【コスモ石油マーケティング】
コスモ石油マーケティングは、企業や自治体の脱炭素化をサポートする商用EVリースサービスを発表した。
EVのリース、充電設備、メンテナンス、再エネ由来の電力供給までトータルでサポートする。
コスモエネルギーホールディングスの子会社コスモ石油マーケティングは10月、都内で会見を開き、脱炭素ソリューション「コスモ・ゼロカボプラン」を発表した。併せて、同プランで使用するASF社の商用軽EV「ASF2.0」の試乗会を開催した。
ゼロカボプランは、同社が2010年から始めた「コスモマイカーリース」の仕組みを利用して展開する。同商品は、国産全メーカー・全車種から車が選択可能で、頭金は0円で車検、税金、メンテナンス諸経費を含めたパッケージ商品だ。ガソリンスタンド(SS)で申し込みから給油、整備までできるので、ユーザーと密着したきめ細かいサービスが特長だ。
現在の契約台数は累計で10万台を超える。このうち約85%がBtoCである一般ユーザー。残る約15%が商用となっている。発表したASF2.0では、拡大余地のある商用を狙う。

法人向け脱炭素プラン 一気通貫のサービスが魅力
商用向けの実用EVパッケージのゼロカボプランは、コスモマイカーリースで培ったノウハウをBtoBに生かし、SS店舗から法人とのつながりの創出を図っている。EV向けの充電器に関する工事一式や補助金申請、車両整備などをワンストップで提供。商用EVリースをフルパッケージ化した。
また、同社が展開する電力小売事業の「コスモでんきビジネスグリーン」を使い、実質再エネ電力も供給して、企業の脱炭素化をトータルでサポートする。
岡田正常務執行役員は「現在脱炭素の音頭を取っているのは、国や地方自治体、企業だ。新たなターゲットであるBtoBへモビリティサービスを広げていくため、EV導入をきっかけに脱炭素化を進められるゼロカボプランを打ち出した」と意気込む。
同プランで使用するASF2.0は、30kW時リン酸鉄リチウムバッテリーを搭載し、航続距離209kmを実現。ドライバーにとっての使いやすさと安全性、環境への配慮を追求した商用軽バンだ。
ASF社は商品開発に当たり、佐川急便のドライバー7000人にアンケートを実施。現場の要望を細やかに実車に反映した。
具体的には、疲れの出やすい長時間の運転に配慮し、助手席よりも運転席が幅広く取られていたり、伝票用の書類収納が頭上にあるなど、ドライバーファーストのつくりとしている。業務上で使用するアプリをつなげられるよう、スマートフォンの画面ミラーリング機能も備える。低床設計の荷室はフルフラットで、大きく重い荷物もスムーズに出し入れできる。
なお、リース料金は黒ナンバー(商用軽自動車)で1カ月1000~2000kmの使用で2.5~2.8万円、黄ナンバーで3.3~3.6万円程度になる見込みだ。


ドライバーに優しい車 負担を軽減した設計
試乗会には多くの報道陣が集まった。約2kmの公道を実際にASF2.0に乗って試運転することができた。聞こえてくるのはモーター音ぐらいで、振動も少ない。荷崩れの心配もなさそうだ。一日のほとんどを営業車で過ごすドライバーのストレスを軽減する運転手に優しい車だと感じた。
ユーザーのかゆい所に手が届く装備や乗り心地、サービスパッケージに、コスモ石油マーケティングの並々ならぬ気合が感じられた。「クリーンなエネルギーサービスをお客さまに便利な形で提供することに真摯に向き合いたい」と岡田氏は語る。
同社は、さらに進化したBtoBエネルギーサービス提供にまい進していく構えだ。