【特集2】超々臨界圧・微粉炭火力の新1号機 バイオマス混焼進め低炭素化へ エネ共存時代の火力運用


電源開発 竹原火力発電所

低炭素化に向け石炭火力の運用に新しい視点が必要となってきている。再エネ大量導入を見据えて負荷調整機能を高めながらバイオマス混焼も進める。

2020年6月、広島県竹原市の竹原火力発電所で約6年の歳月をかけ建設していた新1号機が営業運転を開始した。

新1号機は、出力25万kWの旧1号機と出力35万kWの2号機の合計60万kWと同容量の出力を持つ。

竹原火力新1号機と3号機の全景(提供:Jパワー)

蒸気条件として超々臨界圧(USC)を採用し、発電所の熱サイクルを最適化して向上させ、主蒸気温度600℃を実現(再熱蒸気温度は630℃、主蒸気圧力は27MPa)。微粉炭燃焼の火力発電設備として世界最高水準となる発電端効率48%を達成している。

さらに最新鋭の排煙脱硝・排煙脱硫・集じん装置の導入で、新1号機は旧1号機・2号機に比べ硫黄酸化物(SOx)・窒素酸化物(NOx)・ばいじんを大幅に削減。高効率の達成と最新鋭の環境対策設備の導入は、地域社会への環境負荷低減をもたらしている。加えてCO2排出量を大幅に削減。発電電力量当たりの排出量を約2割削減している。

また、さらなる低炭素化を実現するために木質バイオマス燃料を積極的に活用することにも注目したい。一般的には数%程度の混焼率であるが、竹原火力では10%の混焼率を達成すべく高い目標を掲げている。

今後も導入拡大が進む再生可能エネルギー電源の出力変動にも柔軟に対応する、高い運用性能を実現する。

CO2削減に挑戦する火力 エネルギーの安定供給のために

新1号機の建設は14年に始まった。旧1号機(1967年運転開始)、旧2号機(74年)は設備を廃止するまで可能な限り稼働させつつ、3号機(83年)の運転にも支障をきたさないよう建設を進めてきた。廃止設備を運転させながら建設を進める「ビルド&スクラップ方式」を採用し、通常の建設工事に比べ1.5倍の工期をかけながら、難易度の高い建設をマネジメントしてきた。その間、定期的に工事状況についての説明会を実施し、刊行物を発行するなど地域の理解を得ながら工事を進めた。

民家との距離も近い立地であるため、旧1号機の運転開始から半世紀たった現在も変わらず環境対策に取り組み、地域住民とのきめ細かい情報共有に努めている。

竹原火力発電所は半世紀を超えてなお地域とともに歩み、高効率石炭火力の世界最高技術でCO2削減に取り組み、国内の安定供給を支えていく。

【特集2】アンモニア混焼でCO2を削減 石炭火力で実現する燃焼技術


レポート/IHI

CO2フリーの燃料として期待されているのが、アンモニア(NH3)だ。水素と違ってマイナス33℃または8・5気圧で液化し運搬できるため、特殊なタンカーは不要。既に農業分野で肥料として使用しており、製造の技術開発も必要ない。また、可燃性ガスなので直接タービンに入れて利用できるといった利点がある。

IHIは内閣府が2014年度から18年度にかけて取り組んだ「戦略的イノベーション創造プログラム」に参画し、同社のガスタービン、微粉炭焚ボイラー、SOFC(固体酸化物形燃料電池)でアンモニア混焼の原理実証を行った。

相生事業所では石炭火力ボイラーの試験設備にアンモニアを20%混焼し、CO2の排出量を直接的に20%削減。IGCC(石炭ガス化複合発電)よりもCO2の排出量は少なくなり、排ガス中の未反応NH3はほぼゼロ、NOxも石炭と同等との結果が出た。

石炭火力向け大容量燃焼試験設備(相生事業所内)

現在は混焼技術の高度化を目指すNEDOのプロジェクトで、石炭火力向けに60%混焼を可能にするバーナーを開発した。21年度以降に100万kW級の商用石炭火力での実証開始を目指す。ガスタービンではアンモニア100%専焼の研究を開始予定だ。

大規模改修は不要 既存火力でもCO2を削減

資源・エネルギー・環境事業領域ビジネス創生グループの須田俊之グループ長は、「CO2削減への取り組みが加速している今、規模は小さくても早く社会実装することが重要です」と話し、使いやすさの面でもアンモニアは非常に適したソリューションだと強調する。

設備を大規模改修しなくても、IHIが開発したアンモニア混焼用のバーナーを導入すればCO2は削減できる。そのほか必要な設備はアンモニア供給のためのタンクと気化器のみだ。

IHIは日本エネルギー経済研究所とサウジアラムコが進めるブルーアンモニアのサプライチェーン実証試験に協力しており、混焼試験の一部にはこのブルーアンモニアを使用している。

サプライチェーンが本格化し導入も進めば、カーボンニュートラルな燃料としてアンモニア活用への期待はさらに高まる。

リモコンと浴室暖房乾燥機を活用 健康で快適な暮らしをサポート


【レポート/パーパス】

住宅のリフォームは、水回りを一新する機会となる。特に浴室はその機能が年々充実し、もはや入浴は体を清潔に保つためだけでなく、リラックス効果など健康維持のための重要な時間だという認識が浸透している。

パーパスの給湯器リモコン「AXiSスマート(900シリーズリモコン)」は2019年に登場した。「安心入浴サポート機能」を搭載し、ドアセンサー、水位センサー、人感センサーで浴室内の事故を防ぐ機能が付いている。浴室内の安心安全をサポートして異常を素早く家族に気付かせると評判だ。

給湯暖房熱源機AXiS
安心入浴サポート機能 説明動画

このAXiSスマートは、健康管理にも活用できる。コロナ禍で生活スタイルが変わり、スポーツができなくなるなど運動不足を感じる人も多い。AXiSスマートは、あらかじめ基本情報と体重をセットしておけば、浴槽に漬かるだけで水位センサーが体脂肪率と消費カロリーを測定する機能を持つ。測定したデータはクラウドで一括管理し、専用アプリ「パーパスコネクト」を使ってグラフ化。推移がひと目で分かり運動不足解消のきっかけになる。

個別の基本情報は5人分までメモリー登録が可能で、入浴のたびに登録の必要はない。また暗証番号登録で個人のプライバシーも守れる。

体脂肪率の変化をグラフで確認

浴室暖房乾燥機で家事軽減 アプリで室内の温度を確認

コロナ禍では自宅で過ごす時間が長くなり、食事や洗濯の回数が増えるなど、家事の負担増にもつながった。パーパスはAXiSスマートを設置する際、浴室暖房乾燥機も併せて提案している。浴室暖房乾燥機を取り付ければ、洗濯物が増えても短時間で乾かせる上、換気しながらパワフルな温風で浴室を乾燥させて、カビやぬめりの原因となる湿気や結露を抑えることができる。自宅で過ごす時間が長くなる中、洗濯物が外に干せなくなる花粉の時期やPM2・5が気になる時に大量の洗濯物を干す場所に悩まされずに済む。

また、冬場は暖かい居間と寒い脱衣所や浴室、また入浴の際の熱い湯との大きな温度差がヒートショックの原因になるが、浴室暖房乾燥機であらかじめ浴室を暖かくしておけば、入浴時の事故を防ぐことにもつながる。夏場は涼風機能を使用して、浴室内での熱中症対策が可能だ。

さらにパーパスコネクトは、対応する床暖房リモコンを使用している場合、その部屋の温度もスマートフォンで確認できる。外出先から室内の温度を手元で確認し、アプリから床暖房のオンオフをすることで、より快適な暮らしを実現する。

営業企画部の鈴木孝之部長は「『おうち時間』をいかに豊かに過ごせるかという商品提案をしていきたい」と、これからのニューノーマルな暮らしに寄り添う製品作りを目指すとしている。

インフラ企業ならではの団地再生 継続的に関わり地域の未来を育む


【西部ガス/福岡県宗像市】

福岡県宗像市は福岡市と北九州市の中間に位置し、両政令指定都市のベッドタウンとして発展を遂げてきた。

同市にある九州最大級の団地「宗像・日の里」は21年で開発から50周年を迎える。日本住宅公団(現・UR都市機構)が開発し、面積は東京ドームの50倍に近い約217万㎡。駅に近く、多くの人が移り住み、街は活気に溢れていた。だが半世紀を経た今、建物の老朽化や空き家の増加など、課題を抱える。住民の高齢化率約35%という高い数字は、日本の10年後の姿だという。

UR都市機構は20年、公募していた日の里団地の一部、約1万8000㎡の土地建物を「福岡県宗像市日の里団地共同企業体」に譲渡した。共同企業体は西部ガスのほか、住友林業、パナソニックホームズ、セキスイハイム九州などのハウスメーカー8社と、街づくりをプランニングする東邦レオの計10社が名を連ねる。

10棟の団地が立ち並んでいた土地は6棟を解体撤去した後に引き渡されたが、既存棟を生活利便施設として活用し、拠点化することが条件として挙げられていた。既存棟の活用と新築の戸建というハイブリッド型の団地再生事業だ。


ハイブリッド型団地再生は、日の里5丁目地区で進められる

西部ガスの都市リビング開発部暮らし・まちづくり推進グループの今長谷大助マネジャーは、「ここは都市ガスエリアではないので、最初は参加しようとは思っていませんでした」と振り返る。

こうした中、グリーンインフラを担う東邦レオの吉田啓助ディレクターが、西部ガスが手掛けた北九州市城野地区の街づくりを視察。西部ガスとチームを組めば新しい取り組みができると考えた。互いに街づくりへの思いを話すうち、「地域に元気を届けるインフラ企業になりたい」という同じ思いを持っていると気付いた。

西部ガスは共同企業体に参加して土地建物を所有する一方、東邦レオと連携して既存棟を共同運営する体制を取った。

所有者が運営するという形態は従来のエリアマネジメントにはない発想だ。開発した土地に長期的に関わることはデベロッパーの事業として成り立たないからだ。

団地再生は、既存棟1棟を残すことになった。残した48号棟を「さとづくり48」と名付け、リノベ改修。1階を中心に地域に開かれたコミュニティースペースを展開する計画だ。地ビールを製造するブリュワリー、住民のためのDIY工房、コミュニティーカフェ、保育所、福祉施設などの入居が予定されている。

改修してコミュニティー拠点となる既存棟「さとづくり48」

また、更地には64の戸建住宅を新築する計画だ。一帯を緑地化し、塀や垣根で敷地を区切らず住宅を建てる。キャンプ場の中のバンガローのイメージで、公園の中にいるような暮らしをつくり、コミュニティー形成を後押しする。

「周りとの関係性の中で暮らす場所にしたい。災害時の共助や20年後、30年後の助け合いが生まれるコミュニティーづくりに寄与したいです」(今長谷マネジャー)

事業のコンセプトは「サスティナブル・コミュニティ」だ。半世紀にわたる日の里の歴史を大切にしつつ、新たなコミュニティーを付加する―。コミュニティーの持続可能性を軸とした社会の実現を目指している。

子どもを中心に街をつくる 地域を巻き込むプロジェクト

コロナ禍では、運営の計画を大きく方向付ける出来事があった。例年通りの総合学習ができなくなった、日の里地区の小中一貫校である日の里学園から、工事エリアの囲いに絵を描かせてほしいとの申し入れがあったのだ。

これをきっかけに、地区内の小・中学校に通う子どもたちのアイデアを取り入れた街づくりが始まった。今ではPTAや学校の先生、団地の自治会や地域の大人を巻き込んで、子どもたちが実現したいこと、やりたいことを大人が全力で叶えるというプロジェクトに発展した。

「10年後、20年後の街を作るのは、この子どもたちです。自分の街は自分で変えられるという思いが、子どもたちの中に芽生えています」(今長谷マネジャー)

大人と子どもが一緒になって街をつくる

西部ガスと東邦レオは運営の一環としてこのプロジェクトを積極的に支援している。団地再生は住民が主役であり、地域が活性化することによって実現すると考えているからだ。

今長谷マネジャーは「需要家を増やすことも大切ですが、日の里に深く継続的に関わることで、『圧倒的な信頼』を築きたいと思っています。インフラ企業だからこそできる街づくりなのです」と、日の里との関わりは新しい営業の形だと意気込む。地域の交流が盛んになり、日の里団地が活性化すれば、団地の入居率も上がって、結果としてガスの利用も増える。戸建エリアでプロパン利用のエネファームが設置されれば、災害に強い街になる。

「さとづくり48」の本格オープンは21年5月。戸建エリアは9月に着工し入居開始は22年4月の予定だ。ハイブリッド型団地再生という日の里の取り組みは、全国の団地再生のモデルとして注目を浴びることになりそうだ。

臨時療養施設を支えるLPガス


【日本財団災害危機サポートセンター】

コロナ禍で建設された、国内初のペット同伴型臨時療養施設。避難所建設のモデルケースとして研究機関の注目を浴びている。

お台場エリアにある船の科学館駐車場と日本財団パラアリーナを合わせた約1万㎡の土地に「日本財団災害危機サポートセンター」が建つ。新型コロナに感染した比較的軽症者向けの臨時療養施設だ。

新型コロナ感染拡大による医療崩壊を防ぐため4月に着工し、7月に完成。東京都が運営し、10月半ばから入所を開始した。

14棟のプレハブハウスにはワンルームタイプの個室140室・150床と、約2000㎡のパラアリーナ内には間隔を十分に取り、仕切りで区切った100床が用意されている。さらに物資の貯蔵や医療従事者の待機場所として1張りの大型テントがある。


各個室の給湯器はLPガスで供給する

個室にはテレビやパソコン、冷蔵庫や洗濯機などが備えられ、生活に必要な環境が整う。特長はペットも一緒に入所できる点だ。種類は限られるが、ペットを理由に入院療養をためらう罹患者がいることに着目した。ケージを用意するだけでなく、室内はペットが外に飛び出さないよう工夫を凝らす。

「災害時にペットがいるため避難をせず二次災害に遭った例が多くあります。生活スタイルを極力変えずに療養・避難できる施設は入所者の健康を守ることにもつながります。運用面のモデルケースとして今後に生かしていきたいです」。災害対策事業部の樋口裕司チームリーダーはこう話す。

臨時施設の建設は短期間・低コストであることも必要な条件だ。その設備造りにLPガスは欠かせない。

コロナ禍の在宅勤務ストレスを可視化 精神状態を把握し新しい働き方を支援


【エムアイティーオフィス】

働き方改革で積極的な導入を推奨されてきたリモートワーク。

だが、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、半ば強制的に導入された自粛を伴うリモートワークでは、本来の良さを享受できていないのが現状だ。自宅にこもり、気分転換の外出もままならず、精神の疲労が蓄積して体調を崩す声が聞かれるようになっている。

エムアイティーオフィスが販売する「メンタルチェッカー」は、感情を数値化・可視化することができる精神状態測定ソフトだ。エルシスジャパンが、ロシア政府機関のエルシスが開発した技術を応用し、作成した。

人は通常、1秒間に10回程度の微細な振動をしている。この不随意な動きに感情が現れるという運動精神生理学に基づき、ロシア政府が2014年のソチ五輪開催時、テロ対策システムとして研究開発した。メンタルチェッカーはこの解析エンジンを使用し、日常のストレスや精神状態を自動判定する。

既に国内ではエネルギー関連企業や研究所での導入実績があり、メンタルチェックに使用されている。ストレスの高い環境で働く従業員のための導入が多かったが、コロナ禍では、従業員と顔を合わせる機会が減り体調の変化に気付きにくくなった一般企業での導入が増えている。PCとカメラを用意し、メンタルチェッカーのライセンスを導入すればすぐにスタートできる。

自分で気づくことが目的 病気を防ぎ人材確保にも

計測はカメラの前に60秒間座り動画を撮影する。撮影中の振動パラメーターからストレスや安定性、活力、緊張などの10項目を数値化し、グラフ化する。定期的に任意のタイミングで計測し、5回ほど測ると個人の正常値の範囲が分かるので、その逸脱具合によって異変を認識できる。低い数値でも安定していれば問題はない。

 計測データはグラフ化しエクセルで管理できる

出社時に会社で計測する場合、1セットをフル稼働すると、1カ月でのべ1000人以上の計測が可能だ。リモートワーク時は各自がスマホで動画を撮影し、メールで労務管理者などに送りデータ化してもらう。ただし、データの管理は個人で行い、あくまでもメンタルの不調に「自分で気付く」ために活用する企業がほとんどだそうだ。

コントロールできない潜在的な部分を可視化するため、周囲の意見や筆記式による自己申告に左右されない点も大きな説得力を持つ。

事業企画室の中川恵輔シニアマネージャは、「自分の精神状態を把握できれば、病気を未然に防ぐことにつながります。企業も大事な人材を失わずに済みます」と、長期化する自粛生活の中で社員のメンタルを守る重要性を説く。

自然災害などで長期の避難所生活や仮設住宅での生活を余儀なくされる人々にも有用だとしている。

顧客の継続的なSDGs活動を支援 CO2排出減らし途上国に明かりも


中部電力

SDGs(持続可能な開発目標)は、持続可能な世界の実現に向けて17のゴールと169のターゲットから構成される国際目標だ。「世界中の誰一人として取り残さない」ために、国連加盟の193カ国が2030年の達成を目指して取り組んでいる。

中部電力ミライズは、顧客のSDGs活動を支援する新たなサービス(SDGs支援サービス)の提供を開始した。再生可能エネルギーの普及と途上国での電化率向上に取り組む一般社団法人「グッドオンルーフス」と連携する。

SDGs支援サービスを提供する対象は、中電ミライズの太陽光発電の自家消費サービスを利用する大口需要家。サービスの利用料金に顧客の希望に応じた寄付金を上乗せし、途上国の電化率向上や、生活水準の向上に貢献する仕組みだ。

SDGs活動を支援するサービスの概要

具体的には、アフリカなどの途上国で現地の小学校の屋根に太陽光パネルを設置し、学校を充電ステーションにする。子どもに充電式のLEDランタンを持たせ、家庭にも明かりを灯せるようになる。さらに、日本で使用済みとなった電子黒板を提供し、動画や通信を用いて質の高い教育を促すといった取り組みに充てられる。

世界では5人に1人が電気を利用できておらず、その大半はアフリカなどの途上国に集中している。

SDGs支援サービスに参加することにより、「エネルギーをみんなに、そしてクリーンに」「質の高い教育をみんなに」などの項目で、継続的にSDGs活動に参加できることになる。

そのほかのメリットとして、①途上国で実施したプロジェクトの動画などをホームページに掲載し、取り組みを広くPR、②一定金額の寄付で、現地に建設する太陽光発電所の命名権を取得、③グッドオンルーフスの広報活動において、広報誌などに企業名が掲載される―が挙げられる。

社会貢献という付加価値 今後は一般家庭にも展開

中電ミライズの自家消費サービスは19年、大口需要家向けに開始した。店舗や工場といった法人の屋根に太陽光発電設備を設置し、運営している。法人は初期費用ゼロでCO2フリーの電力を使用。自立運転機能付のパワーコンディショナーを取り付ければ、停電時に太陽光発電システムを自立させて活用することもできる。CO2排出量の削減や災害時のBCP対策として導入が進んでいる。

自家消費サービスに加えSDGs支援サービスに参加することで、社会貢献という新たな付加価値がつく。中電ミライズは、今後は一般家庭への展開も検討している。

通信回線サービスで地域に貢献 スマートメーター活用の検針提供へ


【四国電力送配電】

四国電力送配電は、スマートメーターを活用した通信回線サービスに乗り出す。
地域が抱える課題解決に向け、電力インフラで培った信頼と実績を提供する。

海に囲まれ、自然豊かな四国。日本最後の清流・四万十川や、日本三大秘境の祖谷があり、四国山地には西日本最高峰の石鎚山がある。そんな四国地方も他の地方と同様、少子高齢化・過疎化といった問題を抱えている。

四国電力は6年前からスマートメーター(スマメ)を導入し、これまで電力検針業務の効率化や顧客へのサービス向上に寄与してきた。この実績をもとに、ガス・水道など同じく検針業務を行う事業者を対象として、スマメを活用した「IoT向け通信回線サービス」の準備を進めている。本年4月に発足した四国電力送配電の第1号の新規事業だ。2021年4月の開始を予定している。

通信回線サービスの概念図

社内で事業の検討会が始まったのは18年。ガス・水道事業に関する知見がない中でのスタートだった。部門を横断したメンバーで取り組みを開始し、翌年には複数箇所でフィールド実証試験を行った。無線通信端末を対象世帯に取り付け、電力スマメの通信システムを介して検針データを送信。データセンターを経由して各事業者に届ける流れだ。

企画部SM活用事業プロジェクトの堀口昌吾さんは「新しい分野で、一から知識や知見を積み上げました。検討会メンバーと協力しあって事業化が決定した時の達成感は、何ものにも代えがたい貴重な経験になりました」と振り返る。
堀口さんは現在、収集したデータを各事業者に連係するためのシステムづくりに取り組んでいる。

ガス・水道事業者は、6年にわたる電力の遠隔検針の実績に厚い信頼を寄せ、サービス導入を心待ちにしている。

北川圭一郎リーダー(左)と堀口昌吾さん

プラチナバンドを使用 セキュリティも確保

四国電力エリア内のスマメ化は19年度末時点で約147万台。普及率は約6割程度だが、従来式のメーターの交換時期に合わせてスマメに取り換えており、既に四国の隅々に行きわたっている。また、ガス・水道メーターに設置する無線通信端末とスマメ間は、回り込み特性に優れ、長距離通信が可能なプラチナバンドと呼ばれる920MHz帯無線を使用。無線通信端末は、周囲のスマメの中から電波強度の高いものを選択して通信するので、自宅がスマメ化されていなくても近くのスマメにデータを送る。

通信が不安定になっても、自動で他のスマメを探しルートを変更するため、安定した通信の提供が実現できる。これにより、6割程度の普及率でもほぼ全エリア内でのサービス展開が可能となるのだ。
通信データは強固な暗号化通信によりセキュリティを確保する。端末のソフトウェアアップデートも遠隔で実施し、セキュリティ上の対応が発生してもすぐに対処できる。

地方バス事業再生の考え方 「CX」が生産性向上の鍵に


【私の経営論 (1)】松本順/みちのりホールディングス代表取締役グループCEO

日本の労働市場が非効率で「モノプソニー」に陥っているとする最近のデービッド・アトキンソン氏の論に同意だ。モノプソニーとは、元来はモノポリー(売り手独占)の対義語で買い手による市場の独占を意味する。
アトキンソン氏は、日本では個々の中小企業の労働者に対する支配力が強すぎて、生産性も賃金も低いままで労働力が個々の中小企業に分散し、それがトータルな生産性向上を妨げていると強調し、解決すべき日本のテーマだとしている。

労働市場がもっと効率的であれば、中小企業の集約が進んで中堅企業が形成され、生産性も向上し、企業の数が減って過当競争も緩和するというのだ。
確かに、これほどまでに現場が人手不足になっていても賃金がさほど上昇せず、それでも人材の流動化が活発にならないのはなぜだろう。一般の中小企業の経営と労働者との間での情報格差が大きいことや昔気質の忠誠心が理由であろうか。とすれば、労働市場が変化して、より優れた経営の下に人材が集まる可能性はある。

生産性向上のためのDX キャッシュフローのCX

では、集約の結果として生まれた中堅企業は、首尾よく生産性向上を果たせるだろうか。規模の拡大がそのまま生産性の向上につながるようなケースは良い。例えば小売り業が同業者を吸収し、地域内の店舗の密度が濃くなったような場合は、コストの共有や物流の合理化によって生産性が大きく向上するであろう。また、過剰供給が集約によって解消するといった、一時の家電メーカーの統合のようなケースも生産性は向上する。

しかし、規模の経済も効かず、過剰供給ともいえない一般的なサービス業種はどうか。その場合は、集約だけで生産性の向上は果たせない。DX、すなわちデジタル・トランスフォーメーションが必要条件となる。しかし、経営管理やサービスのデジタル化にはいちいち先行投資が必要となることを忘れてはならない。

私が営むバス事業でいえば、ICカードなどのキャッシュレス決済の導入には、読み取り機などのハードはもちろん、システム開発でも多額の費用を要する。クラウド型のバスの位置情報サービスを導入すれば、ユーザーの利便性が向上して運賃収入が増え、一台当たりの車両管理コストも減って生産性は向上するが、多額の費用がかかる。加えて、DXを担う人材が社内に既に存在するケースはまれなので、人材を採用したり、育成したりするための費用も恒久的に必要となる。

グループ各社ではMaas、自動運転、バスロケーションシステムなどを積極的に導入

そこで、DX以前の段階で、デジタル化に必要なコストを賄うための営業キャッシュフローを増やす必要が生じる。そのための手立てがCX、すなわちコーポレート・トランスフォーメーションだ。
グローバルに戦う製造業の多くが、バブルの崩壊やリーマンショックから再起する過程でCXを進めたといえる。忠誠を求めるのではなく能力を評価して人材を登用する。必要とあらばノンコアの事業を売却して新たな事業領域に果断に挑戦し、性別や人種、信条など多様性に寛容な企業文化を創出する。オペレーションの維持ではなく改善を追求し、マーケティングを科学の対象とし、コーポレートガバナンス上の不合理を廃した。

一方、国内でしか戦わないローカル型産業群、中でも特に地域内で活動する競争の少ないインフラ産業はCXが遅れた。その上、規模の小さな企業がインフラを担っているケースもあり、その多くが失われた30年の結果として前述のモノプソニーに陥っていて、集約的なCXやDXを通じた生産性向上の端緒がつかめないでいる。

火力のさらなる運用効率向上へ 最先端デジタル技術を導入


【東北電力】

火力発電は電力需要への供給力としてだけでなく、昼夜間や季節間による需要変動への対応や、天候に左右される風力や太陽光発電を最大限活用するための調整力としての役割も担う重要な電源だ。
東北電力は、従来からの安定供給の取り組みに加え、火力発電の運用の高度化や効率化に向け、AIやIoTといった最先端デジタル技術を活用した取り組みを加速している。

全火力へ新システム導入 外販による事業創出も

同社は2017年より東芝エネルギーシステムズと共同で、火力発電の運用効率のさらなる向上を目的に、最先端のデジタル技術の導入に向けた検証を行ってきた。こうした検証を踏まえ「設備の異常兆候を早期に検知するシステム」と「運転条件の変更による熱効率向上システム」を、20年3月までに同社が持つ全火力発電所へ導入。運用を開始した。

「高度な設備監視サービス」を提供する

「異常検知システム」は、ビッグデータの分析技術を活用し、重大なトラブルを未然に回避することが目的。過去の膨大な運転データから、通常運転時にあるべき運転データを算出する。算出した運転データと実際のデータを比較し、その差が大きくなった場合は何らかの異常兆候があると認識し、警報を発する。データ差が一定の閾値に達した際に発報する従来手法に比べ、早期の検知が可能となる。また、経験したことのない未知の異常の発見も可能だ。 

「熱効率向上システム」は、過去の熱効率が良好な時の運転データ(基準値)と現在の運転データ(運転実績)を比較することで、温度や圧力の違い、部品の劣化といった熱効率が低下する要因を特定する。その上で、燃料や空気、水の投入量などの運転条件の調整や、劣化した部位の補修などを行い、熱効率の維持・向上を図る。

同社は、「異常検知システム」について、より汎用性を高めた「高度な設備監視サービス」として、製造業を中心とした顧客などに提案する方針だ。21年ごろまでの事業化に向け、準備を進めている。
東北電力は、「東北電力グループ中長期ビジョン」のもと、電力供給事業において競争力を徹底的に強化するとともに、東北電力グループだからできる顧客への新たな価値の提供を通じ、スマート社会の実現に向け取り組んでいく考えだ。

室内をまるごとオゾンで除菌 社会経済活動を守る空気清浄機


【IHIアグリテック】

IHIアグリテックが製造・販売するオゾン空気清浄機が注目だ。
コロナ禍での事業継続のため導入する企業が増えている。

インフラを担うエネルギー事業者にとって、「電気・ガスは使えて当たり前」の世の中で、どのように社員を新型コロナウイルス感染症から守り、安定供給を継続できるかは重要な課題だ。

IHIアグリテックが製造・販売する 「オゾンエアクリアeZ-100」(以下、eZ)は医療分野で培ったオゾン発生技術を搭載した空気清浄機。厚生労働省の認可を取得している同社のオゾン殺菌装置と同レベルの性能を持つ。

オゾンエアクリアeZ-100。細菌やウイルスをオゾンガスで破壊する

2003年の発売以来、医療機関、老健施設などに約1万5000台の導入実績を誇る。一般の空気清浄機との違いは、除菌ができる空気吸引清浄機能と、オゾンによるくん蒸機能を搭載している点だ。

空気吸引清浄機能は、医療機関の感染防止室でも使用される「静電式HEPAフィルタ」を採用。ウイルスを含む飛沫は5ミクロン以上の大きさだが、HEPAフィルタは0.3ミクロンの物質を99.97%以上捕集する。室内の空気を吸引し、浮遊するウイルスを4層構造のフィルタで捕集した上でオゾンにより除菌・死滅させる。

くん蒸機能は、夜間や休日など人がいない時間帯に使用する。新型コロナウイルスはテーブルやドアノブ、共用の事務機器など、人が触れる箇所を介して接触感染する。くん蒸機能ではオゾンガスを放出し、室内の隅々まで充満させ、浮遊菌や付着菌を除菌することができる。例えば事務所などで、昼間は吸引運転モードで空気を清浄化し、退室時にくん蒸運転モードにセットすると、一定時間オゾンを放出。その後強制的にオゾンを分解して酸素に変える。翌朝出社した時にはまるごと除菌された室内に入ることができる。残留毒性もなく、後処理も不要。オゾンは電気と空気から作るので、ランニングコストも抑えられる。

日常も強力な除菌効果を持つ空気清浄機として使用できるため、新型コロナウイルスに限らず、季節性のインフルエンザやノロウイルス対策としても力を発揮する。

オプションで隔離用にも 1台3役で社会活動を守る

感染症の疑いがある対象者がいる場合には、eZにオプションの「簡易陰圧テントKT-7」を取り付け、隔離室を作る。テントの外にeZを置き、陰圧運転でテント内の空気を清浄化する。2.5Pa以上の差圧により、中の空気が外に漏れることなく、搬送までの一時的な隔離室として使用できる。テントはコンパクトに収納でき、2人で15分ほどで組み立てられる。

ez-100用 簡易陰圧テントKT-7で有事にも対応

eZと陰圧テントがあれば、飛沫感染対策・接触感染対策・発症者の隔離の三つの役割を果たせることになる。新型コロナウイルス発生後、学校や自治体、テレワークが難しい企業やインフラ関連企業での導入も増えているという。

環境プロジェクト部営業グループの若井一訓担当課長は、「日常的に使用でき、有事にも力を発揮するeZは、安心して社会経済活動を継続できる環境づくりを実現します。事業の領域を越えて、グループが協力し合っています」と、IHIが一丸となって取り組む新しい社会貢献だと話す。同社が医療分野で得た信頼と実績は、ウィズコロナ時代の社会経済活動を守っていく。

安定供給を守る感染防止策 複合災害にも備えを


【西部ガス】

新型コロナウイルス感染症が全国に広がりつつあった2月下旬、西部ガスは、非常事態を見据えた準備本部を立ち上げ、4月上旬には「第一次非常体制」に移行した。その後、政府により発令された「緊急事態宣言」を受け、感染対策を強化していった。

テレワーク推奨など出勤への自粛要請があっても、ガスの安定供給を使命とするガス会社は、事業の継続が大前提だ。同社は、安定供給に直接関わるガスの製造部門、供給部門従事者への感染を回避するため、①自家用車通勤、②交替勤務者の業務の引き継ぎには大型モニターを使い一定の距離を確保、③マスクの着用・換気の徹底、④執務室への入室要件を強化―など、新型コロナの特性に合わせた社内体制を取った。

LNG船からの原料調達の際も船陸双方の接触を避け、必要な連絡は電話やデータのやり取りで行うといった対応に切り替えた。

飛沫感染防止のパーティションを作成して事業を継続した

熊本地震での経験から対策 感染防止がBCPの鍵に

西部ガスの供給エリアは、福岡・北九州、熊本、長崎、佐世保の四つのエリアに地域が分散しており、一つのエリアが有事の際は、ほかのエリアから駆けつけて対応することができる。だが、熊本地震の際には熊本エリアのほぼ全戸の供給が停止し、自社だけでの対応が困難となった。こうした中、全国のガス会社からの応援を受けて早い復旧を実現することができた。

総務広報部総務グループの森本泰臣マネジャーは、「復旧応援を受け入れる際のノウハウはできたものの、今後は感染防止策も加えなければなりません。他社への応援が発生した場合も、自社で対策を取った上で応援に向かう必要があります」と、複合災害への対策を早急に取りまとめているという。

一方、社内では、医療従事者への自発的な募金活動が起こり、福岡県を通して約660万円の支援金を送った。沼野良成執行役員は、「一人ひとりが、インフラ企業でエネルギー供給事業に従事している責任を感じています。医療従事者の方々が不眠不休で現場を支える姿が、災害復旧時の自分たちの姿に重なったのでしょう」と話す。

ウィズコロナの時代、社員の感染防止という課題は、BCP対策の重要な鍵になっていく。

初の地熱発電所を奥飛騨温泉郷に 再エネ積極参入で自給率向上へ


【中部電力】

中部電力ミライズの100%子会社であるシーエナジーと東芝エネルギーシステムズは、共同で奥飛騨温泉郷中尾地区(岐阜県高山市)に「中尾地熱発電所」を建設する。9月に着工し、2021年度下期の運転開始を予定。中部電力グループにとって初めての地熱発電事業になる。

中尾地熱発電所第2生産井の噴気の様子

奥飛騨温泉郷中尾地区は、源泉の蒸気量が豊富で高温。地熱発電に適している地域だ。中尾地熱発電所では、中部地区で初となるフラッシュ方式(蒸気発電方式)を採用し、出力は最大1998kW。全量を中部電力パワーグリッドに売電し、約4000世帯分の電力を賄う。

生産井は深度1100mと1500mの2本で構成。地下から噴出する高圧蒸気と、同時に噴出する熱水を減圧沸騰させた低圧蒸気を蒸気タービンに送り、発電を行う「ダブル・フラッシュ方式」を採用した。一般的なシングル・フラッシュ方式に比べ、約20%高効率になる。ダブル・フラッシュ式を採用する発電所としては世界最小規模だ。

噴出する熱水は発電に活用するだけでなく、地元の温泉事業者へ供給する。地域活性化に向けた取り組みを検討し、温泉事業と地熱発電事業が共存・共栄していくモデルケースの構築を目指している。

再エネ開発を積極展開 設備量倍増を目指す

中部電力グループは洋上風力発電にも力を入れている。

6月から洋上風力の有望地点とされている、秋田県由利本荘市沖での環境影響評価を開始した。三菱商事パワーなどと3社で開発の可能性を検討しており、着床式で最大出力84万kW、出力8000~1万2000kWの風車を最大105基設置する計画だ。

さらに三菱商事パワーと2社で取り組む能代市・三種町・男鹿市沖でも環境影響評価を開始。着床式で最大出力48万kW、由利本荘市沖と同出力の風車を最大60基設置する計画だ。

ほかにも、丸紅などと秋田港・能代港沖で洋上風力発電事業の実施を決定しており、22年の商業運転を目指している。

中部電力グループは20年度の事業計画で、再生可能エネルギー開発の取り組みとして「30年ごろに200万kW以上の開発」を目標に掲げている。18年度末時点の約2倍の設備容量だ。達成すれば、年間300万t規模のCO2削減効果となる。

同社は供給エリアにとどまらず、地熱・洋上風力をはじめとした再エネ開発や保有拡大を全国で積極的に進める。国内のエネルギー自給率向上と低炭素社会の実現を目指していく方針だ。

「3密」での感染拡大を抑制 空気循環で清浄な空間を実現


【メーカー編/高砂熱学工業】

新型コロナウイルス禍の下、大雨や地震などの自然災害が発生すると、避難所や復旧支援部隊などの集団では「3密」の危険性が高まる。

避難所で一人当たり2m四方の空間を確保する場合、受け入れ人数は通常の4分の1程度になるといわれる。各自治体は、学校の教室や廊下、スポーツ施設、自治会館などを臨時の避難所にすべく準備を進めているところだ。

メディカル用クリーンブース「バリフローⅢ」は飛沫感染リスクを低減できる

高砂熱学工業のメディカル用クリーンブース「バリフローⅢ」は、新型インフルエンザが流行した2008年に開発。

同社が空調設備分野で培ってきたエアロゾル制御、気流可視化、気流制御技術などのノウハウと、仙台医療センターの知見をもとに製品化し、09年に販売を開始した。

医療従事者や患者が飛沫感染するリスクを低減する効果が期待できる。

陽圧・陰圧兼用タイプで、消費電力は350W。FFU(Fan Filter Unit)とアルミフレーム、ビニールカーテン製のブースで構成されている。

感染症がパンデミックの際はブース内を陽圧にし、医療従事者がブース内に入って診療などを行う。ブース内は、HEPAフィルタ(集中治療室やクリーンルーム、原子力施設の換気装置用で使用される)で塵埃を除去し、空気を清浄化。大風量ファンで空気を供給し、適正な気流を成形する。

清浄化した空気の循環はブース外にも及び、受診者側にも清浄な空間を作る。診察室程度の広さなら室内全体の清浄化が可能だ。

感染症の発生が初期の場合は、受診者がブース内に入る陰圧タイプで使用する。陽圧と陰圧の切り替えは10分程度の簡単な作業だ。

バリフローⅢを避難所に設置し、医療従事者が感染リスクを減らした環境でPCR検査などを行うことができる。避難所で医療機関受診の判断ができれば、感染患者を受け入れる病院や宿泊施設への搬送もスムーズになる。

個別隔離で拡散防止 搬送時の一時待機に活用

メディカル用クリーンフード「バリフード」は、ベッドに横になった受診者の上半身にかぶせて使用する隔離用フードだ。人工透析時のウイルス拡散を低減するために開発された。

医療用隔離フード「バリフード」は 同じ室内での感染を抑制できる

FFUとパイプ式フレーム、ビニールカーテン製フードで構成されており、HEPAフィルタでフード内を清浄化して排気を行う。消費電力は29W。重さ27㎏でキャスター付きなので移動も楽だ。

避難所や現地災害対策本部、復旧支援部隊において、急に体調が悪化した人を医療機関へ搬送するまでの間、隔離用として活用が見込める。救護室でも、怪我などの負傷者と一緒に搬送までの間待機することができる。いずれも2m四方の空間の確保が不要になる。

同社はバリフローⅢ、バリフードとも夏までにさらなる増産を進め、災害時の感染拡大の抑制をサポートするとしている。

資機材運搬で労働環境改善の無人ヘリ 災害時の早期復旧にも大きな期待


【九州電力送配電】

山岳地帯での電気工事作業員の業務は過酷で、今後の人材確保は喫緊の課題だ。
無人ヘリの導入は人力運搬を解消し、災害時には早期の復旧作業を実現する。

資機材をコンテナに入れて運搬する無人ヘリ

小売り全面自由化や発送電分離などの電力システム改革で、電気事業を取り巻く環境は大きく変化した。こうした中、高経年設備の更新量が増加している半面、送電線工事を行う作業員の減少に拍車が掛かっている。

送電線工事は山岳地帯で実施するものが多い。作業員は工事現場まで急峻な山道を毎日長時間通勤しなければならず、厳しい労働環境にある。さらに、資機材を運ぶための小型運搬車が使用できない急傾斜の運搬路では、作業員が25 kgほどの資機材を背負って何往復も上り下りし、人力で運ぶ。急斜面には危険も伴う。

今では運搬業務専門の作業員がいなくなり、架空送電線工事に従事する作業員が運搬を兼務しているのが現状だ。

少子高齢化も伴い人材確保が難しく、人力運搬の削減は送電業界にとって喫緊の課題となっている。

送電線工事に30年以上携わっている、九電送配電・送変電技術センターの近藤正徳・送電工事技術グループ長は「グループが発足したのは2年前。送電線工事現場の高度化・効率化に取り組むのが命題で、やるべきことははっきりしていました」と当時を振り返る。グループは4人体制だ。

人力運搬をなくす無人ヘリ コストや工期も削減

過酷な労働で人が辞めていく、何よりもまず作業員を楽にしたい―。

そう考えた近藤さんは、ヤマハ発動機の農薬散布用無人ヘリコプターに着目した。35 kgまで荷物を積むことができ、数千台出荷の実績もある。

送電線工事現場に導入したいと同社に連絡を取り、さまざまな形状の資機材の運搬が可能で、標高2800mまで対応できる無人ヘリの導入検討を依頼した。

その結果、資機材はコンテナに入れ、長尺のものは吊るして運搬できるヘリが開発された。

どんな形状の資機材もバランスよく運搬できる

「安全で安定した飛行ができるよう、さまざまな場所で実証試験を行いました。現在は無人ヘリによる資機材運搬工法を確立し、気象条件が整えば、35 kg以内の全ての資機材が安全に運搬可能です」と、同グループの鳥越浩義さんは試行錯誤の成果に胸を張る。今後は積載重量の増加や運搬効率の向上に取り組む。

工事現場で必要な約1tの資機材を運ぶ場合、遠距離の人力運搬では作業員4人で4日かかるが、無人ヘリを使用すると1日で運ぶことができる。作業員は、到着した資機材を現地で受け取る2人で済む。 

一昨年の西日本豪雨で鉄塔周辺が崩壊した北九州幹線の復旧工事では、無人ヘリを使って1・5tの資機材を17時間で運搬した。小型運搬車での運搬に比べ500万円のコスト削減と、2カ月の工期短縮を実現している。

ガソリンを燃料とする無人ヘリは約100分間、90㎞の連続飛行が可能だ。バッテリー式のドローンに比べ約10倍の飛行時間となり、担える役割も多い。

離着陸は目視でマニュアル操作を行う。飛行中は自動操縦に切り替え、作業地点上空まではGPS制御する自律飛行だ。飛行ルートは、住宅の密集地や交通量の多い道路を避けるなど、最適なルートの検討を行う。

「無人ヘリの導入を電力業界だけでなく他業界にも広げ、『運搬は無人ヘリ』が当然の世の中になってほしい。人力運搬業務の機械化は私のライフワークともいえます」(近藤正徳グループ長)。長年にわたり、作業員が苦労してきた姿を見ているからこその思いだ。

近藤正徳グループ長(左)と鳥越浩義さん