シェブロンは、フォーブス誌のWorld’s Best Employers(2023)において、オイルメジャー企業の最高ランクに選出された。この結果は、若者の化石燃料離れや価値観の変化に対応し、多様でインクルーシブな職場環境の整備を進めてきた努力の賜物といえよう。若者世代の価値観が大きく変化する中、既存のエネルギー事業者における人材獲得はますます難しくなっている。脱炭素戦略とは、エネルギー事業者の生き残りをかけた人材戦略でもあることを認識する必要があろう。
理由1は、“Well to Wheel”という表現でよく評価されている。これは、「井戸から車輪」という意味である。つまり、採取した原油のエネルギーが自動車の車輪の駆動に使われるまでのプロセスを全て考慮して、その過程での二酸化炭素の総合的な排出量を評価する手法を言う。
Well to Wheelでの炭酸ガスの総合排出量の比較 出典:「総合効率とGHG排出の分析報告書」(財団法人日本自動車研究所、2011年3月)をもとに資源エネルギー庁作成、の抜粋
図に資源エネルギー庁が公表しているWell to Wheelでの各種動力源を持った自動車の炭酸ガス総合排出量の比較を示す。この図から、1km走行当たりの炭酸ガス排出量は、BEVで77g、HEVで95gとなっていて、東日本大震災以降の電源構成ではBEVはHEVと比べて17.1%の削減量となっている。すなわち、BEVが炭酸ガスを全く排出しないクリーンな乗り物であるという考えは、まったくの妄想であり、HEVと2割も変わらないのが事実である。