【特集2 動き出した柏崎刈羽】再稼働の先を見据えて 次世代に描く将来像
14年の月日を経て再稼働を果たした柏崎刈羽原子力発電所。
石川氏と稲垣所長が、次の時代に向けた展望を語り合った。
石川和男/政策アナリスト
稲垣武之/東京電力ホールディングス柏崎刈羽原子力発電所長
石川 今年4月に6号機が本格的に運転を開始した時の率直な気持ち、また発電所内の雰囲気はどうだったのかを教えてください。
稲垣 再稼働までの14年は大変に長かったですが、2021年の安全対策工事未完了の解決や3年にわたる追加検査など、さまざまな課題の克服に全力で取り組んできました。今年1月、制御棒駆動系の電源トラブルで起動工程を一時中断した際には、徹底したトラブルシューティングを行いました。
それらの対応を経て出力が上がり、制御室のモニターに表示された「1400(MW)」という発電出力の数字を目にした時は格別な思いが込み上げました。「改めてわれわれは電気を作っている会社だ。そしてようやく関東に電気を送れる、安定供給に貢献できる」と、発電所員や協力企業の皆と喜びを分かち合えたと思っています。
おかげさまで、現在は定格熱出力一定運転を続けています。ちなみに、発電出力の約140万kWは一般家庭約35万~45万世帯分に相当します。
事故対応能力の弱さを痛感 報じるべき内容の区別必要
石川 日本では第一次オイルショック以降、天然ガスや原子力の利用を促進し、エネルギー安全保障を確保してきました。しかし、東日本大震災以降、化石資源、とりわけ天然ガスへの依存度が高まり、その水準は下がっています。さらに、原子力は安全性確保への要求レベルが厳しくなり、これまで大変な努力を重ねてきたと思います。
稲垣 私自身、福島第一原子力発電所の事故を現場で経験しました。この時、事故対応能力の弱さを痛感したからこそ、それを克服することが事故を経験したわれわれの最大の責務だと思っています。新規制基準に基づいた設備面の強化はもちろんですが、運用面の向上にも注力しました。24時間365日、事故対応がしっかりできる体制づくりに相当苦労しましたが、決して無駄な時間ではなかったと思っています。
石川 一方で、一部メディアの報道には疑問があります。新潟県内のメディアでは「重大事故ベスト10」という特集記事を目にしましたが、(所員の)「突き指」や「転倒」といった原子炉と何ら関係のないものが掲載されていて驚きました。
また、他の発電所のケースですが、タービンの蒸気漏れといった不具合が、原子力安全上の過酷事故と同じトーンで報道されていたこともあります。重大なこと、そうでないことを明確に区別して報道すべきだと思います。
稲垣 われわれとしては丁寧な情報発信と説明が非常に重要だと感じています。例えば今回、本格運転の前に不具合がありました。説明しますと、制御棒の駆動に関して、当所の1から5号機や福島第一などは水圧で動かす仕組みです。一方で6、7号機は、制御棒の駆動は通常は電動モーターを使い、緊急時に水圧で動かします。水圧システムは稼働できる状態なので安全上の問題は全くなかったのですが、「制御棒のトラブル」とだけ報じられると、「非常に危ない」となります。
そこで、記者会見などでは、「どういう装置で、どういう不具合なのか。なぜ安全性に問題がないのか」までを丁寧に説明するようにしました。その後、「問題がある」といった報道はありませんでしたし、新潟県知事や柏崎市長をはじめとした地域の皆さまからも安全性への一定の評価をいただいたと感じています。



