【コラム/11月21日】再生可能エネルギー電源の支援制度 ~FIP vs. CFD~

矢島正之/電力中央研究所名誉研究アドバイザー

わが国では、再生可能エネルギー電源の支援制度として、2022年度よりFIT(Feed- in Tariff)制度に代えて、FIP (Feed-in Premium)制度が同電源の大部分に対して導入されることになった。わが国のFIP制度でも、一定規模以上の大部分の再生可能エネルギー電源に関して、買取価格は競争入札で決める。FIT制度は、再生可能エネルギー電源の普及を促すことを目的として導入されたのに対して、FIP制度は、再生可能エネルギー電源を電力市場へ統合するにあたっての段階的な措置と位置づけられるが、FIP制度には問題点も指摘される。

ドイツでも、現在、再生可能エネルギー電源の支援制度としてFIP制度(変動型プレミアム制度)が幅広く採用されているが、ベルリンにある非営利学術機関であるドイツ経済研究所DIW は、再生可能エネルギー電力の買取価格を入札で決めるFIP制度の問題点を指摘し、下記に述べるように、差金決済契約(Contract for Difference : CFD)制度のほうが、支援制度として優れているとしていると指摘している。

風力発電や太陽光発電は、変動費は低いが、資本費は高い。したがって、資金調達コストがコストの重要な部分を占める。資金調達コストは、発電による将来の収益がどの程度確実かに依存する。投資決定時に、発電による収入の確実性が確保されている場合、投資家は安い金利の借入金で投資資金を調達することができる。他方、投資家が収益計算において不確実な電力価格を考慮しなければならない場合、他人資本を提供する金融機関はリスクを敬遠するため、金融機関からの借り入れは難しい可能性がある。このため、より多くの自己資本が必要となり、資金調達コストが増加する。

過去において、入札価格(落札価格)が市場価格を上回っていたときは、FIP制度の下でも安定的な収入が確保され、資金調達コストは安かった。しかし、最近のように、再生可能エネルギー発電の生産コストが市場価格に近づくほど低下している場合には、状況が異なってくる。FIP入札では競争圧力がかかるため、投資家は可能な限り低い入札額を提示できるよう、電力市場から収入を得る可能性を考慮する結果、入札価格が電力生産コストを下回る傾向がある(欧州の洋上風力発電の入札では、プレミアム0での落札が常態化している)。そのような状況では、市場価格が入札価格(落札価格)よりも低い場合、入札価格での買取が保証されるが、それは、生産コストを下回っている。市場価格が実際の生産コストよりも低い場合、エクイティは実際に必要な配当を受けることはできない。また、市場価格が高く、入札価格を上回る場合、入札価格を超える市場価格が追加的な収益機会を決定するようになる。しかし、入札価格を超える電力市場からの収入は不確実であるため、資金調達コストが増加し、消費者は技術的なコスト低下の恩恵を十分に受けられなくなる。

CFDは、再生可能エネルギー電源に対する支援策として、すでに英国のほか、デンマーク、イタリア、フランスで採用されており、数年後にはEU大でも採用されることになるだろう。CFDは、競争入札で決定された価格での長期購入契約を意味している。現行のFIPと同様に、市場価格が契約価格(入札価格)を下回ると、事業者は、その差を受ける。逆に、市場価格が契約価格を上回った場合、事業者はその差を系統運用者などの契約相手方に支払わなければならない。これにより、再生可能エネルギー賦課金は減少し、消費者の負担は減じる。消費者は、差額契約を上回る電力価格の高騰に対して守られることになるため、エネルギー転換のアクセプタンスも高まると考えられる。

FIPの下では、再生可能エネルギー事業者は、生産コストをカバーするために入札価格を上回る電力価格からの収益を期待するのに対して、CFDは、事業者が入札価格を上回る電力価格からの収益を期待しなくても生産コストをカバーできる収益を保証する。資金調達にさいして、そのような不確実な収益を考慮する必要がなくなるため、CDFは、FIPのように資金調達コストを増加させることはない。

CFDでは、生産コストを下回る入札をすることはないと考えられる。仮に、そのレベルで落札したら、電力価格がそれを上回る部分は契約相手方に返却しなくてはならず、事業は赤字となるからである。逆に、競争環境下では、生産コストを上回る入札もできないため、生産コストで入札すると考えられる。DIWのモデル計算では、生産コストの下落に伴い、CFDによる入札価格よりもFIPの入札価格の方が急激に下落していくが、技術的コストの低下は、高い資金調達コストによって相殺され、消費者のコスト削減にはつながらない。

DIWは、様々な再生可能エネルギー支援制度の中で、消費者が発電コスト低下の恩恵を最も受けることができるのは、CFDの場合であると結論づけている。DIWのモデル計算では、CFDの導入により、現在のFIPを維持する場合と比べて、2030年において、ドイツの消費者全体の支払いは、年間約8億ユーロの節約が可能になる。また、固定プレミアムでは、CFDと比べると、年間27億ユーロ弱の追加コストが発生する。支援制度なしでは、CFDと比べ、追加コストは、年間約34億ユーロと増大する。CFD以外の支援制度では、資金調達にはより多くの自己資本が必要とされる。DIWの見解によれば、このような投資は、基本的に、より大きなリスクとより高い期待リターンを伴う投資を行うことができる大規模なエネルギー事業者のリスクリターンプロファイルに合致するため、再生可能エネルギー電源の担い手の多様性が損なわれる可能性がある。

最後に付言しておくと、ドイツの現行のFIPは、変動型プレミアム制度であるのに対して、わが国で採用されるFIPは、固定型と変動型の中間の制度と言われている。ともに、プレミアム単価は、参照価格の変動に応じて毎月変更されるが、参照価格は、ドイツでは月単位の平均卸電力市場価格で決められるのに対して、わが国では、前年度年間平均卸電力市場価格に月間補正価格を加味したもので決められる。このような制度設計の違いはあるが、上述の考察は、わが国のFIP制度に関しても当てはまることであり、適切な再生可能エネルギー電源の支援制度を考える上で参考になるだろう。

【プロフィール】国際基督教大修士卒。電力中央研究所を経て、学習院大学経済学部特別客員教授、慶應義塾大学大学院特別招聘教授、東北電力経営アドバイザーなどを歴任。専門は公益事業論、電気事業経営論。著書に、「電力改革」「エネルギーセキュリティ」「電力政策再考」など。

【石油】稼げる間に稼ぐ 100ドル時代到来?

【業界スクランブル/石油】

OPECプラスは10月4日、サウジ・ロシアの自主追加分を含め、現行減産体制の継続を決めた。同日、WTI原油先物は想定の範囲内である、米国ガソリン在庫急増で5ドル安となったが、マクロ的にはOPECプラスの決定で需給ひっ迫の可能性が高まった。

ウクライナ戦争で130ドル近くに上昇した原油価格も2022年秋には侵攻前の70ドル台に下落、本年前半もほぼ横ばいだった。しかし、後半はOPECプラスの減産と米中の底堅い景気動向による需給ひっ迫懸念で堅調に推移している。ハマスとイスラエルの衝突も心配だ。そのため、年末に向けさらなる上昇を予想する向きが多い。

問題は供給面のOPECプラスの減産継続である。従来であればOPECは原油価格が高騰した場合、減産を緩和、増産に転じるなど、市場安定に向け需給緩和に動くものだったが、今回は増産に動く気配はない。また過去の価格回復局面では、合意違反の増産(チーティング)に走る加盟国が出たものだが、今回は大多数が投資不足で増産余力を欠き、イラン、ベネズエラが経済制裁中でもあり、違反増産国もない。

特に過去、安定志向の石油政策を採用し、まとまった増産余力を有するサウジが今回は増産に動かない。OPECプラスの友好国ロシアへの配慮もあろう。

やはり、安定志向の前提は、価格高騰による消費国の石油離れ防止、超長期の石油収入の確保であったと思われるが、脱炭素が現実となった今、その前提は崩れ、石油埋蔵が座礁資産となる前に高値で「稼げる間に稼ぐ」との政策に転換したのだと理解するしかない。

一本調子の値上がりはないにしても、途上国需要がピークアウトするまでは、原油高価格時代は続くのではないか。(H)

【シン・メディア放談】エネルギー価格補助金の論じ方 深みなく物足りない検証記事

<メディア人編> 大手A紙・大手B紙・地方C紙

出口が全く見えないエネルギー補助金。その報じ方はメディア関係者から見ても物足りないようだ。

 ─エネルギー補助金が年末まで延期されたばかりだが、既に来春以降も続く可能性が浮上している。

A紙 経済産業省も財務省も担当者はやめたがっているが、政治案件になってしまった。朝日はこれまでに「始めたらやめられない補助金」といった解説記事などをたびたび掲載。一方ほかのメディアは延長方針などが決まったタイミングで発表物は掲載するが、問題意識を持ち尖った記事は少ない。

B紙 毎日も社説で「出口なきバラマキは愚策」などと断じ、日経も市場を歪めかねないといったスタンスで批判を強めている。11月解散がくすぶる中、さらなる補助金延長はまさしく政権の人気取りだ。エネルギー補助金では政権に批判的なメディアほど真面目に検証記事を書き、政権寄りの産経・読売などはあえて触れないようにしている。

─原子力問題はずばり論じる東京のスタンスはどうだろう。

C紙 印象に残る記事がない。補助金の是非はあるが、消費者の財布に優しいことは確かで、物価上昇が生活を直撃する中で水を差すような記事は載せにくいのだろう。

A紙 ところで、地方では車が生活の足であり、北国では灯油への補助も出ているのに、地方紙は意外とこの政策に批判的だ。

C紙 岸田政権が結局、補助金をやめられないのならば、財政面から気合を入れた検証記事を書けば面白いと思う。だが、どの社も記者が減る中、やりたくてもできない事情もある。

A紙 日々の発表物が優先で、検証記事は二の次になっている。人手が限られる中、いつまでも自社リソースの記事にこだわるべきなのか、検証してもよい頃合いだ。


金融緩和と同じ構図 統一感ない政策にメスを

B紙 記者が経緯をどれだけ分かっているかが、記事の深さに露骨に表れる。でも、そういう観点で記者を評価する人事制度になっていないことも良くない。人手不足でころころ配置転換せざるを得ず、新聞社として意図を持って記者を育成することが難しくなっている。

C紙 残念なのは、この補助金がCO2排出の増大につながり「脱炭素政策をてこ入れする機を逸した」といった検証記事があまり見当たらないこと。記者として目立てるチャンスでもあるのに。

A紙 他方、今夏は猛暑の割に電力需要が思うほど伸びず、補助金の意味にさらなる疑問が生じた。政権が期待するほど景気が反応していない点も絡めて指摘できる。

─しかもイスラエル・パレスチナ紛争激化で補助金を止められない理由がさらに増えてしまった。

A紙 エネルギー補助金と政権浮揚は密接に関係する。目先で始めた補助金だが、その終了は政権が消費者の負担増を選択するということ。だが、原油価格のフェーズが変わる中、少なくとも補助金以外の手段を考える必要がある。

B紙 大規模金融緩和をいつまでも止められないのと同じだ。日本だけが財政健全化から目を背け、お金をばらまいておけば政権支持率は下がらないという安直な考えを取り続けている。日経が厳しく書けば響くはずだ。 

【マーケット情報/11月17日】原油続落、需給緩和の見通し一段と強まる

【アーガスメディア=週刊原油概況】

先週の原油価格は、主要指標が軒並み続伸。需給緩和の見通しが強まった。

中国経済の減速で、原油需要が弱まるとの見方が一段と広がった。同国における製油所の10月原油処理量は、精製マージンの縮小を受け、過去最高を記録した前月から減少。また、不動産業界への1~10月投資額が、前年同月比で下落している。同業界は石化製品の主要な消費層となっており、化学品需要の後退が見込まれる。

欧州でも、景気の冷え込みが懸念されている。欧州委員会は、欧州連合および欧州圏における、今年のGDP成長率予測に下方修正を加えた。

供給面では、米国の週間原油在庫が増加。クッシング在庫が4週連続で増加したことが背景にある。さらに、米国の石油サービス会社ベーカー・ヒューズが発表する先週の原油リグ稼働数は、前週から6基増加。原油価格を下押した。


【11月17日現在の原油相場(原油価格($/bl))】

WTI先物(NYMEX)=75.89ドル(前週比1.28ドル安)、ブレント先物(ICE)=80.61ドル(前週比0.82ドル安)、オマーン先物(DME)=79.18ドル(前週比2.22ドル安)、ドバイ現物(Argus)=78.96ドル(前週比2.52ドル安)

【ガス】LPの質量販売 「30分ルール」一部免除の実態

【業界スクランブル/ガス】

経済産業省は昨年7月に質量販売における液化石油ガス法の保安業務告示と通達改正を交付・施行した。改正ではキャンピングカーやキッチンカー、屋台など、屋外でLPガスを移動して使用する一般消費者などは緊急時対応講習を受講して修了証を取得し、緊急時の措置を自ら行う場合には、「30分ルール」から除外するとした。

LPガス販売事業者に課せられている保安業務のうち、需要家の供給設備および消費設備まで原則30分以内に到着し、バルブの閉止などを行う体制の確保を求める「30分ルール」がある。除外措置は、昨今流行っているアウトドア、キャンピングカー業界などの要望に応えた形だ。

緊急時対応講習では、液石法の基礎、各種設備の機能・取り扱い、関係法令などを学ぶ。講習を修了した消費者は、質量販売を扱う販売事業者からLPガスを購入する際、受講修了証を提示し、緊急時に所要の措置を自ら行うことについて、販売事業者の確認を受けることになる。

しかし30分ルールが除外されたとはいえ、修了証を持つ消費者自らが緊急時に必要な措置を行う場合、予期せぬ事故が発生するリスクもあり、販売を敬遠する事業者は多い。施行から1年が経過した現在、講習実施者として認定されているのはイーエルジー(大阪府東大阪市)と千葉県LPガス協会(小倉晴夫会長)の2者だけとなっている。講習には全国各地から参加者が集まるというが、経産局単位か各地区のLPガス協会が講習を実施できる体制を構築することも必要だ。

質量販売はLPガスの良さを生かした供給方法であり、さらにユーザーから求められていることを踏まえ、需要の裾野を拡大するためにも、LPガス事業者は期待に応えなければならないだろう。(F)

産業電化のシンポジウム開催 GX実現に向け電化の可能性探る

【エレクトロヒートシンポジウム】

日本エレクトロヒートセンター(JEHC、内山洋司会長)が主催する第18回エレクトロヒートシンポジウムが11月1日から1か月間にわたってウェブ上で開催される。期間内は誰でもオンデマンドで講演動画やバーチャル展示などのコンテンツを無料で視聴できる。

今回のテーマは、「GX実現に向けてどうする、どうなる?産業電化」だ。GXを目指す最新の産業電化技術がさまざまな企業によって紹介される。

シンポジウムでは、経済産業省産業技術環境局GX投資促進室の西田光宏室長が基調講演を行う。GX実現に向けた政策の最新状況を伝えながら、GXに資するヒートポンプ技術の可能性を紹介する。

実際にエネルギーを使う需要側による二つの特別講演も実施する。一つは、デンソーやアイシン、矢崎総業などが加盟する日本自動車部品工業会だ。同会では、2030年度のCO2排出量を13年度比で46%以上の削減を目指している。協会としての会員企業への支援活動や課題解決に向けた取り組みといった活動概要を説明する。また、カーボンニュートラル(CN)に向けた事例集なども紹介する。もう一つが、電機・電子温暖化対策連絡会だ。22年に改定した「気候変動対応長期ビジョン」の内容や活動事例を紹介する。

産業電化にはさまざまな技術がある。

いずれの団体に加盟する企業群は、最終製品を支える部品や部材などをグローバルで製造・納入している。片や世界のモノづくりの現場では、最終製品の脱炭素化は、こうした企業群の取り組みの上に成り立っているだけに、エネルギーの需要家としての取り組みは注目される。

その他、技術発表のコーナーでは、抵抗加熱や電磁波加熱、誘導加熱といったさまざまな電化による「加熱」の最新動向や導入事例、その効果が各社から1か月間にわたって紹介される。

加えて、「簡易ロードマップの策定とAIを活用した最適制御」(関西電力)、「ものづくりの革新に貢献するデジタル共創プラットフォーム」(中部電力)、「電化(ヒートポンプ)がスコープ1・2・3に与える影響」(ほっとコンサルティング)といった1週間程度の期間限定のWeb講演もある。


GXと産業電化の親和性 学生向けに簡単に解説

今回のシンポジウムでは、初めての試みとして「業界大図鑑」のコーナーを設けた。実際に産業電化を手掛ける企業で働く若手社員へのインタビューなどを通じて、産業電化の仕組みをわかりやすく解説するコーナーだ。

JEHCの担当者は「GXの取り組みと産業電化は親和性が高いと考えている。将来の日本の産業を担う学生に少しでも関心を持ってもらえれば」と話している。

英スナク首相の「ネット・ゼロ」会見に思う

【ワールドワイド/コラム】水上裕康 ヒロ・ミズカミ代表

去る9月20日に行われた、英国スナク首相の「ネット・ゼロ」政策に関する記者会見を視聴した。日本も含め、各国のメディアは「ガソリン車等の販売禁止を延期」と見出しを付け、「ネット・ゼロ政策の後退」と結論付けたものが多かったように思う。

実際に演説を聴いてみると、なるほど内燃機関の自動車や化石燃料ボイラーの販売禁止を2035年まで先送りしたり、住宅への断熱基準適用の強制をやめたりと、「後退」とみえる部分もある。一方、ヒートポンプ購入補助金の増額、陸上風力建設禁止の解除、CO2回収・貯留(CCS)や原子力の推進、送配電網の整備に向けた改革など、前向きな政策もある。全体的には「後退」というより、施策の「再編」といったほうが相応しいような印象を受けた。

スナクは演説のなかで、「困難な選択とそれに伴う代償について、国民に正直であったり、民主的な議論をしたりせず、見出しになるような目標を押し付ける」ことを批判し、「現実的」という言葉を繰り返していた。貧困層を置き去りにした「EV100%」や具体策を伴わない「送配電網の整備」といった見栄えのいい言葉の裏に存在した問題に手を付け、国民の理解を得ながら前進しようとの趣旨であろう。

「気候正義」という言葉に追い立てられるように、各国はさまざまな計画の導入を競ってきた。結果として、一元的に導入された施策に、社会の最も弱い層が悲鳴を上げ始めたということではないか。使える経済資源が限られる中、実効性をもって目標に近づくためには、社会の現実に応じた「正直」で「現実的」な議論を繰り返さねばなるまい。そんな中で、具体的な議論もなく「日本は遅れ」を繰り返す、経済メディアの「上から目線」の記事をみつけると、がっかりしてしまうのだ。

【新電力】不適切な営業活動抑止 ガイドラインより監視

【業界スクランブル/新電力】

電力小売業界では、しばしば不適切な営業活動、料金メニュー案内や事業不振による突然の倒産、事業中止といったマイナス事象がみられる。消費者保護を一層徹底したい資源エネルギー庁は、8月の基本政策小委で小売指針の改定を打ち出した。①情報開示の強化「ヘッジ比率の開示」「燃料、市場価格と電気料金の因果関係の説明」、②一層丁寧な消費者案内「高齢者等への専用資料」「筆談読み上げによるコミュニケーション」―などである。

情報弱者、ハンディのある人達への優しさを感じる方針ではあるが、そのままの指針化は早計だ。①「ヘッジ比率」は業務機密に属し、かつ定量化が難しく、「因果関係」は正解がない。②はネット中心の集客実態とそもそも合わず、かつゼロコストでは実施できないため、標的顧客からこうした人々を除外する誘因になりかねない。

いわゆる「ヤンチャ系小売り」のために真っ当に事業を遂行している各社が追加対応に汗をかかされるのは合理的ではない。不適切な営業活動は電取委が個別に摘発、指導し、必要があればレッドカードを出し退場させるなどの措置を講ずるべきだ。

さらにカーボンニュートラルに向けた新しい料金メニューやサービス開発を小売りに求める考察も示されたのだが、小売事業者の能力を過信しているのではないか。制度インセンティブを事業者、消費者双方に付与しないと何も進まない。

自由化したはずが、なぜ箸の上げ下ろしを事細かく規定され続けるのか。悪性の事業者は淘汰されるはず。淘汰に要する時間を短縮させるための情報提供に国が関わるくらいの間合いがほどほどと考えるが、規制の態様が変わる気配はない。小売りに国策遂行を無償代行させたいマインドが見え隠れする。(S)

英スナク首相の「方針変更」 合理的エネ政策に転換なるか

【ワールドワイド/環境】

9月20日、ラシ・スナク英首相はガソリン車とディーゼル車の新車販売の禁止を2030年から35年に延期した。ボリス・ジョンソン前首相が打ち出した内燃エンジン車からEVへの移行が5年遅れることになる。35年以降も既存のガソリン車やディーゼル車の中古車販売も認められる。ガスボイラーのフェーズアウトのペースを緩め、家屋所有者に対する省エネ義務の導入も見送られた。

スナク首相は記者会見において「自分は50年カーボンニュートラル目標にコミットしている。他方、その目標追求に当たっては、よりプラグマティックで身の丈に合った、現実的なアプローチをとる。現在の政策を続ければ国民の同意を失うことになる。それは当該政策に対するバックラッシュになるのみならず、われわれが目指す目標そのものをも危うくする」と述べた。EVに関しては「われわれは英国をEVの世界的リーダーにするために努力しており、30年までには販売自動車の大半がEVになると期待される。他方、選択を行うのは消費者自身であるべきで政府ではない。初期費用はいまだに高く、充電インフラの整備にも時間がかかる」と述べた。

今回の方針転換の背景は苦戦が予想される来年の総選挙に向け、低所得層のコスト負担増を防ぐというポジションを打ち出し、温暖化対策のさらなる強化を唱導する労働党との差別化を図ることにあったといわれている。スナク首相は財務大臣時代からEV義務化やガスボイラーフェーズアウトのコストについて疑問を感じており、今年夏に政策の費用対効果をレビューさせたが、納得する回答が得られなかったという。

環境関係者は「長期的に英国民のコスト負担を増大させ、温暖化問題における英国のリーダーシップを毀損するものだ」とスナク首相の方針変更を激しく批判。環境NGOは訴訟の構えで、野党労働党は保守党を攻撃する絶好のチャンスと捉えている。

スナク政権の軌道修正により、来年予定される総選挙ではグリーン政策が一つの争点になろう。高コストのグリーン政策の見直しによって保守党の支持を強化しようというスナク首相の目論見が成功するのか、さらにはこれが欧州において跳梁跋扈する環境原理主義からより合理的なエネルギー環境政策への転換の第一歩になるのか、今後の動向が注目される。

(有馬 純/東京大学公共政策大学院特任教授)

【電力】政治的動機で軽視される 推定無罪の原則

【業界スクランブル/電力】

 9月25日、中部電力と中部電力ミライズは、企業向け電力販売でカルテルを結んだとして、今年3月に公正取引委員会から発出された計275億円の課徴金納付命令の処分取り消しを求めて東京地裁に提訴した。訴状の内容は明らかになっていないが「公取委との間で、事実認定と法解釈について見解の相違がある」とのことだ。

28日には中国電力、29日には九州電力および子会社の九電みらいエナジーと、命令の対象となった全社が提訴に踏み切った。法の適用に異論があるなら株主利益を背負っている以上、企業が司法に訴えることは当然かつ正当な権利の行使である。

そう考えると、先日の旧一電数社の料金改定審査の際に、消費者庁がカルテル問題の影響の検証を執拗に主張していたことには違和感を持つ。公取委による認定が正しいとはまだ結論付けられていないのに、推定無罪はどこに行ったのか。

筆者には、これは感情的あるいは政治的な動機によるパフォーマンスと映ってしまう。時に感情に支配される政治の現実は理解するものの、過ぎれば法の支配がないがしろになる危うさもはらむ。同様のことは、昨今の旧統一教会に対する解散命令請求の動きについても言える。

電力・ガス取引監視等委員会が7月に発出した業務改善命令もそうだ。李下に冠を正さずは理想だが、それができていないから業務改善命令というのはいささか乱暴であるし、カルテル認定の結論が出ていない段階でそのような命令を出すことに実質的な意味はあるのか。

先日の電取委の会合で「カルテル問題の検証という問題意識を持っているのは消費者庁の誰か」と問われ、同庁の参事官が自分であると回答していたが、果たしてそうか。あれは官僚の発想ではないだろう。(V)

高速道路初のステーション 長距離分野に水素利用が拡大

【イワタニ水素ステーション足柄SA】

「高速道路における水素ステーションの整備は、水素利用が長距離輸送の分野に広がる画期的な取り組みだ」。9月、高速道路に初の水素供給拠点「足柄水素ステーション」がオープンした。開所式で、経済産業省の松山泰浩資源エネルギー庁次長はこう述べた。

東名高速道路の足柄サービスエリア(下り)にオープンした、岩谷産業が運用するこのステーションは、燃料電池自動車(FCV)のみならず、FCトラックにも供給する拠点だ。

高速道路で初めて水素ステーションが整備された

敷地内には、液体水素タンク(1500㎏)が設置され、岩谷が千葉、大阪、山口の国内3拠点のいずれかの液体水素工場からタンクローリーで運び込む。FCVでは300台分、トラックでは20台分の供給能力を持つ。タンクは真空断熱性で、ボイル・オフ・ガス対応を施している。トラック・バス用と、FCV用の2様式のディスペンサー(トキコシステムソリューションズ製、計2台)が整備されており、同時充てんが可能な仕様となっている。

トラックにせよ、一般のFCVにせよ、営業時間内であれば、ユーザーは好きなタイミングで好きな量だけ充てん可能だ。水素1㎏当たりの価格は1210円。現状のガソリン・ディーゼル価格の高騰局面では、コストパフォーマンスは水素に軍配が上がる。


充てん方式を改善 供給時間は4分の1

今回のステーションでは注目すべきポイントがある。それは充てん方式を改善したことだ。従来は高い圧力の蓄圧器と低い圧力の車両タンクの差圧を用いた「差圧充てん方式」だった。この方式だと蓄圧器の本数が増えてしまう。それを克服するために今回は、水素の圧縮機から直接車へ充てんする「直充てん方式」を採用した。これによって充てん時間が大幅に改善された。

「トラックやバス向けに供給する拠点はこれまでも存在していたが、従来の充てん方式では1時間近く要していた。しかし、今回の足柄では15分から20分程度と一気に4分の1程度に短縮できる」と岩谷産業の関係者は言う。

トラックなどの大型車両向け充てんの水素供給に関する「規格」の中身は業界内で協議しており、今後正式に決めていく。「決定後は、新しい規格に対応したノズルやホースに入れ替えて供給していく」(同)

国は今年6月、水素基本戦略を6年ぶりに改定し、30年までに乗用車換算で80万台(年間の水素消費量8万t)の普及を目指す構えだ。今回の高速道路での整備が、その目標に向けた一歩になる。

EV・ヒートポンプ普及へ ドイツの積極的な需要家対策

【ワールドワイド/経営】

ドイツでは、「エネルギー転換は配電系統で起こる」と言われている。

配電系統に接続されるリソースの増加はさまざまな変化をもたらすが、特に問題となるのはEV、ヒートポンプなどの普及拡大に伴う系統制約である。

運輸・建物部門の脱炭素化を進めているドイツ政府は、2030年までにEVの導入台数を累計1500万台以上に引き上げ、ヒートポンプについては24年以降、毎年50万台ずつ導入する目標を掲げている。

これらの需要側リソースの急増に対して必須となるのが、配電系統の増強である。ドイツに約900存在する配電系統運用者は、需要に応じて系統を最適化・増強・拡張し、一般家庭のEV充電器やヒートポンプも遅滞なく連系する義務を負う。

ただし、これらのリソースの統合を進める上で重要なのは系統側の対策だけではない。規制機関や小売事業者に対しては、需要家にオフピーク時間帯への電力消費シフトを促す規制・料金体系の整備が求められる。

ネットワーク部門の規制を担う連邦系統規制庁は、需要家の行動変容を促すための手段として時間帯別託送料金の導入を提唱している。託送料金が減額される時間帯や料金設定(3段階を想定)については、毎年決定する。これによりEVの場合は、年間に負担すべき託送料金の50~95%を節約することが可能になる。

また、局所的な系統過負荷が予想される場合は、一般家庭のEV充電器、ヒートポンプへの電力供給を4・2kWに制限する。電力供給が遮断されるわけではないので、消費者の利便性が大きく損なわれることはないと規制庁は説明している。これらの措置を盛り込んだ規則案は2回のコンサルテーションを経て、来年から適用される予定である。

事業者サイドでは、市場連動型料金(ダイナミック・プライシング)の提供を開始する動きが目立っている。ドイツでは25年以降、すべての小売事業者に対して同料金の提供が義務付けられる。EV充電器や空調を自動制御し、AIに電気代が最も安くなる使用方法を選択させるシステムも出てきている。

最近は太陽光の発電電力量が増加する昼間の時間帯に卸電力価格がマイナスになるネガティブプライスが頻繁に発生しており、こうした料金メニューを希望する需要家は今後増加することが予想されている。

(佐藤 愛/海外電力調査会・調査第一部)

注目のパプアLNG開発 プロジェクトの最新事情

【ワールドワイド/資源】

日本の昨年LNG輸入量7200万tのうち、パプアニューギニアからは379万tと5・3%を占める。日本における輸入先国としては5番目となる。

同国では、米エネルギー大手エクソンモービルがオペレーターを務めるPNG・LNG(2系列、生産能力年間690万t)が稼働中である。これに続き、仏エネルギー大手トタルエナジーズがオペレーターとしてパプアLNGの建設を計画し、FEED(Front-End Engineering Design、基本設計)段階に入っている。

FEEDは二つに分かれ、上流東部ハイランドのElk/Antelopeガス田開発(埋蔵量2Pベースで6・76兆立方フィート)は、トタルエナジーズが責任を有する。FEEDコントラクターにTechnip/CloughおよびSaipem/Daewoo/Tripatra(インドネシア)が選ばれ、Dual Feedが昨年8月に開始された。このガス田から全長320㎞のパイプラインで、首都ポートモレスビーから北西20㎞に位置するLNG液化プラント(既設PNG・LNGプラント敷地内)に運ばれる。

LNG液化プラントの建設・運転については、エクソンモービルが責任を持ち、同じくDual Feedが米建設大手ベクテルと、日揮ホールディングス・現代建設の2グループによって進行中である。これらの結果、来年2月までに最終投資決定(FID)が行われる見通しである。

当初の計画では、パプアLNGは2系列で年間560万tの生産能力であったが、Pre-FEEDの結果を受け、4系列、年間生産能力は400万tと当初からは縮小した。操業の開始は27年~28年を見込んでいる。

建設する液化プラントでは、ガスを圧縮するコンプレッサーの駆動を電動モーターによる「e-Drive」を採用。そのためガス火力発電も建設する。また、CCSを建設することでCO2排出削減を目指す。

Elk/Antelope鉱区の権益は、トタルエナジーズが28・52%、エクソンモービルが28・7%、パプアニューギニア国営のKumul Petroleum が22・5%、豪石油ガス大手サントスが17・7%、そしてJX石油開発が2・58%を保有する形となった。

パプアLNGは、トタルエナジーズが40・1%、エクソンモービルが37・1%、そしてサントス が22・8%を保有しているが、パプアニューギニア政府はFID時に最大22・5%の参加権を留保している。

(加藤 望/独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構調査部)

米大手金融機関が注目するGX情勢 水素や原子力への投資・政策に勢い

【シティグループ】

 世界的に脱炭素の投資競争が加速し、日本でもGX(グリーントランスフォーメーション)が進む中、金融機関は具体的にどんな分野に興味を示しているのか―。

米金融大手シティグループのシティ・グローバル・パースペクティブ&ソリューション(シティGPS)はこのほど、水素と原子力に関するレポートを公開した。両分野に注目した理由として同社は、「水素と原子力エネルギー開発のための投資と政策の勢いは強く、この傾向が短期的に変わることはないだろう」と強調する。

日本でも水素利用の取り組みが各地で進む

ブルームバーグNEFによると、水素関連の資金調達額は2022年、1・1兆ドルに到達。23年初頭にサウジアラビアで85億ドルのプロジェクトが始まったほか、米国では21~22年にかけてインフレ抑制法などにより1・7兆ドルもの投資優遇措置が講じられ、中でも水素関連が目立つ。税制優遇調整後のグリーン水素の純生産コストは、10年後にはマイナスになる可能性もあるという。このほか多くの国でも政府の優遇措置が拡大する。

シティグループのコモディティ・ストラテジストのマギー・リン氏は、日本が注力する合成メタンについても「世界的に勢いを増しているトレンド。大気中から回収したCO2と、再生可能な電力で取り出した水素から製造する合成ガソリンも注目されている」と強調。他方、日本の水素プロジェクトではグリーン水素に限らず、化石燃料由来の内容がある。「豪州から水素を輸入するHESCプロジェクトに16億ドルを出資した動きなどには賛否両論がある」と指摘した。

原子力を巡っては近年、既存原発や新設、さらに先進的取り組みにも投資を支援する方向に転換する。原子力でも、米国のインフレ抑制法や超党派インフラ法が後押し。また欧州のグリーン・ディール産業計画のほか、英国や中国、日本、カナダなどでも規制イニシアチブの制定が進み、公的投資と民間出資の双方を促している。


革新炉や核融合も投資活況 中露はさらなるスピード感

各国で小型モジュール炉や先進型原子炉などの商業化が進むが、ロシアと中国は一歩先を行く。一方核融合は、今後10年間で商業化される可能性が高いという。

日本の原子力政策についてコモディティ・ストラテジストのアルカディ・ゲボルクヤン氏は「休止中原発の再稼働に一定の進展が見られる。また官民レベルでの追加的な資金調達は、次世代原子力エネルギー開発をさらに刺激する可能性がある」と分析。他方、核燃料サイクルについては「特に地政学的リスクの高まりが非常に懸念される。リスク軽減に向けG7(先進7カ国)諸国は追加的な能力を開発すべきだ」ともくぎを刺す。

玉城デニー知事にブーメラン 朝日も皮肉る沖縄のPFAS対応

【おやおやマスコミ】井川陽次郎/工房YOIKA代表

玉城デニー氏らしい。朝日9月27日「PFOS、沖縄県庁から川へ流出、泡消火剤、県は公表せず」である。「発がん性が指摘される有機フッ素化合物PFOS(ピーフォス)を含む泡消火剤が、県庁地下駐車場から近くの川に流出していたことがわかった。県内では米軍基地周辺でPFOSが相次ぎ検出され、県は米側に基地内立ち入り調査などを要請する立場だが、公表していなかった」とある。

前日のNHK電子版によると漏れたのは6月。NHK10月4日電子版「那覇市議会、PFOSなどの流出問題で玉城知事に抗議決議」は、「決議では、(漏れた)久茂地川で検出された数値は国の暫定基準値以下だったものの、流出から3か月たって検査が行われたため、直後はもっと数値が高かった可能性が否定できないとしています」と伝えた。たるんでいる。

PFOSは、メディアが最近盛んに報じるPFAS(ピーファス)という一群の化学物質の仲間だ。基本構造は炭素が連なった鎖で、それをフッ素が覆う。このフッ素のコーティングが水や油を弾き、熱や化学反応に安定な構造を保つ。食材が付かないフライパンの「テフロン」もPFASの一種だ。

用途により、鎖の長さ、つまり連なる炭素数や鎖の末端の化合物を変える。20世紀の前半に初合成され、環境省の「PFOS、PFOAに関するQ&A集」によると、今や1万種以上ある。用途は、エネルギー関連だと太陽光発電パネルの表面保護材やリチウムイオン電池の保護材。さらに基板、配管や冷媒。医療では人工血管やカテーテル。身近では食品包装。PFASに無縁の産業はない。

問題は強みの「安定性」だ。高温焼却など適切に処分しないと環境に残留し、体内に入ると悪さをする恐れがある。特に炭素8個のPFOS、PFOAはやっかい。略称中の「O(オー)」は8を表すoctaからだが、分子サイズのせいか排出されにくく血液中を何年も循環する。Q&A集によれば動物実験で肝機能や仔動物の体重への影響が報告されている。人のコレステロール上昇や発がんとの関連も指摘される。国内の健康被害は確認されていないが、どの程度の量なら危険か安全か分からない。

PFAS発祥の米国では、製造企業がずさんで深刻な飲料水汚染が起き、健康被害も報告されて業界がPFOS、PFOAの製造を自主停止。対応が始まった2000年以降、米国民の血中汚染量は急速に低下した。国際条約(ストックホルム条約)でも廃絶対象とされ、日本も製造・輸入を原則禁止したが、世界に残留品がある。対応しない国の製品も流通し根絶は遠い。欧米はプラスチックに続きPFAS全般を規制強化する方針だ。

日本のメディアや一部政党がこの動きに乗った。特に火器が多く消火訓練などでPFOSが多用されてきた軍施設、それも在日米軍に関連付ければ関心は高まる。例えば読売7月15日は、「米軍基地、PFAS相次ぐ、高濃度検出、政府、立ち入り要請も」と、この観点からPFASを扱う。

冒頭の玉城氏もPFAS対策を公約に掲げる。公式サイトには、基地問題の実績として、「PFAS等の調査と国への要請、安全・安心な水の確保」を挙げる。

基地外は大丈夫か。PFASは半世紀以上、世界各地で利用され、すでに極地でも見つかる。社会や産業を維持しつつ、リスク評価や低減策を進めるには、複眼的な視点が欠かせない。足元さえ怪しい玉城氏は他山の石になる。

いかわ・ようじろう  デジタルハリウッド大学大学院修了。元読売新聞論説委員。