
1980年東京都生まれ。2004年東京大学法学部卒業後、経済産業省入省。エネルギーや地球温暖化、経済安全保障、通商政策などに従事。23年に退職し、26年2月の衆議院議員選挙で初当選(東京8区)。慶應SFC研究所上席所員。米国NY州弁護士資格保持。
経済産業省でエネルギー政策などに従事し、2月の衆院選で初当選した。
政策への深い知見と明るくパワフルな性格で経産行政に新風を吹かせる。
東京都杉並区出身。サラリーマン家庭の3人姉弟の真ん中に生まれた。幼少期は手がつけられない「おてんば娘」で、姉弟が近所の公立校に通う中、小学校から高校まで規律を重んじる教育で知られる聖心女子学院に1時間かけて通った。
活発で明るい性格で、中高はテニス部、高校では生徒会長を務めるなど社交的でまとめ役になるタイプだった。聖心女子学院の卒業生には美智子上皇后陛下や日本人初の国連難民高等弁務官を務めた緒方貞子氏などがいる。「どちらも家庭と仕事を両立しながら世界の第一線で活躍されている。漠然と国際的な仕事に就きたいと考えていた」
ところが、大学入試で人生初の挫折を味わう。東京大学を目指していたが、センター試験当日に貧血で倒れてしまった。当時は追試制度が厳格で使えず、二次試験へのやる気を喪失。他大学へ進学したが、「このままでは一生後悔する」と思い、1年間の仮面浪人を経て東大合格を果たした。女子ラクロス部の主将を務め、授業よりグラウンドにいる時間が長い学生生活だった。
就職活動をした2003年は、就職氷河期の「底」だった。女子学生というだけで説明会の予約が取れないこともあった。「限られた枠をみんなで奪い合っていた。経済のパイを大きくしなければゆがみは解消されない」と痛感し、経済官庁を志した。04年に経済産業省に入省する。
最初の配属先は、資源エネルギー庁の資源燃料部政策課(以前の石油部計画課)だった。同課に1年目で配属されたOBには、自民党で選挙対策委員長を務める西村康稔氏、元経産次官で岸田文雄政権の首相秘書官を務めた嶋田隆氏らそうそうたる顔ぶれが並ぶ。門氏は「30代目の新人にして初の女性」だった。
入省1年目は中国による東シナ海でのガス田開発の発覚、イランで国際石油開発(現INPEX)がアザデガン油田の権益獲得、同国の核開発疑惑に伴う米国からの制裁圧力など〝エネルギー動乱〟と言っていい年だった。ロシアのサハリンⅡや豪州沖イクシスなどLNGの調達多角化に向けたプロジェクトも進んでいた。「エネルギー政策のターニングポイントと言える時期に仕事をできたのは有意義だった。非中東のLNGの供給先を強化できたことは大きい。この時の仕掛けが現在のイラン危機に生きている」
その後、地球温暖化防止国際会議・COPでの交渉、通商、人権、経済安全保障政策などに従事。コロンビア大学ロースクール留学中にはニューヨーク州弁護士試験に合格した。「経産省の魅力はLPガスのような地域に根差した身近な課題から国益をかけた貿易交渉まで、経済を軸に幅広い仕事ができること」と懐かしむ。
23年に同省を退職し、自民党東京8区の支部長に就任した。翌年10月の衆議院選挙では涙をのんだが、今年2月の同選挙で初当選を果たした。
女性の目線で不安に向き合う 子どもと過ごす時間も大切に
エネルギー政策へのこだわりは強い。デジタルなど新産業の創出には安価で安定的な電力供給が必須だとして、ベストミックスの重要性を訴える。「ベストミックスのバランスは国によって異なる。日本は再生可能エネルギーで100%を賄うことは不可能で、原子力をベースロードにしないといけない」
こう語る門氏の根幹にあるのは、歴史への責任と未来への覚悟だ。日本は戦後10年の1955年、原子力の平和利用を目的とした原子力基本法を制定した。「原爆による被ばく被害の全容が判明しておらず、前年には放射性降下物を浴びてマグロ漁船の船員が亡くなった第五福竜丸事件があった。そんな中、先人たちは党派を超えて、資源が乏しい日本が二度と戦争をしないために原子力の活用へと動いた。この重みを忘れてはいけない」
経済安全保障の観点からも原子力の重要性を説く。ロシア、中国といった権威主義国やアジアやアフリカの新興国が原発活用に動く中、「日本のメンテナンス技術や保安の知見が求められる日が来るはずだ。他国にとって代替不可能な『戦略的不可欠性』を高めるためにも、原子力技術を手放すべきではない」。女性や母親たちが抱く放射能への不安にも、同じ目線で丁寧に向き合い、科学的なリテラシーを共有したいと意気込む。
小学3年生の娘と1年生の息子を育てながらの政治活動は多忙を極める。それでも、週に2回は子どもが起きている時間に帰るように心掛ける。世襲ではない普通の女性が、子育てをしながら政治の世界で活躍する─。それが政治の門戸を広げることにつながると信じて活動を続ける。座右の銘は「笑う〝門〟には福来たる」。いつしか古巣を率いる日を目指し、持ち前の明るさでまい進する。



