A 経済対策としては、短期的には多少効くのかもしれないが大きくは期待できないだろう。とはいえ、物価高騰で痛む家計の負担軽減につながるという意味では評価できる。エネルギー価格高騰の要因は、燃料市況の高止まりもあるが円安がそれを増幅していることも大きく、根本的には円安を是正しない限りどうにもならない。円買い介入など一時しのぎで効果は限定的。金融政策を大きく転換できるかどうかが問われる。円安対策と言いながら、円安を活用したインバウンドの活性化といったわけの分からないことを言っていて国の政策が定まっているとは思えない。
B 経済対策は、電気・ガス料金の値下げという形で対策がまとまったが、実は4月に「電力・ガス・食料品等価格高騰重点支援地方交付金」を創設し地方自治体を通じて6000億円をかけた対策が講じられている。だから、今回の狙いは本当の意味での値下げ対策ではなく、統一地方選挙に向けた票集めなのだろう。とはいえ、都市ガス事業者としては、当初は補助の対象外だったにもかかわらずよくぞ加えてくれたとも思う。家計に与える影響はほとんどないと思うが、産業用はガス代が大きく上昇し原材料費の高騰に苦しめられているので、1㎥当たり30円負担が圧縮されることで需要家は助かるし、ガス事業者側も値上げによる需要家からのクレームをある程度抑えられるのではないかと期待している。
C 経済対策としては、消費者に直接還元するよりも、電力市場安定化を目指す方がよいと考える。例えば、化石燃料の値上がり分に直接補助金を出して発電コストを安定させるとか。燃料費調整制度の基準価格の上限を撤廃し、その上昇分を一時的に補填するようなことに意味があるとはとても思えないし、これは選挙対策であってエネルギー政策ではないという意見には同感だ。