【特集2 動き出した柏崎刈羽】再稼働の先を見据えて 次世代に描く将来像
年10回以上の対話機会 7号機再稼働の見通し
石川 地元の方々とはよく対話されているのでしょうか。
稲垣 対話の機会を年10回以上設けています。加えて、県内各地で巡回イベント「コミュニケーションブース」を月2、3回開催し、住民の方々の意見や心配事を直接聞いたり、発電所のVR見学ツアーを行ったりしています。直接話すことで、「原子力は怖いけど、あなたが所長だと知れてよかった」と言っていただけることも多々あります。 同時に、県民の皆さまの意識調査の評価も徐々に良くなっています。発電所の人も〝堀の中の宇宙人〟ではなく身近な存在だと知ってもらえるという意味で、手応えを感じています。

石川 特定重大事故等対処施設(特重施設)による安全対策工事の追加対応で遅れることになった7号機の再稼働はいつ頃になりそうでしょうか。
稲垣 特重施設を完成させ、7号機の既存施設とのつなぎ込みが29年8月に終わる予定です。その後の再稼働に向けて準備を進めていきます。
石川 以前、経済産業省の想定では、人口減少や工場の海外移転で電力需要は下がっていく見通しでした。ですが、近年、デジタル化やAIの登場で膨大な電力を消費するようになり、電力需要は人口減少を上回るスピードで増えています。データセンター(DC)に系統を接続しようにも、系統容量に空きがなかったり、そもそも系統接続工事の人員が不足しています。
一方で、今年3月、高市早苗首相とトランプ大統領の会談で、DCの敷地内に次世代原子力のSMR(小型モジュール炉)を設置するという構想が発表されました。
大規模かつ安定した電源である原子力は、デジタル化を支えるインフラとして新たな役割を担えそうです。
稲垣 エネルギーの地産地消ですね。私がお答えする立場にはありませんが、一言申し上げるとするならば、確かに、送電網を通じた交流での送電にはロスが発生するので、需要地が近接している電力供給の仕組みにはメリットがあります。SMRの設置についても、将来的に電力業界全体の戦略として検討する可能性はあると思います。
石川 業界では慢性的な人材人手不足に陥っています。「人材」の確保は重要なテーマです。
稲垣 6号機が再稼働して、大学生や高校生からの関心が日に日に高まっているなと感じています。また、少子高齢化が進む中、地元の人材を確保していきたいという思いのもと、地域の大学との連携を図っています。
例えば、柏崎市内にある新潟工科大学では、発電所員が原子力の基礎の講義を担当するなど、人材育成をサポートしながらウィンウィンの関係構築を目指しています。
もう一つが女性の活躍です。アメリカでは当直長に女性がいますが、日本では女性の放射線被ばく管理の制限が厳しく、女性はほぼゼロです。女性がより活躍できるよう、原子力委員会でも議論されているところです。


