【おやおやマスコミ】井川陽次郎/工房YOIKA代表
米映画サイトMOVIEWEBが7月23日、「『アバター』続編公開は1年遅れの『2022年12月』」と報じた。ジェームズ・キャメロン監督も謝罪の手紙をネットに公開した。
「新型コロナウイルス拡大でニュージーランドでの撮影、ロサンゼルスでの制作に支障が出た」
2009年公開の前作はコンピュータ合成による超現実的な映像が注目された。かなたの星で先住民と資源収奪を狙う人間が戦う。スクリーンに映し出される色彩豊かな風景、躍動する先住民、異形の生物が観客を魅了した。ネット百科ウィキペディアによると、世界興行収入は昨年まで歴代1位の2500億円超だったという。
設定も時代を反映していた。主人公は人間だが、自らの化身、つまりアバターとなる先住民の体を操り、戦う。コンピュータゲームでお馴染みの世界観である。
アバターの語源は古い。もとはサンスクリット語アヴァターラで「(神や仏の)化身」と辞書にある。「あの人はアバター。お言葉は神聖なメッセージです」などと用いられてきたのだろう。
人はアバターに弱いのだ。メディアもそこを突く。まず多用されるのが「専門家アバター」だ。
例えば新型コロナ対策の布マスクを巡る朝日4月2日夕刊「他者からの感染予防、専門家『期待できない』」だ。「国は布マスク配布に加え、子どもたちのために自作を要請しているが適切ではない」と語る専門家が登場する。
政権批判のためだろう。
今は多様な布マスクが販売され自作マスクも少なくない。朝日は自社のネットで布マスクを販売して炎上、とのオチもつく。
東京8月4日「あきれた国会開かぬ理由」も、「識者『言い訳、疑問だらけ』」と見出しにあり、大学教授らの苦言が並ぶ。「国会を開いておけば法案も予算案もすぐに通せる。臨機応変の対応ができる」という。本当か。
共同7月19日「立民・枝野代表がコロナ特措法改正論を批判」に、立憲民主党の枝野幸男代表が「現在の権限を使いこなせていない人に、さらに強い権限について議論する資格はない」と述べたとある。国会開会を求める立民自身が法案の審議を拒否している。
「海外アバター」もよく見る。8月4日防衛省記者会見で、東京新聞記者が河野太郎防衛相に安全保障政策を質した。
「自民党提言のように、相手国の領域でのミサイル阻止能力を検討する場合、周辺国の理解が重要だ。理解を得る際に必要だと思われることは?」
侵略から国民と国土を守るのが防衛だ。当然、対応策は日本が決める。攻める側ではない。河野氏は「中国がミサイルを増強しているときに了解がいるのか」と返したが、翌5日東京社説「真の抑止力にならない」は、「地域の軍拡競争が加速」と批判した。
同じ紙面に「北(朝鮮)が小型核実現か」の記事がある。遠くまで撃ち込める強力な殺戮兵器だ。その開発まで日本のせいか。
「市民アバター」はNHKが好む。7月13日「福島第一原発、トリチウム含む水の海への放出に反対、若者がデモ」は代表例だ。
「デモを行った『DAPPE』は福島県内に住む20代から30代の約50人で作る」「社会問題に積極的に関わろうと活動をしています」と持ち上げる。他に赤旗が報道しており、特定政党に寄った内容、との指摘がある。
アバター憑依報道にご用心。
いかわ・ようじろう デジタルハリウッド大学大学院修了。元読売新聞論説委員。







