【ENEOSグローブ】
2050年カーボンニュートラル実現に欠かせない取り組みがトランジションにおける徹底した省エネやCO2削減への取り組み強化だ。そうした中、石油からLPガスへの燃料転換でCO2削減や省エネ提案を、特約店向けに支援するのがENEOSグローブだ。
「北海道から沖縄まで、全国の特約店向けに要望があれば燃転や省エネ提案に関わる研修会をボランタリーで実施している。石油とLPガス販売の兼業特約店も存在する中、CO2削減の点で、自らの石油販売を減らしてLPガスへの転換ニーズがここ数年着実に増えている」。こう話すのは、リテール企画部の佐久間孝雄リテールサポートグループマネージャーだ。
特約店向け研修会の軸の一つが、ゴルフ場やクリーニング店、中小規模の工場などでの燃転を想定した燃転塾と呼ぶ同社独自のプログラムの提供だ。
独自の燃料転換塾を開催 必要なノウハウを伝授
複数回のパッケージ研修で、1回目はボイラー設備などについて、燃転の必要な知見を4時間程度かけて習得する。その一方で、特約店側からも、燃転対象となりそうなユーザー状況をヒアリングする。ユーザー側が使用している油種は何で、年間の消費量はどのくらいか、またどの季節にピーク需要が訪れるのか、熱源はどのような型式のボイラーか、空調はどのような仕組みかなどをヒアリングし、次回の研修会につなげる。
2回目は、同社の本店側で具体的な提案書のたたき台を作成する。燃転によるイニシャル費用やランニングコストの試算、設備更新によってどれくらい省エネやCO2削減に寄与するのか、LPガスを含めたいろいろなエネルギーや設備を使った場合の比較などを明らかにする。実際にユーザーに提案するのは特約店だが、その際に同社本店スタッフも同行を求められるケースもあるそうだ。
「似たような業態であったとしても、ユーザーによってエネルギーの使い方は千差万別。汎用的な提案は不可能で、提案する内容や訴求するポイントは異なる」(佐久間マネージャー)。こうした複数の研修会や同行を踏まえて、特約店の「独り立ち」を支えていく。
燃転現場では、エネルギー設備の受発注や燃転工事の工程管理など、同社が支援することはあっても、積極的に関わることはない。本業はあくまでもLPガス販売だからだ。逆に、こうした現場のマネジメントを特約店側自らが行うことで、各種ノウハウが積み上がり、結果的に特約店自身の提案力につながると同社では考えている。
「人口減に伴いLPガス利用世帯数も減っているが、こうした燃転はポジティブな営業になり、特に特約店の若い営業担当者は前向きに仕事に取り組めていると思う。実際に燃転が達成できたときは、感謝され、喜びを分かち合っている」。こうした地道な取り組みが、元売りと特約店の関係を強め、結果的に「LPガス」の認知度を高めていく。
