
子供たちが安心して学べる社会を実現するため、ICT利活用の推進に奔走。
平和を次代につなぐため、実直に労働、貧困、差別、教育問題に取り組む。
父は全日本自治団体労働組合(自治労)出身で衆院議員を4期務めた石橋大吉氏。「労働組合のおやじ」として、働く者のために粉骨砕身する背中を見続け、自身も組合活動に身を投じる。全電通(現NTT労働組合)を経て2001年、国際労働機関(ILO)勤務に。労働問題を「一生涯の仕事にしよう」と各国を回り、労働者の権利確立のために奔走した。
最初の5年3カ月はイタリア・トリノに赴任。その際、欧州の働き方や社会保障制度に衝撃と感銘を受けた。労働時間が短く生産性の高い働き方、育児や教育を社会全体で支える姿を見て、日本との差を痛感した。「なぜこんなにも違うのか」―。バブル崩壊以降30年で日本の国際競争力は低下し、賃金も上がらない。次世代が安心して働いて生活できる環境にしなければ日本に未来はない、と感じるようになった。
06年からの3年はフィリピンを拠点に東南アジアや太平洋諸島地域を担当。労働法制、社会保障制度が整っていない国々の実情を見た。一握りの権力者が政治を牛耳り、貧困がまん延し、子供たちは学校に通えず、労働者は声を上げるだけで命まで狙われる世界。結局、国民のための政治が行われないと、その国の人は幸せにはならない。ILOを含めた国際機関の役割は重要だが、国を良くするのはその国の政治だと痛感。「欧州やアジアでの経験を生かし、人々が安心して暮らしていける社会を取り戻したい」と決意し、一生働くつもりだったILOを辞め国政に挑んだ。
「平和を次代に」走り続けた12年 教育分野でICT利活用進める
10年の参院選で初当選。「平和を次代につなげていく」として、戦争や紛争の潜在的要因となり得る貧困や格差、差別や人権侵害の排除に尽力する。専門分野の労働問題では、非正規雇用の拡大に警鐘を鳴らした。「この国の雇用の安心・安定が失われてきた。何年頑張っても賃金が上がらない。もらえるはずの手当がもらえない、だから安心して暮らしていけない。そんな状況を変えるのが政治の責務だと思っている」。立法府に属する一人として、憲法で保障されている人権の保護、そして平和主義、国際協調主義の実現に走り続けた、と議員生活の12年間を振り返る。
また「資源のない日本で、最大の資源は人材。次代を担う子供たちが、家計の状況に関係なく自ら望む教育を受け、成長していける環境をつくらなければならない」と教育分野の情報通信技術(ICT)利活用を推進する。「当初は一部議員から『教育は紙の教科書と黒板・チョークを使うもの。何がパソコンだ』と反発を受けたこともあった」。それでも超党派の勉強会を立ち上げ、議員連盟に衣替えして実務を担い、19年には「学校教育の情報化の推進に関する法律」を議員立法で成立させた。このような取り組みが、全国の児童生徒に一人1台のデバイス環境とネットワークを整備する「GIGAスクール構想」の展開につながっている。「ICTの利活用が子供たちの可能性を広げ、未来をつくる。今後は、大学授業料の低廉化や無償化、給付型奨学金の拡充、教員の負担軽減も進める」と意気込む。
現在は参院の経済産業委員長として、経済産業省などとの調整、法案の議論に汗を流す。「私たちは、この30年で国際競争力が大きく低下してしまった原因を真摯に総括し、これからどう挽回するか与野党挙げて真剣に議論すべき」と10年後、20年後の日本で暮らす子供たちの未来を見据え「エネルギーとICTの融合」を提唱する。日本が国際的な競争力を取り戻すため、再生可能エネルギーのポテンシャルを評価。「より効率的な再エネの活用や省エネの展開にはICTが不可欠」。スマートグリッド(次世代送電網)やスマートシティなどの都市計画をさらに積極的に展開すべきと説いた。
さらに、NTTが研究してきた光技術による大容量データ通信ネットワーク「IOWN(アイオン)構想」のICT利活用も訴えている。「アイオン構想が実現すれば、エネルギー消費量を極めて減らした上で超高速、低遅延の大規模ネットワーク環境をICTデバイスにつなぐことが可能。日本の技術を世界に発信できる」として、国産技術のグローバル化に期待を寄せている。
これまで人権や労働、教育と多くの難題解決に取り組んできた。国会議員になってからは、休日も政策勉強用の書類を読み込む時間に充てて、余暇はほとんど取れていないという。それでも「政策の根幹は平和の実現。恒久平和をつくるためには貧困や差別があってはならない」と理念の実現に突き進む。座右の銘は米国16代大統領、エイブラハム・リンカーンが残した「意志あるところに道は開ける」。これからも明確な意志と実直な仕事で道を切り開いていく。





