ネガティブエミッション 国の計画にも反映を


【脱炭素時代の経済探訪 Vol.21】関口博之 /経済ジャーナリスト

日本エネルギー経済研究所が毎年出す「IEEJアウトルック」。2050年までの世界のエネルギー需給を予測し公表しているものだが、最新版では初めて章を設けて「ネガティブエミッション技術」を取り上げている。ネガティブエミッション=負の排出とは、CO2を回収し、大気中のCO2濃度を純減させることを指す。脱炭素対策を進めても鉄鋼・セメント・化学など排出をなくすのが困難な部門は残る。この残余の排出を相殺し、埋め合わせるのがこうした技術だ。

なぜ今回の「アウトルック」でここに焦点をあてたのか。同研究所の小林良和研究主幹は「米国のインフラ抑制法でDACCS(直接大気回収貯留)に対し大規模な支援が導入されたことや、日本でも同種の技術開発支援が始まるタイミングを捉えた」という。小林氏らのリポートの主張は明快だ。産業や長距離輸送などで化石燃料の利用がどうしても残ってしまうとすれば、ネガティブエミッションの活用を、長期的な排出削減計画の中に明確かつ具体的に位置付けるべきだという。全く同感だ。現行の第六次エネルギー基本計画はDACCSや森林吸収などに触れてはいるが、数値目標などはない。いわば“最後の手立て”という扱いにすぎない。

製鉄などCO2排出ゼロが困難な部門がある

われわれも、もっとこのネガティブエミッション技術を知る必要がある。代表的なものの一つが前述のDACCS。大気から化学的あるいは物理的にCO2を吸着・回収し、それを老朽油田やガス田など地中に埋める。地下貯留ではBECCSもある。バイオマス発電(原理的にはこれ自体がカーボンニュートラル)から出るCO2を回収して埋めるものだ。専門家によればこの二つは技術が実用段階に近い上、除去できる量のポテンシャルが大きく、その計測も容易なことがメリットだという。

自然のプロセスを使うネガティブエミッションもある。植林によるCO2吸収はイメージしやすい。木は成長するとCO2の吸収が低下するので伐採しては植え直す、山火事を防ぐ管理をする、こうしたことも大事だ。近年では海岸でマングローブの生育を促す、ブルーカーボンも注目されている。一方、土壌炭素貯留は不耕起(耕さない)栽培で、農地の土壌の中に炭素を蓄える量を増やす試みだ。さらには木材を炭にすることで炭素を長期間閉じ込めるバイオ炭という手法もある。この炭を堆肥と一緒に農地にまけば土地を肥やすメリットもあるという。さまざまな技術の特性、コスト、実現可能性を見極めつつ推進していくことが求められる。

技術開発とともに重要なのは国民の理解だろう。ネガティブエミッションに対しては“化石燃料の延命”を許すことになるのではないか、という懐疑的な見方があるのも確かだ。誤解や思い込みもあるかもしれない。こうした疑念には丁寧に答えるべきだ。ただ、はっきりしているのは、カーボンニュートラルの実現に本気なら、こうした将来技術は「総動員」するしかないということだ。本気じゃない傍観者になってはいけない。

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せきぐち・ひろゆき 経済ジャーナリスト・元NHK解説副委員長。1979年一橋大学法学部卒、NHK入局。報道局経済部記者を経て、解説主幹などを歴任。

商用車のEV化をAIでサポート 効率的な充電や運行をマネジメント


【中部電力】

中部電力はアークエルテクノロジーズと共同で、路線バスや配送トラックなどの商用電気自動車(EV)向け充電マネジメントシステム「OPCAT(オプキャット)」を開発し、9月下旬にサービスの受付を開始した。


充電・運行を一括管理 コストを最小限にとどめる

カーボンニュートラル(CN)実現に向け、商用車の電動化が急務となっている。複数台の充電設備を設置する事業所が増え、設備増強にかかるコストや充電が集中することによる電気料金(契約電力)の上昇など、経済的な負担が課題だ。

こうした課題に対し、両社は2022年から、複数台配備されたEVの充電スケジュールをAIにより自動生成し、運行に必要な電力量を効率的に充電するEV充電マネジメントシステムの実証・開発を進めてきた。システムの実証・開発には、施設の電力需要予測や時間帯別の電気料金に加え、EVの運行計画や位置情報、電池残量などリアルタイムな車両データを組み合わせている。

電気料金の上昇の抑制と走行ルートの最適化を行う

OPCATでは、車両ごとの充電状態と次回の充電予定や充電器ごとの充電スケジュール、充電量や詳細な電力使用量などを把握可能だ。同システムの導入により、複数台のEVの充電を最適に制御し、施設全体の消費電力を抑えるピークカットと、電気料金の安い時間帯に充電をシフトするピークシフトを実現。EVの導入による経済的負担を最小限に抑えることが可能となる。加えて、運行計画を踏まえた最適な充電で、車両稼働率の向上と車両電動化によるCO2削減にも寄与する。

中部電力事業創造本部の石川和明部長は「国は公共用の急速充電器3万基を含む充電インフラを15万基設置し、30年までにガソリン車並みの利便性の実現を目標に掲げている。これに伴い、バスやトラックなど商用車も電動化に向け、急速充電器の設置台数は拡大していくと想定。車両の複雑な運行計画を一括管理し、スマートな充電を行うことができるOPCATは、市場において優位だと考えている。アークエルテクノロジーズと共に、商用EVのさらなる普及に向けた課題解決・環境整備を進めていく」とコメント。アークエルテクノロジーズの宮脇良二CEOは「CNに向け、車両のEV化は必ず取り組むべきだが、充電が理由で切り替えが進まない事態も発生している。商用EV導入と運用への不安を払拭し、普及に貢献していきたい」と話す。両社はOPCATの提供を通じ、脱炭素社会の実現に貢献していく方針だ。

政権末期の様相を呈す岸田政権 肝心なことを忘れていないか


【永田町便り】福島伸享/衆議院議員

10月23日、6月から続いた長い長い国会議員の夏休みがようやく終わり、岸田文雄首相の所信表明演説で臨時国会の論戦の幕が開いた。

この所信表明演説でエネルギー政策が論じられたのは2カ所だけ。冒頭「エネルギー政策の転換…をはじめ、時代の変化に応じた先送りできない課題に一つ一つ挑戦し、結果をお示ししてきました」と胸を張ったが、原発の再稼働への道を開いただけで、現下のわが国の厳しいエネルギー供給構造を解決する何らかの結果が示されたわけではない。

もう一カ所は、「9月には、年内の緊急措置として、リッター175円をガソリン価格の実質的な上限とするため補助を拡大しました。この措置を電気・ガス料金の激変緩和措置と合わせて来年春まで継続します」とのバラマキ継続宣言だ。

エネ価格補助を追及 岸田首相は答弁できず

もとより、円安の流れは止まらず、ロシアとウクライナの戦争に端を発した世界的な物価高やエネルギー供給危機の状況は変わっていない。この岸田首相の所信表明演説の前には、イスラエルとハマスの間の戦闘が始まり、中東情勢ばかりか世界全体の情勢は極めて不透明になっている。かつてのオイルショック以上のことが起き得ると警戒しなければならない。そうした緊迫した日本のエネルギーを巡る環境の中で、岸田首相の所信表明演説はあまりにも能天気すぎるのではないか。

昨年11月の臨時国会の予算委員会で、私は岸田首相に「今回のこれ(エネルギー価格高騰)は、ある意味チャンスと捉えなくてはならないかもしれない。カーボンニュートラルにいく良いチャンスなんですよ。それを、電気代やガス代の補助によって潰してしまっている可能性もあるんです」と訴え、1973年の第一次オイルショック時の田中角栄内閣が、石油緊急対策で総需要抑制対策をやって、徹底した省エネをやることによって、日本は世界一の省エネ国家になり、原子力産業が発達したことを紹介した。

この議論に対して、岸田首相は「ちょっと答えるのが、なかなか難しくなってまいりました」とまともな答弁はできなかったのだ。岸田首相は、世界の情勢に照らしたわが国の抱えるエネルギーの困難な構造的な問題を、はなから理解しておらず、それを解決するための骨太の政策をつくる気がないのだ。

8月号の本コラムで私は「これまで見てきた政権では、一度解散のチャンスを逃した政権に二度目の解散のチャンスはやってこない」と書いた。今後の中東情勢次第では、近々ガソリン代補助のような的外れな政策では全く対応できないような荒波が襲ってくる可能性もある。

その時まで、果たして岸田政権が続いていいのか。われわれ与野党の国会議員は真剣に考えなければならない。

ふくしま・のぶゆき 1995年東京大学農学部卒、通産省(現経産省)入省。電力・ガス・原子力政策などに携わり、2009年衆院選で初当選。21年秋の衆院選で無所属当選し「有志の会」を発足、現在に至る。

【マーケット情報/12月8日】原油続落、需給緩和を映す


【アーガスメディア=週刊原油概況】

先週の原油価格は、需給緩和感を背景に、各指標全てが続落。また、米国原油の指標となるWTI先物価格は6日、69.34ドルの終値をつけ5カ月振りの低値を更新した。北海原油の指標となるブレント先物価格も同日、6月以来の低値となる74.05ドルを付けた。

中国では11月、原油輸入量が過去10カ月で最低を記録。加えて、米格付け大手ムーディーズ・インベスターズ・サービス社は不況を背景に、中国国債への評価を下方修正。中国景気が一段と減速し、同国からの原油需要が引き続き鈍るとの見方が強まった。

供給面では、米エネルギー情報局(EIA)が、同国9月の産油量が過去最多となったと公表。さらに、米金融大手ゴールドマン・サックスは、OPECプラスが現在以上の減産について合意を得るのは困難だとの見通しを示し、原油価格の下げ基調を強めた。

一方、OPECプラスの11月生産量は、前月から11万バレル減となる日量3,610万バレルとなり、削減目標を下回る水準。ただ、需給の緩みを引き締める材料には至らなかった。


【12月8日現在の原油相場(原油価格($/bl))】

WTI先物(NYMEX)=71.23ドル(前週比2.84ドル安)、ブレント先物(ICE)=75.84ドル(前週比3.04ドル安)、オマーン先物(DME)=75.85ドル(前週比5.39ドル安)、ドバイ現物(Argus)=75.76ドル(前週比5.37ドル安)

東ガス英洋上ファンド出資 国内事業にも知見反映へ


東京ガスが洋上風力事業関係で新たな巨額投資を決めた。同社は11月17日、英オクトパスエナジーが設立した洋上風力投資に特化したファンドに対して2・2億ユーロ(約350億円)の出資にコミットしたと発表。ファンドは東ガス以外の投資家も募り、2030年までに総額35億ユーロを目指すという。

両社はこれまで電力小売事業で協業してきたが、その分野をさらに拡大する。ファンドは当面、欧州の案件を投資対象とし、その初号案件として、21年に稼働したオランダの着床式風力(73・15万kW)の株式5%を取得する。

東ガスは国内外で30年に再エネ600万kWという自社目標達成の推進力として洋上風力に期待しており、国内では茨城県鹿島港の案件などの検討を進めている。

今回の狙いについて、「多様なポートフォリオの案件にさまざまな形で関与できると考えている。海外での洋上風力事業を増やしていく側面と、そこでいろいろな学びを得て国内事業に生かすという両面で価値がある」(川村俊雄・東ガス再生可能エネルギー事業部長)と話している。

目指すは大型水素発電の商用化 「高砂水素パーク」が稼働開始


【三菱重工業】

国の目標よりひと足先にカーボンニュートラルを目指す三菱重工業は水素専焼発電の開発に注力する。

この開発の一大拠点となるのが同社高砂製作所内に開設した「高砂水素パーク」だ。

CO2フリーの次世代燃料として期待されている水素―。この早期実用化に向けて、三菱重工業はガスタービンコンバインドサイクル(GTCC)発電の製造拠点である高砂製作所内に、水素の製造から発電まで一貫して実証可能な「高砂水素パーク」の本格稼働を開始し報道陣に公開した。

高砂製作所内の「高砂水素パーク」全景

同パークは水素の製造、貯蔵、利用の三つのエリアに分かれている。水素製造においては、さまざまな製造方式がある中、世界最大級の水素製造能力1100N㎥時を有するノルウェーハイドロジェンプロ社製のアルカリ水電解装置を採用した。5万1000kW規模のアルカリ水電解装置であり、大型セルスタックでアルカリ水溶液を水素と酸素に分解し、水溶液混じりの水素をガスセパレーターで水素とアルカリ水溶液を分離させる仕組みだ。

三菱重工は米国ユタ州で再生可能エネルギー由来の水素を利用したGTCC発電プロジェクトでインターマウンテン電力向けに水素焚きJAC形2基(84万kW)を導入している。同プロジェクトではグリーン水素を製造する設備の導入も三菱重工が担当しており、ハイドロジェンプロのアルカリ水電解装置を22万kW分に当たる40台を導入している。

高砂水素パークにも、ハイドロジェンプロ社の装置を1台導入した。同装置で1日半程度かけて3・5t分の水素を製造する。水素は隣接する貯蔵施設に貯める。1本当たり10‌kgの水素タンクが350本あり、約20MPaで圧縮して貯蔵する。

東澤隆司GTCC事業部長は「水素混焼の実証は30%から開始する。製造した水素を利用してGTCCをフル稼働すると、1時間程度で消費してしまう。来年には50%混焼を実施するため、タンクを現状の約3倍に増やす」と話す。

川内原発が20年運転延長 準国策に電力供給で貢献


原子力規制委員会は11月に川内原子力発電所1、2号機(出力各89万kW)の20年の運転期間延長を認可した。住民団体などが延長の賛否を問う住民投票条例の制定を直接請求していたが、県議会で否決されている。「九州電力は延長の決定にホッとしていることだろう」(電力関係者)というのも、今後、九州では安価で安定した電力供給が欠かせなくなるからだ。熊本県では半導体受託製造大手のTSMC、またソニーが半導体工場を建設している。多くの関連企業も周辺に立地する。今や準国策といえる半導体の国内生産。それを電力供給面で支えるために、それぞれ2024年、25年に運開から40年を迎える川内1、2号機の稼働延長が必要だった。

九電の経営への影響も大きい。川内原発を再稼働する際に、安全対策工事や特重(特定重大事故等対処施設)の建設に膨大な額の投資を行っている。投資資金を回収するに20年の運転延長は不可欠だっただろう。

原子力で次の一手は―。川内原発の新増設がささやかれている。1兆円を超えるとされる建設資金の回収など課題は多いが、九電の経営は好調。その「挑戦」に期待する声は多い。

政府が世界初の移行国債発行へ 脱炭素化への明確な道筋を描け


【論説室の窓】西尾邦明/朝日新聞 論説委員

政府は世界初のGX経済移行国債を発行し、官民で150兆円超の投資を目指す。

日本の脱炭素の道筋が「1・5℃目標」に整合し、科学的根拠に基づく内容であるか検証が必要だ。

 「世界で初となる国としてのトランジション・ボンドであるGX(グリーントランスフォーメーション)経済移行債は、産業界、アジアにおける同様の取り組みの呼び水となることが期待される」

岸田文雄首相は11月7日、官邸で行われたGX実行会議で、こう強調した。この日、新たな国債「GX経済移行債」のフレームワークを公表し、資金の使途や管理の仕組みについて、国際資本市場協会(ICMA)が示す国際基準に合致することを国内外の二つの第三者機関から認証を得て、「国際的評価に至った」と胸を張った。

日本の移行国債は脱炭素と経済成長の両立を掲げ、20兆円規模の発行を呼び水に10年間で150兆円超の官民投資を目指す。償還は、カーボンプライシングでまかなうものだ。

GX実行会議で取りまとめを行う岸田首相(11月7日)
提供:首相官邸ホームページ

再生可能エネルギーなどへの投資に使う環境国債は、世界30カ国以上に広がる。だが、日本政府が念頭に置く資金使途には、原子力の次世代革新炉のほか、火力発電の水素・アンモニア混焼など、環境国債に認定された実績がないものが含まれる。このため、他国では前例のない移行国債を発行することになった。

確かに、民生・産業部門の消費エネルギーの約6割は熱需要であり、高温熱分野は電化が難しく、排出を減らす脱炭素化技術への開発投資は欠かせない。

5月のG7広島首脳コミュニケも「トランジション・ファイナンスが、経済全体の脱炭素化を推進する上で重要な役割を有することを強調する」としている。だがこの下りは「1・5℃目標と整合的で、ロックインを回避し、効果的な排出削減に基づいている」ことが条件付けされている。

肝心なのは、日本の脱炭素への道筋が、国際合意である「1・5℃目標」と整合し、科学的裏付けのある内容かどうか、なのだ。


アンモニア混焼火力発電 効果やコストに厳しい目

中でも、石炭火力発電でのアンモニア混焼は、排出削減の効果やコスト、現実的な導入時期について、不透明な要素が強く、批判が高まっている。

アンモニアを20%混焼する実証実験が進むが、石炭から排出される二酸化炭素が80%残る上に、現状は天然ガス由来が主流で、NGO気候ネットワークによると、1%程度の削減にしかならないという。50%混焼でも削減効果はガス発電の平均値を下回る。保安面の課題のほか、温室効果が二酸化炭素の310倍の二酸化窒素の適切な管理も欠かせない。

気候コンサルのリーブライク・アソシエイツによると、海外の再エネ由来のアンモニアを日本の発電で利用すると、そのエネルギー効率は5分の1に低下する。トランジション・ゼロは、燃料費は現状でグレーアンモニアの20%混焼で石炭の2倍で「経済的に利用価値を得るには炭素価格が1tCO2当たり205ドルになる40年までかかり、その結果、均等化発電原価(LCOE)が1MW(=1000kW)当たり約280ドルという、きわめて高い金額になる」と指摘する。

その上で、35年までの電力部門の太宗の脱炭素化や温室効果ガス60%削減などと整合した導入が見込めるかも問われる。国際エネルギー機関(IEA)が9月に改訂した「ネットゼロロードマップ」は、水素とアンモニアについて「高コスト化と最終用途競争が続いているため、21年版よりも役割が小さい」と指摘し、技術進展に遅れが見られる。

環境金融の国際組織クリーンボンドイニシアチブが10月に公表した日本政府向けの報告書は、アンモニア混焼発電について「1・5℃目標」と整合していないとして、移行国債の「信頼性を損ない、グリーンウォッシュの批判を浴びるリスク要因でもある」と指摘。シンクタンクのインフルエンスマップが11月に公表した報告書も「日本のGX政策は、科学的根拠に基づく政策と大幅な乖離がある」と結論付けている。

UAEでCOP28が開幕 全世界の進捗評価を初実施


地球温暖化防止国際会議・COP28が11月30日、アラブ首長国連邦(UAE)で始まった。さまざまな論点が予想される中、もっとも注目されるのは初めて実施されるグローバル・ストックテイク(GST)だ。

世界全体の進捗評価を行うGSTは、各国が自主的に目標(NDC)を提出・更新、状況報告とレビューで実効性を高めていくという、パリ協定のコンセプトの根幹を担う。ただ、欧州は昨年来のエネルギー危機を経ても1・5℃目標の追求とNDC引き上げの声を弱めず、「パリ協定の瓦解が始まっている」(COPに参加してきた有識者)との評も。

日本はNDC(2030年度46%減)に対し21年度に約20%減を達成した実績を主張するが、それがどう評価されるのか。そしてIPCC(気候変動に関する政府間パネル)報告書にも書き込まれた「35年60%削減」を巡る書きぶりなど、GSTの成果物がどのようなメッセージを示すのか―。

このほかUAEが提案する「再エネ3倍」イニシアチブの行方、それが各国の思惑と絡み交渉にどう影響するのかも要注目だ。

【覆面ホンネ座談会】笛吹けども踊らずの再稼働 安全審査の非合理を糺す


テーマ:原子力規制委員会の安全審査

岸田政権は「GX(グリーントランスフォーメーション)基本方針」で既存原発の最大限活用を盛り込んだが、原子力規制委員会による審査は長引いている。今回は特に長期化するサイトの状況を中心に、業界関係者が課題を語った。

〈出席者〉 A学識者  B元原子力規制関係者  Cジャーナリスト

―まずは北海道電力の泊3号機。審査を申請したのは2013年7月と全国の原発でも最も早い部類だった。

A 最大の懸案だった敷地内の断層の活動性については、21年7月に規制委が「活断層ではない」とする北電の主張を認めた。審査申請から約8年たってのことだった。東日本大震災後の12年7月、原子力安全・保安院(当時)で敷地内断層の再調査を決めたが、対象外だった泊原発の審査にここまでの時間がかかるとは……。

B 当時、再調査の対象になったのは6原発。保安院は泊原発について、書類を見る限りは問題ないと判断した経緯がある。

C 泊原発は建設時に上載地層をほぼ全て削り除いていたこともあり、新規制基準での審査では断層の活動性の否定に時間を要してしまった。一時は廃炉寸前にまで追い詰められたが、敷地の片隅に上載層のかけらが残っていたことで望みをつないだ。ボーリングして標高図を描き、等高線を引いて活動性を否定できた。

B 防潮堤は液状化の影響を考慮して、地中の岩盤に直接設置する構造となった。だが、北電は震災後の緊急安全対策として、独自に防潮堤を建設していた。二度手間となったが、この防潮堤も「津波を防ぐ」という点では悪くなかった。

基準地震動を巡っては原子力規制庁が15年ごろに中途半端な対応をしたことで、北電側は審査が終わったかの印象を持ったようだ。規制庁は審査の途中できちんと論点整理をしなかった。それは反省すべきだ。

A 現在は周辺火山の影響評価も行われている。10月末に規制委の石渡明委員などが、泊原発から10㎞ほど離れた区域の地層を視察。火砕流などが到達していないかを確認するためだが、スムーズにクリアできるといい。

C 同時期に申請した川内原発や大飯原発は早期に再稼働した。活断層評価の違いがあるにせよ、審査時間の差は大き過ぎるよ。

A 川内原発の最終審査が行われていた頃、規制委に行くと必ずと言っていいほど、九州電力の黒スーツを着た軍団があいさつ回りをしていた。かなりの迫力があったし、規制委からすればプレッシャーだったはずだ。

C 川内原発の次に動いたのは関西電力の大飯原発だった。関電は審査のとき、黒部ダムの土木技術者をそろえたと聞く。関電の土木技術者は黒部ダム建設の伝統を引き継ぎレベルが高い。規制庁側がいい加減なことを言うと、即座に反論していた。

B 川内と大飯の最終審査の順番を巡っては、規制庁内でも議論があったらしい。業界ナンバー2の関電を先にすべきという声が強かったようだが、審査の中身は川内が頭一つ抜けていた。もしかすると九電の〝迫力〟も影響したかもしれない(笑)。

効率的な審査が行われなければ、政府方針は絵に描いた餅で終わりかねない。


石渡委員の「怒り」を買った原電 絶体絶命のピンチ乗り越え

―日本原子力発電の敦賀2号機は資料の「書き換え」などを問題視され、2度の審査中断を経験した。2度目には規制委の山中伸弥委員長が「審査打ち切り」に言及するなど、瀬戸際まで追い込まれた。

C 1度目は20年、原電が無断で資料を書き換えていたことに端を発する。「無断で書き換えた」というと、自らが有利になるように工作したと捉えられがちだが、実際には違うようだ。規制庁から「きちんとした形で更新して最新の形で審査資料として提出するよう」に指示を受け、「最新の形」にするための書き換えだったという。のちに原電への疑いは晴らされ、昨年10月に審査を再開した。

ところがその後、2号機建屋の真下を通る破砕帯と活断層の疑いがある断層との連続性を調べるボーリング調査で、取り出した薄片の資料の一部が最新の活動面を示していないことが判明。これに規制委は態度を硬化し、再び審査中断に。規制委から事実上の「最後通牒」を受けたが、原電は改めて申請書を提出し、9月に審査再開となった。

A 地質学会の重鎮である石渡委員は、地質図やその基礎データに強いこだわりがある。原電としては、審査を受けた書類のボーリング柱状図を最新版に変えた。しかし、石渡委員は最も重要な部分を書き換えられたと感じたようで「改ざんだ」と激怒した。

B もちろん、原電に悪意があったわけではないが、メディアは大なり小なり事業者のミスばかりを強調する。そして「資料すらまともにつくれない事業者」を取り締まる「正義の規制委」というイメージが植え付けられてしまう。これでは事業者への不信感は増すばかりだ。本質から離れた部分で混乱し審査が遅れている現状は、規制委にとっても不本意ではないか。

C 活断層の議論でいつも思い出すのが、北海道新聞(2013年4月30日)に掲載された菅直人元首相のインタビュー記事だ。菅氏は「政権が自民党に代わって民主党が目指した脱原発政策は頓挫しましたね」との質問にこう答えた。「トントントンと10基も20基も動くなんてあり得ない。何となれば、原子力安全・保安院を潰して原子力規制委員会をつくったからです。彼らは活断層の話を始めた」。泊や敦賀は10年もの間、この呪縛に苦しめられ続けているわけだ。

原子力事業所の万が一に備える組織 さらなる安全性確保への進化を続ける


【日本原子力発電】

原子力事業所に対し、多様かつ高度な災害対応を可能とする美浜原子力緊急事態支援センター。

万が一の支援活動に備えて、21人のメンバーは日々訓練と改良を重ねている。

福井県美浜町にある「美浜原子力緊急事態支援センター(支援センター)」は、2016年から日本原子力発電が主体となって運営している。今年10月に柏崎刈羽原子力発電所で行われた国の原子力総合防災訓練では、自衛隊との連携や原子力事業者との支援連携を行った。今回で4回目になる。

支援センターの役割は、万が一原子力事業所の施設で緊急事態が発生した場合、高放射線下で事故の収束活動を行うことと、要員の被ばくを可能な限り低減すること。緊急時には、放射線が高く立ち入りが困難な場所での活動となるため、支援センターには小型・中型ロボット計8台、ドローン2機、無線重機3台といった、遠隔操作が可能な無線資機材を備えている。

ロボットはがれきをアームで撤去しながら建屋内を進み、偵察を行う。ドローンは高所からの情報収集を担い、可視カメラや赤外線カメラ、放射線測定器を搭載し、サーモグラフの映像で漏れ出る液体などを映し出すことや、屋外の線量測定を行う。無線重機は線量の高い屋外でがれきの撤去作業などを行う。支援センターの約2万6000㎡の敷地の屋内外ではこうした無線資機材の訓練が日々実施されている。

各資機材の無線の飛距離は100m程度のため、操作はそれぞれの資機材から近い場所に被ばくを防ぐ設備を施したコントロール車を配備。資機材に取り付けたカメラの映像を頼りに、車内から操作用PCとハンドコントローラーで操作する。

訓練は、停電下でがれきが散乱した建屋内での作業など、予想されるあらゆるシチュエーションを再現して、繰り返し行う。原子力事業所を保有する電力9社と日本原燃からの出向者は、1年以内にこれら全ての資機材の操作を指導できるレベルにまで身に付けるほか、資機材のより有効な活用方法や、作業時間を短くする対策に取り組むのが任務だ。

コントロール車内から映像を見ながら重機を操作する


原子力事業者と協働で対応 想像力働かせ訓練と改良

万一の事態が発生すると、6人3班体制の緊急出動隊を編成する。輸送は各資機材や食糧、備品などを積んだ大型車両など12台で現地の災害対策支援拠点に向かう。陸路を基本とし、状況に応じて空路の併用もできるよう、支援センター内にはヘリポートを備える。

支援センターには3人が残り、事業者の災害対策本部との支援内容調整や、自治体や自衛隊との調整窓口、追加資機材の調整などを担当する。こうした現場のイメージをつかむため、冒頭で紹介した連携訓練などでは、実際に資機材を運んで訓練している。

総括グループの井関雅喜GMは「私たちは実際に出動することがあってはならない組織。さまざまな状況を想定し、考え続け、新たな視点や発想を取り入れて具現化することがモチベーションになっている」と話す。フランスやドイツにもチョルノービリ原発事故後に設立された同様の組織がある。10月にフランスで開催された情報交換会では、支援センターの取り組みについてプレゼンテーションを行い、最新知見の共有や共通の課題を議論した。

原子力事業所は安全確保のためにさまざまな安全性向上対策に取り組んでいる。支援センターは、万が一の時にも被害の拡大防止に資する組織として、たゆまぬ訓練と改良を日々重ねている。

脱炭素先行地域が74件に 初期案件のフォロー重要に


環境省が進める「脱炭素先行地域」の第4回選定結果が11月7日に示され、12件の計画が加わった。2025年度までに100カ所という目標に対し、今回までで先行地域は74件となり、空白県も減少。〝脱炭素×地域課題解決〟のモデル作りは着実に広がりを見せる。

選考を経るごとに実現可能性を高めるべく見直しを行い、第3回以降は「重点選定モデル」を設けるようになった。例えば今回、北海道苫小牧市は次世代エネルギー供給拠点の形成を掲げ、「施策間連携」「民生部門電力以外」の2点で同モデルに選ばれた。具体的には、系統への再エネのノンファーム型接続が可能となったことを機に、産業の脱炭素化を図りつつ、それを民生へ波及させる新たなPPA(電力購入契約)モデルの構築を目指す。

他方、特に初期に選ばれた計画の中には、事前の合意形成不足などで実現が難しい内容を掲げたケースも散見される。また、第3回からは民間事業者との共同提案を必須要件としたが、それ以前の計画の中には共同提案者がいない例もある。制度開始から1年半以上たつ中、各地の進捗の分析とフォローアップの深掘りが求められるフェーズとなっている。

民生電力需要の脱炭素化のハードルはやはり高い

【イニシャルニュース 】大手電力に値下げ圧力 むしろ値上げの本音


大手電力に値下げ圧力 むしろ値上げの本音

大手電力会社が軒並み過去最高益を叩き出し、世間では電気料金を値下げしろという論調がまん延している。だが、新電力関係者のT氏は、「値下げなどとんでもない。特に規制料金も、標準約款ともに値上げしていない関西と九州は、他社並みに値上げしなければやってられないというのが本音のはずだ」と指摘する。

どういうことなのか。背景にあるのが、規制当局の指導の下進められている卸取引の内外無差別の徹底だ。

実はこの10月、関西が来年度から複数年契約の卸取引の入札を実施したのだが、ベースとミドル電源合わせて4倍の応募があったという。「これは、西日本エリアの別の大手電力が相当量応募しなければあり得ない倍率。特に隣接するC電力は、募集量の100%で応募したようだ」(前出のT氏)

エリアの制約や転売禁止などの条件が撤廃され初めての入札。これにより関西電力の小売部門は、自社電源よりも高い他社電源から調達せざるを得なくなり、来年度は調達コストが上がるにもかかわらず、料金を上げられないというジレンマに陥る可能性も。

発電部門からしてみれば、相手が大手電力の小売りであろうと入札参加を拒否できないため、発販の利害は独立する。「卸売りの内外無差別=発販の実質分離」の世界も見えてくる。

翻って、自社電源からの調達を前提にした規制料金の根幹は揺らぐことに。大手電力OBのH氏は、「新電力が大手電力と同じ条件で電源にアクセスできる以上、料金の経過措置規制は廃止するべきだ。それができないのであれば、新電力にも売り上げに対して一定比率は大手と同じ規制料金で売ることを義務付けるべきだ」と強調する。

日風開勢力が相次ぎ退場 再エネTFは活動再開

洋上風力発電事業を巡る贈収賄事件で、秋本真利・元自民党衆院議員が受託収賄・詐欺の罪で逮捕・起訴された問題を巡り、秋本被告に資金を提供していた側の日本風力開発グループの幹部が相次いで表舞台から退いている。

まず当時社長の塚脇正幸氏は8月4日の秋本氏家宅捜査の時点では、「贈賄をした事実は一切なく、この点を立証できる客観的な証拠が数点存在」するとしていたものの、1週間後に一転して贈賄性を認め、9月1日付で社長職を辞任。27日に、贈賄の事実で東京地裁に起訴された。

その後、日風開副会長の加藤仁氏が10月18日付で、日本風力発電協会の代表理事を退任した。さらに、日風開子会社の幹部でK大学寄付講座に携わっていたX氏も、10月末にひっそりと双方の要職から退いたもようだ。

一部報道などによると、東京地裁は秋本氏側からの二度の保釈請求を却下し、慎重な取り調べを続けているとみられる。洋上風力を巡る政治と金の問題はまだまだ尾を引くことが予想される中、秋本氏が師と仰ぐ河野太郎・規制改革担当相をはじめとする再エネ推進勢力がここにきて活動を再開してきた。

秋本問題が尾を引く洋上風力事業

11月10日、内閣府の「再エネ規制総点検タスクフォース」の会合がおよそ4カ月ぶりに開かれた。この日の議題は、「農山漁村地域における再エネ導入目標策定のフォローアップ」と「蓄電池の大量導入に向けた系統連系の認証手続などの在り方」で、河野氏も出席。今後、洋上風力公募第二ラウンド4海域の落札や第三ラウンドの入札が控える中、洋上風力関連で再び存在感を高めてくるのか。

ともあれ、水面下のロビー活動で中心的役割を果たしてた日風開勢力の弱体化が、今後の洋上風力政策にどんな影響を与えるのか、要注目だ。

IEAの2030年見通しは矛盾だらけ 一般メディアは表面的報道から脱却を


【識者の視点】大場紀章/ポスト石油戦略研究所代表

「2030年までに化石燃料供給はピークに」との見通しをIEAが示し、波紋を広げている。

本文をよく読むと、その主張との矛盾が見えてくるが、一般メディアは表面的な報道にとどめている。

国際エネルギー機関(IEA)は10月24日、2023年版の「World Energy Outlook」(WEO)を公開した。今回の主なメッセージは、石油・天然ガス・石炭といった化石燃料の供給量が30年までにピークを迎え減少に転じるというもので、IEAによるこのような見通しは初めてだという。メディア各社も同様の趣旨で内容を伝えており、例えば朝日新聞の同日付の記事は「化石燃料需要、30年までにピーク IEAが予測、再エネが上昇」というタイトルだった。

石油企業や産油国は強く批判した。OPEC(石油輸出国機構)は、IEAの主張は「世界のエネルギーシステムを破壊し」「非常に危険」であると公式に声明文を発表。過去にOPECがIEAを批判することはあったが、見解の違いを越え、ここまで強い言葉で非難したのは異例のことである。

石炭で特に顕著な変化 無茶な想定を前提に

それでは、実際のレポートの中身はどのようなものか。比較のため、過去5回分の化石燃料の見通しを図にまとめた。まず22年版との比較では、石油供給のピークが大きく前倒しされたことが今回最大の変更点だとわかる。中欧米市場の30年のEV販売比率が50~65%と想定されたことや、中国の30年までの平均GDP成長率が4.7%から3.9%に下方修正されたことなどの変更で、こうした石油見通しとなった。

一方、過去の版の変遷をみると、石油見通しよりも、天然ガスと石炭の変化の方がはるかに大きいことがわかる。例えば19年版までは直線的な成長で外挿されていた天然ガス供給量が、21年版と22年版で大きく下方修正され、横ばいからわずかに減少するところまで減らされている。

過去のWEOにおける化石燃料供給見通し

石炭の見通し変化は、ほぼ横ばいの石油・天然ガスに比べるとさらに激しい。石炭消費量が図のように急激に減るためには、世界の石炭消費の約6割を占める中国の消費量がすぐに減り始める必要がある。23年版の本文では、中国では過去5年間平均で毎年40‌GW(1GW=100万kW)の石炭火力発電所が完成し、現在も100GWが建設中、22年だけで90‌GWが新たに建設承認され、計画はこれからもさらに増える、としながらも、25年から中国の石炭火力の出力は急激に減少するという。再エネの大量導入により、石炭火力の設備稼働率が現在の53%から30年に40%まで低下するからというが、さすがに無理がある想定ではないのか。

このように実際に本文をみると「IEAの今年の発表は30年までに化石燃料がピークになる」というメッセージとのギャップや、その前提に無茶なものが少なくないことに驚かされる。これは、IEAという組織が単なるエネルギー研究機関以上の存在であることが関係している。

記録的猛暑の電力に異変 最大減もkW時は伸びる


全国で記録的な暑さとなった今夏。例年であれば最大需要が過去最高となってもおかしくないが、資源エネルギー庁によると、東京電力パワーグリッド(東電PG)管内での最大需要は7月18日に記録した5525万kWと、昨夏に比べ405万kW減少した。

今夏は全国的に記録的な暑さだった

9月の有識者会合でエネ庁事務局は、テレワーク率の減少や節電意識の高まり、新型コロナウイルス感染症の5類移行に伴う外出の増加などをその理由に挙げた。また、太陽光発電の自家消費が増え、系統電力の消費が減ったことも考えられる。だが、「それだけでは消費電力量(kW時)が伸びた理由を説明しきれない」と語るのは、エナジープールジャパンの市村健社長だ。

現在、同社デマンドレスポンス(DR)事業の実発動の9割を経済DRが占め、しかもそのうちの8割が需要を創出する「上げ」のDRだという。つまり、電気料金が安い夜間に操業していた大口需要家が、電力の消費量が少なく、太陽光発電による電気が余りやすい日の昼間を選んで稼働をシフトさせているということだ。太陽光の出力抑制が課題となる中、市村氏は「DRは太陽光発電を生かした需要最適化とともに、kW時の増加に貢献できる」と話している。