米国では、電力小売の自由化は、1997年にロードアイランド州から始まったが、わが国同様、小売料金を一時的に規制する州が多かった。その規制解除の動きは、2000年代初めからあったが、2000年代半ばにピークを迎えた。規制期間中はこの間生じたコスト増の料金への転嫁は十分には(または完全に)できなかったことから、規制解除後の料金の値上げは大幅なものとなり、大きな問題となった。一例を挙げると、メリーランド州では、2006年7月に規制解除時期を迎え、Baltimore Gas and Electric Company (BGE) と Potomac Electric Power Company (PEPCO) は、それぞれ72%と39%の引き上げを行うことになった。
また、メリーランド州などにおける料金規制解除に伴う料金値上げ問題に先立ち、米国では、2000年から2001年にかけて、カリフォルニア州の電力危機を経験している。カリフォルニア州は、1998年に全面自由化に踏み切ったが、 2000年夏場から2001年冬場にかけて、電力需給の逼迫に端を発した電力価格の高騰が発生した。2000年12月には卸電力価格は前年比10倍を記録したが、大手電力会社Pacific Gas and Electric Company(PG&E)の小売料金は規制されていたため、同社は、コスト回収ができず、倒産を余儀なくされた。また、大規模停電も発生し、安定供給が脅かされた。カリフォルニア州の電力危機は、小売料金を規制することの大きな問題点を浮き彫りにした出来事であった。
B 両氏の次官への道は残されている。山下氏が就いた中小企業庁長官は政治との関わりが深く、経験を積んで着々と次官の座をうかがえる。
A 飯田氏と藤木氏は入省こそ88年の同期だが、学年は藤木氏が2つ下。仮に来年、藤木氏が事務次官に就任しても、年齢的にも他省庁との年次バランス的にもおかしくはない。次官の芽を摘まないように、経済産業政策局長にしたのは人事の妙だ。
C 昨年は事務次官の入省年次が、ナンバー2の経済産業審議官より1年若い異例人事だった。やはり次の次官は藤木氏で、88年組が続きそうな予感がする。
B 官房長になった片岡宏一郎氏(92年)は秘書課長を長年務めた。真面目な性格の持ち主で、信頼が置ける調整型だ。 官房長は企業でいうと総務企画部長兼役員のような立場で、政策の総合調整と総務や人事を担当する。政策は官房長、人事は総括審議官や秘書課長といったように担当分野を分けることもしばしば。経産省の場合、官房長は年次が高かったり、低かったりとバラバラだ。
経産省らしい自由な人事 一般紙の注目は
A 昨年はエネ庁が時代に合わせた組織改編を行い、石油や天然ガス、石炭を課の名前から消し、水素アンモニア課を新設した。85年に石油部計画課に入省した西村康稔前経産相が会見で入省当時を振り返り、「時代の大きな変化を感じている」と語ったのを思い出す。