【業界スクランブル/新電力】
既に本稿では何度か説明しているが、昨年9月以降、英国では29社の小売りエネルギー事業者が経営破綻に追い込まれた。うち1社は特別公的管理下で事業継続しているものの、28社は事業撤退に追い込まれ、3000万世帯のうち450万世帯が影響を受けた。
英国ではエネルギー供給の最終保障を小売り事業者が担う仕組みになっているが、最終保障に要する需要家負担の費用は18億ポンドに上るとみられている。
特別公的管理となったBulb向けの政府特別融資は30億ポンド、2月上旬に公表された電気料金一時割引などの政府財政出動による需要家支援措置は91億ポンドとなり、エネルギーコスト上昇の影響は総額139億ポンド(2兆1682億円)にも上る。費用の一部はエネルギー料金を通じて回収することになるが、多くは国民負担となる。このような巨額の国民負担を強いる状況を生み出した原因は、競争促進にのみ注力し、新規参入者の財務チェックや国家のエネルギーセキュリティーを軽視するOfgemの方針にある。
事実、Ofgemは2月8日に開催された庶民院BEIS委員会において、競争促進政策を優先した結果、新規参入者の財務チェックを怠っていたことを認めている。英国ではこれら足元のエネルギー価格高騰を踏まえ、急きょ2022~23年向けの容量市場1年前オークションの募集容量を増やした。これにより、募集容量が応札容量を超過するものと見られ、上限価格での約定が見込まれている。
さて、これらの事象からいえることは、燃料制約による市場価格高騰や容量市場の上限価格約定といった日本でこれまで発生してきた多くの事象は、欧米でも1~2年遅れで発生しており、日本が特別ではないということだ。日本は再生可能エネルギーの課題、短期限界費用に基づいた市場の課題、天然ガスの課題が早期に発生している課題先進国であり、諸外国に先駆けて、制度的な手当を講じていく必要がある。最も影響を受けるのは小売り事業者である。小売り事業者も今後、リスク管理体制の強化が必要になるだろう。(M)




