最近、欧州の主要国では、エネルギー自立の動きがあることを6月22日のコラムで述べた。フランス、英国における原子力発電の拡大は、その一環である。欧州最大の原子力大国であるフランスは、2月13日に、2050年までに最大14基の原子炉の新設を発表している(少なくとも6基の原子炉の新設とさらに8基のオプション)。4年前には、原子力発電への依存度を減らす政策の一環として12基閉鎖するとしていたが、拡大に方針転換し、安全が確認された既存の原子力発電については、すべて延命措置を講じる予定である。2月24日のロシアによるウクライナ侵攻により、フランスの原子力発電拡大路線はより強固なものとなっている。7月6日に政府は、原子力発電の新設をバックアップするために、財政難に苦しむ電力会社Électricité de France(EDF) の完全国有化を発表(現在84%のシェア)している。
英国では、4月6日に発表された、「英国エネルギーセキュリティ戦略」(“ British Energy Security Strategy “)で、原子力発電については、2030年までに最大8基を稼働可能にするとしている。また、2050年までに現在の約3倍にあたる最大2,400万kWの発電容量を確保し、国内電力需要の最大25%までを賄う計画である。このため、5月13日には、「未来原子力実現基金」(”Future Nuclear Enabling Fund”:NEF)を立ち上げ、新規の原子力発電所の開発を支援する1億2,000万ポンドの補助金交付制度の設立を発表している。