テーマ:岸田政権と環境エネルギー政策
ついに船出した岸田新政権。最初の関門の衆院選を終え、エネルギー環境政策をどうかじ取りするのか。一般紙政治・経済記者の見方はこうだ。
〈出席者〉 A経済記者 B政治記者 C政治記者
――自民党総裁選は、予想以上に岸田文雄氏に議員票が集まっての勝利という結果に終わった。改めて振り返っての感想は。
A 今回の一番のポイントは「モリ・カケ・桜」問題への対応だった。再び表沙汰にしたくない安倍晋三元首相の思惑が強く働き、言うことを聞かない「小石河連合」より、言うことを聞く岸田氏の方が良いとの判断で流れができた。結局安倍氏の一人勝ちとなった。
B それを裏返してみると、メディアを含め、悲願の憲法改正のための安倍氏再登板を警戒する声も、要素として大きかったと思う。
C メディアが4候補にモリ・カケ・桜の再調査について問うたのは、安倍・麻生政治を継承するか否かの試金石という意味からだ。結局、最終的には岸田氏も河野太郎氏も再調査を否定し、安倍政治の継承が確定した。エネルギー政策も同様に継承路線だろう。
B 今回の総裁選は、NDC(CO2の国別目標)のような高い目標を掲げ、政治圧力を通じて国民に行動変容を促す非民主的な政治への転換か、積み上げで実現性のある政策を示していくかの岐路だった。前者は河野氏、後者は岸田氏の陣営。菅政権では、NDCでも石炭火力輸出でも、河野氏・小泉進次郎氏の独裁政治状態だった。ユートピアを語るだけで、経済や国民生活に過大な負担を課すエネルギー政策から脱却し、メンツをつぶされ続けた梶山弘志・前経済産業相らがこの混乱をどう収束させていくのか、注目している。
A エネルギー基本計画を巡り8月30日に梶山氏と河野氏が一対一で相まみえた時には、相当ケンカしたと聞く。河野氏の主張に対し、梶山氏は一歩も引かなかった。
B 梶山氏は官邸にも、自分が勝利したと報告したようだね。
C そして梶山氏は総裁選でさっさと岸田氏応援を表明した。菅義偉前首相との関係に亀裂が生じたと感じた。エネルギー問題が総裁選の底流にあったということだ。
A 梶山氏は経産相就任当初から(温暖化防止国際会議の)COPで化石賞を受賞するなど悪者にされてきた。一連の出来事によく耐えたと思うよ。
B 現職閣僚で唯一、岸田氏の推進人に名を連ねた。梶山氏はあまり本音を言わない人だが、側近には「今回は確実な方向に行きたい」と語っていた。泥を塗られ続けた怒りを感じたし、経産省の方向性に合致する候補は岸田氏だというメッセージでもあった。
A 省内には高市早苗氏を応援する人や、筆頭首相秘書官に就いた嶋田隆氏が野田聖子氏の推薦人確保に動いていたとも聞く。河野氏以外の誰が勝利しても良いように保険を掛けていた感じだ。
B ただ、高市氏だと経産省の留飲は下がるが、これまでと真逆の方向に振れ過ぎてしまうので、結果としては良かった。
――本誌としては、菅政権で再生可能エネルギー最優先に極端に振れた政策が、新政権下で揺り戻しがあるのではと期待している。

菅政権に翻弄されたエネ政策 官邸主導に逆戻りか
C 岸田首相がエネルギー政策の修正に入ったと聞いている。所信表明演説で語った「クリーンエネルギー戦略」の本命は原子力政策だ。エネ基をほごにしない形で、再エネだけでなく原子力をしっかり進めていく考えだ。甘利明幹事長や山際大志郎・経済再生相らの働きかけだろう。
A 新増設は無理としても、リプレースをエネ基に入れようという動きはあったようだが、公明党の問題があった。菅氏は公明党の意見をよく聞いたが、それはエネルギー政策にまったく関心がなかったから。カーボンニュートラル(CN)も2030年46%目標も、国連特使で元GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の水野弘道氏らと内輪で決めた話だ。
――岸田内閣の顔ぶれの評価は?
C ベテラン勢については3A(安倍、麻生、甘利)に忖度した一方、実務型の全員野球との思いから若手も抜擢し、この両立に腐心した形跡が見える。エネルギーに関しては、山際氏や、小林鷹之・経済安全保障相、そして経産相に細田派の萩生田光一氏が就いたことがポイントだ。
B 入閣適齢期を過ぎた人がいて「余りもの内閣」との揶揄もある。ただ、甘利氏や山際氏、さらに幹事長代行で梶山氏が中枢に入った意味は大きい。一時、経産相には山際氏の名前が出たが、萩生田氏を重要閣僚で処遇するため、今のポジションに落ち着いた。
C 首相周辺は、一部報道で漏れたから山際氏を替えたと言っている。また、甘利氏の影響力を減らすという演出もあっただろう。
A エネルギーに詳しくない萩生田氏の経産相就任には少し首を傾げた。文部科学相時代も旧科学技術庁の分野にはあまり興味がなかったようだ。萩生田氏には財務相か外務相という話もあったね。党幹部の芽はなかったのかな?
C 党幹部の可能性は、甘利氏が入った時点でなくなった。萩生田氏の処遇については、文科相のままでは安倍氏が怒ってしまう。かといって茂木敏充外務相は替えられず、財務相も麻生氏への配慮で決まり、次の重要ポストである経産相に、という流れだ。
A 基本的にエネルギー政策は同じく秘書官の嶋田氏と、荒井勝喜・前経産省商務情報政策局長がグリップしていくんだろう。ただ、財務省出身の秘書官2人との駆け引きもある。
B 萩生田氏は官邸の下請けになりそうだな。経産相としての独自色は出さずにおとなしくしていくんじゃないかな。
――嶋田秘書官は、今井尚哉・内閣官房参与が押したとも聞く。
A 確かに総裁選では今井氏が暗躍した。総裁選前のスピーチの特訓とか岸田ノートとかいろいろなことをレクしたし、官邸に今井氏が残っていること自体、エネルギーは官邸でやるというメッセージだ。
C 岸田氏の公約には、今井氏が使いたい言葉が随所に出ていた。ただ、岸田首相待望論の中核となってきた「永霞会(永田町・霞が関開成会)」の中心は財務省で、経産省はど真ん中ではない。そういったことが今後どう影響するのか。











