【川崎重工業/水素運搬船用貨物タンクの技術開発を終了】
川崎重工業は6月、大型液化水素運搬船用の貨物タンク(CCS)の技術開発を完了したと発表した。これは、NEDOの助成事業で、大型液化水素運搬船用CCSの性能確認用タンクの設計・製作と性能確認試験を進めてきたものだ。水素の海上輸送には、超低温の液化水素を長期間安定して保冷するタンクが不可欠だ。その実現のため、同社はこのほど新構造のCCS「CC61Hタイプ」を開発した。4基の合計搭載容量16万㎥の実物に近い規模で試験用タンクを製作し、ガス置換・冷却・昇温試験を実施。タンク内の大空間が不活性ガスにより効率良く置換できることや、計画通りの断熱性能が得られることを確認した。同社は今後も、水素エネルギーの普及を目指していく。
【伊藤忠商事・カネカソーラー販売/兵庫県豊岡市で電力サービス事業を開始】
伊藤忠商事とカネカソーラー販売は、豊岡地域エネルギーサービス合同会社を設立し、2023年度から豊岡中核工業団地で蓄電所事業、太陽光PPA事業、地域マイクログリッド事業を組み合わせた電力サービス事業を開始する。伊藤忠商事が展開する商用EVの使用済み蓄電池をリユースした大型蓄電システムを同事業の中心に据え、卸電力市場、需給調整市場、容量市場で活用し電力市場の安定化に資する運用を行う予定。また、同工業団地の入居企業各社の建物の屋根に設置する太陽光発電設備で発電した電力を各社に供給するPPA事業も展開。余剰電力は、伊藤忠グループのアイ・グリッド・ソリューションズが買い取り、周辺地域に電力供給を行う。
【ブルーイノベーション/ドローンポートシステムで世界初の国際標準規格を取得】
ブルーイノベーションが手掛ける物流用ドローンポートシステムの設備用件が、「ISO5491」として国際標準規格化された。150kg以下のドローンを扱うポートが国際規格として採用されたのは世界初。これにより、世界中の物流におけるドローンポートシステムの開発や運用実証、事業化検討などが同規格に基づいて進められるようになり、グローバルな情報共有や技術開発、社会実装の加速に期待が高まる。さらに同社は8月1日、同規格に準拠したドローンポート情報管理システム「BEPポート|VIS」のβ版の提供を開始する。物流事業者や点検事業者、ドローンポートメーカーなどとともに、物流や災害対策、点検、測量などの分野でドローンの利活用を目指す構えだ。
【中国電力/水力発電計画の策定に向けたAI開発】
中国電力は、エクサウィザーズ社と共同で、AIを使用して貯水池式水力発電所の発電計画を最適化するシステムを開発した。従来は、簡易なダム流入予測と熟練者の経験で策定していた。システムの活用でダム流入量の予測精度を高め、より精緻な発電計画を策定して、さらなる水資源の有効活用やCO2排出量低減につなげる。佐々並川ダム(山口県)と周布川ダム(島根県)で試運転済みで、今後は実運用に移行する。改善を加えながらほかのダムへの導入も進める計画だ。
【ジャパンマリンユナイテッド/洋上で浮体を接合 モックアップ試験を実施】
ジャパンマリンユナイテッドは、洋上風車浮体の量産化手法を確立するため、洋上風車浮体の洋上接合のモックアップ試験に着手した。現在、浮体製造に適した幅80m以上の大型ドックは国内に数カ所しかない。風車の大型化に対応し浮体のサイズが大型化すると、ドック内で浮体を完成させられなくなる。このため、同社ではドック内で浮体を一定サイズのブロックまで作成した後、進水させ、洋上で浮体ハーフボディー同士を溶接接合する工法を考案した。国内の多くの造船ドックで製作が可能になる。
【大阪ガス・三井化学/泉北コンビナート CO2を回収し利活用】
大阪ガスと三井化学は、泉北コンビナート(大阪府堺市)から排出される二酸化炭素(CO2)を回収し、利活用する事業の共同検討を5月末に開始した。三井化学の製造プラントなどの排ガス、およびDaigasグループの泉北天然ガス発電所の排ガスからCO2を分離・回収する。さらにそのCO2を国内外でメタンやメタノールなどの原料として再資源化して利活用(CCU)したり、回収・貯留(CCS)することを想定している。両社は国が主導するカーボンニュートラル燃料の供給拠点の実現を目指して取り組む。
【関西電力/舞鶴発電所向け燃料輸送にLNG船導入】
関西電力は、舞鶴発電所(京都府・石炭火力)向けの燃料輸送で、LNGを燃料とする船舶を導入する。商船三井と輸送契約に関する基本協定書を交わした。船の載貨重量は約9万4900t。2026年7月完成の予定だ。LNG燃料船は、従来の船舶燃料油を燃料とした輸送船に比べ、約25%のCO2削減が見込まれるため、輸送分野での温室効果ガスの総排出量削減を通じて、社会全体の排出量削減に寄与する。窒素化合物(NOX)は約85%、硫黄酸化物(SOX)は100%削減できる。
【日鉄エンジニアリング/第2世代バイオ燃料 生産設備着工】
日鉄エンジニアリングは6月、次世代グリーンCO2燃料技術研究組合から受注した第2世代バイオエタノール生産設備を着工したと発表した。運転開始は来年10月の予定。現状の自動車用バイオエタノール燃料は、可食性バイオマスが原料の第1世代が大半だが、農業残さなどの非可食性バイオマスを原料とする第2世代製造技術の普及が求められている。
【NextDrive/コンソーシアム参加 家庭用蓄電システム制御】
NextDriveはエナリスがリーダーを務めるコンソーシアムに、リソースアグリゲーターとして参加する。国内最大規模となる分散型リソースを導入する、アグリゲーションビジネス拡大のための実証事業だ。蓄電池やデマンド・レスポンスは、調整力として活用される。同社はIoEプラットフォーム「Ecogenie+」をベースに、家庭用蓄電システムの制御を担う。
【JFEエンジニアリング/食品リサイクル発電 プラント本格稼働開始】
愛知県小牧市で、JFEエンジニアリンググループが手掛けた食品リサイクル発電プラントが5月末に稼働した。1日最大120tの食品廃棄物を受け入れ、微生物の力で発酵、発生させるメタンガスを燃料にして発電を行う。発電出力は1100kW、年間の発電量は約9200MW時を想定している。小牧市は、2016年から5年連続で廃棄物リサイクル率が愛知県内で1位となるなど環境への意識が高く、再エネの導入にも積極的な地域だという。JFEグループは処理過程で発生した発酵残さを肥料化して活用することも検討している。
【大成建設・デンソー/空調設備でCO2回収の実証を開始】
デンソーと大成建設はこのほど、大成建設技術センター内にある「人と空間のラボ(ZEB実証棟)」で、デンソーが開発したCO2回収システムを用いてCO2を効率的に回収し、利活用する共同技術検証を今年9月に開始すると発表した。デンソーは、工場などから排出されるCO2だけでなく、日々の生活の中で排出される小規模で低濃度なCO2回収も視野に入れている。この検証では、大成建設の会議室の空調設備にデンソー製のCO2回収システムを組み込み、会議室使用時の排気からCO2を回収。そのCO2を環境配慮コンクリート「T― eConcrete®」に固定する実験などを行う。両社は今後、検証の成果を踏まえながら、脱炭素社会の実現に貢献する構えだ。