2012年に需給ひっ迫警報の運用が始まって以来、初の警報発令の事態に見舞われた東京エリア。本来であれば需給が厳しくない時期に、なぜひっ迫に陥りいかに打開したのか。詳細を取材した。
東京では桜のつぼみが膨らみかけていた3月22日、東日本エリアに再び真冬並みの寒さが戻った。想定を上回る需要に対応する供給力が著しく不足。東京エリアと東北エリアに相次いで「需給ひっ迫警報」が発令された。
需給ひっ迫警報は、大規模停電を未然に防ぐために、計画停電を実施するよりも前に経済産業省が発令する。東日本大震災発生後の電力不足を踏まえ2012年に運用が始まったが、実際に発動されたのは全国でも今回が初めてだ。
前日の21日午後5時、東京電力パワーグリッド(東電PG)が、直前の気象予報を織り込み想定したこの日の最大需要は4840万kW(午後4時台)だった。これは、昨秋、電力広域的運営推進機関が、21年度冬季の需給検証で想定した3月の厳気象下での最大需要を200万kW上回る。
ただでさえ平常時ではない。16日深夜に、最大震度6強を観測した福島県沖地震の影響で、東北・東京両エリアでは計335万kWもの電源が停止したまま。その中で異例の高需要への対応に迫られることになった。
18日には、三連休明けに南岸低気圧の影響で厳しい寒さに見舞われることが分かっていたため、同社は必要な対策を講じ予備力確保に努めていた。ところがその後、想定を更新するたびに天候の予測が悪化していっただけではなく、17日以降、電源トラブルが続き、22日までに計134万kWが計画外停止に至った。岡本浩副社長は、「この段階でかなり厳しい状況に追い込まれた」と語り、時間を追うごとに社内の緊張感が高まっていった当時の様子を明かす。
追加供給対策の限界 直前の節電要請へ
18日以降、同社がまず踏み切ったのが供給力の積み増しだ。電力設備などの計画作業停止の中止、電源Ⅱの増出力、提供期間外でお願いベースとはなったが、厳気象対応の調整力「電源Ⅰ」を発動するとともに、自家発電源や電源Ⅲ(一般送配電事業者がオンライン指令で調整ができない電源)への焚き増しのお願い、供給電圧調整など、あらゆる手立てを講じた。
それにもかかわらず、22日の最大需要発生時の予備率の見通しは、21日午前9時の段階で1・7%、午後4時にはマイナス7・8%と、悪化の一途をたどった。 「このままでは大規模停電に陥りかねない」―。
供給側の対策では対応し切れないと判断し、いよいよ経産省が需給ひっ迫警報を発令したのは21日午後8時。東京エリアの家庭や企業に対し、22日午前8時~午後11時までの間、10%程度の節電を要請した。また、広域機関も、全電気事業者に対し発電出力増・需要抑制の依頼を出した。