少数与党となった中、自民党はエネ基の議論にどのような姿勢で臨んだのか。
かつて経済産業副大臣を務め、今回は党内議論をまとめた山際大志郎衆議院議員に聞いた。
【インタビュー:山際 大志郎/自民党 総合エネルギー戦略調査会幹事長】
─第7次エネルギー基本計画のポイントを教えてください。
山際 前回のエネ基の策定以降、ロシアによるウクライナ侵攻や中東での紛争激化など大きく変わったファンダメンタルズ(経済の基礎条件)を踏まえ、現実的かつ柔軟な計画にする必要がありました。脱炭素やエネルギー安全保障、トランプ政権の誕生などさまざまな要因が絡む中で複雑な連立方程式を解かなければならず、電源構成は幅を持った数値になっています。
─どう評価しますか。
山際 前回のエネ基と比較すると、「現実路線に戻した計画」として合格点が与えられるのではないでしょうか。
原子力に関しては「依存度を可能な限り低減する」という文言を削除し、次世代炉への建て替えについては「廃炉を決定した事業者のサイト内」で具体化を進める方針を示しました。今まで掛かっていたブレーキを外し、政府が再稼働や建て替えを進める姿勢を打ち出したことは評価できます。
党内意見に変化 国民一丸で計画実現を
─自民党内ではどのような議論がありましたか。
山際 党内で原子力に関してネガティブなことを言う人はいなくなりました。またカーボンニュートラルの実現に向けて、再生可能エネルギーを増やす必要があるという点でも一致しています。ただ原発なら最終処分場や避難道路の整備、再エネなら乱開発や太陽光パネルの廃棄問題、洋上風力建設の資材高騰などの課題に手当てを行っていく必要があります。計画の実現には政府や民間事業者、需要側の取り組みが不可欠で、国民が一丸となって努力するしかありません。
─昨年の衆院選では自民党内で原子力政策に力を入れていた議員の落選が目立ちました。その影響はありましたか。
山際 エネルギー政策について強い責任感とバランス感覚を持つ彼らが、エネ基の議論に参加できなかったことは大きな痛手でした。ただ、だからといってエネ基に悪い影響を与えたわけではありません。われわれを通じて彼らの意見もしっかりと取り入れられています。
─公明党は「将来的に原発に依存しない社会を目指す」との方針を掲げていますが、「可能な限り低減」の削除などを認めました。
山際 他党の話ですから詳しくは分かりませんが、将来的に電力が足りなくなり、それが経済成長を阻害してはならないという観点から現実的な判断をされたのだと思います。
─国民民主党についてはいかがですか。年末にエネ基に関する要請を政府に提出しました。
山際 要請書を読みましたが、書かれていた内容は賛同する点が多いです。多くがエネ基に反映されていると思います。
