【JERA・トヨタ自動車/EV電池を再利用するスイープ蓄電装置】
JERAとトヨタ自動車は、リユースした電動車(HEV、PHEV、BEV、FCEV)の駆動用バッテリーを活用して、世界初となる大容量スイープ蓄電システムを構築し、電力系統への接続を含めた運転を開始した。蓄電池は、再エネ導入拡大に必要な調整力として、需要拡大が見込まれている。だが、材料となるコバルトやリチウムは資源に限りがあるため、使用済みの電動車用バッテリーからそれらを回収して、蓄電池として有効活用する技術が求められる。この事業では、JERA四日市火力発電所において、中部電力パワーグリッドの配電系統に接続して、系統用蓄電池としての充放電運転を行う予定だ。2020年代半ばに供給電力量約10万kW時の導入を目指す。
【東京ガスエンジニアリングソリューションズ/ホンダの工場に最大規模の蓄電池と太陽光発電を導入】
東京ガスエンジニアリングソリューションズ(TGES)は、本田技研工業とHonda熊本製作所でのリチウムイオン蓄電池と太陽光発電の導入事業の基本合意契約を締結した。国内の工場向けでは最大規模となるリチウムイオン蓄電池(20MW時)と太陽光発電設備(屋根置き型1200kW、カーポート型800kW)を、初期投資の必要がないエネルギーサービス方式で導入。休日など発電量が電力需要を上回る時間帯に蓄電池を充電し、夜間に電力を供給することで、再エネ由来の電力を活用する。また、TGESが運営する遠隔監視センターから24時間365日監視を行い、予防保全に迅速に対応し安定稼働を図る。同社は設計施工・保守管理まで一貫したソリューションを提供していく構えだ。
【INPEX/ガス生産水素の利活用の一貫実証】
INPEXは、同社が保有する新潟県の東柏崎ガス田平井地区で「ブルー水素・アンモニア製造・利用一貫実証試験」を開始する。この実証では、新設の施設で、天然ガスを原料に年間 700 tの水素を製造する。水素輸送には、既存のパイプラインを使う。また、製造した水素は、アンモニア製造と水素発電に使用する。製造過程で発生するCO2は、国内枯渇ガス田の東柏崎ガス田平井地区の貯留層へ圧入する。CO2の大気排出を抑えたブルー水素・アンモニアにする計画だ。天然ガスでブルー水素・アンモニア製造、水素発電までを国内で一貫するのは日本初実証後は、ブルー水素製造プラントを建設し、2030 年ごろまでに商業化を目指す。
【日本ガイシ/Liイオン二次電池の残量を可視化】
日本ガイシは米国のオンセミ社と、超小型・薄型のリチウムイオン二次電池「EnerCera」の電池残量などを可視化する評価システムを開発した。システムには、オンセミがEnerCera専用に最適化した高精度で超低消費電力の電池残量監視ICを搭載。電圧や温度なども可視化する。デバイス動作時の安定性などが検証できるため、EnerCeraを利用したデバイスなどの開発時間の短縮が可能になる。EnerCeraはスマートキーや、スマートカードなどに採用されている。
【東北電力/水車検査を効率化 金属内部の欠陥を検出】
東北電力はグループ会社の東北発電工業と、金属内部の欠陥検出システム「3D-UTシステム」を開発した。水力発電所の水車の検査に使用する。システムは、従来の超音波探傷技術に「3D-UT」を加えた「3次元超音波探傷検査装置」と、欠陥を自動で検出する「自動欠陥検出プログラム」で構成。金属内部の欠陥検出精度が向上し、水車内部の状況を詳細に把握して適切な寿命評価ができるため、従来より長寿命化が実現。短時間で効率的な点検作業にもつながる。装置を小型化し、小規模水力発電所でも適用できる。
【大阪ガス/小型圧力調理器を開発 国内初のガス式業務用】
大阪ガス、Daigasエナジー、服部工業は、国内初となるガス式業務用小型圧力調理器「圧力調理器OPCH-40」を共同で開発した。2022年11月から受注を始めている。作業効率向上とランニングコスト・CO2排出量の削減、小型・低価格(税抜104万円)を実現。自動温調モードやタイマーモードの調理機能、立消安全装置や過熱防止装置の安全機能を持ち、圧力調理器に慣れていないユーザーでも簡単に使うことができる。業務用圧力調理器では初めて日本ガス機器検査協会から型式認定などの認証を取得した。
【東京ガス不動産/電力のCO2排出実質ゼロの都市型レジデンス】
東京ガス不動産が手掛ける都市型賃貸レジデンス「ラティエラ」が所有・管理戸数1000戸を達成した。同事業は2019年から首都圏で展開されており、22年11月には「ラティエラ大鳥居」と「ラティエラ武蔵小杉」が竣工。ラティエラ武蔵小杉の完成に合わせて、初のメディア向け内覧会が行われた。ラティエラ武蔵小杉は武蔵小杉駅徒歩7分に位置し、モダンなカラーでデザインされた居室は197戸。緑豊かな中庭と隣接した居住者専用の共同ワーキングラウンジや、電気自動車充電システムを有する。太陽光発電設備と東京ガスの非化石証書付電力「さすてな電気」を導入し、電力のCO2排出を実質ゼロとしている。同社は住み心地の良い豊かな暮らしの提供に寄与していく。
【ユーラスエナジーホールディングス/福岡県に系統用蓄電池の設置工事を開始】
ユーラスエナジーは、福岡県田川市内に系統用蓄電池の設置工事を始めた。風力・太陽光発電事業の実績を生かし、系統用蓄電池事業に参入する。出力規模1500kW、蓄電容量4580kW時のリチウムイオン電池で、電力系統につなぐ。電力の余剰時には蓄電し、不足時には放電することで、電力需給の安定化と再エネの導入促進につなげる。小売り電気事業者のユーラスグリーンエナジーを通じ、電力の調整力として活用する。2023年12月の営業運転開始を目指す。
【明電舎/最短の停電復旧を算出 高度な配電運用に寄与】
明電舎は東北大学、京都大学、中部大学と共同で、停電復旧の最短手順を算出するアルゴリズムを開発した。停電時、周辺の供給余力で早期復旧するために、供給経路の切り替え手順を算出する。隣接する供給余力では足りず、遠くの供給余力も活用する多段融通にも適用可能だ。高度な配電運用が求められる中で、系統事故時の自動復旧などへ活用する方針だ。
【富士ガス/&LPG EXPO 2022開催 展示やセミナーで盛況】
富士ガス主催のプロジェクト「&LPG」初のエキスポが22年11月22日、東京国際フォーラムで開催された。LPガスの可能性を探り、災害対応や脱炭素化といった課題の解決を目指すプロジェクト。発電機・パラソルヒーターの実機の展示や、事業者・供給機器メーカーなどによるセミナーが行われた。来場者は300人を超え、業界内外への反響が期待される。
【三井E&Sマシナリー/次世代燃料エンジン 生産設備増強へ】
三井E&Sマシナリーは、船舶用次世代燃料対応ディーゼルエンジンの安定的な供給体制を整備するために、岡山県の玉野機械工場敷地内で二元燃料ディーゼルエンジン試験運転用の設備増強工事に着手した。脱炭素に向けて、従来燃料である重油よりもCO2排出量が少ないLNGやメタノールなどを利用する二元燃料ディーゼルエンジンへの転換の必要性が高まっている。同社は、玉野機械工場内に次世代燃料に対応した燃料供給設備や専用の試験運転台を増強し、脱炭素化社会の構築に貢献していく構えだ。