さらに、Harvard Business SchoolのAlexander MacKay教授とFlorida大学のIgnacia Mercadal教授が発表したワーキングペーパー(2023年11月28日にアップデート)でも、発電会社によってチャージされる高いマークアップは、効率化によるコスト削減を上回り、卸売価格が高くなり、これが小売料金を押し上げていると述べている。
これらの自由化への批判に対しては、自由化を推進する立場からは当然反論もある。実際、先述のRobert McCullough氏が過去に同じ趣旨の見解を提示したとき、米国における電力自由化を主導したHarvard大学のWilliam W. Hogan教授は反論し、独立系統運用者が運営する卸電力市場における限界発電プラントによる入札価格で市場が高価格となることは、市場の効率性を意味しており、卸電力市場における市場支配力軽減ルールにより、高価格が市場支配力の行使によるものか、効率的な運営の結果かは、チェックされていると述べている。さらに、自由化地域で設立されている独立系統運用者が運営する広域的な市場において、増大する再生可能エネルギー電源のネットワークへの統合を促進するためにはネットワークの増強は必要であり、地球環境問題の解決の観点からも望ましというのが規制当局の基本的な考えである。