東京都は10月22日、グリーン水素の社会実装化の加速をテーマとした国際会議「HENCA Tokyo 2024」を都内で開いた。会議には小池百合子知事のほか、ENEOSや川崎重工業、豪州やインドネシアの関係者らが出席。小池知事は「都は大規模なグリーン水素の製造拠点の整備に着手している。官民で連携し水素導管を含む供給体制の構築へ議論をしている」と述べた。豪州関係者は「ニューサウスウェールズ州では世界最大のグリーン水素製造拠点を目指しており、これにインセンティブを与え、2026年から市場を通じてグリーン水素を供給する」と発言した。
そこに新たに加わったキーワードがSDVである。Software Defined Vehicle(ソフトウェアで定義された自動車)の略語で、自動車の機能をソフトウェアで自由に設定するという新たなコンセプトのシステム構造を示すもの。テスラが最初に採用した。
SDVへの関心は高まるが……
18年に米国の製品評価メディアであるコンシューマーリポートは、テスラのモデル3のブレーキ性能が同クラスの他車に比べて大きく劣っている評価結果を発表した。これに対してテスラはOTA(Over The Air:無線通信で車両のソフトを更新する手段)を用いてブレーキ性能を1週間で10数%も改善して、再テスト評価の時には「お勧め」の結果を獲得した。従来は、クルマの性能を改善するには消費者がディーラーにクルマを持ち込まないとならなかったのが、その手間もコストも必要なかったことから、注目を集めた。
わが国では、日本原子力文化財団が行った「原子力に関する世論調査」で今後の原子力発電の利用に対する考えとして、「原子力発電をしばらく利用するが、徐々に廃止していくべきだ」が最多の42.3%、「増加+維持」は年々増加傾向にあるものの19.1%にとどまっている(2023年10月)。一方英国では、エネルギーコンサルタント会社Radiant Energy Groupによる調査では、原子力発電に対する支持は43%と不支持の29%を大きく上回っている(2023年10~11月)。米国でも、Biscontiの調査では、支持77%、不支持23%と支持が圧倒的に多い(2024年4~5月)。規制当局や産業界は、CN実現やエネルギーセキュリティ確保のために原子力発電が欠かせない電源であることをもっと丁寧に消費者や国民に説明し、その理解を得る努力をしていかなくてはならないだろう。