アラブ首長国連邦(UAE)・ドバイで開かれていた温暖化防止国際会議・COP28が2023年12月13日、合意文章を採択して閉幕した。「グラスゴー気候合意」で1・5℃目標の追求を掲げたCOP26、先進国が「ロス&ダメージ(損失と損害)」基金設立に折れたCOP27に比べ、今回はバランス良くさまざまな主張の間を取った内容と言える。
世界有数の産油国での開催、そして世界全体の気候変動対策の進捗評価を行う「グローバル・ストックテイク(GST)」の初実施など、さまざまな観点から注目されたCOP28。無事、GSTの決定が採択されたが、そのポイントの一つが「1・5℃目標」達成に向けた化石燃料利用の在り方だ。
当初、欧米や島しょ国などは「フェーズアウト」という文言を入れるよう主張したが、産油国などが反発。結局「移行(トランジション・アウェイ)」と、よりマイルドな表現に落ち着いた。日本の方針にも合致する内容であり、現地参加した伊藤信太郎環境相も15日の閣議後会見で「今回の成果文書と、今まで日本が進めてきた環境・エネルギー政策に齟齬はないと考えている」と振り返った。
他方で環境派は、石炭だけでなく、化石燃料全般がターゲットとなったこと、さらに「この重要な10年間にその行動を加速させる」と書き込まれた点を強調。また工業原料ではなく、燃料用の化石資源の削減を優先することにコミットしたともとらえられる。結果、悪く言えば玉虫色、良く言えば現実路線で、いずれの立場からも評価できる「化石燃料からの移行」という表現にたどりついた。
このほか決定文書では、30年までの再生可能エネルギー発電容量3倍、省エネ改善率2倍を掲げつつ、脱・低排出技術として原子力やCCUS(CO2回収・利用・貯留)、低炭素水素などのオプションを明記した。特にネットゼロに向けた原子力の必要性がCOPの成果として示されたことは画期的であり、この点も日本政府や経済界、エネルギー業界にとってはウェルカムな内容と言える。

日本の削減実績をアピール 次期エネ基議論への影響は
今回の日本の主張の一つに、30年度46%減というNDC(国別削減目標)に対し、21年度に約20%削減を達成したという実績のアピールがあった。その点、「日本がオントラックで排出ガス削減を行っていることを説明した上で、立場の違いを乗り越えて合意に達するよう努力した」(伊藤環境相)という。
また、日本政府主導のイニシアチブとして、パリ協定の目標実現に向けた「投資促進支援パッケージ」を公表。目標や適応、対策実施に関するギャップの解消という支援方針に対し、多くの賛同を得られた格好だ。
今回は現実路線を模索する姿勢が垣間見えたが、既定路線となった1・5℃目標の追求は宿題として残る。35年、あるいは40年をターゲットとしたNDC見直し、そして第7次エネルギー基本計画の議論でどのような展開につながるのか、注目される。













