<メディア人編> 大手A紙・大手B紙・フリーC氏
新政権発足から衆議院選まで矢のような速さで過ぎ去った。
一連の動きを記者はどう見たのか。
―本座談会は10月9日の衆院解散翌日に開催。中途半端な時期だが、まずは総裁選~組閣に関する感想を聞きたい。
A紙 石破茂首相は当初の「原発ゼロ」発言が尻すぼみになった。また、閣僚は年齢層高めで女性が少なく、特筆すべき点がない。これなら岸田文雄首相のまま、あるいは斎藤健経済産業相続投でも良かった。エネルギー政策に大きな変更はなさそうだが、次の第7次基本計画で「原発依存度低減」を削るのならば、もっと人選に力を入れるべきだった。
B紙 5回目の総裁選で時間はたっぷりあったはずなのに、石破首相肝いりの人事は村上誠一郎総務相のみだった。エネルギーに関する振り付けは平将明デジタル相が行っているようだ。平氏は党の「フュージョンエネルギー(核融合)プロジェクトチーム」座長を務めた。武藤容治経産相は今のレールに沿って無難にこなしていく感じだ。
C氏 それにしても、総裁選で多くのメディアが小泉進次郎フィーバーに加担したことは良くなかった。刷新感といってもバックは長老。出馬会見では、過去の失敗に突っ込まれないよう、党農林部会長や環境相などの経験にほぼ触れず仕舞いだ。本来なら石炭火力の話などを語るべきだったろう。さらに、実は参加する記者を恣意的に選んだとの話もあるが、この点も大手メディアは報じなかった。
B紙 今回の総裁選は一応派閥がなくなったことで、政治部の票読みも手探りだった。小泉氏の後ろには重鎮もいて、小泉優勢の見方はぬぐえなかった。また、会見を巡っては質問を事前に出すよう求められることもあったようだ。
野田氏今一つ、玉木氏覚醒? 選挙後は政局へ
―肝心の選挙については、自公で過半数となるかどうか―。
C氏 旧安倍派が多く落ちたほうが、石破カラーは出しやすいはず。他方、そこで頼りにするのが岸田前首相で、エネルギーについてはやはり現行路線踏襲だろう。ただ、石破首相で柏崎刈羽原発を動かせるかは疑問。嶋田隆氏のように突破力のある人は今の政権に見当たらない。
A紙 自公過半数ぎりぎりならば、石破首相の独自路線は選挙後も出なそうかな。来年には参院選や東京都議会選などが控える中、先を見据えた運営をしないと苦しくなる。
B紙 また、公明としては、創価学会の池田大作氏の死去後初の選挙になる。しゃかりきになり、特に近畿では落とせない中、どれだけ議席を取れるのか注目している。いずれにせよ、選挙後は完全に政局になる。





