北陸電力が11月30日、規制料金の改定を経済産業省に申請した。平均で約45.84%の値上げとなり、11月下旬までに料金改定を申請した5社の中で値上げ率としては最大となる。東日本大震災後の原発停止に伴う燃料費の負担増以来となる今回の料金改定。来年4月の改定実施に向けた申請〝第一弾〟が出揃ったことになるが、各社の申請内容にばらつきが見られる中、12月7日にも始まる電力・ガス取引監視等委員会の料金制度専門会合でどのように審査されるのか、注目が集まっている。

北陸電の料金改定は2008年以来、値上げは1980年に実施して以来となる。同社では今年2月に燃料費調整額の調整上限に到達し、費用の持ち出し状態が続いていた。今年度の連結経常損益は1000億円の損失となる見通しで、過去最大の赤字を見込んでいる。
今回の申請に伴い、規制料金のモデル料金は、従量電灯B(月間使用電力量230kW時、30A)で42%増の9098円、従量電灯C(同710kW時、10kVA)で43%増の3万1094円、低圧電力(同480kW時、8kW)で39%増の2万3468円となる。
原価算定期間は2023~25年度の3年間。自社発電の電源構成は、08年に改定した現行原価から大きく変わり、石炭が64%(14%増)、LNGが初めて加わり8%、石油が4%(8%減)、そして原子力は3%(16%減)とした。原子力については、志賀原発2号機の具体的な再稼働時期が見通せない状況にあるものの、原価算定上で燃料費の抑制を図るため、稼働時期を26年1月として織り込んだ。これにより原価全体で年平均約120億円の抑制効果が生じ、規制料金の値上げ率を約2%抑えられる計算になる。
原価のうち、燃料費などの可変費は3020億円の増加となる。一方、震災以降366億円の経営効率化に取り組んでおり、さらなる施策として132億円の効率化も織り込んだ。結果、申請原価は5737億円と、現行から2904億円の大幅増となった。前提諸元のうち、事業報酬率は0.5%減の2.8%としている。また、同社は値上げ申請に伴い、11月以降の役員報酬を10%自主返納する方針も表明した。
なお、低圧や高圧以上の自由料金メニューに関しても検討中で、今後発表する。
原発利用率や値上げ水準にばらつき 燃料費や人件費の評価は
11月下旬までに値上げを申請した5社の内容を比べると、各社の事情の違いが見えてくる。まず、原子力利用率が今回の原価算定期間の中でどこまで織り込めるか。具体的な再稼働時期が見通せる東北電の女川2号(24年2月)や、中国電の島根2号(24年1月末)については利用率がある程度見込め、値上げ幅の抑制につながる。また、前回の改定時期が近いかかどうかも、今回の値上げ幅の大小に影響する要素だ。さらに、申請した新料金の水準が、現行の燃調上限を撤廃した水準を超えるケースと、それ以下に納まるケースの両者がある。
各社とも申請では人件費を削減しているが、今後の査定においては、震災後の改定時と同様、申請原価の燃料費や人件費について特に厳しく見られる可能性がある。ただ、料金制度に詳しい関係者は「物価高騰局面で政府が経済界に3%の賃上げを要請している中、原価で人件費を織り込む時点から電力会社が遠慮するような姿勢があるとするならば、それはどうなのか。結果認められなかったとしても、申請時点では正当な原価の水準をきちんと盛り込むべき地合いになっている」と強調する。

















