都市ガス業界は、2030年度に都市ガスの1%にe-メタンを導入する目標を打ち出す。それを実現するため、国内外で複数のプロジェクトが立ち上がっている。
熱分野のカーボンニュートラル(CN)の切り札として期待されるe-メタン(合成メタン)。そのフラッグシッププロジェクトとして、東京ガス、大阪ガス、東邦ガス、三菱商事の4社が、米テキサス・ルイジアナ州のメキシコ湾岸で世界初の大規模なe-メタンを製造・液化し、日本に輸送するサプライチェーン確立に向け、現在Pre-FEED(基本設計の前段階の概念設計)を共同で進めている。

同プロジェクトは、3社の年間都市ガス需要の1%に相当する年間1億8000万㎥(内訳は東ガス8000万㎥、大ガス6000万㎥、東邦ガス4000万㎥)のe-メタンを製造し、キャメロンLNG基地など既存のサプライチェーンを活用し液化し、日本に輸出することを目指す。
今年8月には、センプラ・インフラストラクチャー社が、同プロジェクトにおいて、米国のエネルギー事業者として初めて参画。現地でのプラント用地選定・各種許認可・地元対応など、地元企業との連携が必要不可欠である中、同社の参画はプロジェクト実現への大きな推進力となり得る。
25年度中の最終投資決定へ 用地は経済性・拡張性など重視
30年の製造開始に間に合わせるには、25年度中にも最終投資決定(FID)をしなければならない。プラント用地の候補は絞り込まれつつあるが、「最も経済性の高いe-メタンを製造できることはもちろん、30年1%はあくまでも最初の目標でありそれで終わりではない。冗長性や拡張可能性も含めて慎重に選定したい」(東ガス)という。
世界初のプロジェクトにこの地を選んだのは、再生可能エネルギー由来の電力やCO2といったe-メタンの原料が豊富にあるのに加え、天然ガスパイプラインやキャメロンプロジェクトといったLNGインフラが整っており、ほかの国・地域と比べても最も初期に取り組むのに適しているとの判断からだ。CO2であれば、テキサス・ルイジアナ州にはパイプライン網が整備されているため、パイプラインを通じて排ガス由来、バイオガス由来のCO2を購入することが可能となる。
このキャメロン近傍における日米5社によるプロジェクトに加え、大手都市ガス各社は国内外で複数のプロジェクトの検討を進めている。例えば東ガスは、海外においては、マレーシアや豪州他地域でグローバルエネルギー企業や総合商社と事業性検討を行っているほか、国内でも需要家から排出されるCO2の有効活用によるエネルギーセキュリティ向上を模索している。
具体的には、太平洋セメントや富士フイルムとともに、製造過程で排出されるCO2を原料に需要家のサイトでe-メタンを製造し供給することを検討中だ。また、昨年3月にe-メタン製造の実証に着手した横浜テクノステーションでは、隣接する横浜市のごみ焼却場からCO2を回収し、それを原料にe-メタンを合成している。
「海外のサプライチェーンでは量を確保し、国内では需要家から排出されたCO2の循環と地産地消の取り組みを進めエネルギーセキュリティーを向上させる。その両面でe-メタンの社会実装を図っていきたい」(東ガス)














