統合コストの必要性/間接送電権の導入の狙い
Q 再生可能エネルギーの統合コストという考え方はなぜ大事なのでしょうか?
A 電源別のコストとしては、通常、均等化発電コスト、いわゆるLCOEという指標がこれまでよく用いられてきました。電源単独で評価した時の平均的なkW時単価とも言えます。
他方で、電力は高い品質を維持しつつ消費者に届ける必要があります。そのためには、瞬時瞬時で電力の需給を一致させる、いわゆる同時同量が求められます。しかし、とりわけ太陽光発電や風力発電のような変動性再エネ(VRE)は、天候に依存するため単独では同時同量の実現が事実上できません。
温暖化対策としてVREの比率が高まってくると、需給をバランスさせるために要する費用が大きくなっていきます。そのため、統合コストに対する理解を深めることが重要になってきます。
電力市場取引においても、卸取引市場(kW時)から容量市場(kW)や需給調整市場(⊿kW)へと、異なった価値の取引を行う市場が広がってきています。これも統合コストの重要性が高まってきたことと深く連関しています。
第7次エネルギー基本計画の策定に併せて実施された発電コスト検証においても、統合コストの重要性が指摘され、統合コストを含めた場合の各種電源の発電コストの2040年の推計値が提示されました。例えば事業用太陽光発電は、LCOEでは安価と推計されるものの、統合コストを含めると(ただし極端気象時の再エネ出力の予測誤差、送電網の追加整備費用などは含まず)、VREの設備容量比率が5割程度を超えると、原子力や火力よりも高価になると推計されました。今後、ますます増大する再エネ導入に際し、統合コストも含めたコストの理解が一層重要になっていきます。
回答者:秋元圭吾/地球環境産業技術研究機構主席研究員
Q 間接送電権はなぜ導入され、今見直されようとしているのでしょうか?
A 間接送電権とは、日本卸電力取引所(JEPX)が運営するスポット市場で市場分断が発生した場合にエリア間値差を精算する商品です。2018年4月からJEPXの間接送電権市場において取引が開始されました。従来、事業者は先着優先に基づき連系線容量を確保していたため、市場分断の影響を受けませんでした。しかし、公正な競争環境の整備と広域メリットオーダーの達成を促す観点からスポット市場を介した連系線利用制度である間接オークションに同年10 月以降、切り替えられました。この制度では、スポット市場でエリア間値差が発生する場合、相対取引などのエリア間取引を行う事業者は、事業者間で合意した取引価格で受渡しができなくなるリスクを抱えます。この値差リスクをヘッジするために間接送電権が導入されました。
JEPXが運営する間接送電権市場では、週間24時間の商品が2カ月前に4~5週間分まとめて取引されます。また、値差が発生する蓋然性が高く、ある程度の取引量が見込まれる5連系線6商品が提供されています。一方、間接オークションが導入される以前に、先着優先に基づき連系線容量を確保していた事業者には無償でエリア間値差の損益を調整する経過措置が26年3月まで適用されます。経過措置の終了後、間接送電権市場の取引量は増加すると考えられます。こうした背景を踏まえ、1月24日に「間接送電権の制度・在り方等に関する検討会」が立ち上がり、他の連系線における商品設定、長期の商品設定、直近での取引追加などについて検討される方向です。連系線を利用する事業者のニーズに合った商品が設定されることが期待されます。
回答者:大西健一/日本エネルギー経済研究所電力ユニット電力グループマネージャー




