【業界スクランブル/太陽光】
近年、日本各地では台風や地震などの自然災害による被害が多発し、台風や豪雨についてはこれまでに経験したことがないような風速や雨量を記録することも珍しくない。昨年の台風15号では強風により送電鉄塔が倒壊したことにより、最大93万戸以上の停電が発生したことは記憶に新しい。
また、地震被害においても2018年9月の北海道胆振東部地震の際に発生した北海道全域295万戸のブラックアウトに代表されるように、災害と同時に発生する大規模な電源喪失は、これまでの経験に基づく対策では対応できない大きな課題としてわれわれに突き付けられている。
解決策の一つとして太陽光発電システムの自立運転機能の活用が挙げられる。業界団体の調査では、自立運転機能を使った人からは「冷蔵庫を使うことができたので中の食べ物を腐らせずに済んだ」「炊飯器でご飯を炊くことができた」「携帯電話、スマホの充電ができた」といった声が聞かれ、復旧の見通しが立たない不安な状況下で自立運転の活用が被災者の食料の確保と情報収集に貢献したことが分かった。
ただし、太陽光発電システムを設置しているにもかかわらず、災害時に自立運転機能を活用できなかったユーザーが20%程度存在したことが明らかになり、自立運転の活用をユーザーに周知徹底することが喫緊の課題となっている。自立運転機能の活用率を上げるためにターゲットとするユーザーは「知っていたのに使い方が分からなかった」人たちである。
調査によると、機能を知らなかった人の比率は5%以下と低く、自立運転機能という存在は広く世間に認知されていると推測される。「知ってはいるけれど実際に操作したことはない」という人が大多数であり、平常時において操作を実際やってもらうことが、自立運転機能を活用してもらう有効な手段ではないだろうか。国民の命と財産を守るためにも、このことを業界はもちろん自治体・メディアで広く周知していくべきである。(T)