【業界スクランブル/省エネ】
米国の一部の州や欧州などの一部の国では、エネルギー供給事業者に「需要家の省エネ義務」を課す制度がある。1994年に英国が初めて実施した制度だが、電力・ガス料金に加算して、需要家から「エネルギー事業者が実施する需要家省エネ対策費用」を徴収する制度である。各エネルギー事業者は規制当局が定めた目標省エネ量を達成するために、高効率機器購入時や建物断熱改修時の補助金、省エネアドバイスプログラムなどを実施する。国内の再エネ電力固定価格買い取り制度(FIT)も再エネ電力購入時の追加買い取り費用を全需要家から徴収しており、その省エネ対策版と考えるとイメージしやすい。また、他事業者の需要側省エネ量を「ホワイト証書(再エネにより削減される削減量証明書がグリーン証書で、省エネにより削減される削減量証明書がホワイト証書)」として取引する制度を導入しているケースもある。
国内導入是非の論点としては、国民に対する省エネの推進実務を誰(例えば経産省・環境省、省エネルギーセンターのような団体、エネルギー小売り事業者など)が担うのか。また、「短期で投資回収可能な自立的普及状態の省エネ対策」や「規制により導入義務がある省エネ対策」以外は補助金などによる経済的な支援措置が必要となるが、この追加的な費用をどう徴収(例えば、石油石炭税などを値上げしてエネルギー対策特別会計から捻出、電力・ガス購入時の賦課金としてエネルギー事業者が追加徴収)するか。国の温暖化対策目標でも省エネは重要な位置付けを占めており、省エネの実質的な目的は温暖化対策であることから、「再エネ100%のグリーン電力メニューを購入している電化住宅+EV所有」と「燃焼式熱源を使うCO2排出量の多い住宅+ガソリン車所有」などのモデルケースを比較して負担金額がどう変わるか。当該負担の差は政策的に妥当・公平と言えるかを検討しながら、海外制度の導入是非を検討し、日本にとって、合理的で政策費用対効果の高い省エネ促進方策を実現する必要がある。(Y)

