ドゥンケルフラウテ=暗天の凪とは

【ワールドワイド/コラム】水上裕康 ヒロ・ミズカミ代表

最近、欧州の電気事業者の間で“ドゥンケルフラウテ”(Dunkelflaute、暗天の凪)という言葉が注目されている。空は暗く、風も吹かず、太陽光や風力の発電が消える状況のことだ。冬の北ヨーロッパでは毎年150~300時間発生する事象らしい。

英国では、昨年12月初めにこの現象に見舞われたが、冬に向けて積み上がったガスの備蓄で事なきを得た。では、これが「再エネ100%に近い世界で発生したらどうなるか」というのが昨今の話題らしい。「蓄電池があるじゃないか」という声もある。日本でも登録自動車8000万台を全部EVにしたら、国内電力需要1日分相当の蓄電容量(1台当たり40kW時として32億kW時)だ。それでも、「EVの蓄電容量を全部系統運用に利用できるのか」「暗天の凪が2~3日続いたらどうなるか」「コバルトやリチウムなど希少金属を使う蓄電池がそんなに普及するか」など、次々と疑問が湧く。いったい、こういう問題は誰が考えてくれているのだろうか。

世の中では「送電網の充実が再エネ普及の鍵」として熱心に議論されるが、いくら送電線をつくっても電気の余剰・不足が全国で共有されるだけだ。なるほど、冬は日本海側の“暗天”は太平洋側の“晴天”で補われるかもしれないが、日暮れを迎えれば電気が足りなくなるのは同じだ。いま私たちが、貯蔵の難しい電気を何時でも自由に使えているのは、結局のところ、化石燃料の形でエネルギーを貯めているからに他ならない。暗天の凪が注目され始めたのは、変動再エネが増えるにつれて、ようやくそのありがたさが身に染みるようになったという訳だろう。

脱炭素については、世界中ひたすら正義感で突っ走ってきた感もあるが、この辺でリアリティのある議論が必要ではあるまいか。

水道・ガスの自動検針を開始 電力スマメで地域社会の課題解決

【東北電力ネットワーク】

東北電力ネットワークは、水道・ガスの自動検針で地域社会の課題解決と収益拡大を図る。

スマートメーター通信ネットワークを可視化し、現場業務の効率化にも取り組んでいく。

 東北電力ネットワークは3月から電力スマートメーター(スマメ)を活用した「水道・ガスの自動検針サービス」を開始する。水道やガスのメーターに無線端末を接続し、同社のスマメ通信ネットワークを介して水道・ガス事業者に検針値などの情報を提供するものだ。

検針業務の削減や、漏水・ガス漏れの自動検知による安全確保、およびそれに伴う迅速な現場対応が可能となる。ガスの開閉栓の遠隔操作もできるため、水道・ガス事業者の顧客サービス向上が期待されている。

通信エリアが広く、独自回線でセキュリティーが高いという特徴もあり、将来的には電気・水道・ガスの使用量を見える化して、生活パターンを把握することで、効率的な使用を促すなどの活用も見込まれる。

名取市の水道使用量を検針 全国初の共通仕様を採用

2022年12月、東北電力ネットワークは宮城県名取市と「自動検針サービス利用基本契約」を締結した。3月から開始する水道使用量の自動検針事業として第1号の導入事例だ。共同検針インターフェース会議で制定した「IoTルートApplicationインタフェース仕様書」および「共同検針サーバ間インタフェース仕様書」に準拠した自動検針サービスの提供は、全国で初の取り組みとなる。

名取市と契約を締結した(左:山田司郎市長)

事業化に向けて、20年8月から水道・ガス事業者10者と共に、一般住宅やマンション・市営住宅といった集合住宅、工場・公共施設のような広大な敷地を有する個所など、さまざまな場所で実証試験を行ってきた。

これらの試験では、システム面での問題がないことを確認。通信面でも電力スマメが採用するプラチナバンドと呼ばれる920MHz帯の無線方式の有効性を確認した。東北地方特有の課題として積雪による影響を懸念していたが、現在のところ大きな電波減衰は見られていない。

これまでの実証試験においては、ガス漏れ検知や、これに伴うガス開閉栓の実績こそないが、模擬的な検知や制御を行い、いずれも問題がないことを確認。ガスの自動検針サービスの提供についても準備を進めている。

今後のサービス展開として、社内に専門のチームを設置して積極的に自動検針事業のプロモーションやサービス向上に向けた検討を実施している。同社は「多くの事業者さまに活用いただけるよう魅力あるサービスを提供していきたい」と意気込む。

新システムを開発し導入 スマメ保守管理を効率化

同社は、23年度までに供給エリア内の全需要家分として約700万台のスマメを設置し、保守・管理していく。スマメの導入が進むことで検針業務の削減や新たなサービスの提供が可能となる一方、設置に伴い、通信障害などの通信品質確保に関わる新たな保守業務も発生している。

スマメで通信障害などが発生した場合は、発生箇所を特定し改善対策を検討するため、通信経路収集率や地形や建物などの障害物、中継器の設置位置などの情報を、関連する複数のシステムから収集して調査する必要がある。

情報の多くは数値情報であるため、分析には専門的な知識やスキルを要する。だが、実際の通信経路を特定することは難しく、加えて周辺にある、ほかのスマメの通信状況を同時に確認できないため、調査・検討に時間がかかり、非効率な対応になっていた。

そこで21年3月、同社では、誰でも簡単かつ迅速な調査・検討を可能にするため、GIS(地理情報システム)を活用し、電子地図上にスマメや通信経路などを可視化する新たなシステム「スマートメーター通信ネットワーク管理システム」を導入した。

通信経路などの可視化イメージ

主な機能は、①通信経路などの可視化、②通信エリアマップの表示、③衛星写真の表示―であり、一つのシステムで複数の情報を一元的に収集・管理できるようになった。通信障害などが発生した場合は、通信経路に通信エリアマップや衛星写真などを組み合わせる。これにより、机上で地形や建物などの障害物を考慮した原因分析や、改善対策の検討が可能になるといった、効率的な運用にもつながっている。

このシステムは、米国Esri社が主催する「2022年度SAG賞(Special Achievement in GIS Award)」を受賞。スマメ保守業務の負担軽減と通信品質の確保による社会インフラへの貢献が高く評価され、世界からも注目された。

東北電力ネットワークは、今後もスマメの保守業務に係る品質向上と効率化を図るとともに、地域の人々の豊かな暮らしや課題解決につながる新たな価値の提供を行うなど、IoT技術を活用したスマート社会の実現を目指し、取り組んでいく構えだ。

水道・ガスの自動検針サービスの概要

【電力】監視委がガイドライン化 限界費用での玉出し

【業界スクランブル/電力】

 公正取引委員会が昨年末、大手電力4社のカルテル事案に対する処分案を公表した。巨額の課徴金が耳目を集めたが、本誌1月号によると、カルテル合意の成立について電力側に異論もあり、行政訴訟に踏み切る可能性も含めて、処分確定まで紆余曲折がありそうだ。

一般論でいえば、違法が認定されれば断罪されるべきであるし、とはいえ電力側に法の適用に異論があるなら株主利益を背負っている以上、司法に訴えることも当然だ。残念ながら筆者は、この事案の行方を占うほどのこれ以上の情報は持ち合わせていないが、もやもやするのはこの事案に至った背景に競争政策のゆがみがあると思えるところだ。

すなわち、本コーナーで何回か取り上げている限界費用玉出しである。具体的に言うと、2016年に限界費用玉出しをしていないとして東京電力エナジーパートナーに発出された業務改善勧告を、唯々諾々と受容してしまったことが、つまづきの始まりではなかったか。限界費用で価格が形成されることは、競争政策の一面では望ましいが、

それを法制度で強制できるかは別だ。ましてや同質性が高く、同時同量というデリケートな制約を持つ電力で容量市場なしに限界費用価格形成を追求すれば、持続性のない過当競争に陥り、電力不足を招く。まさにそれが今起こっている。この業務改善勧告は適切だったのか。

電力・ガス取引監視等委員会は昨年、限界費用玉出しを適正取引ガイドラインに記載した。監視等委の幹部は限界費用玉出しは独禁法上の要請であると公言していたが、出来上がったガイドラインに独禁法への言及がないのはどうしたわけか。

監視等委の行っていることに根拠の薄弱さを感じてしまうのは筆者だけだろうか。(U)

環境規制の緩い国へ「関税」 貿易摩擦を強め対立激化も

【ワールドワイド/環境】

欧州連合(EU)は2022年12月13日、環境規制の緩い国からの輸入品に事実上の関税をかける炭素国境調整措置(CBAM)を導入することで合意した。CBAMは21年7月に欧州委員会が素案を提示。その後、欧州議会案、欧州理事会案が出そろい、トリローグと呼ばれる調整プロセスを経てきた。今回は欧州議会とEU加盟国からなる理事会が合意した。欧州委案では、規則案の適用される製品に関して、特にカーボンリーゲージのリスクが高いセメント、鉄・鉄鋼、アルミニウム、肥料、電力としていたが、今回の政治合意では、欧州議会の要求に応じて水素が新たに加えられた。

EUでは、電化が難しいセクターにおける脱炭素エネルギー源として水素を重視しており、欧州委はロシアの化石燃料依存から脱却するための「RePower EU」において、域外からの水素の輸入量を抜本的に拡大するとした。水素に加え、前駆体材料の一部や鉄・鉄鋼製ねじやボルトなどを原料とした製品の一部も対象となった。

欧州委案の段階では、対象製品の生産時に排出される直接排出の温室効果ガスを適用対象としていたが、今回の合意では、対象製品の生産に使用される電気などの生産時に排出される間接排出も、特定の条件の下で適用対象となる。さらに欧州議会案に盛り込まれていた有機化学品などを今後対象範囲に含めるか、欧州委員会が26年までに検討するとした。

CBAMはEU域内の企業が規制の緩い他国に工場などの拠点を移して規制を逃れる「カーボンリーケージ」を防ぐべく、域内外の負担を同水準にそろえ、他国にも環境対策の強化を促すことを目的としている。23年10月から対EU輸出企業はその製品の排出量の報告義務を課せられ、26年にはEU排出量取引制度のクレジット価格に基づく課金が開始される。

EUはCOP27において温室効果ガス削減に関する野心的結果が出なかったことに不満を強めており、CBAMを通じて貿易相手国の政策強化を促したいところだが、世界初の炭素関税スキームは貿易摩擦を強める可能性がある。EUのような明示的炭素価格の導入が見込めない米国はCBAMへの警戒心を露わにしており、中国、インド、南アなどもWTO違反の可能性を指摘している。ウクライナ戦争によって分断が進む世界で対立を激化させる可能性もある。

(有馬 純/東京大学公共政策大学院特任教授)

【コラム/2月17日】ウクライナ危機とドイツのエネルギー・経済安全保障

矢島正之/電力中央研究所名誉研究アドバイザー

ドイツは、ウクライナ危機を契機に、エネルギーのロシア依存から脱却を図るとともに、エネルギー・経済安全保障政策を再考する必要に迫られている。本コラムでは、この問題について考えてみたい。

ロシアによるウクライナ侵攻を踏まえて、世界最大の化学会社BASF社のCEOであるマルティン・ブルーダーミュラー氏は、フランクフルター・アルゲマイネ・ツァイトゥング紙のインタビューで、つぎのように述べている。「ロシアのガス供給がこれまで我々の産業の競争力の基礎になってきたのは事実だ。輸入停止は我々の繁栄を破壊する。この競争力のあるエネルギー供給は、ドイツの経済力にとって不可欠な基本的要素だ。」これは、ドイツを世界最強の経済大国であり、また輸出大国にした同国のビジネスモデルを明快に示している。ドイツでは、ロシアから輸入された安価なエネルギーを用いて、高度な技術をもつ国内産業で高付加価値の製品を生産し、世界中に販売することで、巨大な利益を獲得してきた。

また、ドイツは、メルケル前首相の時代に、急成長する中国市場に飛びついていった。ドイツにとって、中国は、重要な部品・原材料の供給国であると同時に、巨大な販売市場にもなった。中国の乗用車市場でドイツの自動車メーカー(フォルクスワーゲン、アウディ、BMW、ダイムラー)の占める販売割合は2020年時点で24.4%であり、これら4社が中国で生産した乗用車は合計480万台に上る。(また、2020年にドイツで生産された乗用車25万3,900台が中国に輸出されている。)さらに、急速に進むグローバリゼーションは、輸出国であるドイツに有利に働いた。以上のように、ドイツのビジネスモデルを構成したのは、ロシアの安価なエネルギー、中国の巨大市場、グローバリゼーション、そして強い国内産業であった。そしてこのビジネスモデルの帰結は、一方では巨大な貿易黒字、他方では極度の依存関係、特にロシアと中国への依存であった。

ドイツのこのようなビジネスモデルにほころびが出始めたのは、新型コロナウィルスの流行である。防護服やマスクが欠乏し、特定製品の内製化の必要性が叫ばれた。さらに、ロシアのウクライナ侵攻で、ドイツのビジネスモデルは崩壊したといえる。ドイツや他のヨーロッパ諸国は、ロシアからのエネルギー輸入をやめることを余儀なくされた。また、現在、中国への依存度が高すぎるという問題が改めて提起されている。中国はロシアサイドだからである。

多くの識者は、ウクライナ戦争は「グローバリゼーションの輝かしい30年の終わり」を意味すると考えている。そのため、ドイツは、これまで成功してきたビジネスモデルの代わりに何か新しいモデルを見つけなければならない。ドイチェヴェレのシニアエディターであるヘンリック・ベーメ氏は、「ドイツ経済は常に高い適応能力を発揮してきたが、今正に、これが求められている。ドイツにおけるエネルギー供給の再編は、経済のエコロジー的転換を加速させるまたとない機会を提供する」と述べている。経済・気候保護大臣ロベルト・ハーベック氏は、2022年4月6日、エネルギー戦略「イースターパッケージ」の発表で、「再生可能エネルギーは『最も重要な公共の利益』である」と述べている。計画通りであれば、2030年には、ドイツの電力供給は、総電力消費量に占める再エネの割合が少なくとも80%になる。ヘンリック・ベーメ氏は「これにより、ドイツの産業界は、再び安価なエネルギーで価値のある製品を製造し続けられる状態になり、そして、将来にわたってドイツの繁栄が確保される」と述べている。ドイツの新たなビジネスモデルが果たして成功するか注目されるところである。

ウクライナ危機で、ドイツでは、エネルギー転換を加速していくことは間違いないだろう。しかし、同国が中国依存から脱却し、新たな経済秩序の構築を目指すかは、現首相の姿勢から疑問が残る。ショルツ首相は、昨年11月4日に、ドイツの代表的企業の社長を率いて中国を訪問し、習近平国家主席と経済関係強化のための会談を行っている。また、今年1月18日には、世界経済フォーラム年次大会で演説し、世界に広がる脱グローバル化のリスクを指摘している。アンナレーナ・ベアボック外務大臣とロベルト・ハーベック経済・気候保護大臣は、中国依存を大幅に見直すことに賛成だが、ショルツ首相はメルケル前首相のとった同じ道を歩もうとしているようにみえる。

【プロフィール】国際基督教大修士卒。電力中央研究所を経て、学習院大学経済学部特別客員教授、慶應義塾大学大学院特別招聘教授などを歴任。東北電力経営アドバイザー。専門は公益事業論、電気事業経営論。著書に、「電力改革」「エネルギーセキュリティ」「電力政策再考」など。

米政権が所有建物を脱炭素化 州レベルでも電化広まる

【ワールドワイド/経営】

バイデン政権は2022年12 月7日、エネルギー消費量を削減し、電化を促すことで30年までに連邦所有の建物の床面積30%相当を脱炭素化する建物性能基準を発表した。

同基準を補完する措置として、米国エネルギー省(DOE)は、25年以降に新築あるいはリノベーションを行う建物のエネルギー消費に伴う敷地内でのCO2排出量を、03年比で90%削減し、大規模改修を含む新築建物は全て30年までに排出量をゼロにするという規則案を示した。

ホワイトハウスによれば、住宅と商業用ビルからのCO2排出量は米国全体の排出量の35%を占めている。米国では既存建物のうち8割が50年まで使用されると見込まれており、45年までに全ての連邦所有建物でネット・ゼロを達成するためには、既存の建物の電化が不可欠だ。

州レベルでは民主党が主導するカリフォルニア州やニューヨーク州を中心に、建物部門の温室効果ガス(GHG)削減に向けて電化および化石燃料の利用禁止を推進する動きが広がっている。米国内で初めて新築建物へのガスインフラ導入禁止に動いたのはカリフォルニア州のバークリー市(20年1月条例施行)であり、州内では追随して条例を制定する自治体が増えている。

22年9月にはカリフォルニア州大気資源委員会が、30年までに住宅と商業ビルの天然ガスなど化石燃料を使用する暖房機器と給湯器の販売停止を含む計画を承認した。これにより、カリフォルニア州は化石燃料を使用する暖房機器と給湯器の設置禁止を約束した米国で最初の州となった。

また、ニューヨーク州は19年に成立した気候変動対策法で、30年までに1990年比40%、50年までに同85%のGHG排出量を削減することを法制化している。州政府は22年12月、目標達成に向けた実行計画案を発表し、最大排出シェアを占める建物部門の電化を推進することを示した。ニューヨーク市ではすでに21年12月、新築建物におけるガス禁止条例が成立した。23年以降、7階建て未満の新築ビルや住宅は調理や暖房に天然ガスを使用できなくなり、27年以降はそれ以上の高層ビルにも適用されることになる。

その他、東部のメリーランド州やマサチューセッツ州など23年以降、民主党が主導する州では建物部門のGHG排出禁止に向けた動きが加速すると見られており、化石燃料の利用禁止に向けた各州の動向が注目される。

(長江 翼/海外電力調査会調査第一部・米国グループ研究員)

業績好調のサウジアラムコ さらなる株式売却はあるか

【ワールドワイド/資源】

 2021年から22年にかけての石油需要回復、油価上昇に伴う石油収入の増加により、サウジアラムコの業績は大きく回復した。アラムコは22年第2四半期に484億ドルという上場企業として過去最高の四半期純利益を計上し、22年第3四半期には油価下落を反映して純利益は424億ドルに下がったものの、依然、世界トップレベルの利益を確保している。3月発表予定のアラムコの22年通期の決算は、「史上最高益」の決算となる可能性が高い。

アラムコは19年12月、リヤド証券取引所で新規株式公開(IPO)を実施し、湾岸産油国国営石油会社として初の株式上場を果たした。株式の1・725%を主に国内の投資家に売却し、IPO史上最高の294億ドルを調達した。

石油専門誌によると、サウジアラビアは国営石油会社のさらなる収益化に向け、アラムコ株式の追加売却について検討中である。国内投資家への追加売却、海外市場への上場、戦略的投資家への株式譲渡などが検討されているが、追加売却の方針やスケジュールはまだ決まっていない。アラムコは子会社のIPOを優先する考えで、昨年末の関連会社ルベレフのIPOに続き、アラムコ・トレーディングのIPOも23年第1四半期中の実施を目指している。

一方、アラムコの株価は22年前半に時価総額2・3兆ドルを超えるレベルにまで上昇したが、8月に1株当たり40・8リヤルでピークを打ち、年末には19年のIPO価格に近い32リヤル近辺まで落ち込んだ。しかし、アラムコの年間750億ドルの配当に満足している国内投資家にとって株価の低迷は問題ではなく、むしろ、アラムコが上流や下流の事業に積極的な投資を行い、企業価値の向上に努めているのは、長期にわたる固定リターンの確保につながっていると評価している。

他方、業績好調時には、アラムコは追加の特別配当を行うべきとの見方もあり、少数株主への配当政策を見直さなかったことが最近の株価低迷につながっているとの指摘もある。

アラムコの取締役会は3月、22年通期決算の報告後に配当の見直しを行う予定である。19年12月の上場から22年8月までのアラムコの配当利回りは平均約3・3%で、同期間のメジャー5社の平均約4%を下回っている。アラムコが将来の海外上場を見据え、累進的配当の実施や自社株買いプログラムの導入など、海外投資家にとってより魅力的な方策を提示できるかが注目される。

(猪原 渉/独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構調査部)

【インフォメーション】エネルギー企業の最新動向(2023年2月号)

 【JERA・NEC/太陽光+蓄電池活用の電力市場取引実証】

JERAとNECは、需要家側の電力需要を制御するデマンドレスポンス(DR)などを活用した電力市場取引の実証事業を始めた。NECの我孫子実証センター内に設置された太陽光発電設備と蓄電池を利用して、JERAが日本卸電力取引所(JEPX)で取引を行い、事業性を検証する。NECの電力需要予測・太陽光発電予測技術とJERAの需要予測・市場価格予測技術を組み合わせることで、需給への貢献とJEPXからの収益最大化を図り、インバランスリスクの低減を目指す。分散電源の普及が進む中、電力系統網の安定化が難しくなる。同実証を通して、DR活用による需要家側の系統安定化への寄与や、電力市場に参画する事業者の収益性算定やシステム運用の課題解決を目指していく構えだ。

【IHI/インドネシアでメタネーションの事業化検討に着手】

IHIはインドネシアの国営石油ガス会社プルタミナと共同で、同国内でメタネーションの事業化に関する検討に着手した。稼働している既設の液化天然ガスプラント付近でe-メタン(合成メタン)を製造。インドネシアでの利用や輸出を目的に、製造から利用までのe-メタンバリューチェーンの構築を検討する。IHIは主に技術的な検討や事業性の

検討を担当し、プルタミナはプロジェクト候補地の選定を担当する。事業性を評価した後、2030年の商業化を目指す。IHIは22年、同国内でASEAN初となる事業用発電設備での燃料アンモニアの小規模混焼を実施している。今後もさまざまなカーボンソリューション技術を提供し、同国の脱炭素推進に貢献する。

【東北電力・秋田洋上風力発電ほか/能代港洋上風力が運転開始】

東北電力はこのほど、丸紅、大林組、関西電力など13社と共同出資した特別目的会社「秋田洋上風力発電(AOW)」を通じて、能代港洋上風力発電所(秋田県)の商業運転を始めた。能代港では、出力4200kWの着床式洋上風力が20基稼働している。同時にプロジェクトを進めている秋田港洋上風力発電所(出力4200kW×12基)は現在、試運転作業や法定検査を進めており、まもなく商業運転を開始する見込みだ。AOWではFITに基づき、今後20年間、両発電所の運転維持管理を行う。東北電力は、風力発電を主軸とした再生可能エネルギー全般について、200万kWの開発を目指しており、引き続き再エネ事業に積極的に取り組んでいく構えだ。

【愛知時計電機/高機能膜式マイコンメーターを発売】

愛知時計電機は、「都市ガス用高機能膜式マイコンメーターJO」を発売した。表示部が液晶になり、保安機能が働くと遮断・警告がアルファベットで分かりやすく表示される。また地震で遮断した場合、自動的に復帰漏えい確認を行い問題がなければ自動復帰。対応工数を削減できる。計測部は従来の膜式メーターのリユースが可能だ。通信機能は従来のAライン通信に加え、Uバス通信を搭載。遠隔検針や遠隔開閉栓が可能になり、業務効率化や保安の高度化が実現する。

【商船三井・九州電力ほか/LNG燃料フェリーが就航 ローリー4台で供給】

商船三井が発注し、フェリーさんふらわあが運航する国内初のLNG燃料フェリー「さんふらわあ くれない」が、1月から営業航海を開始した。大阪~別府航路で就航し、原則として大分県別府港への寄港時に燃料の供給を受ける。LNGは九州電力のグループ会社、大分エル・エヌ・ジーからタンクローリーで出荷。国内で初めてスキッドと呼ばれる導管装置を用い、タンクローリー4台とフェリーを接続してTruck to Ship方式で同時に供給する。4台同時に接続することで、より短時間での供給が可能になった。

【三井住友建設/東京湾で浮体式太陽光 国内初の実用化目指す】

三井住友建設は、東京都が計画する「東京ベイeSGプロジェクト」の先行プロジェクトに「最先端再生可能エネルギー」として「洋上での浮体式太陽光発電」を提案し採択された。東京ベイeSGプロジェクトではベイエリアの未来を見据えたまちづくりを構想する。先行プロジェクトは東京湾の中央防波堤エリアで実施。同社は海の森水上競技場の指定水面で、洋上浮体式太陽光発電の実装に取り組む。海水域での実用化を目指した取り組みは国内初。同社は水上太陽光発電の普及・適用先拡大を進めていく構えだ。

【積水化学工業/フィルム型ペロブスカイトを東京都と共同研究】

積水化学工業は東京都と共同で、フィルム型ペロブスカイト太陽電池の研究を開始した。2023年春から、大田区にある都下水局の森ケ崎水再生センターに設置し、発電量のモニタリングや腐食耐久性の確認などを行う。重量などの理由で設置場所が限られるシリコン系太陽電池に対し、軽量かつ柔軟な同製品は壁面や耐荷重の小さな屋根などにも設置可能だ。同社は25年の事業化に向け、技術実証と設置・施工方法の確立を進め、耐久性や発電効率の向上を目指す。

【エア・ウォーター/ボンベのキャップシール 業界初の環境対応】

北海道でLPガス販売を手掛けるエア・ウォーターグループは、LPガスボンベに使用するキャップシールを環境対応型に順次切り替える。このシールは異物の侵入を防ぐために充てん口をカバーするもので、従来はプラスチック製を使用していた。石油由来のプラスチック製に比べてCO2排出量を36%ほど削減し、プラスチックの使用量も50%削減する。

【住友電気工業ほか/送電可能量を測定 システム実証開始】

住友電気工業は11月、北海道電力ネットワークと共同で、再エネ電源導入拡大のため、架空線ダイナミックレーティングシステム導入に向けた実証を開始した。このシステムは、送電可能量に影響する送電線温度と電流値をリアルタイムで測定、動的計算する。システムの導入で、変動する送電可能量に応じた既存の電力系統運用が可能になると見込む。

【理研計器/2022年省エネ大賞受賞 検知器4台分を1台に】

理研計器のスマートタイプマルチガス検知器「GD-84D Series」は、2022年度省エネ大賞を受賞した。同製品は半導体工場向けマルチガス検知器だ。大幅コストダウン、高機能ポンプ、スマート自己診断機能、イーサネット(PoE)対応を特長としている。検知器4台分を1台に集約したことで、配管や消耗部品、設置スペースを削減。また、センサーの自己診断機能を強化し、主要毒性ガスセンサー18種類に加え、可燃性ガスセンサー67種類をラインアップ。同製品の導入で、安心・安全とコストダウンの両立が期待される。

【ヤンマー・パナソニック/分散型エネルギー事業で両社が協業】

ヤンマーエネルギーシステムとパナソニック空質空調社は、分散型エネルギー事業の開発・販売で協業していく。ヤンマーの「マイクロコージェネレーションシステム」で発電する際に発生する廃熱を、パナソニックの業務用空調機「吸収式冷凍機」で空調用途に活用する。また、吸収式冷凍機とマイクロコージェネシステムの連携に必要な専用コントローラーを、業界で初めてメーカーが自社製品仕様に最適化して共同開発した。それぞれの機器でシェアトップクラスの両社が環境経営の姿勢で共鳴し、2022年12月から開始した群馬県大泉町のパナソニックの工場内における実証試験の後、23年4月から受注を開始し、7月の出荷開始を目指していく。

左傾斜加速で経営ピンチ 「闇鍋」下回る東京の発信力

【おやおやマスコミ】井川陽次郎/工房YOIKA代表

 一線を越えた記事だと思う。

東京2022年12月30日「原発政策転換、国民の声を」「『60年超運転』など1月下旬まで意見公募」である。「政府は2022年末、原発の運転延長や建て替えの推進を決め、関連する基本方針などについて1月下旬まで意見公募を実施している。東京電力福島第一原発事故から12年を前にわずか5カ月の議論で原子力政策を大きく転換させた岸田文雄政権に対して、意見を突き付ける機会でもある」

意見を突き付ける、ときたか。穏やかではない。

政策決定の具体的内容や決定の理由についてはほとんど記述がない。政治的な扇動を目的とする文書をアジビラと呼ぶが、それと変わらない。こんな記事が掲載されるのはなぜか。同紙元論説委員の長谷川幸洋氏が12月26日配信のネット番組・闇鍋ジャーナル(仮)で内情を語っていた。

きっかけは東日本大震災だという。「原発をどうしようかって会議があった。私は、止めちゃうと経済にも影響があるんじゃないかと言ったが、『それはもういいんだ』と天から降りてきたみたいな感じで走ってみたら(反原子力の)集会の時、東京新聞素晴らしいと人気が出た。これで宝の山だ、掘りに行こうと加速がついた。左傾斜が急に激しくなった」

ただし、人気は長続きしていない様子で、最近会食した後輩に聞いた話として、「経営はピンチ。その人が言うには最近は(部数が)20万部台くらいで、私がいた頃で50万部以上あったけど、もう激減」。この日の配信の視聴回数は20万回超なので、東京の発信力は「闇鍋」と同じか、それを下回る計算だ。事実に基づく公正な報道を放棄した末路か。

朝日も震災後、東京と同じ路線を走る。12月29日「『核のごみ』処分場、町に分断15年、鹿児島・南大隅」は、得意の「分断」モノである。

高レベル放射性廃棄物の最終処分場を巡り「南大隅町は15年ほど前から揺れ続けてきた。2007年、当時の町長が誘致を検討(中略)。町政は大混乱」とあり、現町長の「もう誰も町の過去を口にしない」との言葉が続く。

そこをわざわざ記者が訪ねて、「人口は約6500人。20年で4割減った」「いま、町の中心部には反対派の看板が一つ見えるだけ」と描写して「分断の傷痕は残る」と書く。朝日はこれまでも、処分場誘致を検討した地域に記者を派遣して「分断の傷痕」を探させている。結果は、毎度この調子で、何が傷痕か分からない。

そもそも、国でも自治体でも、何らかの政策、方針について全員の意見や考えが一致することなどあり得ない。だからこそ、分断が拡大して軋轢、諍いにならないよう冷静に話し合う。

最終処分場問題も長年の議論を経て論点は出尽くしている。国はそれを整理し、合理的な話し合いの手立てを提案すべきだろう。

朝日1月4日「『覚悟』の時代に、分断に向き合う」の政治学者・板橋拓巳氏インタビューは朝日らしくない。「分断したからといって、ただちに対立につながるわけではありません。相手の立場を尊重することが必要です。意見の違う相手はたたきつぶすという態度は有害」「メディアも、行きすぎた言論に対しては抑制的になるべきです。社会が分極化すると、メディアも政治家も極端な方向に走りがちですが、それをいかに自制できるかが課題です」

傾聴に値しよう。

いかわ・ようじろう  デジタルハリウッド大学大学院修了。元読売新聞論説委員。

プラスチックによる海洋汚染 実効性のある国際協定を

【オピニオン】三島 勇/科学ジャーナリスト

 道路に捨てられたペットボトルを見ると、「バタフライエフェクト」という言葉が脳裏をよぎる。ボトルは側溝に落ち、川を流れ、海にたどり着く。ウミガメが飲み込んだり、砕けて海中、海底に落ち、プランクトンや貝が吸収したりする。その小さな生物を魚が食べる。魚を人が食べ、プラスチックを体内に取り込む。

大型海洋生物がプラスチックを誤食し死に至る。微小なプラスチックが、食卓にあがる魚介類や人の体内から見つかっている。人の胎盤からも検出されており、健康被害が懸念されている。

プラスチックは現代文明の利器だ。成型しやすく、軽く、安い。使い捨ての食品包装容器だけでなく、タイヤを含む自動車関連製品や、不織布マスク・ガウンなど医療製品にも幅広く利用されている。一方、プラスチックは推定で年間800万tが海に流れ、たまり続けている。

海はつながっている。日本で投棄されたペットボトルがアメリカや南極の海に流れ、外国で排出されたプラスチックが日本海域を漂っていてもおかしくない。

プラスチック汚染を抑制するキーワードは「削減」「除去」「循環」だ。削減と除去は、プラスチックそのものとそのごみの削減、それに海にあるごみを取り除くこと。循環は、プラスチックを再生して何度も使っていく「サーキュラー・エコノミー」(循環経済)といわれている。

いずれも簡単にできると思える。しかし、単純なことが簡単にできないという、地球温暖化防止策と同じ課題がある。

CO2などの温室効果ガスも、私たちが「豊かな」生活をしていく限り、大量に排出されて地球全体に広がり、蓄積されていく。工場やビル、住宅、自動車など、CO2の排出源は無数にある。しかしながら、防止の革新的な技術・方法は確立されていない。効果的な削減方法は、生活様式や生産活動を、根本的に見直し制限・転換する以外にない。

といっても、気候危機に直面しているにもかかわらず、排出規制の国際協定は不十分なままである。私たちは有効な防止手段を持てず、現状追認の世界観から抜け出せないでいる。

現代生活はプラスチック依存度が高い。プラスチックの原料(主に原油)や製品製造のメーカー、そこに投資するメガバンク、小売業者、消費者、行政などの利害が複雑に絡む。プラスチック汚染の有害性などの科学的知見も不足している。このため世界共通の規制を取れない。

だからといってプラスチック汚染防止の国際協定がなくていいはずはない。国連環境総会(UNEA)は2017年に専門家会合を設け、防止対策を模索し始めた。プラスチックの新規生産は毎年3億7000万tに上り、生産に伴うCO2の排出量も増えている。実効性のある国際協定の成立が遅れればそれだけ汚染防止・解消は困難になる。

地球温暖化問題は、国際協定締結で険しい道を歩み、「反面教師」となっている。海洋プラスチック汚染問題は杣道をたどってはならない。

みしま・いさむ 1984年早稲田大学卒、読売新聞社入社。社会部、科学部、調査研究本部などに所属。法務省関東地方更生保護委員会委員、東京大学大気海洋研究所特任研究員を経て2022年から現職。

ダムAI開発で水力発電量が増加 システム外部提供で地域課題解決へ

【北陸電力】

北陸電力はJFEエンジニアリングと共同で、「ダム最適運用システム」を開発した。

蓄積してきたデータとノウハウを用いて水力発電量を拡大し、カーボンニュートラル達成に寄与する。

 北陸電力の大きな強みである水力発電。全国の大手電力の水力発電比率は1割程度であるのに対し、北陸エリアの豊富な水資源を生かした同社では約3割を占める。

昨年4月には、北陸電力グループの黒部川電力が至近の水力発電所の新規開発案件の中では国内最大級の規模(2万8000kW)となる「新姫川第六発電所」を運開させた。このほか同グループでは、3カ所で新規開発を実施。グループ一体となって水力発電量の拡大を進めている。

脱炭素への関心の高まりから、水力発電の重要性は増す一方、新規開発は極めて難しい状況にある。というのも、すでに多くの場所で開発が進められており、適地が少なくなっているからだ。こうした中、北陸電力は水力発電量の拡大に向けた取り組みの一つとして「ダム最適運用システム」の運用を開始した。

ダム最適運用システムが導入された新猪谷ダム

33時間先の流入量を予測 計画的な人員配置も可能

ダム最適運用システムはAIを用いてダムへの水の流入量を予測し、ダム運用上のルールに則った上で、発電電力量が最大となるよう、ダム・発電所のゲート放流のタイミングを提案するものだ。

同システムは「流入量予測AI」と「ダム最適運用AI」の二つのAIで構成されている。流入量予測AIは、上流域の降雨実績と降雨予測からダムへ流れ込む水量を予測する。その結果を基に、ダムからゲート放流するか、発電使用するかの選択肢を提案するのが、ダム最適運用AIだ。

同システムの開発は、北陸電力とJFEエンジニアリングの共同で行われた。2022年10月から神通川水系に位置する五つのダムでの運用を開始。五つのダムは上流から順に浅井田ダム、新猪谷ダム、神一ダム、神二ダム、神三ダムで、合計で10の発電所が帰属する。同一水系で一貫したダム・発電所運用におけるAI操作支援は国内初の取り組みだ。

ダム最適運用システム導入前の5ダムの発電量は、降雨量による年ごとの変動はあるものの、13~14億kW時強だという。同システム導入後は水系全体で1%程度、年間では1500万kW時の発電量増加が可能となった。これは一般家庭約5400世帯の年間使用電力量に相当する。

これまでのダム・発電所の運用は、操作員の知識と経験に基づいてゲート放流などのタイミングを判断していた。システム導入後も、操作員が操作・判断をする点は同じだが、AIのサポートに基づいて行うので無駄な放流を削減できる。同システムの流入量予測は、精度が格段に向上しており、33時間先までの流入量も予測可能となっている。また、ダム放流に対応する人員の配置も、余裕をもって行うことができるようになった。

北陸電力およびJFEエンジニアリングは、23年からダム最適運用システムの販売を予定。さまざまな治水・利水ダムへの適用を想定しており、さらなる精度向上を目指してシステム改善に努めている。ダムを所有する官公庁や水力発電設備を持つ事業者が抱えている、豪雨などによる水害の未然防止や水資源の最大限の有効活用など、地域の課題解決にも貢献していく方針だ。

AIなどの新技術で実現 CN達成・事業領域拡大

ダム最適運用システムの導入は、カーボンニュートラル(CN)の実現に寄与する。

北陸電力は22年4月、CN達成に向けたロードマップ(21年4月策定)の目標を見直し、30年度にCO2排出量を13年度対比で50%以上削減する目標を新規に設定した。具体的には、13年度のCO2排出量1769万tに対し、30年度は約880万t以下に抑えるというもの。同システムの導入で水力発電量の増加が見込まれ、年間約6900tの排出量低減が可能となる。

また、再生可能エネルギー開発については、大幅な上方修正を行った。今回引き上げた目標は設備容量ベースで18年度の約200万kWから約5割増の約300万kW、発電電力量ベースで約70億kW時から約4割増の約100億kW時にする非常に大きなものだ。水力発電所の新設や老朽化施設のリプレース、既設設備の改修などに加え、AIを活用し水力発電量の増加を図る。さらに、北陸エリア以外や海外での案件にも参画し、再エネ開発を拡大し、CN達成を目指していくという。

「水力発電の運用効率を高めることは、自社の収益拡大につながるだけでなく、環境保全や治水の面でも寄与でき、とても意義深い。当社が開発したダム最適運用システムを導入いただくことで、ダム事業者や地域の課題の解決を図り、安定供給や脱炭素につなげていきたい」と、再生可能エネルギー部水力土木チーム統括の武田泰平課長は意気込む。

北陸電力グループはAIなどの新技術を組み合わせ、CNの達成に向けた取り組みを着実に進めるとともに、新たなサービスを提供し需要家や地域の課題解決へ貢献しながら、新たな事業領域の拡大を図っていく構えだ。

AIには蓄積してきたデータやノウハウが組み込まれている

【マーケット情報/2月10日】原油反発、需給逼迫感が台頭

【アーガスメディア=週刊原油概況】

先週の原油価格は、主要指標が軒並み急伸。供給減少の予測にともなう需給逼迫見通しで、価格が反発した。

トルコは、同国南東部およびシリア北部で6日に発生した震度7を超える地震を受け、緊急事態を宣言。ジェイハン港からの出荷が一部停止した。また、ロシアは、G7の価格上限への対抗として、3月に産油量を日量50万バレル削減する計画を公表。さらに、英石油メジャーBPの運営する一部洋上生産設備で、労働者ストライキが発生する見通し。これらにより、供給不足の懸念が強まった。

そんななか、米金融会社ゴールドマン・サックスは、今年の石油需要予測に上方修正を加えた。中国需要の回復が、他アジア・太平洋諸国、欧米における消費減少を上回るとの見方が背景にある。また、インドは、同国製油所の原油処理量を80%引き上げて、日量900万バレルにする計画を発表した。

一方で、米連邦準備理事会が金利を一段と引き上げるとの予想が根強い。加えて、米国の週間在庫は増加し、2021年6月中旬以来の最高を記録。国内生産は2020年4月以来の最高を記録した。ただ、油価に対する下方圧力にはならなかった。

【2月10日現在の原油相場(原油価格($/bl))】

WTI先物(NYMEX)=79.72ドル(前週比6.33ドル高)、ブレント先物(ICE)=86.39ドル(前週比6.45ドル高)、オマーン先物(DME)=83.64ドル(前週4.03ドル高)、ドバイ現物(Argus)=83.20ドル(前週比3.76ドル高)

「みなとみらい」の電力CN化へ 地域外からの再エネ調達を拡大

【地域エネルギー最前線】 神奈川県 横浜市

政府宣言に先駆け脱炭素目標を掲げた横浜市は、実現に向けて一歩ずつ計画を進めてきた。

従前から取り組む再エネ調達の広域連携を強化し、市内需要家との連携も深化している。

日本有数の港湾・商工業都市である横浜市。東京23区を除けば全国最大となる約370万の人口を抱え、現在も新たな再開発ラッシュを迎えている。そんな同市の温暖化政策が注目を集めたのは2018年、2050年までの脱炭素化「Zero Carbon Yokohama」を掲げた際のことだ。当時は政府が脱炭素実現の具体的時期に言及しておらず、菅義偉政権のカーボンニュートラル(CN)宣言や、その後の「ゼロカーボンシティ宣言」ブームが起きる1年以上前の出来事だった。

15地域との再エネ広域連携 ウィンウィンの仕組み目指す

ただ、地域内に閉じた対応での実現は極めて難しい。50年までに市のエネルギー消費量を半減させた上で、全て再生可能エネルギーに置換しようとしても、市のポテンシャルで賄えるのは10%程度だ。「再エネポテンシャルの大きい地域との連携は、横浜の脱炭素化において欠かせない」(市温暖化対策統括本部)との考えから、再エネ資源を豊富に有する自治体との連携による再エネ調達に着手。現在、東北、関東の15市町村と協定を締結し、民間事業者と連携しながら実証事業を実施し、事業強化に取り組んでいる。これまでに、連携先からの再エネ由来電気の利用を希望する横浜市内の86事業所に供給してきた。

具体的な実証事業の取り組みは、地域ビジネス創出を手掛ける「まち未来製作所」がコーディネーターとなり、広域連携先に立地する発電所との間で特定卸供給(系統を介して発電所を特定した電気を卸供給する仕組み)の契約を結び、FIT(固定価格買い取り制度)電気を調達。連携先には、地域活性化資金を還元し、活用方法を協議により決定する。

横浜市内需要家への供給を担う小売り電気事業者は、安価に供給できるよう入札で決定する。落札した事業者は、まち未来製作所からFIT電気を購入し、環境価値を証書で買い戻して需要家に供給する、という流れだ。しかし、昨年来の電力価格高騰の余波で、足元では新規契約獲得が厳しい状況にある。需要家にとって魅力的な再エネ調達手法として確立できるよう、電源の確保や地域活性化の手法など、スキームの再調整も含めて今後対策を検討する方針だ。

今やゼロカーボンシティを表明した自治体は800を超え、どこの自治体も何かしら脱炭素ビジョンを掲げる中、域内での地産地消を優先する場合も多くなっている。ただ横浜市のモデルは、連携先の地産地消を優先しつつ、余剰分を同市に供給するスキームだ。まち未来製作所が電気を分配する役割を果たすことで、地産地消も推進しながら再エネを最大限利用することができるという。地域活性化資金の創出、地産地消の推進にとどまらず、横浜市内での物産展開催など連携を深めながら、同市の脱炭素化を推進していく。

先行地域で民間と連携拡大 地域冷暖房のメリット生かす

そして、これまでの取り組みをベースにCN化をさらに加速させる市の計画が昨年、政府の「脱炭素先行地域」に認定された。都市型モデルとして、みなとみらい21地区にある64施設のうち32施設が参画する。

先行地域では、30年度までに民生部門の電力のCN化が共通ミッション。しかし、数年での実現が求められるため、自治体が取り組みやすいようにCN化の対象の大部分を公営施設とするケースが多い。一方、横浜市の場合、32施設の大半は民間施設で、年間消費電力量は3億kW時にもなる。市は、電力の切り替えや仕組みの紹介などの支援を行い民間施設とともにCNを目指している。「施設での対策を最終決定していただくのは所有企業になる。みなとみらい全体でCNに取り組むことで街の魅力向上、持続的な発展につながることを地域の皆さまと共有し、今後参画施設もさらに募り地域一体での脱炭素化を実現させたい」(同)と強調する。

民間施設の電力脱炭素化に本腰を入れる

供給面では、引き続き再エネ拡大に注力する。広域連携に加え、市や近隣地域での導入量の積み上げも欠かせない。市内でのPPA(電力購入契約)による太陽光設置を中心に検討を進めていく。

加えて重視するのが地域冷暖房の高効率化だ。みなとみらい21熱供給(DHC)が30年以上前に熱供給事業を開始。みなとみらい中央地区の施設は必ず熱供給を取り入れる方針で街づくりを進めており、現在は同社が約60施設に供給する。足元ではガスコージェネレーションの導入や、冷凍機など熱源の高効率化を進め、地域冷暖房のスケールメリットを生かした地域全体の低炭素化を図る。

さらにその脱炭素化も視野に入れる。「DHCによって熱源の低・脱炭素化が進めば、街全体のエネルギー転換も進む。需要家の要望も今後拡大するだろう」(同)。ただ、その場合の代替エネルギーをどうするかは大きな課題だ。メタネーション(合成メタン)など都市ガスのイノベーションへの期待値は大きい。

もう一点、省エネやエネルギーマネジメントの深掘りもポイントとなる。特に、対象施設でのデマンドレスポンス(DR)拡大を図るため、アグリゲーターを介して複数施設を束ねて調整力を創出し、24年スタートの容量市場に参画していく考えだ。容量市場には、全体の期待容量が1000kW以上の供給力を確保できれば参加できる。需要家に対してこうしたDRの経済面でのメリットを提示しつつ、需給ひっ迫時の貢献の見える化なども図り、民間企業をさらに巻き込んでいく考えだ。

再エネ広域連携を軸にしたみなとみらいモデルが奏功すれば、都市部と連携先、両者の脱炭素化という相乗効果が期待できる。足元ではエネルギー価格高騰を起因とした強い向かい風が吹くが、これを乗り越えられればその展望が開けそうだ。

三隅2号運開で今冬の供給力積み増し 非効率石炭火力フェードアウトに貢献

【中国電力】

中国電力の石炭火力・三隅発電所に、最新鋭で発電効率の高い2号機が新たに加わった。

全国的に厳しい需給予想の今冬を前に供給力を積み増すことができ、安定供給への貢献が期待される。

 島根県浜田市三隅町にある中国電力の三隅発電所2号機(石炭、100万kW)が2022年11月1日に営業運転を開始した。2号機の発電方式は最新鋭の超々臨界圧(USC)で、着工から丸4年かけて運転開始に至り、1号機(USC、100万kW)と併せた同発電所の出力は200万kWに達した。他社電源を含めて中国地方最大の発電所になり、同社の需要の3割を賄う電源だ。今冬、全国的に電力の需給ひっ迫が懸念され、経年火力も駆使しての供給力確保が至上命題となる中、最新鋭石炭火力という大きな戦力が加わった格好だ。

新設の石炭火力は貴重な存在だ

河本修一所長は、「建設工事にご理解いただいた地域の皆さま、そして工事従事者の方々のおかげで、予定通り三隅2号の運開を厳寒期に間に合わせることができた。当社として新規の火力発電所を運開するのは、大崎発電所以来22年ぶり。総出力が倍増した三隅発電所が安定供給の中核を担えるよう、所員一丸となって取り組んでいく」と意気込む。

経年火力削減を後押し バイオマス混焼率の拡大も

三隅発電所は1号機が1998年に運開し、当初はそこから間を置かずに2号機を建設する予定だった。しかし当時は原子力ルネサンスの真っただ中。その後、11年3月に東京電力福島第一の事故が発生し、一転して全国的な石炭火力計画ラッシュを迎える。同社も火力電源入札を行い、16年に自社応札での落札が決定。1号機運開から足かけ20年でようやく建設工事に着手した。

着工後もさまざまな苦労があり、中でもコロナ禍での対応は最大の難関となった。新型コロナウイルスの感染が急拡大した21年4~6月ごろには、2号機建設工事に1号機の定期点検も重なり、ピーク時には4000人ほどが構内で作業していた。関係者の間で感染が拡大し、濃厚接触者も含め待機を余儀なくされたため、作業が遅延する局面もあった。また、地元の医療体制に限界もある中、地域に迷惑をかけないよう最大限配慮。作業員には感染防止対策を徹底してきた。

さらに海外のロックダウンにより一部資材調達が遅延したが、工程を調整して工事を進め、無事予定通り運開できた。パリ協定発効以降に石炭火力新設が困難になったことを考えると、エネルギーセキュリティー上、多様な電源が必要な日本にとって、三隅2号は貴重な存在であると言える。

2号機のタービンと発電機

三隅2号の運開は、中国電力のカーボンニュートラル(CN)戦略の一翼を担っている。一つは、非効率石炭火力のフェードアウトへの貢献だ。三隅2号で自社電源が100万kWプラスになったことで、23~24年にかけて瀬戸内側の経年火力4基の廃止を進めていく。エネルギー政策の要請に沿い、火力の新陳代謝を図る形だ。

もう一つの視点が、木質バイオマスの混焼だ。三隅2号では22年秋から木質チップやペレットの混焼試験を開始しており、年平均で混焼率10%を目指す。100万kW級での10%混焼は、機器設計上、かなりチャレンジングな水準になるという。これらにより、年間約50万tのCO2排出量削減につながる計算だ。

さらに三隅2号は、炭種を拡大し調達先の多様化を図る観点から、瀝青炭より安価で低品位な亜瀝青炭の専焼を可能としている。また、22年はオーストラリアの石炭産出エリアでの水害や、インドネシアでの石炭輸出禁止措置など、産炭国側の供給支障リスクが発生。そして、豪州産一般炭価格が一時1t400ドル超となるなど、空前の高値を記録した。このように調達を巡る情勢が不安定さを増す中、炭種拡大はリスク低減対策として一層重要になっている。

地域共生の意識高く 世界に誇る技術発信へ

「発電所建設の申し入れから現在まで地域とのお付き合いは40年以上になった。これからも地域の方々に親しみを持ってもらえる発電所であり続けたい」と語る河本所長。人口6000人程度の三隅町に、中国地方最大の石炭火力が存在しているインパクトは大きい。地域にとって身近な発電所と受け止められるような取り組みを常に心掛けているという。

例えば、2号機工事に合わせてリニューアルしたPR館「ふれあいホール」は、建物内から発電所建屋の全景がきれいに見える。また、同発電所は粉じんの飛散防止を図るため、日本最大の石炭サイロを採用している。さらに、石炭とバイオマス貯蔵設備の横には、地域住民が利用できる公園を整備中だ。

「2号機建設は地域でも心待ちにされていたプロジェクト。加えて、途上国でのクリーンコール技術へのニーズは引き続き大きく、貴重な技術を世界に発信していくことも重要な使命だ。世界に誇る技術が三隅にはあると喜んでもらえるよう、今後とも発電所全体の運用最適化に向けた対応に努めていく」(河本所長)。1号機は運開から四半世紀を迎える。2号機と共同での運用は始まったばかりであり、まずは今冬、2基態勢で安定稼働を続けることが当面のミッションだ。

電力の安定供給が脅かされる中での貴重なベース電源である三隅発電所には、CN対応やクリーンコール技術を通じた世界全体のCO2削減への貢献など、今後も大きな役割が期待されている。

2号機運開までを振り返る河本所長

高まる賃上げの気運 中小企業はどうするか

【脱炭素時代の経済探訪 Vol.11】関口博之 /経済ジャーナリスト

 まもなく春闘の賃金交渉が本格化する。消費者物価上昇率が4%台をつけ、40年ぶりの高騰となっている中で、例年以上に注目される春闘であることは間違いない。実質賃金も2022年11月は前年同月比3.8%減、8カ月連続の減少だ。「物価高に負けない賃上げ」が実現できるのかどうか。連合は春闘の基本方針でベア3%程度を含め、5%程度の賃上げ要求を掲げている。28年ぶりの高い水準だという。経営側も経団連が賃上げの検討を企業に求める意向を示している。サントリーホールディングスやキヤノンが早々にベアを含めた大幅賃上げを表明するなど、確かに気運は高まっている。それはそれとして期待したい。

例年以上に注目される春闘

一方、成長と分配の好循環を回すため「まずは企業が身を切ってでも賃上げを」「企業は貯め込んだ内部留保を賃上げに回せ」といった主張も、ここ数年繰り返しなされてきた。賃上げは重要だが、この論点は正直言ってしっくりこない。ましてや中小企業には通用しない理屈だ。

この国の雇用者の7割を抱える中小企業、そこでの賃金アップをどう考えるべきか。大企業との賃金格差縮小も究極の課題ではあるが、まずは現実解として賃上げの実現自体を目指すとすれば、その原資の確保が不可欠だ。原材料費をはじめ仕入れ価格の上昇が至るところで起きている中、その価格転嫁をできるようにすることがまず最低限の条件だ。大手企業側にこそ、下請けなどに対する取引価格の適正化が求められる。

さらに賃上げの原資は本来、生産性向上によって生み出されるべきものだが、効率を高める要素の一つになるのが、エネルギーコストの見直しだ。電力料金が2割、3割上がり、しかも高止まりがしばらく続くと覚悟せざるを得ない。一方では脱炭素化を進める中で、中小企業といえどもサプライチェーン全体としてCO2の排出量削減が避けられない命題だ。これを先取りして動くことは、コストの削減と両面で大きな意味を持つ。これまでの延長での節電・省エネのレベルではなく設備の更新投資も含め、抜本的な対策で「攻め」に出ることも考えてほしい。

そして生産性の向上に欠かせないのが、言うまでもなく人への投資。従業員への能力向上のため、再教育・リスキリングの必要性が唱えられている。成長分野への人材移動・転職などを想定して言われることも多いが、これを中小企業的に読み替えれば、一人ひとりが複数の仕事をこなせるようになる「マルチタスク化」や「多能工化」でも十分意義がある。

加えてこの際、中小企業こそ「子育て応援企業」を宣言してはどうだろう。育児休業を取りやすい環境づくり、休業中の在宅での資格取得、短時間勤務など働き方の選択肢の拡大、男性の育児参加の促進、残業の削減など、できるところから取り組んでみればいいだろう。従業員を大事にする姿勢は、優秀な人材の確保にもつながる。ベアとはいかずとも、春闘の機会にこんな一歩を踏み出す勇気を持ちたいと思う。

【脱炭素時代の経済探訪 Vol.1】ロシア軍のウクライナ侵攻 呼び覚まされた「エネルギー安保」

【脱炭素時代の経済探訪 Vol.2】首都圏・東北で電力ひっ迫 改めて注目される連系線増強

【脱炭素時代の経済探訪 Vol.3】日本半導体の「復権」なるか 天野・名大教授の挑戦

・【脱炭素時代の経済探訪 Vol.4】海外からの大量調達に対応 海上輸送にも「水素の時代」

【脱炭素時代の経済探訪 Vol.5】物価高対策の「本筋」 賃上げで人に投資へ

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せきぐち・ひろゆき 経済ジャーナリスト・元NHK解説副委員長。1979年一橋大学法学部卒、NHK入局。報道局経済部記者を経て、解説主幹などを歴任。