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【特集2】電気と水を自給自足 究極の分散型エネ住宅


【TOKAI】

2050年カーボンニュートラルを目指した取り組みは家庭部門でも進んでいる。大手LPガス会社TOKAIが手掛けるエネルギー自給自足の住宅「GQ(ジーク)」はその中でも先進的な取り組みだ。太陽光発電と蓄電池をフル活用して電気を可能な限り賄うのに加え、家に降った雨水や生活排水を処理して利用する仕組みを構築したもので、4人家族で利用すると、年間のCO2排出量を約3t削減が可能。まさに、家庭単位で分散型エネルギー拠点をつくり上げたものとなっている。

静岡県島田市にあるモデルハウスはGQで展開するさまざまな省エネや水の再利用の仕組みを試す実験の場となっている。まず目にとまるのは西側に傾いた屋根一面に敷き詰められた9・9kWの太陽光発電パネルだ。通常より大規模に設置しており、発電した電気は全て住宅で活用する。余剰分は36 kW時の蓄電池にためていく。蓄電池も大容量でフル充電にすると雨季が続いても約5日分の電気を賄うことが可能だ。

GQのモデルハウス

一方向に傾斜した屋根は太陽光だけでなく生活用水の確保にも寄与する。雨どいを伝い、庭先に設置した1万2000ℓの貯水タンクに流れるのだ。この量を貯水すると、降水量が少ない月も4人家族の生活に十分な水量を確保できるという。これらは「アドバンス」という最上位グレードの設備で、完全な自給自足を目指したものとなっている。

導入しやすい設備も販売 製品化に実証進める

GQには導入しやすいグレード「バリュー」の設備もラインアップされている。水は水道管に接続して利用する大容量貯水タンク「マルチアクア」で450ℓの水を常に確保。タンク内の水は使用するたびに入れ替わるので、常に新鮮な水を備蓄可能だ。太陽光や蓄電池もアドバンスより小規模のものをそろえ、多様なニーズに対応する。

このほかにも、新たな設備の実証が進む。雨水利用では、殺菌処理をせずにそのまま中水としてトイレ洗浄や洗濯機などに利用する仕組みを試す。電気では防災対策として、太陽光発電のパワコンに付属する1500Wの自立運転モードの電源を引いた分電盤を設置。ポータブル蓄電池からも電力供給が可能で、照明の一部やテレビ、洗濯機などに送電できる仕組みを構築する。

水処理設備で雨水などを水道水にする

「GQは完全な自給自足モデルから手頃な仕組みまで幅広く用意している。環境への関心が高い顧客をはじめ、自治体からの補助金が充実した地域から導入を検討する問い合わせが増えている。新築、既築問わず販売していきたい」。建築不動産本部事業開発推進部の武内淳部長は意気込みを語る。家庭部門の脱炭素化の手始めにGQは関心を集めていきそうだ。

【特集2まとめ】分散型ミックスの可能性 地域の新たな価値を創出へ


「再エネ導入」「地域活性化」をキーワードに、
新たな価値を創出する分散型が登場してきた。
コージェネや蓄電池をシステムの核に据え、
再エネ調整力、BCP対策などに活用する。
そんな取り組みが全国規模で始まっている。
分散型エネルギーミックスの可能性を探った。

【アウトライン】VPPやDRで新しい価値創出 多様なビジネスで商機拡大

【インタビュー】「脱炭素先行」で地域課題解決 官民連携で多様な再エネ拡大

【レポート】新たなエネ供給の形を提示 再エネを利用した電力網構築

【レポート】非常時の電力供給に対応 マイクログリッド試験を実施

【レポート】CO2を次世代エネルギー源へ 日立造船が挑む合成メタン

【インタビュー】新たな分散型リソースの活用 VPPやDRの積極運用へ

【レポート】地産地消やレジリエンス機能向上 DXで進化遂げるエネファーム

【レポート】福岡の新ランドマークにエネ供給 コージェネでレジリエンス強化

【レポート】LPガス事業者からの進化 EVや蓄電池を活用へ

【レポート】電気と水を自給自足 究極の分散型エネ住宅

【インタビュー】これからの街づくりで強み発揮 自治体の取り組みをサポート

【インタビュー】地域のゼロカーボン実装を支援 PPA事業のアライアンス拡充へ

【トピックス】分散型を一気通貫で管理 モバイルアプリで簡単導入

【特集2】非常時の電力供給に対応 マイクログリッド試験を実施


【岐阜県 恵那市】

電力業界では年々激甚化する自然災害への対応が急務だ。2018年の北海道胆振東部地震、19年の千葉県への台風襲来では、大規模かつ長期にわたる停電があった。こうした災害への対応力強化の方策として、マイクログリッドが注目を集めている。

日本ガイシと岐阜県恵那市、中部電力パワーグリッド(PG)の3者はこのほど、共同で手掛ける地域マイクログリッドにおいて、災害発生を想定した発動試験を恵那市内で実施した。この試験は全国的にも珍しく、中電PG管内では初の実証となる。

舞台となった同市明智町は山間部に囲まれた地域で土砂災害や倒木による断線など、停電が長期化するリスクを抱えた地域だ。そこで、21年に日本ガイシと恵那市、中部電力ミライズが設立した地域新電力「恵那電力」が検討を行い、緊急時の電力供給と平時の電源活用を実現する地域マイクログリッドを同地域に構築した。

マイクログリッドに電力供給する吉田発電所は太陽光発電(300kW)とNAS電池(200kW、1200kW時)、エネルギーマネジメントシステム(EMS)で構成される。当初、配電網は発電所の近くを通る基幹線への接続を考えたが、電源規模に対し、需要が非常に大きくなることから、マイクログリッドの構築範囲を限定する必要が生じた。マイクログリッドの発動で、構築範囲外にある需要家について電力供給再開時の影響が懸念されたため、バイパス用の商用配電網を新設し地域マイクログリッドを構築した。こうした中電PGなどのサポートによって、大幅な電源投資や自営線などの追加コストをかけずに、より広範囲へ電力供給が可能となった。

太陽光とNAS電池を設置した吉田発電所

発動試験は3月6日に実施。災害などの停電発生を想定し、地域内で電力を自給できることを確認した。今後、発動する条件としては、「マイクログリッド地域内に被災がなく、長期停電が見込まれるとき」としている。

恵那電力の社長を兼任する日本ガイシエナジーストレージ事業部の村本正義管理部長は、「岐阜県民は防災に対する意識が高く、今回の実証にも地域住民の方々は積極的に協力してくれた」と試験成功の背景を語る。

地産地消電力を促進 需要家にもアプローチ

日本ガイシでは、エネルギー設備の平時の有効活用にも注力する。需要や発電予測、調達計画を基にNAS電池を制御して地産地消に寄与することに加え、再エネ利用やBCP(事業継続計画)価値で需要家へのアプローチにも取り組む。2月にはリコーと合弁会社「NR-Power Lab」を設立。日本ガイシの蓄電池制御技術とリコーの再エネ流通記録プラットフォームの融合に着手した。

「再エネや地元でつくられた電気であることを可視化する仕組みをつくる。需要家に意識してもらう上で大きな役割を果たす」と村本部長は説明する。再エネとNAS電池を核にしたこうした一連の取り組みが「恵那モデル」として他地域に普及することを同社では目指している。

【特集1まとめ】プロパン商慣行の闇 利用者を惑わす「無償」の罠


集合住宅への設備無償貸与や戸建てへの貸付配管という
長年続いてきたプロパンガス業界特有の商慣行。
本来自由市場にあるべき利用者の自由な選択を妨げ、
「不透明で割高な料金」を誘発する温床となってきた。
政府の物価高騰対策でプロパンへの補助が対象となる中、
商慣行の問題に改めて行政のメスが入ろうとしている。
利用者を惑わす「無償慣行」は改善されるのか。
そして低廉で透明な料金体系はどうすれば実現できるのか。
「ただより高いものはない」との言葉が重くのしかかる。

【アウトライン】設備無償提供に現金支給も当たり前! 現場で横行する悪質行為の実態

【レポート】プロパンの闇に光は差し込むか 問われる慣行是正の実効力

【インタビュー】消費者が納得できる料金提示を 業界の不信感払しょくに不可欠

【覆面座談会】「無償慣行」は改善できるのか? 業界事情通が赤裸々に明かす 現行制度の限界と解決策

【インタビュー】「搾取」の構図に歯止め 設備無償提供の原則禁止も

【クローズアップカンパニーまとめ】東京ガス法人営業部門


東京ガスが法人営業機能の改革に乗り出した。
全機能を子会社の東京ガスエンジニアリングソリューションズに集約。
積極的に「ソリューション」を打ち出していく。
新生・東京ガス法人営業部門の姿をレポートする。

【アウトライン】脱炭素ソリューション展開へ TGESに機能集約しニーズ対応

【インタビュー】ソリューションを前面に ガス・電気販売からの脱皮

【レポート】成田国際空港との合弁会社を設立「空の拠点」のエネルギー支える

【特集2まとめ】石炭火力存続の道標 CCS・再エネ共存で脱炭素へ


この1年の世界的な天然ガス需給ひっ迫を背景に、
石炭火力向けの一般炭の使用量が増加している。
ただ脱炭素化が求められる状況に変わりはなく、
石炭火力から排出されたCO2を地中に埋める
CCS技術の開発にも拍車が掛かっている。
また、再生可能エネルギーとの共存を視野に、
出力変動や系統安定化に資する技術開発も加速。
石炭火力を巡る最新技術事情に迫る。

【アウトライン】石炭の環境対策巡る最新事情 エネルギー危機で高まる存在感

【レポート】脱炭素化を加速する最先端実証 CCS要素技術の気になる中身

【インタビュー】火力対再エネ論争への疑問 日本の先進技術をPRすべきだ

【トピックス】風の力で温室効果ガスを削減 帆搭載の船をスタンダードに

【特集1まとめ】炭素貯留の実現度 ビジネス化の可能性を探る


発電所や工場などから排出されるCO2を回収し地層に圧入、貯留する「CCS」。
化石燃料を使い続けながらカーボンニュートラルを実現する切り札として、
国内外で事業化に向けた動きが活発化してきた。
経済産業省・資源エネルギー庁は今年1月、CCS長期ロードマップを策定。
今秋にも事業法を制定し、事業化のルール整備を図る。
2023年は「CCS元年」となるのか。関係者への取材から、ビジネス化の可能性を探った。

【アウトライン】CCSの前途は多難か洋々か 社会実装へ動き出す国内事業

【インタビュー】事業法制定と行動計画策定 CCS事業化へ環境整備

【レポート】世界に広がる「空前のCCSブーム」 国情踏まえた事業が続々始動

【レポート】国内初の一貫システムで目標達成 苫小牧実証が示した貴重な知見

【レポート】効率的なCO2分離・回収技術を確立 石炭火力ゼロエミ化へ実証終了

【特集1】世界に広がる「空前のCCSブーム」 国情踏まえた事業が続々始動


国際的にも、CCS懐疑論は鳴りを潜め、CN達成に欠かせない事業との認識が共有されつつある。
特に直近1年の動きは激しく、世界全体で約60もの新規事業が発表された。各国の戦略とは。

再生可能エネルギーや水素などと並行し、脱炭素ソリューションの一つとしてCCS(CO2の回収・貯留)の事業化を目指す動きは当然、日本にとどまったものではない。

国際エネルギー機関(IEA)は、カーボンニュートラル(CN)の実現はCCSがなければほぼ不可能であると指摘。2050年CNに向けては、①既に公表や実施されている政策に基づくSTEPSシナリオ、②未実施も含めて政府の発表済み公約が全て実施された場合のAPSシナリオ、③50年CO2排出ネットゼロ達成を想定したシナリオ―という三つのシナリオに応じて、世界全体で年間38億~76億tのCO2を貯留する必要があると試算する。こうした差し迫った状況下で各国が、CCSの実用化に向けた取り組みに本腰を入れ始めているのだ。

かつて大勢を占めていた懐疑論は薄まり、政策導入に転換する流れが加速。各国政府は戦略的かつ計画的な政策と企業支援を進めている。CCSに関する研究を進めている国際シンクタンク「グローバルCCSインスティテュート(GCCSI)」によると、世界では現在196件のCCSの実用化を目指すプロジェクトが進行中だという。そのうち61件は昨年1年間で新規に発表されたものであり、まさに活況を呈している。

米国は政府支援や税制優遇 欧州では懐疑派からの転換も

中でも、世界最大級の支援を背景に「空前のCCSブーム」が巻き起こっているのが米国だ。21年にインフラ投資雇用法が成立、昨年5月にはエネルギー省(DOE)がCCS事業などに23憶4000万ドルを捻出すると発表した。直近では2月、CO2輸送や地中貯留インフラを結び付ける商用規模の技術実証プロジェクトに対し最大17億ドルを捻出するなど、総額で120億ドル規模の予算を組む。米国では、50年までに10億t規模での貯留を目指しており、現状の排出量の2割を超える野心的な目標を掲げている。

また、08年に制定されたCCSに対する税制優遇制度「セクション45Q」が、インフレ抑制法(22年に成立)により大幅に拡充されたことも追い風となっている。産業用の排ガスを地下で貯留した場合、1t当たり50~85ドルの税控除が可能となり、もはや国が炭素処理に直接補助金を出しているのと変わらない状況だ。高い収益力を見込んで、これまでに3桁に上る企業が申請を行っているという。

その一方で、環境保護庁による陸域制度の審査や、内務省による海域制度の立ち上げに関する遅れが課題に浮上。制度の見直しを含めた改革の是非がこれからの焦点となるだろう。

翻って、欧州では域内各国の事情や立場によってCCSへのスタンスが異なる。これまで積極的に取り組んできたのが、北海沿岸の産油国である英国やノルウェーだ。

英国では、BPなどのオイルメジャーが主導、または支援する四つのCCSクラスターを30年までに構築し、2000万~3000万tのCO2貯留を目指す。水素製造や、大気から直接炭素を回収・貯留する「DACCS」、バイオエネルギーを使って炭素を回収・貯留する「BECCS」など、多様な炭素分離技術を積極的に導入しているのも特徴的だ。

ノルウェーは、産油国としての地位を維持しつつ、政府が支援する「ロングシップ」と呼ばれるCCSプロジェクト初の案件である「ノーザンライツ」を推進するとともに、CO2輸入にも力を入れる。CCSによるCO2の国際取引を規制するロンドン条約1996年議定書の改正を働きかけ、暫定適用を初めて宣言するなど、欧州における同国の主導的な役割は大きい。

さらに注目されるのは、これまで懐疑的な姿勢を貫いてきたドイツの方針転換だ。昨年8月には、ドイツの石油・ガス会社のウィンターシャルDEAが、ノルウェー・エクイノール社と共同でCCS事業を推進すると発表。回収したCO2をノルウェーの貯留地点に送るためのパイプライン建造や船舶輸送などを計画しており、37年までに約2000万tのCO2輸送を目指す。これに伴い、政府としても国内制度の整備を急いでいる。

アジア諸国でも活況 戦略見直しで実行段階

化石燃料の需要が堅調なアジアでも、CNへのコミットからCCSへの関心が急速に高まっている。21年には、CO2回収・貯留にとどまらず利用まで見据えて、アジア全域でのCCUS活用に向けた産学官プラットフォーム「アジアCCUSネットワーク」が立ち上がった。

特に産油・産ガス国の動きが目立ち、マレーシアやインドネシア、タイ、ベトナムでは、それぞれ国営の石油会社がCCS推進のドライバーとなっている。他方、消費国側もCCSの活用を模索し始め、中でもシンガポールや韓国がCO2輸出の働きかけに積極的だ。

世界最大のCO2排出国であり、温暖化の国際交渉の場で存在感を強める中国はどうか。ここにきてCCS推進にかじを切った。GCCSIによると、60年までに年間貯留量23億tを目標に掲げており、現状の排出量の20%を超える。国内の電力会社や国営石油会社などがプロジェクトを立ち上げており、産油国や欧米石油メジャーなどとの連携も深めつつある。

海外のCCS/CCUSプロジェクト

※EOR(原油増進回収技術) グローバルCCSインスティテュート調べ

中東諸国の戦略にも変化の兆しが見えてきた。こうした国々にとってこれまでCCSは、あくまで石油・ガスの増産を目的としたEOR(原油増進回収)・EGR(天然ガス増進回収)が主体だったが、最近は海外のCO2を受け入れるための検討が始まっている。中東経済が化石燃料依存からの脱却を図る上で、CCSの位置付けは一層重要になろう。

このように、世界各国でCCS戦略の見直しが進み、より具体的に実行に移す流れになってきたことは間違いない。ただ、国際的なルールの整備は今後の課題であり、国境をまたぎCO2を輸送するプロジェクトも急増する中、貯留キャパシティの問題、貯留後の環境モニタリング体制を含めたプロジェクト全体の責任の所在の在り方など、検討すべき論点は多い。国際議論が国益と合致するよう、日本にとってもアジアをはじめとした関係諸国との連携をより深める取り組みが肝要だ。

【特集2まとめ】水素エネ先駆国家の本領 社会実装へ加速する技術開発


2050年カーボンニュートラルを合言葉に
国内の水素関連の技術開発が急進している。
水素発電や分散型エネルギーとしての利用、
都市ガスからの燃料転換、燃料電池(FC)トラックなど、
新たな実証やサービスによって、次世代フェーズに移行しつつある。
世界に先駆けて水素技術開発に力を注いできた日本。
欧米で水素エネルギーへの関心が高まる中、その本領が試される。

【アウトライン】水素利用で実現する脱炭素 技術力を結集し開発加速

【座談会】水素エネルギーの本格利用へ 実証から実装へのビジネス展開

【レポート】自治体が推進する水素活用 グリーンP2Gに引き合い多数

【トピックス】再エネ由来の水素ステーション 大幅なコストダウンも実現

【レポート】世界各地でCNビジネスを探索 e‐メタンで海外連携を強化

【レポート】水素燃焼試験サービスを開始 サプライチェーン構築も推進

【レポート】東ガスが24年に水素供給を開始 官民で取り組む脱炭素の街づくり

【レポート】水素燃焼炉でLiB電池製造 モノづくりの脱炭素ソリューション

【レポート】25年までに専焼ガスタービン開発へ 逆火・NOX対策で水素割合増やす

【レポート】世界初となる2ノズル同時充填 高速化で大型車両の普及に貢献

【レポート】大型車両への大流量充填 技術センター新設で開発加速

【トピックス】ガスエンジン分野で開発加速 CO2フリーの分散型視野に

【トピックス】地の利を生かした酪農で水素製造 未開の地・北海道で普及に挑む

【特集2】ガスエンジン分野で開発加速 CO2フリーの分散型視野に


【三菱重工エンジン&ターボチャージャ】

ガスエンジンの主機構を担うレシプロエンジン分野でCO2排出ゼロへの商品開発が進められている。三菱重工エンジン&ターボチャージャは、従来のディーゼルエンジンやガスエンジンを母体とした水素エンジンの実用化に向けて取り組んでいる。

同社は産業総合技術研究所福島再生可能エネルギー研究所(福島県郡山市)に同社製の4ストロークレシプロガスエンジン「GS6R2~GS16R2」シリーズ(ピストン径170×ストローク220mm)を改良した単気筒エンジンを設置し、産総研と共同で各種試験を実施。すでにCO2を排出せずクリーンな水素を100%使って安定燃焼できる条件を見出している。

水素は、可燃範囲が広く燃焼速度が大きい特性があるため、バックファイアーやノッキングなどの異常燃焼が発生しやすい。一連の試験では、その課題解決のため、燃焼特性に合わせて、水素燃料供給方法、着火方法、給気弁閉じ時期、空気過剰率などを見直し、水素専焼・予混合方式での安定燃焼条件を明確にしている。

2030年代の水素利用に向けて1000kW級水素エンジンを実用化することを目標にしている。また、同社では太陽光、蓄電池、ガスエンジンを組み合わせた自立給電システムの発電設備「EBLOX(イブロックス)」を開発済みだ。同ガスエンジンを水素エンジンに切り替えることで、CO2を一切排出しない分散型エネルギーソリューションを提供することも視野に入れている。

【特集1まとめ】高レベル廃棄物処分の実像 寿都・幌延・神恵内を探訪


高レベル放射性廃棄物(HLW)の処分事業が前に踏み出そうとしている。
北海道寿都町・神恵内村での文献調査は目安とされる2年が過ぎ、
概要調査への移行に国は本腰を入れサポート体制を整える。
だが、HLWの最終処分は国民的な関心事になっておらず、
両町村のほかに調査に応募する自治体は現れていない。
どう文献調査の実施地点を増やし、事業を円滑に進めるか―。
現地ルポや専門家の見解などを基に、処分事業の実像に迫る。

【アウトライン】最終処分地選定の長い道のり 政府の方針改定は転機となるか

【レポート】文献調査を受け入れた寿都・神恵内 貴重な「2年」が遺したもの

【座談会】ハードル高い概要調査への移行 受け入れ難い根拠なき反対

【レポート】プロセスの公正性について検討を 寿都・神恵内で見えた課題

【レポート】地下350~500mの地質環境を研究 幌延町で進む安全性確認

【インタビュー】文献調査の実施地域拡大に全力 政府を挙げて自治体を支援