E Uの動きに世界的に原子力推進、活用派は勢いづき、反原発を唱える人たちは批判している。元首相らも、政治団体と協力して抵抗しようとしたのだろうが、自らへの批判の方が大きくなってしまった。元首相らは自らのホームページやS N Sで積極的に告知していないので、首相らよりも政治グループが主導したものだろう。
もちろん、以上の解説は建前、きれいごとによる説明の面がある。日本のコードは、行政主導で作られている。そして、規制を使って、金融市場を通じて、生産性が低い傾向があるとされる日本企業を変えさせようという目的が強く出ている。コードは、アベノミクスの重要な柱として位置づけられ、行政や金融会への天下り官庁O Bが、意見取りまとめの中心となっている。例えば、株式の持ち合いの禁止、R O E(自己資本利益率、投資の収益性を示す)、E S G投資の促進など、企業の収益性の向上を指示するコードがある
コードによる規制を1990年代に始めた英国では、業界による金融不祥事の防止が目的であった。コードを推奨したO E C D(経済協力開発機構)もその目的を強調した。日本とは意図が異なる。「日本のコードはソフトな形の規制強化のためのもの。ルールが増え、しかも法律と違って曖昧さ、裁量が多く、担当者は苦労している」(投資会社総務担当)という面もあるようだ。
なぜか現代の日本で、同じスローガンを聞く。「世界の潮流は、自然エネルギーと脱原発」「ドイツを見習え」「ドイツの政策を取り入れろ」。福島第一原発事故の後で、エネルギーをめぐる議論でドイツへの過剰な賛美が頻繁に登場し、今でも繰り返される。欧州の気候変動への異様な関心を肯定し、ドイツの脱原発政策と、固定価格買取制度(F I T)など再エネの過剰優遇策を見習えという議論だ。それらが全て正しいとは思えない。それなのに、ある程度、日本の政策に反映されてしまった。