【JERA 奥田社長】ミッション実現へ 歩み止めることなく さらなる成長目指す

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燃料調整機能を一層強化 石炭火力のメリット還元
井関 LNGのサプライチェーン強化に向け、上流権益の獲得や新たな長期契約の締結、国内外での基地活用やLNG運用での他社との連携などをここ1~2年で加速させています。今回被害を受けたカタールの輸出拠点の復旧には年単位かかると言われていますが、見通しはどうでしょうか。
奥田 17%の供給設備が破壊されたという話があり、停戦に至ってもその供給力は数年間失われると思います。エネルギー需給のファンダメンタルズは引き締まった状態が続き、どこかの基地停止などの突発的な事象があれば、スポット価格が跳ねるといったことが起きやすくなります。状況を注視し、需給構造をより強固にする考えです。
ただ、カタールの重要性は変わりません。中東に限らず地政学リスクは世界中で高まり、政策変更リスクも大きい時代となりました。やはり調達先の分散が重要であり、最大のLNG供給元であるカタールと米国をバランス良くポートフォリオに組み込むことの意義は大きい。
また、再エネ導入が拡大する中、火力は需給のしわ取り役となり、常にトレーディングで燃料数量調整をすることとなります。火力発電の機能を十分発揮させるために、シンガポールのトレーディング機能を充実させてきました。
井関 7月には新会社・JERAグローバルエナジーソリューションズ(JERA GES)を設立しました。
奥田 燃料の数量変動に経済的に耐え得る構造にする必要があります。仕向地自由でトレーディング可能な米国からの調達を増やし、当社の必要量より多めに確保することで、長期契約のメリットである安定的な価格かつ柔軟に調整できる機能を持つことができます。しかし、日本の低負荷期に他国に売ることができる体制を作らないと、それが裏目になります。その役割を果たすプロフェッショナル集団を今回つくりました。
井関 2025年度決算では業績予想を未定としましたが、資源価格の行方をどう見ますか。
奥田 当社は上流から下流まで全て有する事業構造のため、燃料価格が上がっても急に利益が減りはせず、むしろ電力のスポット価格が上がれば利益が出る方へ向かいます。一方、やはりお客さま負担軽減のための措置は重要であり、第一弾として、電力のスポット価格の変動リスクを軽減させるメニューの販売を始めました。もう一つは、石炭火力のメリットを、小売事業者を介してお客さまへ還元することです。タームや中長期で販売契約が結ばれていない石炭で発電した電気については、スポット市場に拠出します。しかし市場価格はLNGの限界費用で決まるため、安い石炭の発電コストと市場価格との差分は当社の利益となります。そこで、8月以降石炭火力のターム契約を販売する予定です。副作用として当社の目先の利益は減りますが、来年以降の市場価格が見通せない中、当社の利益の変動を安定化させるという狙いもあります。

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碧南は順調に進展 DPPに惜しまぬ投資
井関 碧南火力のアンモニア転換について、工事やバリューチェーン構築の進捗はどうですか。
奥田 全て順調に進んでいます。5月末時点の現地の工事進捗率は30%ほどで、予定通り29年度の運転開始に十分間に合うと見ています。米ルイジアナ州で製造するブルーアンモニアも同年度から出荷できる見通しですし、大型のアンモニア輸送船4隻の傭船契約を日本郵船、商船三井と結びました。安全保障のために石炭火力を残す上で、脱炭素というデメリットをカバーする答えの一つとして、アンモニア転換を成功させたいと思います。
井関 他方、姉崎での発電所のDX運用の状況はどうですか。
奥田 デジタルパワープラント(DPP)化を目指し、運転、保守、メンテナンスでデジタルAI技術のフル活用に取り組んでいます。DPPパッケージという共通アプリケーションを20以上開発し、全発電所で使う体制ができました。もう一つ、DPP化の肝としてG―DAC(グローバルデータアナライジングセンター)を設置。国内で稼働中の24の発電所、91ユニットを常に監視して不具合や予兆をいち早く検出し、発電所と連携を取って対応します。さらに、これまで紙で管理していた系統図や設計図を全てデジタル化し、トラブル時に資料を取り寄せなくても本社が現場と同じ資料を見ながら即対応できるようにしました。
井関 人手不足の時代、こうした省力化への投資は重要ですね。
奥田 ただ、世界的に電力需要が伸びる局面となり、資機材や工事の人員確保が難しくなっています。DPPによる予兆管理と並行し、それを実施するためのロジスティクスが機能する仕組みづくりにも力を入れます。


