マンション・ビルの脱炭素化へ 究極の「黒子」の役割を目指す


【エネルギービジネスのリーダー達】丹治保積/レジル 社長

マンション高圧一括受電の先駆者である中央電力の社名を「レジル」に変更した。

既存の顧客基盤を生かしながら、脱炭素という新たな領域に挑戦する。

たんじ・ほづみ 1998年日本ヒューレット・パッカードに入社。2004年楽天・楽天大学事業部事業部長、10年ミスミグループE推進室事業統括ディレクター、15年シグニ代表取締役社長などを経て20年12月に中央電力(現レジル)に入社。執行役員新規事業開発部門統括責任者を経て21年12月から現職。

2004年に業界に先駆けてマンション高圧一括受電サービスに乗り出し、高い導入シェアを獲得してきた中央電力が今年9月、「レジル」へと社名変更した。30年使い続けてきた愛着のあった社名との決別を決断したのは、21年12月に就任した3代目社長、丹治保積氏だ。

一括受電マンションが基盤 分散型ビジネスモデルを展開

昨年ごろから社名が事業内容と合わなくなってきたと感じてはいたものの、なかなか踏ん切りを付けることができなかった丹治氏の背中を押したのは、創業者である中村誠司氏の「丹ちゃん変えたらいいよ」との言葉だったという。

新しい社名には、会社のパーパス(存在意義)である「結束点として、社会課題に抗う」ことを表現するため、抵抗を意味する「resist(レジスト)」と、回復力を意味する「resilience(レジリエンス)」を組み合わせた「REZIL レジル」とした。スペルの「Z」には、未知の領域に挑戦していくことへの強い決意を込めている。

同社が今後、そのパーパスを掛けて取り組もうとしているのが、顧客基盤である一括受電マンションを軸にした「分散型エネルギー事業」であり、マンション内に設置した太陽光発電設備(PV)や蓄電池、EV充電器を独自開発のAIによって需給を最適制御するというもの。供給電力の一部は、同社所有のPVで発電した電気を自己託送する。

丹治氏は、これを「分散型エネルギー社会のミニチュア版」と呼び、「居住者は通常の電気料金を負担するだけで、生活に必要な電気を再エネで賄い、安定供給性を高めながら家庭の脱炭素化を無意識のうちに達成できる」と、その意義を強調する。

こうしたビジネスを展開できるのも、一括受電サービスのトップランナーとして、自社資源として受変電設備を活用できるからこそ。現在、同社が手掛ける一括受電マンションは2200棟に上り、さらには、オフィスビルや商業施設などでも、これまでのノウハウを生かして同様のサービスを展開し始めている。

目指すのは、各地に分散した自社のリソースをネットワーク化し統合制御することで調整力の価値を生み出す新たなビジネスモデル。30年にはマンション、ビル合わせて3000棟への蓄電池導入を見込んでおり、これらをVPP(仮想発電所)として機能させることで、需要側に調整力を持たせる戦略だ。

これにより、「再生可能エネルギーの不安定性を需要側で吸収し、日本全体の電力の安定供給と脱炭素化に貢献できる」(丹治氏)。その最初の試みとして、8月には、首都近郊の100戸規模のマンション2棟の蓄電池を連携させた最適アービトラージ(裁定取引)制御を開始した。

新事業による同社の収益の源泉は、蓄電池によるタイムシフトに加え、マンションとオフィスビルで異なる需要カーブを生かした需給制御による調達コストの低減。そして将来は、需給調整市場や容量市場などでの収益化も視野に入れる。

エネルギーは日々勉強 広がる一括受電の可能性

小学生の頃から、自らコンピューターのプログラムを書くなど、インターネット業界に高い関心を持っていた。起業への意欲も強く、大学を卒業後、日本ヒューレット・パッカードで1年経験を積むと、インターネットと地域情報を組み合わせた事業を手掛ける会社を立ち上げた。

だが、その会社は2年ほどで立ち行かなくなってしまい、その要因について、「勢いだけで創業してしまい、ファイナンスなど経営者として必要な知識が圧倒的に足りていなかった」と振り返る。その後は、楽天やミスミグループでECプラットフォームビジネスに関わり、20年12月に中央電力に入社したことで、初めて電力事業に携わることになった。

社長に就任したのは、入社から1年後のこと。「エネルギーに関しては日々勉強だ」と言い、多くの業界関係者に率直に教えを請いつつ、他の事業者が抱える課題などから新たなビジネスの可能性を模索してきた。

小売り全面自由化され、ともすると一括受電モデルは存在意義を失いかねない。しかし、そうした模索の中で、事業をDX(デジタルトランスフォーメーション)化し、設備を自社で運用することでコストを下げ収益性を保つことができれば、一括受電の良さを生かしながら脱炭素という新たな領域でビジネスを広げることができるという確信を持つことができた。

「マンション・オフィスの脱炭素化に向けた究極の黒子の役割を果たしていきたい」と語る丹治氏。他社にはないビジネスモデルで会社を成長軌道に乗せると同時に、数年後には世界進出を果たすことが、社長としての自らのミッションだと前を見据える。

【再エネ】再エネ利権化への疑い 一層の規律強化を


【業界スクランブル/再エネ】

再生可能エネルギー関連の汚職事件報道を毎日のように目にする。規律の緩みの是正が強く求められる中、この事態の発出に、関係者による自浄作用は機能しないのかと思わず問うてしまう。

再エネは環境保護やエネルギーの持続可能性に関わる重要分野であり、発電所がいったん建設されると長期間にわたり稼働し続ける性質であることから、再エネに関係する政治家の清廉性と透明性は通常の事業よりも一層求められるものである。にもかかわらず、この現状は再エネに係る政治の信頼性を大きく損なった可能性が高い。関係者の罪が確定するともなれば、再エネ政策に対する不信感が一層高まり、その結果、政策の実行や支持への悪影響も懸念される。

とはいえ、再エネ分野の透明性向上と規制の強化による状況改善の取り組みに注目が集まることも事実である。政府や関連団体は、再エネ事業の選定プロセスや契約手続きにおいてより一層厳格な審査を行い、不正行為の発生を未然に防ぐ。そして発電所の適正な運転が担保される仕組みがしっかりと運用されていると内外にアピールすることで、社会からの信頼回復につなげる機会だと捉えることが良いのではないか。

他方、気候変動対策の議論に対する悪影響はさらなる懸念事項だ。ただでさえ少ない再エネ応援派の政治家が発言しにくくならないだろうか。このような状況下では、再エネの必要性や正当性をいくら強調しても、利権のための欺瞞であると受け取られかねない。

現在は国政を舞台に政治家と再エネ事業者の関係が取りざたされているが、同様の構図が地方において繰り返されていないとする根拠はない。再エネの利権化と捉えられるような行動は厳に慎むべきである。(K)

【マーケット情報/10月20日】原油続伸、中東産の供給不安強まる


【アーガスメディア=週刊原油概況】

主要指標、軒並み続伸。特に、中東原油を代表するドバイ現物は前週比4.57ドル高の急伸となった。中東産原油の供給不安が一段と強まったことが背景にある。

ガザ地区の病院が爆破されたことに加え、イスラエル軍はガザ地区を拠点とする武装集団ハマスに対する地上作戦を計画している。また、米国海軍が紅海で、ミサイルとドローンを迎撃したと公表。イエメンを拠点とする武装集団フーシによるものとみられており、中東地域の緊張がさらに高まった。

需要面では、米連邦準備理事会の議長ジェローム・パウエルが、金利引き上げを12月まで一時停止すると示唆。景気と石油需要が回復するとの見込みが台頭した。

一方、米国は、ベネズエラの原油およびガス部門に対する経済制裁を一時解除する計画。ベネズエラのエネルギー部門に対する投資の拡大や、同国からの原油輸出が増加するとの見通しが強まったが、価格の下方圧力には至らなかった。


【10月20日現在の原油相場(原油価格($/bl))】

WTI先物(NYMEX)=88.75ドル(前週比1.06ドル高)、ブレント先物(ICE)=92.16ドル(前週比1.27ドル高)、オマーン先物(DME)=93.46ドル(前週比4.57ドル高)、ドバイ現物(Argus)=93.94ドル(前週比5.19ドル高)

【火力】全国紙報道の無知? kW時とkWの理解度


【業界スクランブル/火力】

発電設備の規模を表すのに「原発何基分」という表現を今でもよく見かける。今年の3~5月、九州エリアにおいて実施された再エネの出力制御で500万kWを超える日が9日間あり、このことをある全国紙が「再生エネ、原発5基分ムダ」との見出しにしていた。当然のことだが、需要の少ない日の日中に出力制御を行うことが多少あったとしても、24時間稼働し続ける原子力5基分の電力全部をムダにしているわけではない。このように設備容量(kW)と発電電力量(kW時)を混同した報道が、原子力や火力が無くても再エネだけで日本の電力が賄えるとの印象を与えているとすると大変なミスリードだ。

同様の懸念が最近注目の水素・アンモニアにもある。水素・アンモニアは、「さまざまな資源からつくることができ」「利用時にCO2を出さない」とされ、環境にやさしく、多様な供給源を期待できることからエネルギー安全保障に役立つと説明されている。しかしこれらは、エネルギーを投入してつくられる2次エネルギーであって、元になる1次エネルギーをどこに求めるのかを明示できなければ絵に描いた餅にすぎない。

国の将来の電力需給を検討する資料の中に、「一次エネルギー源の変化として、水素やアンモニアの伸びをどのように考えるか」との記載があったが、国がこのような不用意な表現をしていて大丈夫なのだろうか。

水素・アンモニアは、CO2フリーで製造できれば輸送・貯蔵によりエネルギーの偏在性、変動性を克服できる可能性がある。しかし現段階では、どのエネルギー源も製造量・コストともに明確な見通しを示すことができていない。イメージだけでグリーンだ、ブルーだ、パープルだと言っていてもらちが明かないのである。(N)

金属資源開発の価値創造 ダム決壊から得る教訓を糧に


【リレーコラム】南野弘毅/三井物産 金属資源本部 新金属・アルミ部次長

金属資源開発は、長年にわたり資源国・地域の経済発展に貢献してきたが、近年はその環境負荷を最小限にとどめ、地域社会に配慮しながら持続可能な事業とすることが一層重要となっている。他産業と同様「低炭素」がキーワードとなり、各社がGHG削減目標を掲げる中、新たなビジネス機会創出・技術革新のチャンスが広がっている。

このGHG削減に加え、資源産業で近年関心を集めているのが、採掘した鉱石の不純分である残渣(尾鉱)の処理・管理である。

通常、鉱石から不純物を取り除くプロセスでは大量の水を使うため、尾鉱は水分を含んだダムにためられる。高品位の鉱石から採掘が進んだ結果、世界各地の鉱山で品位の劣化が進んでおり、このような鉱石処理プロセスが一層不可欠となっている。

かかる中、2015年と19年にブラジルの鉄鉱山の尾鉱ダムが決壊。流出した尾鉱は、近隣の建物などを飲み込み、河川の生態系にも大きな影響を与えた。特に19年の決壊では死者272人、3人の行方不明者を出し、その影響は周囲300kmに及んだ。決壊から約4年経った今でも、尾鉱の除去作業は続いており、いまだ大きな爪痕を残している。

ダム決壊後の技術開発と事業機会

以来、尾鉱ダムの建設・管理が厳格化されたことはもちろん、尾鉱脱水設備や、天日干しで乾燥させた上で終掘済みの鉱区に埋め戻す工程など、かつてはコスト増になるため導入してこなかったような取り組みが加速している。さらに、鉱石処理プロセスそのものも見直されており、水を使わない乾式プロセスで品位を高める技術などが開発されている。

また一部の資源会社では、50年に尾鉱発生をゼロとする目標を掲げ、尾鉱に含まれる有価金属を回収・再利用する動きも出始めている。これまでも尾鉱を乾かした上でセメントなどに使用した例はあるが、相対的に付加価値の低い製品であることから輸送コストや地場需要などの条件が揃わない限り経済性が成立しない。尾鉱に含まれるスカンジウムやガリウムといった微量元素を回収する構想も数多く研究されてきたが、尾鉱内の微量元素の含有量にばらつきがあり、回収効率が低いことなどにより、事業化への道のりはまだ長い。

だが、重大な尾鉱ダム決壊も目の当たりにし循環型社会への関心・要求も高まる中、今後は一層の技術革新・投資が進むだろう。社会にとって必要不可欠な金属資源の開発を持続可能なものとし、サーキュラーエコノミーを実現するためにも、尾鉱の削減や活用をビジネス機会としても捉え推進するべきと思う。

なんの・こうき 2001年一橋大学商学部卒、三井物産入社。以降、石炭、ニッケル、アルミなどの貿易、投資事業に従事。

※次回はプライムプラネットエナジー&ソリューションズの青木努さんです。

【原子力】水産物を輸入禁止 中国の政治的意図


【業界スクランブル/原子力】

福島第一原発のALPS処理水の海洋放出が始まった。日本が放出する処理水のトリチウムの濃度が国際基準を下回っていることはIAEA(国際原子力機関)も認めている。にもかかわらず、はるかに多くのトリチウム量を自国の原発から放出している中国が科学的根拠を無視して、日本からの水産物輸入を理不尽にも全面的に禁止するという強硬措置を打ち出した。

そこには日本との友好の理想はみじんも見えない。もはや、今後のわが国の課題は国内の風評被害対策というよりも、いかに中国依存から脱し、日本の国民が福島県をはじめ東日本の太平洋岸産の水産物を買い支える連帯精神を発揮できるかという方向に移ってきたようだ。

開沼博・東京大学大学院准教授は「中国への水産物の輸出額は1600億~1700億円なので、国民一人が福島産の魚介類を1年間でその分、余分に買えばよい」と提案している。これこそあるべき考え方であろう。岸田首相がすみやかに自らそうした活動の先端に立つことを望みたい。

中国の共産党政権が海洋放出に反対するのは、無理にでも問題化して政治利用したいという思惑・意図からだ。民主的選挙を経ない共産党政権は専制的だが、経済変調がもたらす国民の怒りにおびえる弱い体制でもある。国民の不満の矛先を日本に向け、反日カードに利用したいのだ。

中国の傍若無人ぶりに対して、科学的根拠に基づき論破しようという声が一部に根強い。だが、中国の本音が袖から透けて見える今、そうしたアプローチには多くを期待すべきではない。狙いの本質を見極め、冷静に処理水放出問題の解決を図り、わが国の水産業を守ることに徹すべきである。(S)

【シン・メディア放談】ALPS処理水の海洋放出 異形の大国・中国リスクを再認識


<エネルギー人編> 電力・石油・ガス

東京電力がALPS処理水の海洋放出を開始した。

中国による嫌がらせ行為を日本国民はどう受け取ったか。

─迷惑電話などの嫌がらせ行為はマスコミの格好のネタになった。

ガス テレビを見ていると、漁業者の不安の声や嫌がらせの内容にフォーカスした報道が目立つ。いわゆる社会面的な報じ方だが、こうした報道が風評被害を増長させていないか。処理水放出の安全性や福島県へのふるさと納税額の急増、放出前と変わらず営業している飲食店なども積極的に取り上げるべきだ。

石油 ニュース番組では、最後の株価·為替情報と同じ扱いで淡々と「今日のトリチウム濃度」を伝えたらいい。原発事故直後、漁業者や農家は水産・農産物から基準値超えの放射性物質が検出された時だけニュースになるので困ると言っていた。彼らにとっては「安全」であることにニュースバリューがある。

電力 そもそも、処理水関連のニュースを大々的に報じる必要性があるのか。漁業者の苦悩はあれど、一般国民の生活にはほとんど影響しない。風評被害を増やすだけなら、報道しない方がマシだ。

「仮想敵」となった日本 習近平の異様な経済観

─外交問題になり、朝日や毎日は「対話」の重要性を説いた。

石油 理解する気がない相手と対話するのは時間の無駄だ。新聞がうわべの中国批判を繰り返す中、『ニューズウィーク』(9月12日号)の「処理水で中国が日本をたたく本当の理由」にはうなった。書いたのは香港生まれの経済学者リアン・イーゼン氏。

「共産党支配が始まった当初は地主が『人民の敵』としてサンドバッグになった。その後は『資本主義に走る特権的官僚』のレッテルを貼られた鄧小平ら『走資派』がその役目を果たし、鄧の時代、そして今の習近平時代には、『小日本』がたたかれることとなった」

共産党政権の歴史を振り返りながら、「反日」の根源を突き詰める重層的な内容だった。不動産バブル崩壊などの国内問題から国民の目を逸らすため、日本を「仮想敵」につるし上げたのだろう。

ガス 一連の対応は、日本人に中国と付き合う危険性を知らしめた。3月にはアステラス製薬の幹部が「スパイ容疑」で拘束され、今も5人の日本人が帰国できずにいる。中国経済の先行きは暗く、市場としての魅力もかつてほどではなくなった。

電力 中国は鄧小平以降、自由主義経済を取り入れて経済発展したが、習近平の経済観とは相容れないようだ。彼は欧米流の経済成長は浪費が多く「贅肉的」だとして批判的な立場に立つ。そして、消費主導ではなく「筋肉質」な技術大国にすると意気込んでいる。その「哲学」を裏付けるように、党機関紙『求是』によると8月16日の演説で、消費を促す景気刺激策は避け「忍耐」を促すと語ったという。

石油 実際に地方では、誕生日パーティや新築祝いが禁止というから驚きだ。

電力 そういう「ぜいたく」こそ経済成長につながるのだが……。倹約の奨励など前時代的な発想だ。日本が江戸の三代改革で失敗しているではないか。

ガス 習近平が経済オンチであることは間違いない。ただ党内政治にはめっぽう強く、権力闘争に勝利した習近平は3月、任期制限を撤廃した。彼がトップにいる限り、中国経済は危ういが、大躍進政策で大失敗した毛沢東をあがめるのが中国共産党だ。民主主義国と違い、経済的な失政は党内の権力争いには直結しない。

総選挙につながるシナリオ 補助金継続でいいのか

─処理水放出前には経済産業省が漁業者との折衝を繰り返し、最後は岸田文雄首相が政治決断を下した。

電力 経産省の粘り強い交渉と、岸田首相が「夏ごろ」という放出予定時期を守ったことは評価されるべきだ。

石油 日本政府にとっては、結果的に中国による強硬措置がプラスに働いた面もある。野党も中国を批判せざる得ず、政府批判はトーンダウンした。

ガス 中国が日本バッシングを始め、日本国民が一致団結。政権批判は沈静化―。政権がこうした流れを想定していたのなら恐ろしい。文春報道で騒がれていた裏で、木原誠二前官房副長官がシナリオを練っていたりして(笑)。

石油 そのシナリオには先がある。臨時国会で物価高に対応する経済対策を打ち出し、秋に解散総選挙―。早ければ「10月末解散」という噂も聞こえる。

─物価高対策には激変緩和措置の長期化など批判的な声も。

電力 岸田首相は植田和男日銀総裁と歩調を合わせているのだろう。植田総裁は就任就任前の日経(2022年7月6日)の「経済教室」で、食料·エネルギー価格の上昇など円安による悪影響には、「財政」による対応が適当と書いている。今年8月22日に岸田・植田両者は面会したが、こうした見方を共有したはずだ。

ガス 日米の金利差による円安はメリットの方が大きく、金融政策では対処しないということだ。イールドカーブ・コントロール(YCC)の修正で金融緩和の「出口論」が盛んだが、しばらくは継続されるだろう。

石油 そもそも植田総裁はかねてから、金融緩和の継続は必要だが、長期金利をコントロールするYCCには疑問を投げかけていた。金融緩和の「出口」には、任期(5年)をかけてゆっくりと向かうはずだ。

電力 物価高対策は企業や家計の負担軽減のために意義がある。ただ植田総裁は「経済教室」で「低所得層への所得支援を中心とする対応が適切」と書いていた。

─補助金以外の方法も「検討」してほしい。

【石油】ガソリン高騰対策 トリガー条項では混乱


【業界スクランブル/石油】

8月30日、ガソリン全国平均価格が185・6円と過去最高値を更新した。これに対し、岸田首相は9月末終了予定の燃料油補助金を9月7日から拡充・増額の上、年末まで延長、10月からは175円前後に値下がりすると発表した。補助金については、市場への介入、脱炭素への逆行、6兆円もの所要財源などを理由に批判が強く、むしろ、「トリガー条項」の復活を望む声が大きい。

これは160円以上のガソリン価格が3カ月連続した場合、ガソリン税・軽油引取税の旧暫定税率(各25・1円、17・1円)を減税するというものだが、現在、震災財源臨時特例法で適用停止中で復活には法律改正が必要となる。

確かに補助金より減税の方が市場への悪影響は少なく、制度的にもスッキリするが、問題点も多い。政府は適用前後の混乱、適用範囲の狭さ・不公平性を理由に復活に反対している。国会の混乱で2008年4月に暫定税率が1カ月間停止され、トリガー適用と同じ状況になった際、減税前には買い控え、増税前には買い急ぎで品切れが多発、ガソリンスタンドは課税品を減税価格で売り、暫定税率分の取りはぐれも発生した。またトリガー復活は自動車ドライバー、運輸業界だけが受益者で、補助金対象の灯油利用家庭や農林水産業には恩恵が及ばない。

政府与党の本音は、トリガー条項が鳩山内閣の暫定税率廃止公約の代替措置であることだろう。すなわち、当時、民主党は小沢一郎幹事長主導で、ガソリン税減税を政権公約にしたが、財源を確保できず断念したため、その代わりに、せめてガソリン価格が高騰したら減税することにした経緯がある。その意味で、トリガー条項は「民主党政権の置き土産」「小沢一郎の怨念」である。(H)

【コラム/10月20日】電力分野のプロダクト創出のために求められるデジタル化


矢島正之/電力中央研究所名誉研究アドバイザー

デジタル化は、すべての生活領域に浸透しており、もはや押しとどめることのできない現象である。デジタル化の進展により、すべての経済部門で新たな挑戦が生まれており、新たな価値創出が求められている電力分野も例外ではない。ドイツでは、デジタル技術に基づく様々なプロダクトが創出されているが、エネルギー業界団体BDEWの調査によれば、電力分野で求められるデジタル化とは、つぎのようなものである。

(1)プロダクトを構成する要素のネットワーク化

例えば、コネクテットホームは、家電などをIoT機器でネットワーク化したプロダクトである。

(2)顧客の要求を満足させるデジタル技術を駆使したプロダクトの構築

(3)企業内部および企業と外部企業・顧客とのインターフェイスのデジタル化

(4)データに基づく新たな価値創造および価値連鎖全体のデジタル化

例えば、顧客データの分析により発見された新たな価値の創出のために価値連鎖の再構築を行う場合、価値連鎖全体をデジタル化しておくことが求められる。

(5)プロセスの自動化およびフレキシビリティの制御

例えば、VPPでは運転のスケジューリングから取引、機器の制御までのプロセスを自動化している。

(6)デジタル情報に基づく負荷の予測とバランシング

負荷予測が正確であるほど、バランシングのコストは削減できる。予測の精度は、スマートメータデータ分析等により高めることができる。

電力の販売事業がこれらの挑戦に挑むためには、IoT、AI、 ビッグデータ解析、ロボティクスなどの先端的技術要素が必要である。将来的には、販売事業が顧客に提供するサービスは多様な要素から構成され、顧客サイドからは、純粋なエネルギー購入は全体の一部でしかない。場合によっては、顧客はエネルギーへの支払いを内包したプロダクトを購入することになろう。

そのようなサービスでは、機器やデータのネットワーク化が常に進展している。そして、このようなネットワーク化は、必然的に相互接続を可能にする技術の標準化を要求する。例えば、わが国では、家電などをIoT機器で接続するスマートホームにおいて、標準規格は存在していない。ベンダーの独自開発の技術間に互換性がないことが、スマートホームの普及を妨げており、スマートホーム製品の相互接続を可能にする標準化が求められている。

また、間欠性電源である再生可能エネルギーからの電力の増大により、従来の需要志向的な生産から供給依存的な消費への転換が不可欠となっており、販売事業は顧客に存在しているフレキシビリティのポテンシャルを活用するとともに、さらなるポテンシャルを引き出すデジタルソリューションの開発が求められている。

負荷移行の活用により、系統の負荷を軽減し、その建設を遅らせるか回避することが可能となる。また、容量市場が設立される場合には、同市場へのフレキシビリティの投入を通じて追加的な発電能力を最小限度に抑えることができる。さらに、フレキシビリティを需給調整市場に供出することにより、系統のバランシングに寄与することが可能である。

フレキシビリティの利用に関しては、B2C(business to consumer)セグメントとB2B(business to business)セグメントとでは、基本的な違いはないが、その利用の促進のためには、自動化されたシステムが必要である。違いは、B2Bセグメントは、生産プロセスで様々なエネルギーが様々な形で用いられており、フレキシビリティの活用はより複雑である。

また、消費全体に占めるフレキシブルな負荷の割合の違いも指摘できる。通常、フレキシビリティのポテンシャルは、B2BセグメントよりもB2Cセグメントのほうが将来的には期待できるだろう。というのは、温水・冷暖房需要が、そして将来的には、電気自動車の充電需要が、家庭顧客のエネルギー消費の大きな部分を形成することになり、これらの消費は負荷移行に良く適しているからである。

最近の電気料金の高騰で、顧客のフレキシビリティを引き出すデジタルソリューションのビジネスのチャンスが拡大し、また顧客の電力市場への関与の可能性はこれまで以上に高まっており、電気事業としても新たな販売戦略の策定が求められている。

【プロフィール】国際基督教大修士卒。電力中央研究所を経て、学習院大学経済学部特別客員教授、慶應義塾大学大学院特別招聘教授、東北電力経営アドバイザーなどを歴任。専門は公益事業論、電気事業経営論。著書に、「電力改革」「エネルギーセキュリティ」「電力政策再考」など。

【ガス】中国にお株を奪われない 中東との関係構築を


【業界スクランブル/ガス】

現在、日本の原油輸入先の中東比率が95%を超えている。第二次石油危機後、一時68%まで下がった中東比率だが、ウクライナ戦争でロシア産原油が入ってこなくなるなどで、過去最大に。さらには、輸入先の7割強がサウジアラビアとUAEで占められているのだ。

サウジは米国との関係を後退させる中、中国から急接近を受けている。昨年、中国の依頼に従い原油取引を人民元で決済することを認め、年末には中国の仲介によって、犬猿の仲だったイランとの国公正常化に合意した。次いで、8月24日のBRICS首脳会議では、サウジアラビア、UAE、イランの加入が決定した。サウジを中心とした中東諸国が急速に中国に取り込まれていくことで、中国は中東原油に対する影響力を強めていく。そうなると、仮に中国の台湾侵攻が起きて日本が中国と対峙する情勢になった場合、サウジやUAEが中国に協力し日本向け輸出を制限する可能性も出てくる。

これはLNGにとって対岸の火事ではない。過去のオイルショックや湾岸危機のように原油を取り巻く環境が大きく変化し、輸入の滞りなどにより価格が急騰すると、原油価格にリンクする長期契約価格やスポット価格も急騰して、LNG市場は混乱することになる。

7月、岸田首相はサウジ、UAE、カタールの中東3カ国を歴訪し、安倍元首相以来久しぶりに資源外交を行なった。石油の最重要国に加えて、世界のLNG生産工場であるカタールとの関係強化は、日本にとって欠かすことができない。そもそも長年親日である中東諸国との関係強化は、本来日本がやるべき役割であろう。中国にお株を奪われないよう、今後の日本政府の継続的・戦略的な取り組みに期待したい。(G)

テキサスにみる電力モデル


【ワールドワイド/コラム】水上裕康 ヒロ・ミズカミ代表

米国テキサス州は、この夏の間中、電力危機に見舞われていた。今回の危機は寒波で発電関連設備が凍結した2021年の大停電とは様相が異なる。6月以降の猛暑で最大電力の更新が続き、供給予備力は低下、市場価格は何度も上限の5000ドル/MW時(約725円/kW時)に迫った。系統運用者のERCOTは節電要請を繰り返していたが、ついに9月6日、「緊急アラート2」を発令、予備電源の利用、デマンドレスポンス(DR)の発動などを行った。

同州では、この10年で風力と太陽光の発電量が合わせて3倍に急増、全発電量の約25%を占めるようになった。一方で、火力設備は横ばいで推移。この夏は、火力・原子力の安定電源だけでは最大需要を賄えなくなった。風が弱い昼間は太陽光が、夕方以降は風力が供給を担う「必勝リレー」を称賛する声もあったが、あくまで「お天気任せ」なのだ。

容量市場を持たず、kW時市場に発電設備の投資回収を委ねる「エナジーオンリーマーケット」の採用や、再エネの導入先進地として、テキサスは注目を集める。このモデルは、そもそも需給と価格の不安定さが前提であろう。市場価格が激しく騰落すことで、火力、蓄電池、DRなどが利益を上げ、増加する再エネを調整力としてサポートできる。

思えば、電気は「いつでも、同じ価格で、欲しいだけ」というのは、ダム式水力や火力などの調整力が出現して以降の常識だ。自流式水力が主流の時代には、大口のお客さまなどに負荷調整をお願いし、最悪は停電によって需給の均衡は維持されていた。テキサス・モデルでは「電気は再び天気に応じて使う時代」という割り切りも必要なのだろう。ただ、風力が豊富なテキサスと違い、太陽光中心の日本では、日没とともにロウソクを灯すことになりそうだ。

【新電力】複数年の相対卸契約 事業安定化に期待


【業界スクランブル/新電力】

8月8日の総合資源エネルギー調査会電力・ガス基本政策小委員会において、昨年度から議論になっていた「内外無差別で安定的な電力取引を実現する仕組みの構築」の一環として、旧一般電気事業者・JERAからの複数年契約の相対卸の販売の計画の説明がなされた。

これまで、公の形で単年契約以上の相対卸が促進されたケースは非常に少なく、発電事業を営んでいない小売電気事業者にとっては、事業ポートフォリオを安定化させるために有効な取り組みになることが期待される。供給力全体の不足が課題として残る中、どの程度の取引水準となるかが注目である。

6月末の電力・ガス取引監視等委員会の制度設計専門会合で発表された内外無差別な卸売りの評価結果は、北海道・沖縄電力が内外無差別な卸売りを行っていると評価された。この評価の中で、半数以上のみなし小売電気事業者の小売料金が調達価格を下回っていることが明らかになった。

規制料金を中心に小売料金が抑えられてしまっていること、既出の長期相対卸へのアクセスが無差別的でないことが要因と考えられるが、ここが解消されることが競争環境の適正化の前提となるところであり、監視・制度の設計の強化を期待したいところである。

とはいえ、発電事業者からすると、固定収入が予見できていたところが、リスクを高める方向になるわけで、制度による制御はより難しくなる。審議会の委員からも、発販双方に分散的になっていく中で、全体の最適解は一意に定めるのは不可能に近いという声もある。供給力の確保・電源構成の入れ替え・諸外国と比較した電気料金の推移を見ながら、操縦するように制度を設定していくことが求められる。(S)

不調のG20環境・気候相会合 両論併記議長サマリーの真意


【ワールドワイド/環境】

7月28日のG20環境・気候・持続可能大臣会合は予想されたとおり、共同声明を採択できす、議長サマリーを発出して終了した。5月のG7サミットでは中国、インドを念頭に「30年目標や長期戦略が1・5度の道筋や50年ネットゼロ目標に整合していない国に対し、COP28に先立って目標の強化、50年ネットゼロへのコミットを求める」との共同声明が採択された。

しかしG20では「パリ協定の気温目標にNDC(国が決定する貢献)を整合させていないすべての国に対し、各国の異なる事情を考慮しつつ、23年末までに、必要に応じて30年目標を再検討し、強化するよう求める」との過去、合意済みの文言を繰り返すにとどまった。「パリ協定の気温目標」は産業革命以降の温度上昇を1・5~2℃に抑制するものであり、1・5℃よりも求められる削減スピードが緩やかであるため、中国、インドの目標引き上げのプレッシャーにはならない。

議長サマリーでは「IPCCの最新報告書の見解や世界的なモデル経路など、緩和に関する問題が取り上げられた。一部のG20メンバーは、遅くとも25年までに排出量を世界的にピークアウトさせ、19年比で35年までに排出量を60%削減する必要性を強調した。(中略)一部のG20メンバーは、パリ協定の気温目標を達成するためには、排出削減と除去の両方が重要であると述べた。一部のG20メンバーは先進国が40年までにネットゼロを達成する必要性を述べた」と異なる見解が両論併記された。言うまでもなく世界全体の削減目標を主張しているのがG7の先進国であり、先進国40年ネットゼロを主張するのは新興国である。

G7諸国はIPCC第6次評価報告書に記載されている25年ピークアウト、35年マイナス60%をグローバルストックテイクに関するCOP28の結論文書にも入れようと目論んでいるが、途上国のシンクタンクは、IPCCシナリオは気候変動枠組み条約の「公正だが差異のある責任」や衡平性の原則を考慮しておらず、先進国と途上国の一人当たり所得や一人当たりエネルギー消費の格差縮小につながらないとの理由で上記の数字を受け入れていない。

G20の結果を見れば、G7諸国とG20の新興国が温暖化防止を巡って「同じページ」にいないことは明らかである。

(有馬 純/東京大学公共政策大学院特任教授)

【電力】異常さが際立つ 処理水放出を巡るデマ


【業界スクランブル/電力】

東京電力は8月24日、福島第一原子力発電所の処理水の海洋放出を開始した。社会調査研究センターが9月3日に実施した全国世論調査では、54%が「問題はあるが、やむをえない」、29%が「妥当だ」と合計83%が容認しているとのこと。

懸念されていた水産業などへの影響は、国内では「食べて応援」のムードがむしろ高まっているようだ。政府と東電が、IAEAの協力を得ながら入念に準備をしてきたことが奏功したことは間違いなく、関係者の粘り強い努力に頭が下がる。

近隣国では中国が、処理水放出に反発して日本産水産物の輸入を全面的に停止したが、日本政府がかつてないほど精力的かつ毅然とした外交対応をしているので、科学的根拠を欠いた暴挙であることがかえって浮かび上がっているように見える。WTO提訴も毅然と行うべきだ。前政権が東京五輪を放射能五輪などと揶揄していた韓国の現政権が、今回は日本側に立っていることも大きかろう。

中国政府は、国内経済が不動産バブル崩壊で雲行きが怪しい中で、政治的に利用できると思って国民を煽ったのかもしれないが、その結果が日本への電話殺到では、日本国民のみならず他国に対しても異常さを際立たせてしまったのではないか。

一方国内では、「トリチウムは生体濃縮する」という説を広めた社会学者や、東電が以前から公開しているトリチウム以外の放射性物質のデータを隠しているかのようにコメントしたTBSのキャスターなど、少し調べればわかるデマを流布した人たちが炎上している。彼らが確信犯なのか本当に無知なのかは定かでないが、昭和の時代にはオピニオンリーダーと目されていた人たちが実はポンコツだった。処理水放出はこんなことも明らかにしている。(Ⅴ)

英国で進む需給ひっ迫対策 電力調整促すサービスを導入


【ワールドワイド/経営】

再生可能エネルギーの導入が進む英国では近年、電力の需給状況に応じて消費の調整を促すサービスの導入が進む。

きっかけとなったのは、2022年度冬季に想定されていたエネルギー危機への備えである。英国としては初めて、一般家庭も対象とした補償付きの節電による負荷削減サービスを導入。エネルギー料金の高騰が背景にもあるが、一般家庭も電力消費の調整に関心を持っていることが示され、この取り組みは成功を収めた。

一方、夏季は風力や太陽光の発電が増加し、出力抑制の頻発が近年の課題だ。昨冬の節電の成功もあり、今夏は、再エネ発電量が多い時間帯や電力需要が低い週末に電力消費を促す新たなプログラムが導入され始めた。

エネルギー小売大手ブリティシュガスの新プログラムでは、23年6月25日から同年9月24日までの毎週日曜日、午前11時から午後4時までに使用した消費電力量にかかる電気料金を50%割り引く。同社は期間中の割引総額について最大500万ポンド(約9億円)に達すると予想している。

主要新電力のオクトパスエナジーが8月に導入した新プログラムでは、英国内の一部の対象地域において、電力供給が需要を上回ると予想される時間帯の単価を無料にする。配電事業者と提携することで対象地域の需給予測情報を取得。前日までに需要家に電力消費が無料となる時間帯を通知する。特徴的なのは、電力消費を促す時間帯を需要家ごとに個別に割り振り、配電系統の細かなエリアごとに混雑および再エネの出力抑制の低減につなげる点である。

消費調整を促す料金メニューとしては、従来はベースロード電源の運転を考慮した、夜間の単価割引といった時間帯別料金が主流だった。現在は市場連動型プランがあるが、価格高騰のリスクもある。こうした中、小売市場におけるデジタル技術の活用が進み、よりピンポイントに地域の需給状況や需要家の生活に合わせた消費調整が可能になりつつある。電気自動車所有者向けのスマート充電プランの普及も代表的な例である。

英国エネルギー省や規制機関も、一部の事業者で進むイノベーションによる新サービスを多くの需要家が利用できるようにしていく考えを示している。割安な電力単価の自動適用や、需要家によるアクティブな消費調整は、コスト上昇を抑えるだけでなく、電力部門のネットゼロ達成にも欠かせない。今後も英国の小売市場での革新的な取り組みが注目される。

(宮岡秀知/海外電力調査会・調査第一部)