱となってきたTICAD(アフリカ開発会議)は8月24~25日、東京で閣僚級会合を開催した。TICADは、25年8月20~22日に横浜で第9回首脳会議の開催を予定しているが、日本は存在感を示すことができるだろうか。

一方、中国は9月4~5日、北京で「中国・アフリカ協力フォーラムサミット」を開催した。今回のサミットでは、国政運営、工業化と農業現代化、平和と安全保障、「一帯一路」の質の高い共同建設の4会議で中国とアフリカの関係指導者が共同議長を務め、アフリカ諸国の多くの代表団メンバーが出席した。中国がこの協力フォーラムを始めて以来、米、仏、英、独、印、日、韓などもアフリカとの間で、同様の趣旨の定期的な会議を開いている。22年に開催されたワシントンサミットでは今後3年間で少なくとも550億ドルの投資を行う計画を発表しており、アフリカでの開発利権を巡っても米中は競い合っている。23年の中国・アフリカ間の貿易額は2821億ドル(40.3兆円)で、2年連続で過去最高を記録した。

アフリカ諸国から見れば、中国はG7と比べれば価値観の違いに寛容であり、自由貿易を推進するように見えるのだろう。

(須藤 繁/エネルギーアナリスト)

日本でのDMEの再評価は可能か


【ワールドワイド/コラム】海外メディアを読む

世界リキッドガス協会(WLGA)は7月23日、6~7月にスイスで行われた国際危険物輸送に関する国連専門家小委員会で「ジメチルエーテル(DME)混合率(ドロップインブレンド)12%以下のLPガス」が既存LPガスの貯蔵と輸送に関する規制の定義に含まれることを発表した。

日本では20数年前から、多様な原料から製造できるDMEをLPガスに混合させる実証試験が進んでいた。しかしながら、当時はLPガス需要供給が安定してきており、費用対効果の面からDMEの本格的普及に至らなかった。

またDMEは、ゴムへの膨潤・浸潤や潤滑性の乏しさなどから、バルブ漏えいにつながる欠点も存在した。5~8%程度の混合比率の試案まで出たものの、DMEの混合比率が大きな課題となった。本格的に導入する場合には、今でもこれら欠点の克服が課題となっている。

近年、欧米を主軸にカーボンニュートラル(CN)への対応から、再生可能原料を使ったrDMEの開発が進んでいる。グリーンLPガスへの社会的要請が高まる日本でも、DMEが大きな役割を果たすのではないかという見方が広がり始めている。すでにグリーンLPガス推進官民検討会の「LPガスのCN対応に向けた今後のロードマップ」には、2035年に向けた数値目標にグリーンLPG/rDME輸入調達として年間100万t、国内生産として20万tが目標値とされている。日本で独自展開している合成LPガス製造と、欧米諸国が積極的に取り組んでいるrDMEの既存LPガスへのドロップインブレンドの技術開発が競い合っているのである。かつての基礎知見では欧米に負けない技術開発を行ってきたDME研究開発技術が復活、再評価されるのか注目を集めている。

(花井和夫/エネルギ―コラムニスト)

【新電力】酷暑下の予備率予測 安定した市場運営に課題


【業界スクランブル/新電力】

酷暑日・ゲリラ豪雨が連発し、ついにこの気象状態が夏の通常となるのではと感じさせる今日この頃。7月上旬はこの気温の上昇に伴う需要増が起因し、東京エリアを中心に予備率が厳しくなる状況が相次いだ。今年度からの容量市場の導入に伴い、容量提供事業者は低予備率の時間帯においてリクワイヤメント達成のために市場応札が求められ、連日のように供給力の拠出に迫られた。

ここで浮き彫りとなった課題は、前週時点、前々日時点での予備率の予測の精度だ。需給ひっ迫が予想される時間帯であっても、実需給断面が近づくにつれ、回復することが散見された。

原因調査が進んでいるものと理解しているが、需給調整市場の落札率が低く、本来調整力として確保されているはずの供給力が認識されておらず、実需給断面に近づくにつれ、供給力としてその余力を認識されるようになっているためだとの仮説もある。

予備率は2022年からインバランス料金のベース(需給ひっ迫時には需給ひっ迫インバランスカーブに基づきインバランス料金が決まる制度に変わっている)になるなど、小売電気事業者をはじめとした市場参加者にとっては、運用上重要なインデックスになっている。

容量市場・需給調整市場のスタートによって、新たな課題が顕在化したわけだが、この夏のような酷暑が当たり前になってきた昨今の状況を鑑みると、高温による予備率の低下が毎年常態化することも考えられ、その下で安定した市場運営がなされるようにするためにも、予備率がその実態をもって精度高く予測されることが求められる。(K)

AZEC閣僚会議開催 多様な道筋を示した日本


【ワールドワイド/環境】

8月中旬、ジャカルタで第2回AZEC(アジア・ゼロ・エミッション共同体)閣僚会合が開催された。AZECは脱炭素化を推進するアジア諸国による枠組みとして日本が提唱したものであり、現在オーストラリア、ブルネイ、マレーシア、フィリピン、ベトナムなどの11か国がパートナー国となっている。

共同声明にはAZEC原則として「気候変動対策、包摂的な経済成長の促進、エネルギー安全保障の確保を同時に実現するというトリプル・ブレークスルーを目指すこと」および「一つの目標、多様な道筋という概念を尊重し、地理的、経済的、技術的、制度的、社会的、公平性を含む各国固有の状況、既存の目標や政策、開発上の課題を考慮した上で、カーボンニュートラル/ネット・ゼロ排出に向けた多様かつ現実的な道筋が存在すること」が強調されている。

「多様な道筋」は日本が昨年の広島サミット議長国であった際、共同声明に盛り込んだ概念であり、AZECもこの考え方に沿っている。成長著しいアジア諸国においては急増する電力需要に対応するため、大量の石炭火力が設置されてきた。石炭火力のプラント年齢はいまだに若く、直ちにフェーズアウトできるはずはない。だからこそ石炭とアンモニアあるいはバイオマスの混焼などによって発電電力量当たりのCO2排出量を下げていくことが現実的だ。唯一のG7諸国である日本がアジアの実情をも踏まえた「多様な道筋」を主張した意義は大きい。

しかし逆風もある。昨年のCOP28では国際環境NGOが「岸田首相はAZECを通じて、水素とアンモニアの混焼技術を使って石炭・ガス発電所を稼働させ続けるよう、東南アジアに売り込みを行い、自然エネルギーへの移行を遅らせている」との理由で日本に化石賞を授与した。 これはアジアのエネルギーの現実から乖離したものである。

石炭から天然ガスへの燃料転換、アンモニアと石炭の混焼、天然ガスと水素の混焼、CCUSさらには原子力も幅広くスコープに入れたAZECは、アジア各国の実情を踏まえた現実的なエネルギー転換のプラットフォームたり得る。そのためにはAZECのみならず、COPなどの場でアジア諸国自身が「多様な道筋」の現実性、必要性について声を上げることが重要だ。

(有馬 純/東京大学公共政策大学院特任教授)

【コラム/10月18日】長期脱炭素電源オークションの課題


矢島正之/電力中央研究所名誉研究アドバイザー

容量市場の一部として「長期脱炭素電源オークション」が2023年度から導入された。本オークションは、脱炭素化に向けた新設・リプレース等の巨額の電源投資に対し、長期固定収入が確保される仕組みにより、容量提供事業者の長期的な収入予見性を確保することで、電源投資を促進するためのものである。初回となる2023年度オークションの入札は2024年1月に実施され、4月26日にその約定結果が実施主体である電力広域的運営推進機関(OCCTO)により公表された。

長期脱炭素電源オークションは、大きく、「脱炭素電源」と「LNG専焼火力」があるが、前者は、募集容量400万kWに対してほぼ同レベルの401.0万kWが約定した(約定総額は年間2336億円)。後者は、募集上限600万kWに対して575.6万kWが約定した(約定総額は年間1766億円)。また「脱炭素電源」のうち「蓄電池・揚水」は、100万kWの募集容量を大きく上回る166.9万kWが約定した。これは「既存火力の改修(水素・アンモニア混焼)」区分などが募集上限に満たなかったため、余った枠が「蓄電池・揚水」に振り分けられたためである。また、蓄電池だけを見ると、落札109.2万kWに対して不落札が346.7万kWと激しい競争となったことが窺える。落札者で目立つのは、海外で実績を積んだプレーヤーで、電力関係者にとって初めて見る企業名が多かったようである。なお。原子力では、既設の中国電力島根原子力発電所3号機1件が落札している。

このような落札結果も踏まえて、長期脱炭素電源オークションのあり方について、様々な機関や識者から見解が述べられているが、以下では、筆者の考える本オークション制度の課題をいくつか述べたい。まず、「脱炭素化に向けた新設・リプレース等の巨額の電源投資に対し、長期固定収入が確保される仕組みにより、容量提供事業者の長期的な収入予見性を確保することで、電源投資を促進する」という本オークションの目的は達成されるであろうか。大型電源の建設を目指す事業者からの指摘にあるように、原子力、大型揚水、大型火力のような大型電源に関しては、リードタームが10~20年程度、総事業期間(各種調査から建設、運転、廃止まで)は、60~100年程度に及ぶため、収入やコストの変動リスクが大きく、投資の意思決定には慎重な事業性評価が求められる。

現段階で最善のコスト見積りをしても様々なコンティンジェンシーの発生で、コストが大きく上振れすることがあるだろう。税制や規制の変更によるコストの変化は、事後的な調整が認められるようになるかもしれないが、金利上昇、インフレ、為替変動など投資判断時点で予見できないその他のコスト変動要因のすべてを考慮した事後的調整を認めることは現実にはありえないだろう。そのような不確実性が存在する場合、応札価格を適切に設定することは、事業者にとって非常に難しいだろう。このため、大型電源の新設に関しては、投資に慎重になる事業者も少なからず存在するだろう。このことは、とくに建設から廃止措置に至るまで総事業期間が100年程度となる原子力発電の新設に関して当てはまる。

将来コストの不透明性が著しいのは、水素やアンモニアの専焼・混焼火力発電などの実証段階にある技術についてもいえる。本来、このような技術は信頼性、操作性、コストなどに関する実証試験を経て、初めて市場に出回るものである。実証段階の技術では、完成時のコストが当初見積りよりも、大幅に上振れするリスクは存在している。このため、大型電源の新設同様、実証段階の技術に関しても、応札価格を適切に設定することは、事業者にとって非常に困難となる可能性がある。このように考えると、従来の容量市場を補完して「容量提供事業者の長期的な収入予見性を確保することで、電源投資を促進するため」に導入された長期脱炭素電源オークションであるが、事業環境の一層の整備のために、制度の修正が必要になってくる可能性がある。

課題として次に指摘したいのは、脱炭素電源を導入する際に、設備や資源の調達に関して構築されるサプライチェーンの地政学的なリスクを考慮しなくてよいのかという点である。脱炭素は達成したけれども、設備や資源の供給が特定の国に大きく依存することにならないように、入札の条件や評価方法を工夫することが必要ではないだろうか。

最後に指摘したいのは、長期脱炭素電源オークションの対象外となった小規模再生可能エネルギー電源(10KW未満)の応札が可能となるような見直しが求められる点である。大規模脱炭素電源は膨大なコストがかかり、また将来コストの予測も難しいが、再生可能エネルギー電源は、長期的にコストダウンが見込まれ、将来的な拡大ポテンシャルは高い。このような再生可能エネルギー電源のポテンシャルを最大限引き出せるように、最低入札容量の引下げやアグリゲーションの要件緩和などにより、小規模電源でも応札しやすいような制度とする必要があるだろう。

電力自由化の綻びを繕うために、既存市場の補正や新たな市場の創設が絶えず行われてきたが、長期脱炭素電源オークションは、自由化の問題を解決する抜本的な処方箋となるだろうか。電力自由化は、いつまでも発展途上にあるのではなく、そろそろ完成されたものになってほしいものだ。


【プロフィール】国際基督教大修士卒。電力中央研究所を経て、学習院大学経済学部特別客員教授、慶應義塾大学大学院特別招聘教授、東北電力経営アドバイザーなどを歴任。専門は公益事業論、電気事業経営論。著書に、「電力改革」「エネルギーセキュリティ」「電力政策再考」など。

【電力】脱石炭火力の時期 政府や事業者が選べるのか?


【業界スクランブル/電力】

今年もCOPの季節がやってくる。この時期になると、石炭火力をいつまで続けるのかが話題になる。今年のG7では「気温上昇を1・5℃以内に抑えられる時間軸」と逃げたが、毎年、廃止への圧力は強まっている。

データセンターや半導体工場の増設で需要の伸びが上方修正される中、原子力の再稼働や再エネの導入も思うように進まず、ガス火力の新設も10年くらいはかかる。政府や発電事業者の腹の中は、高効率機は2030年代までは使わないと需要は満たせないのではと思いつつ、いくつかシナリオを作って様子を見ながら考えよう、と言ったところではないだろうか。

ところで、石炭火力の廃止は、政府や発電事業者が選択できるのであろうか。発電所というハードの稼働という観点からはそうかもしれないが、燃料のサプライチェーンを考えると、そうもいかないのではという疑問が湧くのだ。

炭鉱、鉄道、港、輸送船などのサプライチェーンは、長期にわたり一定の物量が期待できることで、初めて投資が行われる。いつ頃まで、どの程度の数量を使うのかという政策も示さず、発電会社は、自由化もあって長期契約はダメと言いながら、供給インフラが今の姿で残っていくと期待するのは、あまりにおめでたい。ただでさえ、日本の石炭火力は、石炭や輸送船のスペックにはうるさいのだ。気がつけば、石炭が出てこない、運べない、あるいはとても価格が合わないということになりはしないだろうか。

海外から燃料を輸入せざるを得ない日本においては、サプライチェーンにしっかり寄り添って「撤退戦」を考えねばならないはずだ。(M)

暫定政権下のバングラデシュ エネルギー改革の行方注視


【ワールドワイド/経営】

バングラデシュで8月8日、暫定政権が発足した。首席顧問にはムハマド・ユヌス氏が就任し、20人の顧問が任命された。2009年から首相を務めたシェイク・ハシナ前首相は同月5日に辞任した。本稿では8月下旬までの報道をもとに、この政変の電気事業への影響などを時系列で紹介する。

外出禁止令の発令から約1週間後の7月28日、インド・ネパール政府間で、インド経由でネパールから4万kWの電力を輸入する契約の調印が予定されていたが延期となった。またインド電力省は8月12日、バングラデシュ政変を受け、電力輸出入に関するルールを定めた「電力輸出入ガイドライン」を改正した。これまでインドでは、輸出専用の発電所は国内で売電できなかったが、相手国からの支払リスクが生じた際に国内系統への接続を認め、インドで売電できるようにした。バングラデシュは現在、三つの国際連系線を通じて、インドから電力需要の15%を輸入している。

暫定政府は、ハシナ政権時代に制定された「電力・エネルギー迅速強化(特例)法2010」と「エネルギー規制委員会(改正)法第34条」を一時停止した。前者は迅速な電源開発を目的として競争入札を免除、後者は政府に直接料金改定の権限を付与する法律で、いずれも電気料金が不当に高くなったと批判が出ている。電力・エネルギー・鉱物資源省のカーン顧問は8月22日、今後の電力・エネルギー部門の調達で入札を行う方針を示した。

政策シンクタンクCPDは8月18日、暫定政府に対しエネルギー改革案を提言した。CPDは「41年までに電力の40%をクリーンエネルギーにする」という目標に、水素・アンモニア混焼やCCS付き火力が含まれる点を批判し、目標達成に向けて23年に国際協力機構(JICA)の支援で策定された「統合エネルギー電力マスタープラン」の改訂も求めた。

野党は3カ月以内の総選挙実施を求めているが、19日付の印英字紙タイムズ・オブ・インディアは、ユヌス氏の「選挙の前に選挙管理委員会、司法、民政、治安部隊、メディア改革を行う」という発言を引用し、総選挙がすぐには行われない見通しを報じた。暫定政権期間を3年に延長する請願が高等裁判所に出されており、暫定政権が長期化する可能性もある。今後、暫定政権下でどこまでエネルギー改革が行われるか注視が必要である。

(栗林桂子/海外電力調査会調査第二部)