◆放射能を検知させない測定器を使用? 奇妙な印象操作
「東電、トリチウムを検知できない線量計で処理水の安全性を誇張 福島第一原発の視察ツアーで」

東京新聞は2022年10月3日、1面トップとオンライン記事で東京電力福島第一原子力発電所の事故処理で出た処理水について、このような見出しで、問題があるかのように報じた。内容はタイトルの通りで、「同原発の視察者に配られる線量計は、トリチウムが検知できず、セシウムなど有害な放射性物質が反応しない線量計を使っている」というものだ。
そして記事は、これは「処理水は安全」という印象操作を行う行為で、「処理水の海洋放出に向けた印象操作と言われても仕方ない」「本当に処理水への理解を得る気があるのか」との言葉で結ばれている。
この記事を受けて、反原発の人々が騒いだ。「息を吸う様に嘘をつく」「インチキとゴマカシ」「原発汚染水の海洋放出に反対します」と、そうした人たちがよく使う批判がネット上では並んだ。
しかし、この記事には、事実が違うと、批判が殺到。また東京電力は10月3日に「ご視察時のALPS処理水サンプルキットを用いたご説明について」という文章を出した。この説明を要約すると、処理システムのALPSを通った水は、放射性物質が低減され、放射線量は微量すぎて人体に影響を与えないし、通常の機器では検知できないと、主張している。

つまり東京新聞は、「微量な放射線を検知できない測定器を使っている」という点では、積極的に嘘をついていない。しかし、その理由を全く説明せず、東電が意図的に悪いことをしているかのような印象操作をしているのだ。
そしてこの記事は、国際的に風評を広げてしまった。福島の処理水を危険だとなぜか騒ぐ韓国メディアがこれをそろって紹介した。東京新聞は福島と日本を誹謗し、誤った情報を拡散しているのだ。
◆読者にも、批判にも耳を貸さない東京新聞
東電の原発事故の後で、原子力と放射能をめぐる誤った情報がメディアによって拡散した。そして、それに騒ぎ、自分の政治主張を拡散しようとする人がいた。ようやく落ち着きそうした動きが消えつつあったのに、うんざりするほど繰り返された動きがまた復活した。「印象操作」という批判が向けられるべきは、東京新聞自身と執筆した記者自身である。
東京新聞は、原発事故をめぐり、これまで非科学的で異常な情報を繰り返し報道してきた。事故直後に、福島で子供たちが鼻血を出していると強調して報道したのは、東京新聞と朝日新聞の特集記事「プロメテウスの罠」とT B Sだった。その報道姿勢を今でも続けている。そして態度も傲慢だ。東京新聞にライターの林智裕さんが質問状を出したところ、同社の答えは「掲載した記事の通りです」と書いただけの、読者を馬鹿にしたものだった。
◆世論の体制は批判一色、デマ発信者を孤立させる態度を
このおかしな騒ぎを巡る救いがあった。多くの人が東京新聞の記事を批判し、印象操作と言えるおかしな情報の影響がネットの上では打ち消されている。
日本では報道量が少ないが、日本政府、東京電力は、処理水の安全性についての説明を繰り返している。IAEA(国際原子力機関)は今年2月に調査団を派遣。処理水を検証し、放出される処理水に含まれる放射性物質の特性評価、処理水の放出プロセス(放出のために使用される装置など)の安全性、人と環境を守るための放射線影響評価の3点の調査が行われた。そこで「安全性を確保するための予防措置が的確に講じられている」と評価している。東京新聞などのメディアは、こうした事実にほとんど触れていない。
世の中の大勢は放射能をめぐるデマに、普通の常識を持つ人はもう騙されなくなっている。デマに世論を動かす力もなくなった。しかし、そうした現実に焦っているのか、東京新聞と記事の執筆者などデマを流す人、反原発の主張をしている人の一部は、確信的に原子力と原発事故をめぐるおかしな情報を流そうとしている。そして他人の批判も聞かないし、正しい情報を広げようともしない。
原発事故から11年が経過してもその態度ならば、もう永久にその態度を改めることはないだろう。私たちは、そうした人々の説得を諦め、誤りを指摘した上で、社会的な悪影響を広げないように、発信者を孤立させていくしかないようだ。