A 概ね予想通りだった。経産人事を予想する上でポイントは三つ。①資源エネルギー庁と通商政策局には経験者を多く配置、②「動」より「静」の人を上のポストに置く守りのシフト、③官邸ポストを見据えて内閣府などのポストをどう取るか―。補足すると①について、エネルギーでは特に原子力で不用意な対応を防ぐため。通商政策では経験豊富な重要国を相手に交渉できる人材が必要という理由だ。②は、最近の経産省はアイデアマン・アグレッシブな人より調整型・慎重な人を重視しており、特に足元の不祥事続きではなおさらだ。ポイントを押さえてパズルを組み合わせれば、答えは見えてくる。また、経産省は年次の逆転も気にしない。
B 岸田政権下では政治の影響が少ないことも特徴だ。安倍、菅政権では官邸が人事をひっくり返すことがあったが、現在は各省庁の考えが基本的にはそのまま実現している。
B こちらも西村経産相が会見で趣旨を説明していた。続けて、自身が85年にエネ庁石油部計画課に配属されたことに触れ、「石油も天然ガスも石炭という名前も、エネ庁、経産省からは課の名前としてはなくなる。時代の大きな変化を感じている」と感慨を持って語っていた。外部から長年エネルギー政策を見てきた人にとっても、同じような感慨があったのではないか。
A かつての鉄鋼課や繊維課同様、化石燃料を冠した課が消えるのも時代の必然。西村経産相も役人出身だけあって、思い入れを持って語っていたね。
―新生省新部、資燃部の印象は?
A 特に資燃部の変更が大きく、資源開発課、燃料供給基盤整備課、燃料環境適合利用推進課などさまざまなポストを新設。省新部にも水素・アンモニア課を作った。期待されるメンバーを各所から集めたのではないか。
B なお、資燃部長の定光裕樹氏(92年)は動かなかった。総入れ替えはリスク管理の面で望ましくないからね。ロシア・ウクライナ有事も経験した定光氏の存在感は大きい。
C 電力の不正閲覧問題や、電力システム改革で見えてきた課題の解決という重要局面での電ガ部長に久米孝氏(94年)というのも納得の人選。課長以下も経験者が多い。