【東京ガス代表執行役社長 笹山晋一】技術とノウハウを武器に 迅速かつ低価格に 燃転の価値を提供する
調達工夫し価格安定化 市場動向を見極め対応
井関 ホルムズ海峡を巡るイラン情勢の緊迫化が長期化し、原油価格やLNGスポット価格は上昇傾向にあります。秋以降の電気・ガス料金や事業への影響をどのように見ていますか。
笹山 まず調達数量の面についてですが、当社は現在、中東からの長期契約を保有していないため、直接的な供給途絶などの量的影響はありません。一方で価格面については、長期契約には原油価格連動の期ずれが存在しているため、原油高の影響が秋以降、遅れて反映される見込みで、調達コスト、都市ガス料金の双方に影響は生じてくると見ています。
井関 国の電気・ガス料金補助金は9月で終了する予定ですが、スライドによる値上げ時期と重なることで消費者への影響が懸念されています。
笹山 非常に難しい問題だと認識しています。電気・ガス料金は使用量と単価の掛け算で決まりますが、夏場は特に電気使用量が増えるのに対し、秋口に向かうと需要量自体は落ち着いてくるため、トータルの負担額については需要量と価格のバランスで見る必要があります。また、今後の為替動向も大きく影響します。当社としては調達の工夫を重ね、できる限り安定的な価格での供給に努めていきます。
電力事業においても燃料費調整制度などのタイムラグ影響は同様に存在します。加えて、電力市場においては、特に関東エリアの市場価格が高値で推移している現状があります。これらの収支への影響を注視しつつ、需給バランスの厳密な管理を行っていく必要があります。小売市場におけるガス・電気の顧客獲得競争は依然として続いており、市場動向をしっかりと見極めて対応しています。
井関 昨年、米シェブロン社からシェールガス権益を獲得しました。米国における上流投資の状況はいかがですか。
笹山 米国におけるシェールガス開発などの上流事業は順調に資産が積み上がっており、海外事業全体の中でも収益を支える大きな柱として本格的に利益貢献する段階に入ってきました。戦略的に「選択と集中」を進めており、東テキサスや北ルイジアナ地域を中心に資産を集約することで、既存インフラの共通利用やオペレーションの効率化を図り、高い生産性と低い生産コストを実現しています。現在、同地域では第4位の規模の存在感を誇るレベルに達しています。また、この冬に現地を襲った寒波の際には、凍結により周辺のシェールガス供給量が落ち込む中、当社は防寒対策などを徹底していたため安定供給を維持でき、取引先からも高い評価と信頼を得ることができました。

井関 米国市場は海外戦略における最重要地域と位置付けられているのでしょうか。
笹山 上流事業において米国が最重要地域の一つであることは間違いありません。また、米国経済自体、データセンターの激増や半導体工場の建設など、非常に大きな成長ポテンシャルを有しています。そのため上流分野にとどまらず、中・下流分野への展開も視野に入れています。また、政府主導の投資枠組みなどが他業界で展開されていますが、これらが米国市場全体の安定成長につながれば、巡りめぐって当社の事業環境にとってもプラスになると考えています。


