北海道電力は1月26日、経済産業省に規制料金の値上げを申請した。平均で34.87%の値上げとなる。燃料費の増加が続く中、昨年8月に燃料費調整額の上限に達し、それ以降上限を超過した分を価格に転嫁できていなかった。原子力の扱いについては、新規制基準適合性審査の最中にある泊発電所の再稼働時期が見通せないことから、原価算定期間内(2023~25年度)での再稼働は織り込まなかった。ただ、北海道電は、再稼働に至ればその後値下げを実施する考えを示している。電力・ガス取引監視等委員会の料金制度専門会合での審査と、経産省の認可を経て、6月1日の実施を目指す。

ここ数年の世界的な燃料価格高騰や21年頃と比べた円安、それに伴う卸電力市場価格の高止まりなどが続き、足元の2月分で規制料金では1kW時当たり7円程度、燃調の上限を上回っている。同社の収支・財務状況は急速に悪化しており、22年度は経常損失620億円程度の赤字となる見通しだ。
また、電源構成は、LNG火力の石狩湾新港発電所が加わるなど、前回14年度に料金を見直した際から大きく変わっている。21年度は石炭49%(前回算定期間13~15年度は40%)、石油14%(同34%)、水力・再エネ14%(同14%)、FIT買取・市場調達等12%(同7%)、そしてLNG11%(同0%)、原子力0%(同5%)だ。
こうした実態との乖離を踏まえて今回原価を算定したところ、燃料費や購入電力量など需給関係費が大幅に増加。他方、これまで取り組んできた経営効率化の成果と、今後のさらなる深掘りを進め、合計で年平均650億円程度の効率化を織り込んでいる。
結果、規制料金は平均34.87%の値上げを申請する。モデル料金では、従量電灯B(月間使用量230kW時、30A)が32%増の1万1700円、従量電灯C(同1300kW時、13kVA)が30.7%増の7万3279円、低圧電力(同650kW時、8kW)が30.7%増の3万3828円となる。
さらに低圧自由料金についても、規制料金の値上げ時期に合わせて6月1日から値上げする。主なメニューのモデル試算では、11.7~13.8%の値上げになる。
東電とは対照的 柏崎刈羽7号は10月稼働で織り込み
北海道電は今回、泊発電所の適合性審査が終わるめどがついていないことから、原子力の稼働は原価算定上織り込まなかった。現在1~3号機が新基準許可審査中で、同社は審査項目で残る新設防潮堤の構造成立性などに関する説明を、今秋頃までに終える予定だとしている。ただ、審査が最も進む3号機でも、重要項目である基準地震動(SS)や基準津波の策定、火山の影響評価の説明などが残っている。同社は総力を挙げて早期再稼働に取り組み、再稼働後には値下げを実施するとした。
北海道と対照的なのが、1月23日に規制料金の値上げ申請を行った東京電力だ。柏崎刈羽7号機を今年10月、6号機を25年4月稼働として原価に織り込んでいる。東電は、総原価で年間3900億円程度、規制料金の値上げ幅を1kW時当たり2.1円程度圧縮する効果があると説明する。
確かに柏崎の基準適合性審査自体は進んでおり、17年12月に6、7号機が「合格」となっている。ただし、その後発覚した核物質防護での不手際により、原子力規制委員会が21年3月、事実上の運転停止を意味する、核燃料の移動禁止措置を出した。さらに新潟県独自の「三つの検証委員会」の結論がいつ得られるのか見通せず、花角英世知事はこの検証が終わらない限り、柏崎刈羽再稼働に関する議論は行わない方針を貫いている。
東電ホールディングスの小林喜光会長と小早川智明社長は1月17日に新潟県庁で花角氏と面会したが、花角氏は東電について「信頼を失っている」と述べ、知事の同意には程遠いことが改めて浮き彫りになった。
他方、東電以外でも、原発の再稼働が見通せずとも、値上げ幅圧縮のために一定の稼働を織り込んでいる社もある。ただ、その場合は算定期間のうちわずかの間で、織り込み量は少なく、無理をしている印象は薄い。
東電は柏崎刈羽が再稼働できなかった場合、「徹底した経営合理化を行う」(小早川氏)と言うが、年4000億円弱もの値上げ抑制効果を原発稼働以外で捻出することは可能なのか。
値上げ申請での対応の違いが、各社の今後の経営状況に大きく影響しそうだ。



















