労組の期待とは逆展開? 立民で泉体制が始動
衆院選で「惨敗」した立憲民主党。枝野幸男前代表の下、エネルギー政策では「気候危機に歯止め」「自然エネルギー立国の実現」など非現実的なビジョンに終始した。
エネルギー専門家のY氏はウェブコラムで「エネルギー政策を見る限り立民は労働者のことを考えているとは思えないし、多くの国民のことも頭にないようだ」と批判を展開した。そんな再エネ主義者の枝野氏が辞任に追い込まれ、泉健太氏が新代表に選出された。泉氏は旧国民民主党出身の中道路線。原子力政策に関しては、代表選の中で限定的な原発再稼働を容認するなど、左派の論調とは一線を画している点が注目される。
一方、決選投票で敗れた逢坂誠二氏は、選挙区の対岸にある大間原発の建設中止を長年訴えており、代表選中には寿都町などが手を挙げる最終処分場に関する文献調査にも慎重姿勢を示していた。
立民は泉氏の代表就任により、枝野氏の下で左に寄り過ぎた路線の軌道修正が期待できる。そのため、電力会社などの旧同盟系労組もさぞ歓迎しているのかと思いきや、実はひそかに望まれていたのは逢坂氏の勝利だったという。どういうことなのか。

「労組関係者にとっては、枝野路線を継承すると見られた逢坂氏がトップになることで、立民の分裂が進むというのが歓迎するシナリオだった。そうなれば、立民の中道派と国民民主の合流という展開もあり得た」(電力関係者X氏)
蓋を開けてみれば、代表選で泉氏と争ったほかの3者が新執行部入りするなど、立民は党の結束をアピール。電力労組など支持層の望みとは逆の展開になっているようだ。
市長の同意義務なし!? 泥沼化する太陽光訴訟
静岡県I市で、メガソーラー建設を巡る訴訟合戦が泥沼化の様相を呈している。
話は2019年に遡る。太陽光事業者のI社が工事用の橋を架けるため申請した河川の占有許可について、市が条例を理由に出さなかったことから、I社側が静岡地裁に提訴。一審では市の処分を取り消す判決を下し、続く東京高裁の控訴審でも処分取り消しは覆らなかった。
ただ、判決内容は「理由の提示が不十分」という手続き上の不備を指摘しただけで、不許可の判断自体は「裁量権の逸脱に当たらない」として市側の主張を一転容認。これを受け、I市のO市長は「実質的な勝訴」として21年7月、地元住民の反対を理由にI社側の占有申請を再び却下した。すると11月に入り、今度はI社側が市の工事中止要求に法的根拠がないことなどを確認するための訴えを、静岡地裁に起こしたのだ。
具体的には、I社が開発を行うにあたり、①太陽光条例に基づく市長の同意を受ける義務がない、②市側に事業を中止する義務がない―ことの確認を求めている。これに対し、O市長は「市条例に基づく対応の正当性を主張する覚悟」とコメントした。
「窮地に立たされたI社による破れかぶれの提訴にしか思えない」。太陽光訴訟問題に詳しい関係者Y氏は、こう指摘する。「義務がないから事業を継続しても問題ないという身勝手な理屈が通るとでも思っているのだろうか。FIT法では自治体条例を遵守するよう義務付けているので、市長の同意を得ずに着工しようとするなら、経産省は毅然と認定を取り消すべきだ」
異色の裁判だからこそ、その行方が注目される。
系統資料に「S+3E」 エネ庁がようやく明記
資源エネルギー庁の新エネルギー小委員会の下にある専門家会合。再生可能エネルギー導入量を最大限増やすため、既存の電力系統との接続条件が制約とならないよう、座長O氏のもとで中立的な立場の委員が議論を重ねてきた。
21年秋に開催された会合で、事務局が提示した「再エネ出力制御の低減に向けた取組について」と題する資料の中に、「S+3E」の文言が初めて明記され、業界関係者の関心を集めている。具体的には、「S+3Eを大前提に、電力需給の調整力を担う火力発電の最低出力を引き下げる」といった趣旨だ。
「エネ庁が供給安定性や経済合理性を軽視していたわけではないだろうが、実務的な議論の中で、ようやくこの文言が明記された」。議論を傍聴してきた、X団体の関係者はため息交じりにこう話す。
そもそもS+3Eはエネルギー政策の一丁目一番地のはずだ。この大前提が抜け落ちた再エネ導入論など意味がないに等しい。
再エネの出力変動に火力発電が調整力として対応することは業界の常識。にもかかわらず、これまでの会合で火力業界が発言の機会を得ることができたのはごくわずかだ。実質的な政策議論も「再エネ業界最優先」で展開されている様子が浮かび上がる。
「安定供給」を口にすれば、「抵抗勢力」のレッテルを貼ってきた東日本大震災以降のシステム改革論議。10年の時を経てようやく現実に目を向け始めたようだ。










