再エネ最優先に翻弄された前回のエネルギー基本計画議論。その後GX政策が進み環境は一変した。
政策をどう立て直すべきか、そしてエネ基以外に必要な具体策は。鈴木淳司・衆議院議員に聞いた。
【インタビュー:鈴木淳司/自由民主党 衆議院議員】
―エネルギー基本計画の前回議論を振り返っていかがですか。
鈴木 3年前の議論は再生可能エネルギー至上主義者に振り回され、一体何だったのかという気持ちが正直なところです。原子力は「可能な限り依存度を低減」との表現が残り、2030年度の電源構成で20~22%とされた一方、再エネ比率目標は36~38%超とされましたが実現には程遠い。菅義偉首相のカーボンニュートラル(CN)宣言直後でもあり、13年度比46%削減というNDC(温暖化の国別目標)に基づき、意味のない数合わせで終わった感がありました。
第7次エネ基ではその愚を繰り返さず、現実を踏まえた実質的な議論とすべきです。NDCは国家としてのビジョンではあるものの、エネ基と混同しないことが重要かと思います。
今回がラストチャンス システム改革の検証反映も
鈴木 ロシアのウクライナ侵攻以来、世界のエネルギー情勢が一気に変わり、CNの世界的要請も相まって、わが国でもGX(グリーントランスフォーメーション)推進法ならびにGX脱炭素電源法が成立しました。今回は「GX2040ビジョン」をエネ基の上位概念に据え、それをベースに具体策を書き込む流れにすべきかと思います。
AIやデータセンター(DC)、半導体工場などの電力需要が急拡大する局面となり、原子力も再エネも含めたあらゆるエネルギーを総動員しなければ到底対応できなくなる日が来るように思います。国力の源泉である電力を、熱需要への対応も含めて安価・安定供給するためには、CNのベースロード電源たる原子力を中核に据え直すべきです。再稼働は当然ながら、新増設・リプレース、核燃料サイクル・最終処分まで含めた国家の意思をエネ基に明記することが必須となります。原子力損害賠償の無限責任原則の見直しも課題となろうかとも思います。
21年の解散総選挙ごろからは、原子力の必要性を理解する方の姿が目立ち始めました。また、現実の課題を前に、先のGX2法案には野党からもまともな反対はありませんでした。電力供給のためだけでなく、技術も含めた国力の源泉として、わが国は恐れずに原子力へのコミットを明示すべきです。
―ただ、原子力産業維持のタイムリミットは目前でしょう。
鈴木 投資回収の予見性を高めるためには英国のRAB(規制資産ベース)モデルのような仕組みが求められます。その上で、まずはとにかく早期に再稼働し、稼働の常態化が不可欠です。
再稼働の判断の際、首長に過大な負担を課すことなく、国が主体的責任を持ち、さらに前面に立つべきでしょう。立地地域などの一部地域だけでなく、国全体で原子力政策を進める体制をつくらなければ、CN・GXに向けてわが国の産業を強くすることも不可能だと思います。核燃サイクルまで含めた原子力の最大限活用の意思を第7次エネ基で示せば、それに応える国民はいるはずで、今回が最後のチャンスです。もはやこのままでは、原子力の人材・サプライチェーン・技能伝承が持たず、万が一日本がこの技術・産業力を失えば、西側諸国全体が中国・ロシアに負けることにもなりかねません。
時系列の意識も重要です。まず優先すべきは再稼働に向けた課題解決に鋭意取り組むこと。ただ、DCなどで需要が膨らみ得るので、SMR(小型モジュール炉)の実用化も並行して検討する必要があります。もちろん高温ガス炉や高速炉などの革新炉開発への積極的な取り組みも鋭意進めるべきでしょう。
―ほかに不可欠な視点は?
鈴木 電力システム改革の検証も重要でしょう。総括原価方式の長所を排して電力自由化を進めたことの帰結か、再エネの変動をカバーするバックアップ電源への安定投資が進まない。その功罪を、資源エネルギー庁内だけでなく国民の目の前で真摯に議論しエネ基に反映させる作業が、本来必要だと思います。

















