【論考/4月27日】深刻化する石油危機 豪州「軽油外交」が示す市場の機能不全 ※期間限定無料公開

2026年4月27日

資源国・豪州の石油製品輸入依存

豪州では2025年石油製品供給のうち、国内製油所の生産分は約2割に過ぎず、残り約8割が輸入品だった(図1参照)。特に軽油、ジェット燃料の輸入依存度は9割弱に達する。シンガポール、韓国、マレーシアの上位3カ国からの輸入が石油製品供給の半分を占め、この比率はガソリンでは6割弱にもなる。他に台湾、日本、ブルネイ、それにインド、中国を加え、アジア地域からの輸入が国内供給の75%を占める。

昨年、国内石油消費は日量110万バレル(日本3割強)で、中間留分(軽油、ジェット燃料)がその70%、ガソリンが25%を占める。これに対して国内生産は日量25万バレルだが、その過半はコンデンセートで、石油化学原料として主にシンガポール、韓国向けに輸出される。国内精製向け原油の8割以上は輸入しており、最大の輸入元はマレーシアで、ブルネイと合わせて半分以上を占める。

豪州の「軽油外交」―政府主導の資源・石油バーター取引

4月になって豪州のアルバニージー首相は「軽油外交」と呼ばれる一連の首脳外交を精力的に展開している。4月10日にシンガポールのウォン首相、15日にブルネイのボルキア国王、16日にマレーシアのアンワル・イブラヒム首相を訪れ、豪州が供給するLNG、食料、リン鉱石などといわば「引き換え」に、輸出石油製品の優先的供給を求めた。

シンガポールとの共同声明では、(シンガポール側の)軽油などの石油製品および(豪州側の)LNGを含む「必需物資の持続的供給支援への関与」が明記された。同声明に基づき、17日には法的拘束力を持つ議定書が合意されたが、それは軽油・LNGなどの必需物資の貿易で「相互に付与する優先的な位置付け」を反映する、としている。石油に関しては豪州からのコンデンセート輸出も意識されていよう。

ブルネイとは「エネルギーおよび食料安全保障」に関して共同声明を出し、「軽油・原油などの石油、農産物・食品、尿素等の主要農業投入物」を対象に、両国間の供給持続に向けた関与を確認した。エネルギー・食料関連物資への「不当な輸出入規制」の回避という文言もうかがえる。ブルネイ側から軽油・原油および尿素(肥料用途、ディーゼル排ガス浄化用途)、豪州側から食料(小麦、牛肉など)の輸出をそれぞれ確保し合う趣旨となっている。

マレーシア・プトラジャヤでの首脳会談後の記者会見で、アンワル首相は軽油輸出に関し「余剰があればオーストラリアを優先する」方針を明らかにした。またマレーシアの尿素供給能力に言及しつつ、オーストラリアからのリン酸肥料原料・リン鉱石輸入の重要性を指摘した。一方アルバニージー首相は、豪州がマレーシアの小麦の6割、ラム・牛肉の75%を供給しており、マレーシアからの燃料および尿素肥料が豪州の農業生産を助け、それがマレーシアの食料供給に直結すると説明している。

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